至上最悪な許嫁との恋愛事情

鳴宮鶉子

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女ったらし日本へ帰国

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女ったらしの許嫁、神崎結翔が日本に帰ってきたらお盆休みに帰省しろと母からLINE通話がきた。

けれど、
無視無視無視……。


2歳年上の結翔は、高校時代に目に余るぐらいぐらいキレイ系可愛い系女子を取っ替え引っ替えに抱いていくという冒涜を働き、あまりの酷さに両親によって大学は日本から追放されマサチューセッツ工科大学(アメリカ)の建築学部に進学させられた。

両親の勧めで中学受験をして久留米大学付属中高一貫校に通っていたわたし。
2歳年上の見た目は王子様でしかも全国模試で常にトップ10に入る賢い結翔に小学生時代は憧れていたけれど、奴の女癖の悪さを知り、幻滅した。
許嫁というのは結翔に口止めされてるから誰にも話してない……。
こんなヤリ◯ンの許嫁なんて、言いたくもない……。

親同士が仲がいいから家が隣同士で結翔のお母さんに忘れ物を届けるよう言われ結翔に届けに行くと、クラスメイトに理科室にいると言われ仕方なく行くと、理科準備室で女の子とやらかしてた……。
しかも女の子が5人並んで順番待ちをしていて、絶句した。
あの衝撃はいまだに忘れられない。

結翔と結婚をするのが嫌で両親に直談判しても、両親とうちの両親の前では優等生な結翔だからなかなかわかって貰えなかった。

でも、結翔がハメを外し過ぎた高3の夏。
塾帰りに同級生の女の子とコンビニのトイレ等でやらかしてたらしく、塾のカバンから使用前のゴムが出てきて親にバレ、わたしの訴えをやっと信じてくれて、結翔は女遊びができないよう海外の大学に行かされる事になった。

月日は経ち、マサチューセッツ工科大学の修士課程を修了後した結翔は世界中の美術的建築物の建築に携わってたらしいけれど遂に日本に帰ってきた。

こんな至上最悪な男なのに許嫁が解消されないのか……。

結翔と夫婦になりたくないわたしは頑なに実家のある福岡に帰らず、仕事を理由に実家と距離を開ける事にした。


死ぬ気で勉強をして東京大学の建築学科に進学したわたしは卒業後、ハウスメーカー最大手のセキワハウスに就職した。
大学時代にバイト身分でも資格を取得してからはインテリアプランナーとして仕事をふってくれて、卒業後、2級建築士の資格を取得してからは建築設計士としてカフェやレストランの外装から内装まで設計を任せられてる。

『女性視点のおしゃれなカフェやショップをお造りします』

わたしのドアップの写真が載った広告が業界誌や新聞広告、ネット上にさらされてる。

工務店を経営してる両親からしたら面白くないらしく、最近、仕事を辞めて帰ってこいと催促のLINE通話とメッセージがくるから気づかないふりをしてた。

「藤宮さん、足立区の図書館建て替えの社外コンペの資料できた?」

建築設計第1課の課長に声をかけれる。CADで別の案件の設計図を描いてた手を止め、社外コンペで使用するパワポ資料を開いた。

「倉本課長、こんな感じでよろしいですか?」

「……さすがだな、藤宮。明日、期待してるぞ!!」

公共施設の仕事を請け負う事ができたらその後かなりの宣伝効果が期待できる。
だから社内コンペでわたしの案が採用されてからは社外コンペに向けてパワポと配布資料を丁寧に作り上げてた。

足立区の図書館建て替えの社外コンペの日。
品川プリンセスホテルの会場に入り、真ん中の列の端の席に座った。
公共施設の社外コンペは何度か出席しているけれど、全国から人が集まるから収容人数が半端ない。

「咲花、ここで会えるとは思ってなかった。高校時代とあまり変わらないな」

プレゼン資料を何度も読み返していると隣から声をかけられ振り向く。

「………………」

「……おまえ、黙り込むとはいい度胸してるな」

隣に上質なブラックスーツを着こなしたアメリカ帰りの至上最悪な許嫁がいた。

「……結翔、なんでここにいるの?」

「公募したデザインが予選通過して呼ばれたからに決まってるだろ。
親父に日本中の公共施設のコンペ全て出せと言われて、休む間も無く建築設計デザインを描かされてる」

ため息をつき、わたしの隣の席に結翔は座った。

「咲花、おばさんがお盆に帰って来ないから心配してたよ」

「……わたしも仕事が忙しいの」

結翔が帰国したらすぐに結納を交わして婚約をさせるとお正月に帰省した時に父とおじさんが話していたのを聞いてたから身の危険を感じて帰らなかったわたし。

「……3年勤めたからそろそろ辞めて福岡に帰ってこいよ。
おまえも神崎工務店の跡取りなんだからさ」

「………………」


コンペが始まった。
大島建設や馬島建築、松中工務店などの大手ゼネコンが序盤に発表をし、洗練されたセンスの良いデザインに審査員達が唸ってた。

1人持ち時間8分でパワーポイントを使いながら発表をする。

午前の部の最後からから3番目に発表するため、ステージ横にパワポのデータが入ったUSBと原稿を持ちステージ横の控え室へ向かった。

社外コンペは何度も経験した事がある。
カフェやレストランなどのコンペでは何度も選ばれてる。

前に立ちパワポを操作しながら、わたしがデザインした図書館は白を基調にした2階建ての神殿のような建築物。

図書館に人が集まるよう最近はユニークなお洒落な建物にする傾向が高い。
だから、わたしは神秘的な佇まいにデザインを描いた。

女性視点の美しい建築物と審査員から高評価を頂けて嬉しかった。

「咲花、メシ行こう」

午前の部が終わり、隣に座ってる結翔と一緒に会場を出る。

パワポとマイクトラブルで進行が遅れ12時45分から休憩になった。
ランチ時はどこも混み合って入れないからどうしようかと思っていたら、ホテルの1階にある和食屋が客が帰った後なのか空いていて、そこに入る事にした。

