魔界食肉日和

トネリコ

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49、発情期四:むかつくんだよ、なんか

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「なー、トカゲが望むなら喰ってきてやるぞ?」
「ばっかそんなんじゃねえよ」
「じゃあトカゲこっち向けよー」
「今は無理、だ!」

 いやいやと目を瞑りながら首を振れば、無言になったワニが低く喉を鳴らした。
 そういや口では何度もくたばれとか言ってるが、実際に強硬な拒否の態度に出たのは初めてかもしんねぇとふと過ぎる。

 こいつと吸血鬼が会ったことはねぇと思ってたが、もしかして知ってるのか?
 咄嗟に吸血鬼に舐められた首筋の匂いを消す様に拭っていると、ぐいっと引っ張られる。次いで、衝撃。

 うえ、見てねぇけどこれ左腕ぶっしゃられた

「おま、拗ねたからって速攻喰うなっつの!! ガキか!!」
「まだ臭うなー」
「うえ、ちょ、嗅ぐな舐めるな離せこのバカワニ!!」
「んー」

 すんと犬みてぇに鼻を鳴らす音が耳元でしたと思ったら、ワニの生冷たい舌が首筋を這った。吸血鬼よりも太くてひやりとする。瞼の裏の暗闇の中、まるで塗り替えるみてぇな動きに感覚が集中する。というかお陰様で絶賛皮膚が削れてんだよバカワニめ!

 離せ!と頭突きしたらゴンと音がした。
 つぅ…、痛くねぇけど音が痛ぇ! 鉄か! お前の身体は何製だ!?

 一人軽い脳震盪に自滅して額を押さえて蹲っていると、ワニに抱え上げられた。
 絶賛たかいたかい状態である。

「なっ、はーなーせー、何すんだよ」
「んー、トカゲ呪われてんのなー」
「うえ!? お前も分かるのか!?」
「まぁ龍族は聖属性入ってるから呪いは感知しやすいのと、魔術自体得意分野だしなー。苦手な奴もいるけどよー」
「どいつもこいつも種族チートマジくっそ!! 羨ましい通り越して妬みしかねぇわ!! というかやっぱワニも一応魔術得意だったんだな。脳筋だと思ってたぞ」
「まぁなー、出来た方が強いからなー」
「モテてぇのか?」

 ケラケラと笑ってやってると「トカゲになー」と返される。
 けっ、からかい甲斐の無い奴め

「で、トカゲはいつになったら目を開けて俺を見てくれるんだー?」
「気にすんなよ。今は目を休めたい気分なんだよ」
「一瞬でいいからよー」
「ダメだ。一瞬でも目ん玉が痛くなるからな」
「じゃあ一生降ろさねぇぞー?」
「なん、だと」

 ちなみにこの間両腕で顔面ガード中である。

 脇を持って抱えあげられてるが、地味にこしょばい
 というかさっきからガキかよ
 いや、自分も、か?

「なー。呪いと関係あんのかー?」
「……何だ、そこまでは流石に分からんかったんだな」
「おー、内容は分かんねぇが、聖属性の血で薄めるくれぇは出来るぞー。ただ内容も分かるとより打ち消しやすいから教えてくれよー」
「…」
「? 言えねぇのか?」

 無言でいると、さっきまで呑気に会話していたワニが一つ尾を打ち鳴らした。床面に罅が入る音がする。

 あーくそっと内心で舌打ちした。自分に対して

「トカゲー」
「……あー?」
「俺はトカゲが呪いで死ぬなら、呪い掛けた奴全員殺してからトカゲ喰って死ぬぞー?」
「はっ、とんだ脅し文句だな。ばーか、別に寿命が削れるとかじゃねーし、言えねー呪いでもねーよ」
「そうかー」
「そうだ」

