魔界食肉日和

トネリコ

文字の大きさ
59 / 61
束の魔のひと時

幕魔6 前宰相の謀殺日和三~全てお任せ下さい陛下~

しおりを挟む
 






「あのねぇさーちゃん、わたし結婚しようと思うの」
「ぐ、ぅぅ、そ、そそそ、それは大変……しいことで」
「うん~。さーちゃんならそう言ってくれると思ってたの~」


 玉座に座る陛下は頬へと手を当てぽやんとほほ笑む。

 絶対宰相が喜ぶわけねぇよ!!! 殺……という言葉を濁してただけですよ陛下!!!

 という周囲の心の声と表情だが陛下には届かない。

 ちなみに宰相の表情は発狂手前の脂汗と冷や汗と痙攣を抑えながらの引き攣った笑顔である。
 周囲はいつ宰相が発狂しても大丈夫なように既にクランチングスタート姿勢である。

 種族コロポックルで三十cm程と小柄な宰相であるが、ここ最近心労と体調不良で更に縮んでしまい可哀そうだと一部宰相に関わったことのない者からの声も聞こえていた。しかしとんでもないと宰相の周囲の者は思った。

 陛下大変です! 宰相の顔が恐ろしくて俺最近城に来たくありません!!

 陛下から顔を俯け見えない所で死神もかくやの表情をしている。

「あのねぇ、それでお披露目の準備をさーちゃんにしてほしくて~」
「ぐううっっ。へ、へへへ、陛下のごごごご命令とありま、ありましたらっっ」
「うん~。さーちゃんありがとう~」

 ぽわわ~んと照れる陛下。

 陛下許してあげて!! 宰相のライフはもうゼロよ!!
 心臓を押さえて心臓発作と真剣に格闘中の宰相は既に黄泉路との反復横跳びを開始している。 
 レフェリーはまだか!

「へ、陛下! つきましてはその憎……からず思っている男を教えて下さればこの儂が今すぐにでも八つざ……かにある名店の手土産でも予約致しますじゃ」

 ギリギリギリギリというのこぎりを引くような音が城内におどろおどろしく木霊するので、待機していた面々は音源を探して不思議そうに周囲を見渡した。

 宰相が血涙を流しながら歯ぎしりしていた。

 すると、今まで照れるように身じろぎしていた陛下が腰を折って腕を伸ばした。
 そうして玉座の前、段の下にて片膝をつく宰相の首根っこをそっと摘まみ、もう片方の手の上に乗せる。
 
「へ、陛下!!」
「あのねぇ、まだ恥ずかしいからこっそり教えるね~」

 そうして手の平の上にて指先で身体をころころされる宰相に、内緒話をするようにそっとその麗しい唇を寄せた。

 陛下と同じ視点に立てたという事実に宰相大歓喜で血涙を滂沱の涙が押し洗う程である。
 周囲はその様子を首が痛くなるほど下から見上げた。

 そう、陛下は魔力もさることながら特筆すべきはその容姿。
 ルビーの様な紅玉の瞳に曲線の滑らかな漆黒の両角、漆黒の髪、そして牛族ばりの豊満な巨乳を持ち、淫魔族ばりのくびれやもち肌、美脚、スタイル抜群のうえ現魔界一という程の美姫であり―――

 その身長は優に十mを超えている。

 宰相がまだ弱く一族の中でも一際小さく頭が賢しいだけの惰弱なコロポックルであった頃、初めて謁見した陛下のその威容と容姿に宰相は一瞬で心酔したのである。
 そこからは文字通り内臓破裂の日々であり破竹の快進撃であったが血みどろなのでここでは割愛する。
 
 

 さて、そんな敬愛し盲愛し心酔する陛下から容姿、もとい惚気話を至近距離でこれでもか!これでもまだ足りぬか!!ええい、出血大サービスじゃ!!!とばかりに食らった宰相は―――



「全てお任せ下さい陛下。必ずやこの儂が果たしてみせましょうぞ」
「うん、お願いね~」

 
 
 ぽややんと穏やかにお花を飛ばす陛下の手の平の上で宰相は静かに頭を垂れる。



 必ずやこの儂が純真なる陛下を騙くらかす悪逆非道悪鬼羅刹の獄族を討ち果たし陛下をお守り致しますぞ



 脳内では既に三十回拷問死させている宰相である。
 使命を胸に闘志を燃やす宰相の頭脳には、既に第一策である「家族親族一族出身村民みな人質策」がでているが、この時の宰相はまだ知らない。


 全ての策をくぐり抜けられ、自らが整えた舞台で陛下と憎き男とを寿ぐ役目を血の涙で果たすことを……


 宰相の苦悩と苦闘の日々は始まったばかりである。












あとがき


 
 
 

 俺達の戦いはこれからd…(以下略

 宰相は明晰な頭脳を持ち魔族らしい野心もあったのですが、周囲がtheコロポックルという種族らしい臆病で争いを好まぬ者ばかりであった為、和を乱し異端である宰相は殊更爪弾きにされていた模様。自分の低身長や身体能力にコンプレックスを盛大に持ち、宰相から見て愚か過ぎる周囲や自身の種族にも鬱屈していた所、機会に恵まれ初めて謁見した陛下のその威容と容姿に宰相は一瞬で心酔したのである。


