35 / 61
35、策と策
しおりを挟む「トカゲー好きだー、結婚しようぜー」
「それは嫌だがこれは食わしてやろう」
「おー! こりゃ嬉しいな」
「だろだろ? たんと食えよ。追加で作ってやっから」
「おー!」
既に用意してあるおにぎり百個が瞬く間に減っていく。
はええよ、一個握る間に五個減ってんだけど
もうちょい噛めと叱るが、喜んでんのかワニの尻尾がびったんびったんしている。
このドエムワニめ。何で叱られて喜ぶのか全く分からん
あ、おにぎりに砂埃入った。まあワニのだしいいか
自業自得だろ
自分の分は既に用意済みである。
材料はもうちょいまともだがな
ぽいっとワニの口にシュート。
ちなみにトカゲお手製ワニ用おにぎりの作り方は簡単である。
魔界産のやっすい麦米を用意する。
塩水よーうい。
味付けにシビレフグの刻んだのよーうい。
のり代わりに聖水で育てたドクレシアの花弁よーうい。
ちなみにこの聖水育成のが魔界だと調達大変だったので一番高かったのである。
それから隠し味に雑魚ゴーストよーうい。
まぜまぜ、にぎにぎ完成である。
はいシュート。
「トカゲ料理上手だなー。超うめえ」
「ワニも味覚はあったんだな。ん」
「んー。なあ結婚しねえ?」
「しねえ」
作る分に追いつかれたせいで、最早いつかのハチにやった取って来い方式になった。
例え200km/hで投げてもワニに追いつかれるので、真上に投げて時間稼ぎ作戦である。
つーか手が疲れてきたー
既に二百個は作ってる気がすんだけど
材料で手がかぶれるから手袋してるのに、汗でかゆいんだけど
あー、雑魚ゴースト分の収益なくなって赤字なりそう
いや、復讐に金ケチらんが
「ワニどうだー。何か体に変化ねーか?」
「おー、なんかポカポカすんなー。なー結婚」
「却下」
大口開けて伏せている。
可愛くねーよ。ただの捕食シーンだよ
おにぎり二百個食っといてごはん待ちのつもりか
それにしてもポカポカってなんだ?
雑魚ゴーストもシビレフグもドクレシアも心筋梗塞系なんだが?
水銀の様に毒素溜まる系なんだが?
バレないように質を量で補い作戦でいったんだがこれ効いてんのだろうか
つか腕いてー!
「おいワニ、ポカポカ以外は!」
「ふわふわすんなー。好きだわー」
「感想はいらねえ」
何かへろんとしてるし、ワニの体内で変な風に化学反応を起こしたようである。
ぷかぷかとワニの鼻の穴から浄化された雑魚ゴーストの白い煙が立ち上っていてなんともマヌケだ。
まあ今日は引き分けみたいなもんだろ
いや、腕食われてねーし勝ちか?
気分が良くなったので残りの材料を全部混ぜて特大おにぎりを作る。
よっこいしょと持ち上げてへろんと伏せてるワニの口へ押し込む。
「ワニラストなー」
「おー、なートカゲ結婚しようぜー」
「しねえ」
「結婚」
「却下」
「好きだ」
「そうか」
ふがふが煩いので黙ってろと無理矢理更におにぎりを押し込むと一飲みで消えた。
お前の口はどうなってんだ。一体何処の異次元と繋がってるんだ。
「腕」
「しね」
「じゃあ遊園地はどうだー?」
「しらね…、遊園地?」
「仕事で行くんだよなー、トカゲも来るなら有給申請通ると思うぜー」
「マジか」
有給申請と遊園地に思わずピクリと反応してしまう。
ワニのせいで金欲しいし、一回くれぇ遊びに行ってみたいし…
でもワニと行くのも浪漫ねぇしなぁ
「おー、しかも金は全部経費持ち」
「おっしゃ乗った!」
「じゃあ申請しとくわー」
手の平返しで返事する。
前の宰相にあげたチケットは入場料だけ割り引くやつだったからな
今回の作戦は赤字になるだけだと思ってたが、当日は全部経費持ちとな
ふっふっふ、何だか得した気分である。
おっしゃ飲み食い遊びまくってやるぜー!とはしゃぐトカゲ
その頭にワニの仕事の時点で物騒という考えはない
足元で寝転がりながらワニは一言呟いた
「前宰相の言う通りいけたなー」
後書き
鳥じゃなくて折角前宰相が出たのでこちらに♪鳥のは鳥のペットのお話か、職業か、内面のかで迷ってます(笑)
ちなみにワニは手料理貰えて嬉しかったので幸福感にポカポカへろんとしてました←
トカゲよ、効いてないぞがんばれ
あと、会話の合間に「ん」とトカゲがワニにおにぎりあげて「んー」と食べてたり