 持ち上げられながら頷いてみせると、腕いっぱいに抱き潰される。 

 ぐえ、だから力加減を覚えろとだな…!!
 目を瞑りながらぼこすか殴るがびくともしねぇ
 疲れてため息吐いて腕を下した。

「トカゲー?」
「……ワニ、いいと言うまで動くなよ」
「おー」

 普段は聞き分けのきの字も聞かねぇ癖に、こんな時だけ従順なのがむかつく

 先程思いっきり頭突きした場所に、とん…と額をぶつけた。
 額にワニの筋肉が触れる。
 ゆるゆると呼気を吐き出した。

 多分、いや、分かっちゃいるんだ。龍族の血の相性への嗅覚がどれほどのもんかは知らねぇが、どうせ相手はこいつだろうな、と。目ぇ見なけりゃ逃げ切れるかななんて無駄な足掻きだろうし、どうせ遅くとも明日にはキレたワニに不意打ちでも食らって嫌でも顔拝まされると分かっちゃいるけどよ

 ワニが相手なら喰い殺されるだろうしなぁ

 社畜の死神よりも余程濃密に隣り合う死の気配。
 勇ましく吸血鬼に啖呵切ったが、いざ自分が喰い殺される覚悟を今決めるっつーのは、覚悟以上に諦めとか走馬燈という程もねぇ魔生を振り返る時間が欲しいもんなのである。

 まぁ最期は自分のポカでという辺りが自分らしいっちゃらしいのか
 誰かという別の存在に殺られるよりかは自分のミスでの方がまだ怒りも少なく納得しやすくはある。

 一つ大きなため息を吐いて、ゆるゆると目を開けた。
 俯けた視線の先には、自分の脚よりも二回りも大きいワニのつま先

「おいワニ」
「おー、どうしたトカゲー?」
「は、発情したことあるか?」
「トカゲにはいつもしてる状態だぜー」
「そういう冗談はいい」
「嘘じゃねーんだがなー」

 動くなという言葉を律儀に守って動かないので、これ幸いとドンドン聞いてやる。
 こいつのは本気か冗談かよくわからん
 だが改めて口にするのも勇気がいるっつか恥ずいんだよくっそ、これでも正真正銘乙女だしな!!

「あー、だから、その、呪いでだな」
「おー」
「何だ、その、さっきの状態にだな」
「んー、トカゲさっきって何のだー?」
「てめぇわざとなら承知しねえからな…!! だから、―――んだよ」

 気配でワニが首を傾げたのが分かった。

 くっそコイツ読み取れよ!! ワニでも分からないとか喋れてないから無茶ぶり? お陰様でこっちのが今死ねそうだわ! だから読み取ってみせろよ! 何度も言うが乙女なんだよこっちは!!

 自分でも顔どころか耳まで真っ赤な気がする。自棄になって怒鳴ってやった。

 いいか? もういっそよおーく聞け?

「っう、だから、呪いで発情期になるんだっつってんだよ!!」
「!! トカゲそれ本当か!? いつなるんだ!?」
「あと数日じゃねーか? 個体差があるらしーから知らねーけど、すぐだよ」

 不貞腐れた様に答える。
 答えた瞬間ワニの身体が固まった。
 額越しにぶわりと上がった体温。自分の額と同じくらい

 どうせこの後浮かれた声でも響くんだろと思っていると、予想に反する程落ち着いた低い声が聞こえた。

 逆に動揺する。
 なんでだ? やっと喰い殺すいい機会だ。能天気に浮かれるんじゃねーのか?

「トカゲーこれやるなー。あと、行く所出来たから行ってくるなー」
「ワニ…? 鱗…そりゃ助かるけどよ、まず何で知ってんだ? それに、急に何処行くんだ?」
「鳥が言っててなー。あ、これもやるなー」
「あのクソ鳥め、普段なんちゅう会話を―――むぐッ!?」

 急に伸びて来た太い指先が顎を掴んでぐいっと上向かせる。
 縦に割けた黒い瞳孔が金眼の奥から見つめていた。

 あ、見ちまった

 能天気に一瞬息を呑んで見つめ返した瞬間、急に自分の親指を噛んだワニがその指を口に突っ込んできた。

 はぁ!? 何だよ意味わかんねぇ、というか口内が鉄臭ぇまじぃ!!
 動くなっつったのに!!