「おお、おお…、これこそ、これこそ求めていたもの…。陛下にお会いするために産まれてきたのです……。神よ、いえ陛下よ、感謝します」

 
☆先代魔王陛下☆呼び方はどこかしらを略して呼ばれることが多い(陛下、先代魔王など
 性格は至って温厚。ぽややんとしたおっとり純真純粋培養お姫様。 
 相手は大抵ちゃん付け。二回会えばお友達☆初対面からちゃん呼びでっす☆
 陛下は魔力もさることながら特筆すべきはその容姿。
 ルビーの様な紅玉の瞳に曲線の滑らかな漆黒の両角、漆黒の髪、そして牛族ばりの豊満な巨乳を持ち、淫魔族ばりのくびれやもち肌、美脚、スタイル抜群のうえ現魔界(まだトカゲがいない頃)一という程の美姫であり、身長は優に十mを超えている。そのおみ足やお胸で圧死したいとの信者も多数。
 宰相が頑張るまででも以外と治世は安定していた。主に陛下大好き部隊によって。
 魔力量は魔王らしく最高クラスだが、父母よりは劣る。だが弱いわけではない。陛下の戦闘方法はその天性の身体を存分に活かした【固有魔法:身体防御力超向上】による圧倒的なまでの破壊である。
 いわば、防御力が高すぎるので、素人キックで山を砕いて更地に出来る。柔肌もち肌なのに傷を付けれない。もう宰相の憧れが天元突破。
 ただビームが出るわけでもないし、運動能力自体は高いわけではなく武術もならってないお姫様なので、もし同じ能力や大きさの敵が居たら普通に負けるであろう。いないが。
 一応弱点はあるがここでは割愛する。ちょっ、宰相やめっっ
 ちなみに過去に一度だけ発動した「陛下大回転」(ただの地面をころころ)は数多の敵死者を生み出し陛下の崇め力を高めた。お胸で逝きたい派や、おみ足派、唇派などいたが彼らがどうなったかは不明である。
 陛下的には目が回ったし服が泥んこ(血みどろ)になったのでもうやらないとは思っているそうである。

 
トネコメ「ふうやっと出せてすっきり。えー?でかいって言ってたじゃないっすか~。一部じゃないっすよ~、全部っすよ~☆(ぇ」


☆魔王城☆
 一応生きているので玉座の間も陛下の時代は天井を高くしていた。今の魔王様は普通の人間サイズなのでそれに合わせた一般的なサイズの天井になっている。
 天井の高い家っていいね~(CM
 自己修復機能あり。
 一応告知はあるが代替わりのレイアウト変えの時に巻き込まれて死者が良く出るとかなんとか
 声は発せないがほんのり意思はある模様。命令もある程度は聞くヨ!
 実は一部の者しか知らないが、本気出せばガチの非常事態の時は自力で動けます☆
 わーい!浪漫あるね!!!


 長くなっちったw ではでは~ 



しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました

佐倉穂波
恋愛
 転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。  確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。 (そんな……死にたくないっ!)  乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。 2023.9.3 投稿分の改稿終了。 2023.9.4 表紙を作ってみました。 2023.9.15 完結。 2023.9.23 後日談を投稿しました。

存在感のない聖女が姿を消した後 [完]

風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは 永く仕えた国を捨てた。 何故って? それは新たに現れた聖女が ヒロインだったから。 ディアターナは いつの日からか新聖女と比べられ 人々の心が離れていった事を悟った。 もう私の役目は終わったわ… 神託を受けたディアターナは 手紙を残して消えた。 残された国は天災に見舞われ てしまった。 しかし聖女は戻る事はなかった。 ディアターナは西帝国にて 初代聖女のコリーアンナに出会い 運命を切り開いて 自分自身の幸せをみつけるのだった。

おばさんは、ひっそり暮らしたい

波間柏
恋愛
30歳村山直子は、いわゆる勝手に落ちてきた異世界人だった。 たまに物が落ちてくるが人は珍しいものの、牢屋行きにもならず基礎知識を教えてもらい居場所が分かるように、また定期的に国に報告する以外は自由と言われた。 さて、生きるには働かなければならない。 「仕方がない、ご飯屋にするか」 栄養士にはなったものの向いてないと思いながら働いていた私は、また生活のために今日もご飯を作る。 「地味にそこそこ人が入ればいいのに困るなぁ」 意欲が低い直子は、今日もまたテンション低く呟いた。 騎士サイド追加しました。2023/05/23 番外編を不定期ですが始めました。

【完結】20年後の真実

ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。 マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。 それから20年。 マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。 そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。 おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。 全4話書き上げ済み。

どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします

文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。 夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。 エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。 「ゲルハルトさま、愛しています」 ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。 「エレーヌ、俺はあなたが憎い」 エレーヌは凍り付いた。

娼館で元夫と再会しました

無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。 しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。 連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。 「シーク様…」 どうして貴方がここに? 元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!

処理中です...