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5.勇者を育てた俺、次は何を育てる?
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「師匠、敵が来ました」
「数はおよそ50。さっきより多いな」
「じゃあそろそろやる。地面両断」
大きく地面が真っ二つに割れると、割れたところへゴブリンの軍隊が全員落ちていった。
そしてフラウが合図すると割れた地面が戻り、落ちていったゴブリンはそのまま地面に押しつぶされた。
50匹もいたゴブリンはたった1回の攻撃で全滅していった。
それから二度に亘りゴブリンの軍隊がやってきた。
その二度もフラウの地割れ魔法により、一匹残らず全滅する。
やがて時間の間隔が大きく空いた後、俺たちの前に現れたのはネストとイトナだった。
「おかえり。無事でよかったよ」
「ただいま戻りました」
「無事、ゴブリンの王国を滅ぼしてまいりました」
「お、おう。お疲れ様。今日はゆっくりしていいぞ」
いつからこんなにも戦うことに関して生き生きするようになったのだろうか。
一応種族的には魔物の部類に入るけど、それが原因かもしれない。
戦えない俺にとってはうれしいけどさ。
衣食住の3つが揃い、ゴブリンが戦争を仕掛けてきたここ数日間。
その後の1ヶ月間、この出来事が嘘かのように平和に時間が経った。
もちろん修行も忘れることはなく。
そして1ヵ月が経った今、出来事はまたやってくる。
「フラウ、その子は?」
「私と師匠の子」
「師匠!!」
「いやいや、俺にそんな記憶はない!」
「本に書いてありました!男は皆そう言うと!」
「みんな言っていたらそれはそれでまずいだろう!!」
「冗談、倒れていたからここに運んできた」
なんて心臓に悪い冗談なのだろう。
それにしても、この子は一体誰なんだろうか。
【名 前】サシャ
【種 族】天使
【職 業】――
【レベル】323
【H P】2400/2400
【M P】3300/3300
【ATK】310
【DEF】310
【スキル】『神罰執行者』
天使?確かに背中に羽はあるが、頭の上にあると言われる光の輪っかはない。
ケガはあったが、すでにフラウの手で処置されていた。
というかレベル高いな。
ATKとDEFは低いものの、HPは高く、中でもMPがぶっ飛んでいる。
勇者であるブラッドより高いMPを持っているってどういう事なんだろうか。
それにスキルにある『神罰執行者』も気になる。
『神罰執行者』:神の代理とし、神の一部の力を有する
なぜこうも俺の周りはチートレベルが集まるのやら。
言い換えれば俺もその一部になるが、中でも一番弱いのは俺だとおもう。
俺がいたからこそみんな強くなったが、もし裏切られたら…なんて考えたくもないな。
「どうします?」
「どうしますも何も、こんな状態で捨ててこいなんて言えないだろう」
「部屋に寝かせておく」
「じゃあ俺たちは先に修行でもするか」
ゴブリンの事件から一ヵ月経った今、もちろんみんなのレベルも上がった。
それに対して不思議なことに俺のレベルが上がらなくなっている。
まるで何かの呪いのように。
【名 前】ネスト
【種 族】最上位粘着体
【職 業】弟子
【レベル】470
【H P】4430/4430
【M P】3000/3000
【ATK】1010
【DEF】880
【スキル】『スライムの王』『波操作』『レオの加護』『五大元素』
おかしい、勇者であるブラッドを越えるスライムが誕生しそうだ。
これも俺の加護、『レオの加護』のおかげだろう。
ネストはこれ以上の進化はなく、スライムキングのまま。
そんなことは関係なしにレベルもステータスも大きく上がっている。
ゴブリン討伐後に『スライムの王』に変わっていたのは驚いたが、この一ヵ月の修行でスキルも大きく変わった。
『弱者の根性』と『音操作』が消え、『波操作』と『五大元素』が増えた。
波操作は音操作の上位互換だからいいとして、新しく覚えたのは『五大元素』だ。
五大元素は土、水、火、風、木の魔法を使うことを可能とする、とても珍しいスキルである。
なぜそんな珍しいスキルを手に入れたのかは分からないが、強い味方が出来たのは確かだ。
【名 前】イトナ
【種 族】上位鬼人
【職 業】弟子
【レベル】620
【H P】6250/6250
【M P】6400/6400
【ATK】1330
【DEF】1200
【スキル】『鬼神化』『雷操作』『風操作』『空間生成』『レオの加護』
まぎれもなくブラッドを越える存在になっている。
俺とブラッドの5年間は一体何だったんだろうか……。
俺が教える技術が上がった、とか?
