至上最悪な許嫁との恋愛事情

鳴宮鶉子

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女ったらし改心した?

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目覚めるとホテルのツインルームのシングルベッドに、わたしは昨日着てた服のまま眠ってた。

「やっと起きたか、咲花」

結翔は隣のシングルベッドに横になりスマホゲームをしてた。

「………結翔、わたしに何もしてないよね!?」

「はっ、してねぇよ。わかるだろ?」

「……………………………」

服は脱がされた形跡はない。2日酔いで頭痛と吐き気があるぐらいで下腹部の違和感とか痛みはない。

「……高校時代の時は若気の至りでやらかしてたのは事実だが今は全くやってない。
女遊びよりも建築設計デザインを描いてた方が楽しいし、そんな暇はない」

わたしが疑いの目を向けてるからか、結翔がため息をつき弁解をする。

高校時代のやらかしぶりから結翔が女遊びを辞めたと言っても信じられない。
わたし相手だから手を出さなかっただけで、わたしが知らないところで女遊びをしてるはずと思ってしまう。
いや、女遊びを常日頃にしていて満足してるからわたしに手を出さなかったのかとさえ思ってしまった。

「朝食食いに行こう。バイキングで10時までだから残ってないかもしれないけど……」

わたしが冷たい目眼差しを結翔に向けていたら結翔が思い出したように腕時計を見て言った。

時計を見たら9時過ぎていて、慌てて起きて洗面所で顔を洗いメイクをして2階にあるバイキングレストランへ急ぐ。

後30分しか時間がないのに料理は補充されていて、フルーツやサラダ、パンの洋食メニューから、納豆や焼き魚、味噌汁といった和食メニューが多種多様に並んでいた。

2日酔いで胃が痛かったのについつい焼き鮭と納豆に冷奴にアサリの味噌汁にご飯とフルーツを山盛り食べてしまったわたし。
結翔はコーヒーとサンドイッチとアメリカンな朝食を選んでいて、朝から暴食するわたしを見て呆れてた。

「福岡には何時に帰るの?」

「日曜日の最終で帰るつもり。せっかくだから咲花と東京の有名な建築物を見て回りたいし」

「えっ、わたしも付き合わないといけないの?」

朝食を済ませ結翔と品川プリンセスホテルから出て品川駅方面に向かって歩く。

「付き合え。将来、神崎工務店の共同経営者になるんだから会社のためと思って協力しろ。
あっ、結婚相手としてでなくあくまで共同経営者だ。親達は俺と咲花を結婚させる気満々みたいだけど咲花は嫌なんだろ?
俺も咲花の事は小さい時から側にいたからか妹にしか思えないし」

わたしが結翔と結婚したくないのを察してくれてた。
高校時代に何度か結翔がきれいな子とやってるのを目撃した。
こんな不誠実な男なんかと結婚なんてできない。

「結婚しない方向で共同経営者として会社を継げる?
……わたし、両親には悪いけど結翔と結婚させられるぐらいならこのままセキワハウスに勤めて実家の仕事は継ぐの放棄しようと思ってた。
わたし1人で生きていくだけならセキワハウスに勤めてたら給料面いいし生活していけるから」

結翔に溺れる女子達を見て、自分はそうなりたくないと思い、今まで恋人という存在を作った事がなかった。

男性からのアプローチはある。

アプローチしてくる男性に対し嫌悪感を抱き敵視してしまい、かなり冷たくあしらってしまうことから、わたしは極度の男嫌いと思われてる。

男性と付き合う自分を想像できない。
だから、生涯独身でいようとわたしは決めてる。

「神崎工務店、俺だけじゃ切り盛りできない。咲花、共同経営者として神崎工務店に来てくれ」

両親が起業し大きくしていった神崎工務店。
両親の背中を見て育ってきたから、わたしも神崎工務店で経営者として建築士として勤めたいと思ってた。

この週末、結翔と関東にある有名な建築家が建てた美術館や博物館、公共施設などを見て回った。

「年明けにはセキワハウス辞めて福岡に戻ってこいよ」

結翔に説得され、3ヶ月後に福岡に戻って神崎工務店の仕事を手伝う事にした。

年の瀬に約7年暮らした賃貸マンションを引き払い福岡に戻ってきた。
家電と家具は処分し、実家でしばらく暮らす事にした。

「結翔は実家で暮らしてないんだ」

家族同然にお隣の結翔一家と交流をしていて、週末はランチとディナーを共にし、旅行にもよく一緒に行ってた。
年末の27日に実家に戻ってきて当たり前のようにお隣でお酒を飲みながら夕ご飯を食べてて、結翔がいないから父に聞いたら近くのマンションで1人暮らしをしてると言われた。

