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30、赤いリボン
しおりを挟むんー、と何とはなしに本を置いた。
けぎょーけぎょーと魔鳥が鳴く。平和だ。
ミイラ司書の包帯が釘に引っ掛かってもがいている。のどかだ。
そしてワニの姿を見ていない。平穏だ。
だがなぜだ
喜ばしいことの筈なのに不穏な気しかしねえ
超恐怖だ。
おかしい、いつから自分は血の出ない毎日にびびるようになったのだガクブル。
「とうとう諦めたっつーことか? 一言くらい言えよと思わなくもないが、それもそれでムカつくか。てことはいいのか、これガチで喜んじゃっていい系か?」
一言とかやっぱいらねえな。つーか、まさかさっきのがフラグで来たりしねーよな?
きょろきょろと周囲を確認する。
うん、いねーな
ミイラ司書の生肉が露出してるくらいだ
おい見たくもねーよ。照れんなよ。臭いから仕舞えって
手伝え? 自力で頑張れ
さて、まさかこんなあっさり終わるとは思わなかったが
ではいこうか
いざ勝利の高笑い!!!
「ふわっはっは!! ワニざまー!!」
「トカゲさん見つけやすいっすねー」
瞬間上から鳥にフライングゲットされた。
ふぁ!?
やめろ餌じゃねえ! あとカギ爪食い込んでるし高いんだが!!
ちょ、肩もげる!
「嫌がらせか鳥! 今いいとこだったのによ!」
「いやーこっちも大変なんすって」
ばっさばっさと鳥が頑張る。
おま、重いとかざけんな、毟るぞ
つーかこのてきとー鳥が頑張ってこんなことするなんて一つだよな
「もートカゲさん隊長に何してんすかー。お陰で大迷惑っすよー」
「やっぱな! それこっちが言いたいことだからな!」
やっぱりワニ関連であった。
あーさらば我が平穏よ
一週間びびらず堪能すりゃあよかった
うげーと思っていると程なくして地面に降りる。
ここ何処だと思いつつ鳥に質問した。
拉致した説明よろ
しょぼかったらお前に初の後ろ傷付けてやんよ
「トカゲさん覚えてます? 隊長の尻尾にあの赤いふりふりリボン結んだの」
「おーあの嫌がらせな。あれがどうした」
何だ、汚したとかでキレられてんのか?
仲介役頼むならなんか飯よろ
「はー、あれ以来隊長尻尾使わないんすよ」
「あん? それがどうした?」
思ってたよりも相談がしょぼい
というか何が言いたいか分からん
むしろそれ鳥よりも気分が滅入るって意味でこっちに迷惑掛かってる気がすんだが
だってあれだろ、アイドルと握手した手を洗わないとかそういう感じだろ
おいマジ止めろワニ、ぞわぞわすんぞ
姿見せずに攻撃とか、お前は何処までいく気だ
引いていると鳥がキョトンとしてから納得といった顔をした。
くるりと背を向ける。
何だ置き去りか? させんぞ
じりじりと掴みかかる隙を伺っていると目の前で尻を振られる。
さっきからどうした鳥
「もートカゲさん分かってないっすねー」
「奇行を分かるようになったら終わりだからな」
「そうじゃなくってコレっすよー、尾羽っすー」
「お、おう、手入れされてるとは思うぞ。五ミリ切ったのか」
「違うっすよ!」
適当に気を使ってやったのにマジ切れされた。
焼くぞこの鳥め
ため息吐きたいのはこっちだろ
「はあ、俺等みたいな尻尾がある奴はそれで体のバランスとってるんすよー。つまり隊長もそうっすー」
「ふむ、そういやそうだったな」
「ところが隊長はリボンを汚したくねーとか言ってずっと尻尾持ち上げたまま行動してるんすよー。つまり一週間片足空気椅子中腰状態キープっす」
「つら。え、ドマゾじゃね。いやまあ引くけど別にそれで筋肉痛になろうがワニの自業自得だろ? 鳥が迷惑被るところあるか? パシられ系?」
まだ意味が分からず聞くが、鳥は背中の羽を叩いてから小さく仕舞って溜め息を吐いた。
「はあ、俺もそれだけなら爆笑してたんすけどねー、実は七日前に反魔王様を掲げる奴の討伐に行きまして」
「…いや、まさか」
「そのまさかっすよー」
「いやいやいやいやいや」
「まじっす。隊長が出向くのは大抵強い奴相手なんすよね。今回は腐龍族相手だからハンデ背負ってる場合じゃないのに隊長尻尾使わねーんすもん。普通ならすぐ終わるのに三日間背後からの攻撃全部前に回って迎撃とかあほだと思いません? 戦闘中リボン汚さないこと第一とか頭ヤバいっすよねー」
「うへぇ」
それは引くな。全力で近付きたくねぇぐらい引くな。
「キツさ言うなら片足空気椅子トライアスロンっすよ。お陰様で部下側の負傷者前回の五倍っすし。まあ楽しかったとかほざいてる奴も大半っすけど」
見てくださいよこの羽のくすみ具合ー。俺としては男ぶり下がってテンションだだ下がりっすー
鳥はぼっきぼきと肩を鳴らしている。もう溜まりまくった愚痴が止まらないようだ。
そうか、5ミリ切ったんじゃなくて切られた系だったのな
よく見れば相当お疲れの様だである。
それにしても腐龍族だろ?