でも最近はひたすら戦闘を繰り返しているだけなんだがな。
レベルとステータスは言うまでもなく急成長という話ではないほど上がっている。
イトナは『鬼化』が消えて『鬼神化』になり、新しく『風操作』に『空間生成』を覚えた。
鬼神化は今までの鬼化と異なり、肌の色の変化が無くなった。
それに加えて発動時、全ステータスが上がるという、これ以上上げる必要があるのかと思うスキルだ。
風操作は俺が雷の魔法と風の魔法を合わせると強いのではないかと提案したら、その日から覚え初めてすでに会得している。
最後の空間生成だが、これは修行時に毎回使っている。
理由は俺とイトナが修行で戦うとあちこちの地面に大きなクレーターができるからだ。
今まではフラウの地面操作で直していてもらったが、イトナが進んで覚えてくれた。
自分で覚えているなら、俺要らなくね?
【名 前】フラウ
【種 族】精霊植物
【職 業】弟子
【レベル】330
【H P】1910/1910
【M P】3500/3500
【ATK】410
【DEF】330
【スキル】『自然操作』『地面操作』『風操作』『光操作』『レオの加護』
メリーは修行を受けているわけではないため、最後はフラウだ。
一番レベルの上がり方が普通であるが、すでに平均の3倍まで上がっている。
上位植物人から精霊植物へと進化を遂げた。
HP、ATK、DEFは低いものの、MP特化に成長をしている。
スキルは『栄養操作』が『自然操作』へと変わり、『風操作』と『光操作』が増えている。
『風操作』はイトナと一緒に覚え、『光操作』は精霊植物へ進化した際に覚えたスキルだ。
単純に灯りに使えたり、戦闘時に目くらましやレーザーなど使うことが出来る。
ブラッドが使っていた光魔法に近い。
この1ヵ月の成長はこれぐらいだ。
三人ともまだまだ成長する可能性があるから楽しみだな。
これ以上育ったら本当に「勇者?魔王?何それ?」レベルの話になってしまうが。
それはそれで面白いからいいだろう。
「始めようか」
「では、戦闘空間」
俺とネスト、それにイトナはつくられた空間へと移動した。
つくられた空間は荒野になっており、障害物が一切ない。
純粋な実力勝負のため、こうして見晴らしがいいところをつくっている。
それから数時間、俺たちはひたすら戦闘を繰り返している。
ブラッドにも劣らない、しかも二人で俺に襲い掛かってくるんだ。
普通に考えれば死んでもおかしくない状態だが、俺のスキル『育成』は相手の数によってさらに強くなっている。
また、同時に俺の基礎戦闘力も強くなっているはずだ。
何度も戦闘を繰り返していたから少しはどう動くかは分かってきているのだから。
俺たちは休憩のため、一旦戦闘を止めて自分のステータスを見ることにした。
なんだかんだ、自分の何か全然見てないから久しぶりだな。
【名 前】レオ・キリヤ
【種 族】人間
【職 業】魔物の主
【レベル】346
【H P】3010/3010
【M P】2100/2100
【ATK】420
【DEF】360
【スキル】『特別育成者』『加護付与』『神に近し者』
お、おう、結構変わっていたな。
というか普通にしてても俺強いじゃないか!!
マジか!?なんでこんなことに!!
育成が新しく変わっているけどそのおかげかな?
『特別育成者』:自身もレベルが上がりやすくなる。ただし、スキルを使わずに戦闘をする際はステータスが半減する。
……ダメじゃん、結局弱いじゃん、俺。
何だよ、何で上げて落とすようなことをするんだよ。
一番たちが悪いぞ!
いや待てよ、まだ新しいスキルが増えている。
これがもしかしたらもしかするかもしれない。
『神に近し者』:――
いや、何も書かれていないのかよ。
これじゃあ何が何だか分からないじゃないか。
言葉通りに考えると、神様に近い存在ってことか?