傍からみたらあれである
しかしおにぎり(毒入り)
前宰相はトカゲのパシられ具合から色々雑魚そうだと見抜いて詳細な策を授けるも、寒気がするほど細かかったので、ワニが面倒がって大雑把な作戦に変更と相成った。後日会った時に伝授。宰相職を辞めても情報網は健在なので、トカゲが近い内にゴースト関連で来ると予測。食材の買い込み具合から、どうせ似た手だなと逆利用に。お腹空かせたワニさんの手で見事金欠へと相成ったトカゲは、機嫌よく遊園地に釣られましたまる、ちょろい
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
一級魔法使いになれなかったので特級厨師になりました
しおしお
恋愛
魔法学院次席卒業のシャーリー・ドットは、
「一級魔法使いになれなかった」という理由だけで婚約破棄された。
――だが本当の理由は、ただの“うっかり”。
試験会場を間違え、隣の建物で行われていた
特級厨師試験に合格してしまったのだ。
気づけばシャーリーは、王宮からスカウトされるほどの
“超一流料理人”となり、国王の胃袋をがっちり掴む存在に。
一方、学院首席で一級魔法使いとなった
ナターシャ・キンスキーは、大活躍しているはずなのに――
「なんで料理で一番になってるのよ!?
あの女、魔法より料理の方が強くない!?」
すれ違い、逃げ回り、勘違いし続けるナターシャと、
天然すぎて誤解が絶えないシャーリー。
そんな二人が、魔王軍の襲撃、国家危機、王宮騒動を通じて、
少しずつ距離を縮めていく。
魔法で国を守る最強魔術師。
料理で国を救う特級厨師。
――これは、“敵でもライバルでもない二人”が、
ようやく互いを認め、本当の友情を築いていく物語。
すれ違いコメディ×料理魔法×ダブルヒロイン友情譚!
笑って、癒されて、最後は心が温かくなる王宮ラノベ、開幕です。
【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました
佐倉穂波
恋愛
転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。
確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。
(そんな……死にたくないっ!)
乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。
2023.9.3 投稿分の改稿終了。
2023.9.4 表紙を作ってみました。
2023.9.15 完結。
2023.9.23 後日談を投稿しました。
存在感のない聖女が姿を消した後 [完]
風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは
永く仕えた国を捨てた。
何故って?
それは新たに現れた聖女が
ヒロインだったから。
ディアターナは
いつの日からか新聖女と比べられ
人々の心が離れていった事を悟った。
もう私の役目は終わったわ…
神託を受けたディアターナは
手紙を残して消えた。
残された国は天災に見舞われ
てしまった。
しかし聖女は戻る事はなかった。
ディアターナは西帝国にて
初代聖女のコリーアンナに出会い
運命を切り開いて
自分自身の幸せをみつけるのだった。
おばさんは、ひっそり暮らしたい
波間柏
恋愛
30歳村山直子は、いわゆる勝手に落ちてきた異世界人だった。
たまに物が落ちてくるが人は珍しいものの、牢屋行きにもならず基礎知識を教えてもらい居場所が分かるように、また定期的に国に報告する以外は自由と言われた。
さて、生きるには働かなければならない。
「仕方がない、ご飯屋にするか」
栄養士にはなったものの向いてないと思いながら働いていた私は、また生活のために今日もご飯を作る。
「地味にそこそこ人が入ればいいのに困るなぁ」
意欲が低い直子は、今日もまたテンション低く呟いた。
騎士サイド追加しました。2023/05/23
番外編を不定期ですが始めました。
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる