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生きている
まだ生きる
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そんなことがあったのも、もう数年前の話で、私はあれから秀平に連絡を取っていない。つまりは、今現在も私は、まるであの夏のフェンス越しの出会いなんて無かったかのように生きている。いや、生きようとしている、という表現のほうが適切かもしれない。相も変わらず生きる意味のようなものは一向に見つかる気がしないが、毎日の目的をこなすことで私の中の欠けている何かが埋められるような気がして、私は必死に働いていた。今は介護職に就いている。毎日人と交わることで、自分の心にずっと張り付いて離れない虚無感から意識を逸らせているようにも感じた。しかし、そんなことも一時的なもので、定時で上がり、職場から一歩外に出たその瞬間から私の孤独はまた始まる。毎日がその繰り返しだ。
私はこんな繰り返しの毎日の中で秀平を時折思い出す。今頃元気だろうか、とか、病気の具合はその後どうだろうか、という気持ちももちろんあるのだが、それより先に思い浮かぶことは、秀平がいう「生きる」という状態に今の私は当てはまっているのだろうか、ということだった。その度に、秀平ならきっと今の私のことも、あの可哀想な目で見つめてくるのだろうな、となぜか意味も分からず胸が痛んだ。
私はこんな繰り返しの毎日の中で秀平を時折思い出す。今頃元気だろうか、とか、病気の具合はその後どうだろうか、という気持ちももちろんあるのだが、それより先に思い浮かぶことは、秀平がいう「生きる」という状態に今の私は当てはまっているのだろうか、ということだった。その度に、秀平ならきっと今の私のことも、あの可哀想な目で見つめてくるのだろうな、となぜか意味も分からず胸が痛んだ。
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