いやいや、そんなはずはない。
ただでさえ、スキルは強くても元々の俺自身が弱いのだ。
どちらかと言うとゴブリンに近し者と言ってもいいだろう。
そんな時だ。
俺たちがいる空間に切れ目が入ったのだ。
フラウは時々、こうして空間に切れ目を入れて入ってきたりするが、空間にやってきたのは先ほどの天使、サシャだった。
羽が動いていないのにも関わらず、ふわふわと浮いている。
後ろからひょっこりとフラウが顔を出していた。
「凄いですね。私の空間をいとも簡単に」
「それもすごいが、もう動いていいのか?」
「…やっと見つけた」
おーい、言葉のキャッチボールをしてくれー。
それに君を助けたのはフラウだから君にとって俺たちを見るのは初めてのはず。
それなのにいきなり見つけたってどういう事なんだよ。
俺の前まで来るとぴたりと止まった。
見つけたのはどうやら俺だったみたい。
それにしても顔が近い、近すぎる。
つい反射して後退さってしまった。
「やっと見つけた!私のお師匠様!!」
「「なっ!?」」
「ほう……」
「ちょっ!なんでいきなり抱き着くんだよ!!」
「やっと…やっと見つけられたんです!!」
それは理由になっていないから!
その見つけたっていうのを教えて欲しいのに、全然言ってくれない。
とりあえず地面へ降ろし、話をしっかりと聞こう。
「それで、その見つけたって何だ?」
「はい!僕は天使ですが、強くなるためにこの地上へとやってきました!」
「ほうほう、でも君には『神罰執行者』なんていうスキルがあるんだろう?近くに強い奴がいたんじゃないのか?」
「このスキルはあくまでもスキルです。実際に神様に会ったことがあるわけでもないですし」
「なるほどな。強くなるために地上に来たのは分かったが、なぜ俺なんだ?」
「このスキルで誰が一番強くしてくれるか探したんです!そうしたらお師匠様が見つかったんです!!」
なんでそんなハイテンションでいられるのか。
何か俺の元気を吸っているような気がする。
それは置いといて、スキルで俺を見つけ出したと言ったな。
そんなことが出来るなら他にも修行をしたがるものが現れる、と思ったがそんなことはないか。
誰もが皆、『神罰執行者』なんてすごいスキルを持っているわけでもないからな。
いや待てよ、ブラッドは予言で俺のところへやってきたんだよな?
それならほかに知っている人がいるかもしれない。
弟子が増えるのはその分楽しめるからいいけど、多すぎたら俺がまず倒れる。
それにしても天使を弟子にかぁ。
もう少し質問をしよう。
「何で強くなりたいんだ?」
「実はこのスキル、神に代行として時に裁くことがあります。そうなると、裁くために強くないといけませんから」
「さっき神に会ったことが無いとか言ってなかったか?」
「えっと、会ったことはないんですが頭の中に聞こえてくるんです。と言ってもまだ1回しかありませんが」
「ふむ、そういういことなら弟子にしてもいいが――」
「本当ですか!?やったー!!」
「最後まで聞け!弟子にしてもいいが、俺について知っておいて欲しいことがある」
サシャに俺について話した。
ついでに新しいスキルの影響も一緒に話した。
「分かりました。いざという時はお師匠様をお守りすればいいんですね!」
「師匠を守るのは私です!」
「いや、私が」
なんでそんなことで取り合いになっているんだ。
俺はモノじゃないんだぞ、俺を引っ張るな。
そしてネストを見習え!こうして騒いでいる中、堂々としているじゃないか。
「いえ、師匠を守るのは自分です」
お前もかよ!!
いいからそんなことでもめないでくれ!