攻撃に全て呪詛が宿って傷口から腐敗させてくる悪魔的存在だろ?
神聖魔法には滅法弱いが魔界でそんな奴も少ないし、それでいて龍族の種々のチート種族魔法は持ってるもうせっこいキャラだろ?
まあ顔はゾンビ的な顔になるが
それでも強さは魔界でもトップクラスの種族である。
ワニにも龍族の種族魔法であるせこい回復能力があるし、腐らせる呪詛はワニより格上でないと発動しないだろうが、恐らく攻撃を受ければ傷は自然治癒に任せる他ない。
…いや、やばくね?
「おい鳥、生きてはいるんだろーけどそんなワニやばいのか?」
「やーばいっすねー、もう後一歩ってぐらいっす」
「おい、そんなやばいのかよ! 情報統制が敷かれてるのか?」
ワニはあんなんでも魔界において大分影響力をもつ。
情の薄い鰐族は分からんが、確実に龍族やら魔界生物保護官は奔走する筈だ。
知り合いに回復魔法を使える奴はいただろうか
魔界は魔素の関係状回復魔法や神聖魔法の使い手は中々産まれづらい。
「チッ、あのアホ! リボンで死なれたら寝覚め悪いだろうが! おい鳥さっさと図書館に戻せ。ちっとばかし禁書ちょろまかしてくっから。どうせワニはこの近くの家で寝てんだろ?」
「あーそっ…あれ? 隊長?」
「あ? ワニいんのか? どこだ?」
鳥が顔を向けた方を見るが其処に影はない。
何だ、動けんのか?
とりあえず呼んだら来るだろ
「おーいワニ、居んなら来いっつーの」
「おー、流石トカゲさん、怪我人来させるあたりが流石っすー」
「動けんならこっちのがぜってー早いだろ」
待つ。
鳥がピクリと今度は別の方を見る。
待つ。
そっちにはいない。
鳥がまた別の方を見てそわそわしだす。
三十秒が過ぎた。
…あん? ワニおちょくってんのか?
「鳥ゴー! 捕獲してこい!」
「えーそんな無茶な。さっきから飢餓感満載の殺気が飛んできて嫌なんすけど」
「腹減り状態か。俄然会いたくなくなるがまあいいや、一旦離れてみっか」
「んじゃ俺はあっちの角見て来るっすー」
「おー」
適当にその場に座って待つ。
すると、少しして鳥の話し声がぼそぼそと聞こえた。
何だ、やっぱいんじゃねーか
釣れた釣れたと声の聞こえた路地へ顔を覗かす。
…いない。
上からカエルの潰れた声と話声が聞こえた。
上を見る……いない。
…ピキリと青筋が立つのが自分でもわかった。
ああん? これは喧嘩売ってるってことかワニさんよお??
「おいクソワニ、仮にも心配してやった奴にその態度は何だ、ああん? 十秒だけ待ってやるからさっさと来いや。今なら目潰しで許してやっから」
「…」
十秒待つ。
しかし来ない。
無視か、生意気な
逆鱗アッパーも追加してやる
もう十秒待ってやった。
小石を蹴る。
ケッ、もう禁書持ってきてやんねー
トラップ冥府と事後処理地獄に行ってやろうとかちょっとでも思ってた自分殴りてーわばーかばーか
「ケッ、そんな元気ならいいだろ。もう知らね。金輪際関わんねーよ。帰るから鳥寄越せや」
ワニの初めての反抗らしい反抗が癪に触る。
そんな離れてはないだろうから最悪歩いて帰るかと背を向けたところで、近くに重いものが降り立つ音がした。
とりあえず振り向かずに裏拳を出す。
当たらねえ
今当たるところだろ
イラっとした。
振り向く。
いねえ!!!
しかし背後に気配がある。
溜めてフェイント付けてから顔だけ振り向く。
くっそいねえ!!!
こいつあくまでも姿見せねー気か!!!
「ぶっとばす!」
「トカゲならいいぜー」
「よしなら出て来い」
姿無き声に怒りのシャドーボクシングを披露する。
病人? 知るか
元気過ぎだろ
何が後一歩だあの嘘つき鳥め
「チッ、何で姿見せねーんだ? 嫌がらせか? こっぴどくやられたとかか」
ちょ、図星はダメっすよという声と潰れる声がした。
なるほど図星か
「ワニだっせえ」
聞こえる様に大声で言う。
トカゲさん鬼っすねー、繊細な男心っても…ぐえ
今度はかなり痛そうな音声も付録された。
ため息を吐く。
「おいワニ、こっちは貴重な時間使ってんだよ。男心とかうだうだ言う前にさっさと帰らせろ。つーかお前の顔なんか興味ねーし、元々格好良いとか判断出来る顔じゃねーんだから気にするだけ無駄だろ。むしろどうせ元々不細工よりだろ」
「…」
「いつもの豪快さはどうした。いい加減にしねーと無い好感度が地獄を突っ切るぞ」
「おー、俺の顔は気にしてねーけどよ」
「はあ、やっとか。で、じゃあ何だよ」
振り向く。
一週間ぶりのワニは所在無さ気に頬を掻いた。
所々鱗が剥がれ、欠け、見える範囲の体の前面には斬撃や爪撃跡が痛々しく瘡蓋を作っている。
瘡蓋の上からは新しく青い血が滲んでいた。
ワニの血なんて久々に見た。
「おー…、トカゲだせえつったろ」
「そりゃだっせーしな」
「求婚してんのにトカゲに強い雄じゃねーと思われるのが嫌でよ。リボンにも返り血がついちまったし」
伺う様にこちらを見るワニ。
腕の酷い怪我に反して尻尾の先端付近には傷一つない。
思わず胡乱な目になり、はぁとため息が零れた。
「このださバカワニ、魔界じゃ一般的にそうだがよ、いつ強い奴が好みだっつった? そんなんで煽られてたとか余計ムカつくわ」
「トカゲ悪かったってー。けどよ、俺はトカゲに弱くてだっせーとか思われたくねえ」
「このバカワニ、そっちじゃねえよ。むしろその理論だとこっちは存在自体がだせえじゃねえか」
尻尾の先に結ばれた赤いリボンが舞う。
赤色へと手を伸ばした。
「こんなもんに固執して満身創痍になってるっつーことがだせえって言ってんの。ほら、外してやっから尻尾押さえてろ」
まさか一週間前はこんなことになるとは思っていなかったのだ。
ワニがひらひらふりふりのリボン結んでるとか完全ギャグなのに笑えねーというな。
あー無駄につかれた、さっさと帰るか
前と同じくしゃがんでリボンに指を掛ける。
びったーんと尻尾に手を弾かれた。
…おい
「何だワニ、喧嘩売ってんのか? 買うぞ? 言い値で買ってやるぞ? ああ?」
「なートカゲ、やっぱ付けてちゃダメか」
「ダメっつってんだろ! ちょ、尻尾動かすな!」
「だってトカゲからの贈り物だしよー」
ワニはせめてもので動かねーが、往生際悪く尻尾を上下左右に逃がしまくる。
そのリボンを必死こいて追いかける様は、端から見たら魔猫と猫じゃらしだ。
遠くで鳥が爆笑する声が聞こえた。
そもそも鳥の頼みだしワニの怪我とか自業自得だろうが!
こいつらマジ許さん!!
「おいワニリボン外せ! それで死なれちゃ寝覚め悪ぃーんだよ!」
「当分討伐もねーから大丈夫だって」
「というかキモくてぞわぞわすんだっつの! 許さん! 外せ!」
「これがあった方が早く治る気がすんだって」
「完全気の迷いだろ」
執着しすぎである。
ふと嫌な気がした。
まさかと思い見てみれば、未だにワニは尻尾を浮かせていた。
重病人の癖して片足空気椅子継続してたのである。
そしてよく見れば普通に傷が開いて青い血が垂れている鱗がある。
あほか
あまりのアホさ加減や今までの分が積み重なって腹立ちが一周してぷっつんした。
私が言ったこと何も分かってねーじゃねーかこのクソワニ。
そういうリボン如きに固執して自分の身を顧みないのがダサくて見てて苛つくんだっつの
つーか、まずな、ワニが生意気に意見してんじゃねーよ
「おいワニこっち向け」
「トカゲー?」
無理矢理ワニの腕を引いて顔を下げさせる。
腕を伸ばして顔を掴んだ。
ワニの目を覗き込む。
呼気がワニの鱗を滑る。
「ワニ、リボンが大事か」
「…おー」
ぴりりとワニの尾先が震えた。
その様をハっと馬鹿にして嗤う。
顔を掴んでいた指を滑らせ、ワニの歯をそっと撫ぜれば
簡単に切れて鮮血が滴った。
ワニの喉が鳴る。
「それは、私よりもか?」
逡巡を嘲笑いながら血をワニの目元に擦りつけてやった