「な、なにふんふぁよワ二!! やめりょって!」

 指を外そうと両手で掴むが、体格差や力が違い過ぎて無駄な足掻きすぎるッ

 じたばたしていると、舌に指の腹が当てられる。ざらついた感触と共に、舌が切れて血の量と味が増えて混ざる。

 苦しさとエぐみで涙目になっていると、「んー」と目を細めたワニが満足したのか指を抜いた。薄く赤く青く濡れた糸が引く。

「きゅ、急になんだよばかわに」
「おー、予防になるかは分かんねーがこれで少し楽になる筈だぜー」
「お、おうその為だったのか…。助かるけど一言くれよなぁ。それに……」
「トカゲー? 気分悪いのかー?」
「っぅ、さっきから思ってたけどよ、何でそんな態度なんだ!?」
「トカゲなんで怒ってんだー?」
「怒ってねぇよばか!」

 ぐいっと口元を拭いつつ怒鳴る。分かんねーけどなんか予想と違う澄ました顔ツラがむかつくんだっつの

 一度見たならもう同じだ。ワニの金眼を仰ぎ見る。相変わらず顔色とか見ても分かんねぇ奴だ
 まだ聞いてねぇことあるぞ

「んで、何処に行くっつーんだ?」
「んー、里帰りと腹ごなしだなー」
「急だな」

 聞いてもよく分からんかった。まぁこいつはいつもよく分からんしな。
 急に何でだ?と聞いてものらくらと躱され、用事があるからなーとだけで、何の土産がいいか逆に聞かれる始末である。

 いや、龍族の土産とか知らんがな。基本甘けりゃいいぞ

 そんなこんなでワニが羅列した中からまともそうなのをえらんでいると、途中からこう、何だか色々と拍子抜けした。

 最悪、呪いの話した時点でワニに喰われてるんじゃねーかと思っていたのだ。
 情……だろうか? こいつが雑魚に情けを掛けようと思ったのか?

 いや、そんな筈ねぇと自分で考えを打ち消す。

 こいつは食欲魔人で、いつもこっちの気も知らずにむしゃぱく喰いやがって、人のことをちょっと美味いお手軽非常食にしか思ってねぇ筈で

「なートカゲー」
「んお!?」

 考えごとに意識がいっていたようだ。さっきまで踊り食いで死ぬもんだと気を張ってたのに我ながら呑気なものである。ワニに呼ばれて慌てて自然俯けていた顔をワニに向けると、トンと肩を押された。

 途端、背が壁に着く。
 顔の両横にワニの手が置かれ、ワニが上から覗き込んだ。
 喉元で一つだけ妖しく輝る逆鱗が光を反射する。

 ワニの体臭はあまりしないが、代わりにふわりと哀しくも慣れ親しんだ自分の血臭が香った。
 一瞬で首筋をぞわりと鳥肌が這う。

「さ、さっきから急に何だワニ。離さねーと怒るぞ」

 虚勢を張りつつも睨み上げれば、ワニが耳元へと顔を寄せた。
 反射的に固まった体に、ワニが囁く。

 なんで、お前の方がまるで縋る様な声出すんだよ

「トカゲー、俺のいない間あんま雄に近付くなよー。守ってやれねーから」
「…はぁ? 言われなくても逃げまくるし、筆頭が何言ってんだ」
「おーその意気だぞー。あと、あんま出歩くんじゃねーぞー?」
「だからお前にすら合わずに引き籠る気満々だったっつの。まぁ呪いのせいで勝手にうろつくらしいんだけどな」
「! そうなのか。おー、分かったわー」
「何が分かったんだ?」

 毎度思うがこいつは言語が足りてないと思うぞ

 耳元で囁くワニへと呆れた横目を流していると、頬へと頬ずりされる。 
 うげ、削れる削れる

「ばか、やめろワニ」
「んー、補給と、あとトカゲ既に匂いが出始めてるから匂い消しなー」
「待て、もう始まりかけてんのか!? というか、匂い消しで自分毎度流血とか仕事出来ねぇじゃねーか」
「そだなー」 

 おおう、魔界産消臭力でも買いだめておけばいけるもんか? いや、体臭だから無理か…!?