結局、この話が終わるのは1時間も経った後だった。
しかも答えは出ることなく、後日決めることになった。
『サシャの職業が変更されました。また、スキル『レオの加護』を会得しました。ステータスに反映いたします。
レオ・キリヤが加護を与えた者が四名を越えました。ボーナスとしてランダムで新スキルを会得します。
……新スキル『生成者』を会得しました。ステータスに反映いたします』
「師匠、敵が来ました」
「数はおよそ50。さっきより多いな」
「じゃあそろそろやる。地面両断」
大きく地面が真っ二つに割れると、割れたところへゴブリンの軍隊が全員落ちていった。
そしてフラウが合図すると割れた地面が戻り、落ちていったゴブリンはそのまま地面に押しつぶされた。
50匹もいたゴブリンはたった1回の攻撃で全滅していった。
それから二度に亘りゴブリンの軍隊がやってきた。
その二度もフラウの地割れ魔法により、一匹残らず全滅する。
やがて時間の間隔が大きく空いた後、俺たちの前に現れたのはネストとイトナだった。
「おかえり。無事でよかったよ」
「ただいま戻りました」
「無事、ゴブリンの王国を滅ぼしてまいりました」
「お、おう。お疲れ様。今日はゆっくりしていいぞ」
いつからこんなにも戦うことに関して生き生きするようになったのだろうか。
一応種族的には魔物の部類に入るけど、それが原因かもしれない。
戦えない俺にとってはうれしいけどさ。
衣食住の3つが揃い、ゴブリンが戦争を仕掛けてきたここ数日間。
その後の1ヶ月間、この出来事が嘘かのように平和に時間が経った。
もちろん修行も忘れることはなく。
そして1ヵ月が経った今、出来事はまたやってくる。
「フラウ、その子は?」
「私と師匠の子」
「師匠!!」
「いやいや、俺にそんな記憶はない!」
「本に書いてありました!男は皆そう言うと!」
「みんな言っていたらそれはそれでまずいだろう!!」
「冗談、倒れていたからここに運んできた」
なんて心臓に悪い冗談なのだろう。
それにしても、この子は一体誰なんだろうか。
【名 前】サシャ
【種 族】天使
【職 業】――
【レベル】323
【H P】2400/2400
【M P】3300/3300
【ATK】310
【DEF】310
【スキル】『神罰執行者』
天使?確かに背中に羽はあるが、頭の上にあると言われる光の輪っかはない。
ケガはあったが、すでにフラウの手で処置されていた。
というかレベル高いな。
ATKとDEFは低いものの、HPは高く、中でもMPがぶっ飛んでいる。
勇者であるブラッドより高いMPを持っているってどういう事なんだろうか。
それにスキルにある『神罰執行者』も気になる。
『神罰執行者』:神の代理とし、神の一部の力を有する
なぜこうも俺の周りはチートレベルが集まるのやら。
言い換えれば俺もその一部になるが、中でも一番弱いのは俺だとおもう。
俺がいたからこそみんな強くなったが、もし裏切られたら…なんて考えたくもないな。
「どうします?」
「どうしますも何も、こんな状態で捨ててこいなんて言えないだろう」
「部屋に寝かせておく」
「じゃあ俺たちは先に修行でもするか」
ゴブリンの事件から一ヵ月経った今、もちろんみんなのレベルも上がった。
それに対して不思議なことに俺のレベルが上がらなくなっている。
まるで何かの呪いのように。
【名 前】ネスト
【種 族】最上位粘着体
【職 業】弟子
【レベル】470
【H P】4430/4430
【M P】3000/3000
【ATK】1010
【DEF】880
【スキル】『スライムの王』『波操作』『レオの加護』『五大元素』
おかしい、勇者であるブラッドを越えるスライムが誕生しそうだ。
これも俺の加護、『レオの加護』のおかげだろう。
ネストはこれ以上の進化はなく、スライムキングのまま。
そんなことは関係なしにレベルもステータスも大きく上がっている。
ゴブリン討伐後に『スライムの王』に変わっていたのは驚いたが、この一ヵ月の修行でスキルも大きく変わった。
『弱者の根性』と『音操作』が消え、『波操作』と『五大元素』が増えた。
波操作は音操作の上位互換だからいいとして、新しく覚えたのは『五大元素』だ。
五大元素は土、水、火、風、木の魔法を使うことを可能とする、とても珍しいスキルである。
なぜそんな珍しいスキルを手に入れたのかは分からないが、強い味方が出来たのは確かだ。
【名 前】イトナ
【種 族】上位鬼人
【職 業】弟子
【レベル】620
【H P】6250/6250
【M P】6400/6400
【ATK】1330
【DEF】1200
【スキル】『鬼神化』『雷操作』『風操作』『空間生成』『レオの加護』
まぎれもなくブラッドを越える存在になっている。
俺とブラッドの5年間は一体何だったんだろうか……。
俺が教える技術が上がった、とか?
