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七話
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「...なんのこと?」
「とぼけなくていいよ。どうせわかってるし、どうでもいいことだからね」
久遠はスマホを取り出して、『侵入者』にて向こうの世界のネットに接続した
「八雲玲香は黒髪黒目で、腰まで届くような長い髪が特徴だね。現在の歳は生きていれば25歳で、死亡原因は不明...っていうことになってる。まぁ自殺の線が濃いよね」
「それがなにか?」
「君はこちらの世界に転生したんじゃない?それも、私たちみたいに転生魔法でじゃなくて、本当に殺されて」
「......。黒犬!」
エリカもとい、八雲玲香が叫ぶと、上から五人ほどの人間が降りてきた
黒服に白く何も無い仮面を被っている
「これが親衛隊かぁ。黒鉄を頼るまでもないね」
久遠は指を鳴らした
指から発された音を増幅し、指向性を持たせて黒犬と呼ばれた親衛隊五人の鼓膜に直接ぶつける
「......!」
「な、何者なの...!?」
「私は桜坂久遠。元の世界にて『拷問者』の異能を持つ警察公認の拷問者、だよ」
久遠は雪音の持っていた大剣を召喚した
拷問器具名・《拷問者の斬首大剣》として登録された雪音の剣は、チェーンソーのような唸りをあげた
指を鳴らした時に、久遠は無音空間を展開済みだ
《拷問者の斬首大剣》の音が部屋の外に漏れることは無い
「売られた喧嘩は買う主義でね。派手に散ってよ」
久遠は姫の首目がけて、《拷問者の斬首大剣》を振り抜いた。はずだった
「何してるんだ、桜坂!」
「...勇者か。面倒くさいな」
割り込んで大剣を止めたのは委員長だった
首に当たる既のところで、委員長のスキル「守る程度の能力」が作動し、防いでいる
「完全にアウェーだね...まぁいっか」
久遠は一度大剣を消し、雪音と桜音を出した
お馴染みの雪吹雪と桜吹雪から、二人が姿を現す
「委員長。君は私を敵に回すってことでいいんだよね?騎士団長にすら勝る私を?」
「仮にそうだとしても、姫様に刃を向ける者を味方にしておけるか!」
(こりゃあ途中からしか見てないんだろうね。エクストラスキル「勇者」は私の結界を認識できるっぽいし)
久遠は雪音と桜音の後ろに下がり、ドアから廊下へと出た
部屋の前には、久遠の予想通りクラスメイトと騎士団が勢揃いしている
「こんなことだろうと思ったよ。全く...」
「桜坂久遠、貴様...!」
「斬首大剣を振ったことは知ってるってことだね。その前の顛末は知らない?」
「知らん!どんな理由があっても、姫に剣を向けるとは見損なったぞ!」
「めんどくさ...。おいで、《断頭剣》・《鉄の処女》・《鉄環絞首》」
久遠の前に出現したのは、三つの拷問器具だ
それぞれが黒い光に包まれ、人型になる
ギロチンだったものは、優香と名乗ってスカートをつまみ、お辞儀をした
手には刃渡り一メートルほどの出刃包丁を持っている
鉄の処女だったものは、愛目と名乗ってセンスで口元を隠した
武器らしいものは何も持っていない
鉄環絞首だったものは、夢女と名乗って腕を組んだ
鉄でできた輪を持っている
そして全員、中学生のような背格好に、久遠たちの高校の制服を着ている
「小出しにしないと私の戦闘手段がなくなりそうだしね。三人とも、遊んであげて!」
「はい」「承知いたしました」「わかったわ」
三者三様の返事を聞き、久遠は人の隙間をぬって包囲を抜ける
『創作者』を使わないのは、まだクラスメイトへの慈悲があるというのと、使い慣れてないからだった
それに比べて、『拷問者』であれば付き合ってきた年数的に、加減の仕方もわかる
「...何が一番まずいって、地下にいたアレを解放されることだよね...」
この国の地下には、実験施設がある
国公認だが国民には知らされていない
そこで実験されているのは、自律兵器だ
人型で、魔法を付与した鉱物でできているために恐ろしく硬い
探索中にそれを見つけた久遠は、ためしに雪音に切らせてみたが傷一つつかなかった
「ま、出てこないよね、あんな未完成品」
久遠は走りながら追いかけてくるクラスメイトの銃弾や矢を回避する
時々手の中に小規模なエスクードを展開して打ち落としていく
「夜刀神」
らちがあかなくなったため、久遠は夜刀神を出した
右腰に鞘ごと出現した夜刀神を抜き、構える
「少しだけ夜刀神の真髄を見せてあげるよ。解放《夜刀神氷輪月華》」
夜刀神から紫の焔が飛び出し、久遠を覆い隠す
焔を右手で振り払って出てきた久遠は、装甲のようなものに包まれていた
「第一段階、屋内戦用微量展開」
『ガイストON』
夜刀神の声が響き、装甲の隙間から火花が飛び散った
「相手してあげるよ。三分間だけね!」
久遠はクラスメイト十数名と、首都防衛騎士団と呼ばれる猛者ぞろいの騎士団の束に突撃した
「とぼけなくていいよ。どうせわかってるし、どうでもいいことだからね」
久遠はスマホを取り出して、『侵入者』にて向こうの世界のネットに接続した
「八雲玲香は黒髪黒目で、腰まで届くような長い髪が特徴だね。現在の歳は生きていれば25歳で、死亡原因は不明...っていうことになってる。まぁ自殺の線が濃いよね」
「それがなにか?」
「君はこちらの世界に転生したんじゃない?それも、私たちみたいに転生魔法でじゃなくて、本当に殺されて」
「......。黒犬!」
エリカもとい、八雲玲香が叫ぶと、上から五人ほどの人間が降りてきた
黒服に白く何も無い仮面を被っている
「これが親衛隊かぁ。黒鉄を頼るまでもないね」
久遠は指を鳴らした
指から発された音を増幅し、指向性を持たせて黒犬と呼ばれた親衛隊五人の鼓膜に直接ぶつける
「......!」
「な、何者なの...!?」
「私は桜坂久遠。元の世界にて『拷問者』の異能を持つ警察公認の拷問者、だよ」
久遠は雪音の持っていた大剣を召喚した
拷問器具名・《拷問者の斬首大剣》として登録された雪音の剣は、チェーンソーのような唸りをあげた
指を鳴らした時に、久遠は無音空間を展開済みだ
《拷問者の斬首大剣》の音が部屋の外に漏れることは無い
「売られた喧嘩は買う主義でね。派手に散ってよ」
久遠は姫の首目がけて、《拷問者の斬首大剣》を振り抜いた。はずだった
「何してるんだ、桜坂!」
「...勇者か。面倒くさいな」
割り込んで大剣を止めたのは委員長だった
首に当たる既のところで、委員長のスキル「守る程度の能力」が作動し、防いでいる
「完全にアウェーだね...まぁいっか」
久遠は一度大剣を消し、雪音と桜音を出した
お馴染みの雪吹雪と桜吹雪から、二人が姿を現す
「委員長。君は私を敵に回すってことでいいんだよね?騎士団長にすら勝る私を?」
「仮にそうだとしても、姫様に刃を向ける者を味方にしておけるか!」
(こりゃあ途中からしか見てないんだろうね。エクストラスキル「勇者」は私の結界を認識できるっぽいし)
久遠は雪音と桜音の後ろに下がり、ドアから廊下へと出た
部屋の前には、久遠の予想通りクラスメイトと騎士団が勢揃いしている
「こんなことだろうと思ったよ。全く...」
「桜坂久遠、貴様...!」
「斬首大剣を振ったことは知ってるってことだね。その前の顛末は知らない?」
「知らん!どんな理由があっても、姫に剣を向けるとは見損なったぞ!」
「めんどくさ...。おいで、《断頭剣》・《鉄の処女》・《鉄環絞首》」
久遠の前に出現したのは、三つの拷問器具だ
それぞれが黒い光に包まれ、人型になる
ギロチンだったものは、優香と名乗ってスカートをつまみ、お辞儀をした
手には刃渡り一メートルほどの出刃包丁を持っている
鉄の処女だったものは、愛目と名乗ってセンスで口元を隠した
武器らしいものは何も持っていない
鉄環絞首だったものは、夢女と名乗って腕を組んだ
鉄でできた輪を持っている
そして全員、中学生のような背格好に、久遠たちの高校の制服を着ている
「小出しにしないと私の戦闘手段がなくなりそうだしね。三人とも、遊んであげて!」
「はい」「承知いたしました」「わかったわ」
三者三様の返事を聞き、久遠は人の隙間をぬって包囲を抜ける
『創作者』を使わないのは、まだクラスメイトへの慈悲があるというのと、使い慣れてないからだった
それに比べて、『拷問者』であれば付き合ってきた年数的に、加減の仕方もわかる
「...何が一番まずいって、地下にいたアレを解放されることだよね...」
この国の地下には、実験施設がある
国公認だが国民には知らされていない
そこで実験されているのは、自律兵器だ
人型で、魔法を付与した鉱物でできているために恐ろしく硬い
探索中にそれを見つけた久遠は、ためしに雪音に切らせてみたが傷一つつかなかった
「ま、出てこないよね、あんな未完成品」
久遠は走りながら追いかけてくるクラスメイトの銃弾や矢を回避する
時々手の中に小規模なエスクードを展開して打ち落としていく
「夜刀神」
らちがあかなくなったため、久遠は夜刀神を出した
右腰に鞘ごと出現した夜刀神を抜き、構える
「少しだけ夜刀神の真髄を見せてあげるよ。解放《夜刀神氷輪月華》」
夜刀神から紫の焔が飛び出し、久遠を覆い隠す
焔を右手で振り払って出てきた久遠は、装甲のようなものに包まれていた
「第一段階、屋内戦用微量展開」
『ガイストON』
夜刀神の声が響き、装甲の隙間から火花が飛び散った
「相手してあげるよ。三分間だけね!」
久遠はクラスメイト十数名と、首都防衛騎士団と呼ばれる猛者ぞろいの騎士団の束に突撃した
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