もってない「保手内くん」と、もってる「もち子さん」

トネリコ

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それが通常運転です




 ある日、こけてしまったもち子さん。
 雨の中、紙袋は破け周囲に中身が散らばっている。
 横断歩道の真ん中で焦りを持つもち子さん。
 彼女は膝を擦り剝いている。
 
 大勢の人がいるのに、人は彼女を避けて点滅に慌てて渡り切ってしまった。
 カラフルな波に取り残されてひとりぼっち。
 
 不意に、いつもドジばかり踏み、何も出来ない自分に落ち込むもち子さん。
 冷えた身体と震える手。
 雨に打たれ、熱い水が頬を伝いながら最後の傘を拾おうと周囲を見渡した。

 しかし、不意に雨が止む。
 
 呆気に取られて上を見上げた。

「これも落ちてましたよー」

 クラクションが響く中、赤信号を無視し、傘を拾い、差し出す男の人にもち子さんは恋心を持ったのである。





 いそいそと毎日おにぎりを貢ぐもち子さん。
 彼女は胃袋から掴む作戦を持っている。

「お味は…」
「普通ですねー」

 落ち込みつつもリベンジに燃えるもち子さん。
 その姿は先輩に目頭を押さえさせる威力を持っている。

「でもいつもありがとう」
「っ! っ!」

 にぱーっと笑う保手内くん。
 その姿はもち子さんのハートを打ち抜く威力を持っている。

 残念ながら先輩は「保手内は味覚音痴なんだよ…」と言える勇気を持ってない。
 なお、保手内くんは自分が味覚音痴だと微塵も思ってない。


 
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