でも最近はひたすら戦闘を繰り返しているだけなんだがな。
レベルとステータスは言うまでもなく急成長という話ではないほど上がっている。
イトナは『鬼化』が消えて『鬼神化』になり、新しく『風操作』に『空間生成』を覚えた。
鬼神化は今までの鬼化と異なり、肌の色の変化が無くなった。
それに加えて発動時、全ステータスが上がるという、これ以上上げる必要があるのかと思うスキルだ。
風操作は俺が雷の魔法と風の魔法を合わせると強いのではないかと提案したら、その日から覚え初めてすでに会得している。
最後の空間生成だが、これは修行時に毎回使っている。
理由は俺とイトナが修行で戦うとあちこちの地面に大きなクレーターができるからだ。
今まではフラウの地面操作で直していてもらったが、イトナが進んで覚えてくれた。
自分で覚えているなら、俺要らなくね?
【名 前】フラウ
【種 族】精霊植物
【職 業】弟子
【レベル】330
【H P】1910/1910
【M P】3500/3500
【ATK】410
【DEF】330
【スキル】『自然操作』『地面操作』『風操作』『光操作』『レオの加護』
メリーは修行を受けているわけではないため、最後はフラウだ。
一番レベルの上がり方が普通であるが、すでに平均の3倍まで上がっている。
上位植物人から精霊植物へと進化を遂げた。
HP、ATK、DEFは低いものの、MP特化に成長をしている。
スキルは『栄養操作』が『自然操作』へと変わり、『風操作』と『光操作』が増えている。
『風操作』はイトナと一緒に覚え、『光操作』は精霊植物へ進化した際に覚えたスキルだ。
単純に灯りに使えたり、戦闘時に目くらましやレーザーなど使うことが出来る。
ブラッドが使っていた光魔法に近い。
この1ヵ月の成長はこれぐらいだ。
三人ともまだまだ成長する可能性があるから楽しみだな。
これ以上育ったら本当に「勇者?魔王?何それ?」レベルの話になってしまうが。
それはそれで面白いからいいだろう。
「始めようか」
「では、戦闘空間」
俺とネスト、それにイトナはつくられた空間へと移動した。
つくられた空間は荒野になっており、障害物が一切ない。
純粋な実力勝負のため、こうして見晴らしがいいところをつくっている。
それから数時間、俺たちはひたすら戦闘を繰り返している。
ブラッドにも劣らない、しかも二人で俺に襲い掛かってくるんだ。
普通に考えれば死んでもおかしくない状態だが、俺のスキル『育成』は相手の数によってさらに強くなっている。
また、同時に俺の基礎戦闘力も強くなっているはずだ。
何度も戦闘を繰り返していたから少しはどう動くかは分かってきているのだから。
俺たちは休憩のため、一旦戦闘を止めて自分のステータスを見ることにした。
なんだかんだ、自分の何か全然見てないから久しぶりだな。
【名 前】レオ・キリヤ
【種 族】人間
【職 業】魔物の主
【レベル】346
【H P】3010/3010
【M P】2100/2100
【ATK】420
【DEF】360
【スキル】『特別育成者』『加護付与』『神に近し者』
お、おう、結構変わっていたな。
というか普通にしてても俺強いじゃないか!!
マジか!?なんでこんなことに!!
育成が新しく変わっているけどそのおかげかな?
『特別育成者』:自身もレベルが上がりやすくなる。ただし、スキルを使わずに戦闘をする際はステータスが半減する。
……ダメじゃん、結局弱いじゃん、俺。
何だよ、何で上げて落とすようなことをするんだよ。
一番たちが悪いぞ!
いや待てよ、まだ新しいスキルが増えている。
これがもしかしたらもしかするかもしれない。
『神に近し者』:――
いや、何も書かれていないのかよ。
これじゃあ何が何だか分からないじゃないか。
言葉通りに考えると、神様に近い存在ってことか?