 内心でうーんんと唸っていると、ワニが一歩離れる。
 んあ? 飽きたのか?

「トカゲ両手ー」
「おう? 何だ……って、ワニ!?」

 目の前でワニが大口を開ける。
 その口内にぞわりと恐怖が過ぎった瞬間、ぞぶりと鋭い牙が皮膚を突き破り、青色の血が周囲へと飛び散った。
 筋肉の断絶する音、肉が切れる音と共に血風が舞う。

「な、や、止めろ! どうしたんだよ! お前無痛でも何でもねーだろーが!?」

 突然腕を噛み千切ったワニに慌てて近寄ると、一つ吐息を吐いたワニに片腕を渡された。
 ずしりと重く、ぽたりぽたりと滴る血は生温い。

「匂い消し用なー。これで数日保つと思うぜー」
「思うぜーっておま……、自分の腕差し出す奴があるかバカワニ!!」

 顔色一つ変えてねーのは長年の戦闘経験からだろうが、痛みが無い筈がない
 意味わかんねぇとまた怒りが何処からともなく湧く。
 何でこいつは毎度毎度…!!

「いっみ分かんねぇ!! 誰が欲しいっつったよ!! いるかばーか!!」
「おーこれしか思いつかなくてよー。トカゲ怒んなって。ほら、もう生えたから痛くないぞ」
「ッ! 生えたからいいってもんじゃなくて! っぅ…、こちとら自分大事にしねー奴は大っ嫌いなんだよ!!」

 治した手を振るワニの能天気な声も、この腕の中の重く生温い存在も、やけに腹が立つ

 死にたくなくて、喰われたくなくて必死こいて無様に生き足掻いてるのに簡単に自傷する奴は嫌いだし、痛そうなのは見るのも嫌だし

 目を強く瞑る。
 見たくもねーんだよ。聞きたくもねーんだよ
 重たい腕など邪魔でしかねーのに、捨て置けなくて強く唇を噛み締めた。

 何で、何で食用にわざわざこんなことすんだよ

「トカゲー」
「…なんだよ」
「俺はトカゲが幸せならそれでいいぜー」
「……うそつけ。ワニのせいで絶賛体調不良だっつの」
「がっはっは、それは悪ぃなー」
「あーむかついた。丁度良い所に武器があるわー。喰らえワニ!! なんかもう一発殴らせろ!!」
「自分の腕にっつーのは初めてだなー」

 先程の空気を振り払う様に重たい腕を振り回して楽しそうなワニを追いかけまわしていると、どったんばったんと舞った埃の向こうからノックの音がした。

 次いで、扉が開く音

 光の差し込んだ先に人影。
 それに気付くも振り回した腕は急には止まれない。
 あ、と顔面を蒼白にさせるも時すでに遅しだった。

 な、ま、まさか 

「し、ししょちょう」
「…トカゲさん、弁明は必要ありません」
「そ、そこをなんとぎゃああ」

 時既に遅しだった。 
 勿論ふぁいあーされた。
 過去最高記録の速さであった。
 青血が飛び散ったランプを拭くハンカチーフ越しの炎まで青火だったので、この後もがくぶるであるトカゲであった。




 つづく







後書き






 ワニさんも魔王城勤務者らしく、やっぱ一族の中でも最強です~
 あっさりトカゲの呪いを看破してましたが、龍族といえど「あっさり看破」は全体の中でも一割いるかどうかですね~。それでも他の種族よりかは発見しやすい方。

 あと、魔女族とかもここら辺の看破は得意で、全体の3.5割くらいなら「あっさり看破」出来ますね~。しかも、ワニさんよりも高精度。 とはいえどちらも総数は少ないので会えるかどうかは別ですし、どちらも気難しい奴等ばっかですし、さらに言うなら解呪できるかどうかはまた別という
 (∩´∀`)∩わはは←(笑って誤魔化す



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