「言ってみろワニ、何が大事だ? 命令が聞けねーか?」
本来自傷は好かないが、ワニの歯に手首を押し当てる。
前褒美だと鮮血をワニの顔に振りまいた。
とろりとワニの目が濁る。
赤い血と青い血が鱗の上で混ざった。
「いや…、俺にはトカゲだけだ」
ちろりと舌を伸ばして降り掛かった血を舐めとるワニ。
愉悦に目を細めている。
ワニの腕が伸びて手首を掴まれた。
既に塞がった手首の上に残る血へ舌が這わされる。
体温より低い冷たさが皮膚を擦る感触。
少しでも動けば手首が落ちると分かる感覚。
不快である
「トカゲ好きだぜ」
ワニの爪で新たに滴った血へ
犬が仰ぎ見る様に、騎士が服従する様に
ワニが顔を寄せる。
「はっ、卑しいワニめ」
食欲しか頭に無いその様を嘲笑った。
そうしてワニの逆鱗にアッパーを決めて振り解く。
調子乗んな
さっさと決めるなら決めとけよなと思いながら動かないワニから赤いリボンをさっさと回収する。
ついでにげっしげっしと蹴っといた。
おい鳥、絶対飯奢れよ
無駄に疲れたんだし
「うわー、トカゲさんパないっすねー。何か新手のプレイ見た気分っすー」
「は? なんだそれ。お前に引かれるとか凄いショックなんだが。その態度止めろや」
「えー、いや、俺ノーマルなんで」
「聞いてねえ! つか心外だわ! ワニのドマゾと一緒にすんじゃ――」
のっそりと背後から影が差した。
やっべ、超嫌な予感する。
おい鳥逃げんな!!
「トカゲー」
「マジむしろリボン排除ってお前の為でもあんだからちょっとは耐え――」
「一週間ぶりは無理そうだわー」
「こっのクソワニ!!!」
ぶっしゃーいかれた。
一分で六回とか記録更新である。
ちなみに三十秒逃げての計算である。
もう今度死に掛けてたら腹に釘刺してやると心に決めた。
あと物のプレゼントは絶対やらんことも。
ちなみに返り血付きの赤いリボンは呪われそうだったからミイラ司書にプレゼントしておいた。
翌日、少なくなっていた包帯代わりに使われた赤いリボンを目で追うワニの姿が目撃されたらしいが、まあ何とかなるだろ
後書き
ミイラ司書、紹介ならずに死すか?たぶん大丈夫だろう(てきとう
ちなみに鳥が後一歩と言っていたのは嘘ではない
トカゲ断ちは「赤い花」を見て頂くと分かる様に深刻事案だった
《基本トカゲが関わらなければ寛容というか呑気というか、滅多にないが腹ぶっ刺されても「おー」と何でも流せるワニ。勿論しつこいならやった奴は食うが。しかしトカゲ断ちしてからは静かに雰囲気に狂気が混じっていってたらしい(部下談)
事例1…ちょっと前にワニの腹をぶっ刺し(トカゲに見惚れてた)ても見逃された敵さん。(トカゲが呼んでたから)。一応ワニの無意識反撃の反射神経を越えて傷負わせた時点で魔王城に務めれるくらい大分強い敵。下克上イケんじゃね?今なら負傷してるしと思いもう1回腹をぶっ刺しに。ぼんやりしているワニを見て接敵した瞬間、部下ですら引く死に方をした。無言で嗤いながら、普段はやらない血が多く出て長く生き苦しむ拷問死らしい(部下談)
この状態の心境もいつか書きたいな~♪←
まぁ前回見逃されたのはトカゲが呼んでたからだし、ワニ的には闘って楽しめるレベルではなく、その下の相手すんの時間ちょい掛かって面倒い、つまらんしだるいだけ的なレベルだった。このレベルだとわざわざ追い掛けないので見逃されること多め。楽しいタイプだと勢いあまったり、死闘じゃーじゃない限りはこっちも見逃すかも。脳筋同士なら、またやろうぜーになるから。思うに実力ないのに挑んだ敵が一番死亡率高め。(反射で死ぬから。そしてそのハードルもワニ基準だから高め←)
ちなみに一週間でそんな風になってんの?となるかもだが、今回はトカゲに会えないのが痛かった。遠目からだけでは余計募るだけの拷問だったようだ》
さて、姿を見られて幻滅されたくないけど近付きたいしで、最近ではトカゲの私物(ペンやら匂いがあるもの)が無くなっていたことも…
(ヤバイ隊長を見かねて部下が持ってきてた)(一話後書きの書いてたやつココw
まあ鳥の拉致判断も妥当であった
流石に傷が癒えるまで会わずに耐えて、結果理性飛ばして来られるのを考えるとね…、うん
勿論鳥的にはさっさと楽したいとかも含まれるのはお察し
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