いやいや、そんなはずはない。
ただでさえ、スキルは強くても元々の俺自身が弱いのだ。
どちらかと言うとゴブリンに近し者と言ってもいいだろう。
そんな時だ。
俺たちがいる空間に切れ目が入ったのだ。
フラウは時々、こうして空間に切れ目を入れて入ってきたりするが、空間にやってきたのは先ほどの天使、サシャだった。
羽が動いていないのにも関わらず、ふわふわと浮いている。
後ろからひょっこりとフラウが顔を出していた。
「凄いですね。私の空間をいとも簡単に」
「それもすごいが、もう動いていいのか?」
「…やっと見つけた」
おーい、言葉のキャッチボールをしてくれー。
それに君を助けたのはフラウだから君にとって俺たちを見るのは初めてのはず。
それなのにいきなり見つけたってどういう事なんだよ。
俺の前まで来るとぴたりと止まった。
見つけたのはどうやら俺だったみたい。
それにしても顔が近い、近すぎる。
つい反射して後退さってしまった。
「やっと見つけた!私のお師匠様!!」
「「なっ!?」」
「ほう……」
「ちょっ!なんでいきなり抱き着くんだよ!!」
「やっと…やっと見つけられたんです!!」
それは理由になっていないから!
その見つけたっていうのを教えて欲しいのに、全然言ってくれない。
とりあえず地面へ降ろし、話をしっかりと聞こう。
「それで、その見つけたって何だ?」
「はい!僕は天使ですが、強くなるためにこの地上へとやってきました!」
「ほうほう、でも君には『神罰執行者』なんていうスキルがあるんだろう?近くに強い奴がいたんじゃないのか?」
「このスキルはあくまでもスキルです。実際に神様に会ったことがあるわけでもないですし」
「なるほどな。強くなるために地上に来たのは分かったが、なぜ俺なんだ?」
「このスキルで誰が一番強くしてくれるか探したんです!そうしたらお師匠様が見つかったんです!!」
なんでそんなハイテンションでいられるのか。
何か俺の元気を吸っているような気がする。
それは置いといて、スキルで俺を見つけ出したと言ったな。
そんなことが出来るなら他にも修行をしたがるものが現れる、と思ったがそんなことはないか。
誰もが皆、『神罰執行者』なんてすごいスキルを持っているわけでもないからな。
いや待てよ、ブラッドは予言で俺のところへやってきたんだよな?
それならほかに知っている人がいるかもしれない。
弟子が増えるのはその分楽しめるからいいけど、多すぎたら俺がまず倒れる。
それにしても天使を弟子にかぁ。
もう少し質問をしよう。
「何で強くなりたいんだ?」
「実はこのスキル、神に代行として時に裁くことがあります。そうなると、裁くために強くないといけませんから」
「さっき神に会ったことが無いとか言ってなかったか?」
「えっと、会ったことはないんですが頭の中に聞こえてくるんです。と言ってもまだ1回しかありませんが」
「ふむ、そういういことなら弟子にしてもいいが――」
「本当ですか!?やったー!!」
「最後まで聞け!弟子にしてもいいが、俺について知っておいて欲しいことがある」
サシャに俺について話した。
ついでに新しいスキルの影響も一緒に話した。
「分かりました。いざという時はお師匠様をお守りすればいいんですね!」
「師匠を守るのは私です!」
「いや、私が」
なんでそんなことで取り合いになっているんだ。
俺はモノじゃないんだぞ、俺を引っ張るな。
そしてネストを見習え!こうして騒いでいる中、堂々としているじゃないか。
「いえ、師匠を守るのは自分です」
お前もかよ!!
いいからそんなことでもめないでくれ!
結局、この話が終わるのは1時間も経った後だった。
しかも答えは出ることなく、後日決めることになった。
『サシャの職業が変更されました。また、スキル『レオの加護』を会得しました。ステータスに反映いたします。
レオ・キリヤが加護を与えた者が四名を越えました。ボーナスとしてランダムで新スキルを会得します。
……新スキル『生成者』を会得しました。ステータスに反映いたします』
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バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
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