「咲花、いい建築設計デザイン描くじゃん。神殿風の図書館、本を借りて読んだら賢くなれそうな気がして人が集まるかもしれないな」

本離れをしてる人に来て貰って本に触れて貰う。
インパクトのある建物にしたくてギリシャ神話に出てきそうな神殿をイメージしてデザインした。

「ありがとう」

アメリカやイギリス、フランスの建築関係のコンクールで受賞してる結翔に誉めて貰い、照れる。

「日本の図書館、ユニークなデザインの建物が多いな。今日のコンペを見てても独創的な奇抜なデザインが多くて驚いた」

午前の部にプレゼンした25人中20人がわたしを含めもはや公共施設には思えないような建築設計デザインを描いてた。

向き合って座り、わたしは蕎麦とお寿司と茶碗蒸しのレディースセットを、結翔はカツ丼と天ぷらうどんのセットを食べながらコンペの話で花を咲かす。

「結翔はどんな建築設計デザインを描いたの?」

「俺はシンプルな普通のデザインかな。足立区って落ち着いた街並みのイメージがあるから」

「結翔のプレゼン、楽しみだな」

午後の部が始まった。

建築学科や美術系の大学生や県外の設計事務所や工務店の建築士も応募し選ばれこのコンペに参加していて、倍率120倍の中選ばれた80人が今日の最終選考に呼ばれプレゼンをし、後日結果が発表される。

建築の世界2大コンテストのうちの1つ建築界のノーベル賞といわれてるアメリカのプリツカー賞の候補に選ばれた経歴の結翔の建築設計デザインは注目されてる。

1番最後のプレゼンで堂々と壇上に上がる結翔。
結翔がデザインした図書館は煉瓦造りのカントリー風の図書館。
自動扉や外装に大きな窓があり、室内に太陽の光が入る設計になっていた。
結翔がデザインしたレンガ積みの家は防火性に優れ、音が入って来ないという面も特質があり、鉄筋工法で建築されるように工夫され、耐震性に強く改良されていて、図書館という場にふさわしい造りで、審査員の反応から結翔のデザインに決まりそうだと思った。

結翔のプレゼンは建築設計デザインだけでなくパワポ資料も発表も完璧で人を惹きつけた。

18時半にコンペは終了した。

「咲花、今日金曜日で明日は仕事は休みだろ?これからちょっと付き合ってくれないか」

品川プリンセスホテルを出て、結翔を品川駅の新幹線乗り場の改札まで見送って山手線に乗って新宿にある自宅に帰ろうと思ってた。

「新幹線の時間は?」

「帰りの特急券は買ってないから大丈夫。最悪明日帰ればいいし。咲花、俺、今度水族館の建築設計デザインやる事になったから品川にある水族館に連れて行ってくれないか?」

家に帰りたかったけれど結翔の水族館巡りに付き合う事にした。

品川プリンセスホテル内にある水族館「マクセン アクアパーク品川」に入館する。
1階の入り口を入ってすぐの場所にあるのはパークエントランス。
虹色に輝く魚群と水槽に映しだされた美しい映像をみながら、洗練されたアートフラワーとのコラボをたのしむ。

パークエントランスを進んだ先にはマジカルグラウンドがあり、エリア内に作られた「インタラクティブエリア」、「アトリウムエリア」、「アトラクションエリア」の3つのエリアが、非日常の世界を楽しんだ。

2階に移動し、ペンギン、オットセイ、カワウソ、アザラシなど海の人気者が一堂に会するエリア「ワイルドストリート」へ向かう。
アシカやオットセイ、ペンギンなどとふれあうことができる屋外広場があり人気の生き物たちと一緒に遊んだり、写真を撮ったりすることができた。

最後に、様々な模様を映し出すウォーターカーテンや照明などの演出があるロマンチックで見応えのあるもイルカショーを見た。

気づいたら22時の閉館の時間までいた。3時間半も水族館内を楽しんでいた事に驚く。

「結翔、小倉駅までの新幹線の最終18:57だから今日はこれからどうするの?」

「さっき、品川プリンセスホテルの部屋を予約したから大丈夫」

わたしがアシカと遊んでる時にスマホをいじってた結翔。
その時にこのホテルの部屋をとったらしい。

「腹減ったな最上階にある和ビストロ 桜坂は24時まで営業していて予約取れたからいまから夕飯食べに行こう」

水族館を出て結翔はフロントに部屋の鍵を取りに行き、その後エレベーターに乗り36階の最上階へ向かった。


和ビストロ桜坂はわたしが好きなタイプのレストランだった。

モダンでフォットジェニックな創作和食に、ショーキッチンから繰り出されあるダイナミックなグリル。
BGMは高音のlounge music。

そしてBARでもあるからバーテンダーさんにカクテルを作って貰えて美味しい料理と一緒についつい飲みすぎてしまった。

うな重寿司にステーキにお造りの盛り合わせにだし巻き卵、色々注文し、少しずつ食べて、残りは結翔に押し付け、カクテルを何杯も飲むわたしに結翔は諦めてた。

「うちまではタクシーで25分だから5000円で帰れるから大丈夫」

いい気になって飲みすぎ、和ビストロ桜坂でお酒を飲みながら机にふせて眠ってしまった。

コンペがあるからと昨日の夜、緊張して眠れなかったわたし……。

結翔にお姫様抱っこされ、そのままホテルの客室に連れて行かれた。




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