「今日から年明けまではここで生活すると言ってたんだけどな。マンションでずっと仕事をしてるのかもな。咲花ちゃん、あいつに夕飯を持って行ってくれないか」

19時過ぎても結翔が来ないから結翔の住むマンションに夕飯を届けに行かされるはめになった。

実家から徒歩10分のところにある高層マンション。
1階と地下に食品スーパーとクリーニング屋と電気屋と定食屋があった。

エントランスからインターフォンをならしても結翔が出ないから結翔のお母さんから渡されたカードキーで開けて入る。
28階建のマンションの25階の角部屋15号室に住んでいる結翔。
ドアベルを鳴らしても出ないからカードキーを差し込み入る。

「結翔、いる?」

勝手に家の中に入り込み、物音がする部屋のドアを開けた。

床一面に手書きで描かれた図面が散らばっていて、パソコンに向かいCADで図面を作成する結翔がいた。

「……あっ咲花、飯を持ってきてくれたんだ。ありがとう」

さすがに仕事部屋に入ったわたしに気づき、結翔がわたしの方を見た。

「……咲花、1人だと味気ないからメシに付き合って」

結翔はそういうとCADで作成中の図面を保存し立ち上がり仕事部屋から出てきた。

結翔についてリビングにいく。

「……広いね。5LDKの200平米ぐらい?」

「さすがに200はないな。確か180ぐらいだったと思う」

40畳以上あるリビングダイニング。
リビングの65インチの液晶テレビがあり、絶妙な位置にソファーとローテーブルがある。

ローテーブルに持ってきたお造りやお寿司、ローストビーフにシーフードサラダ、タイとホタテのカルパッチョに手羽先の唐揚げにステーキが入った三段の重箱を並べて置く。

おしゃれな使い捨てのプラスチックの皿が10枚ほどと割り箸が5本入ってた。


「咲花、内装デザイン得意?」

U-NEXTで音楽を聴きながら結翔が買ってきてくれた缶酎ハイを飲みながらカルパッチョとローストビーフを食べてたら結翔に聞かれた。

「外装よりは内装デザインの方が好きかな。得意かと聞かれたら困るけど……」

「内装デザインは繊細だから男よりは女の方が向いてる。咲花に内装デザインを任せたいと考えてる」

モルツをぐびっと飲みながら結翔に言われた。
アルコールでほろ酔い状態の色っぽい表情で結翔に言われ、ドキッとして、しまったわたし……。

大量に持たされた三段重に入った料理を食べ切らないと帰れまテン状態で、黙々と箸を動かすわたし。

結翔はモルツの缶を片手に料理は手付かずだった。

「結翔……さすがにこの量は食べきれないから皿に移して冷蔵庫に入れとくから明日食べて。
もう10時だし、そろそろ帰るわ」

2時間半ほどフードファイト並に三段重の料理を食べ進めたけれど真昼間から飲み食いをしていたからさすがに食べきるのは無理だった。

「もう帰るの?この料理を残されても困るし、食べきるまで付き合って」

お寿司と手羽先の唐揚げ、ステーキとお腹にずっしりくる料理が残ってる。

「あの人達も連日呑んだくれてるしさ」

結翔が1人暮らししているマンションにのこのこやってきたわたし。

高校時代に県内のキレイ系可愛い系のスタイルがいい女の子全員と身体関係を結んだと言われてた……。

1人暮らしをしている結翔の部屋に女性が入った形跡はないけれど、身の危険を感じおいとましたくなる。

「……手は出さないから。話し相手になって。
あの人達も俺たちが仲良くしてると思ったら安心するし、いつもの2倍以上の量を重箱に入れて寄越してきたのは咲花と2人きりにして俺が手を出すのを期待してだろうな。
昔の俺とは違うから、手は出さない。
だから、今日は俺の家に泊まって」

「………親に変な誤解されて結婚の話を勝手に進められたら嫌だから帰る。残り、少しだけお皿に盛って冷蔵庫に入れて後は持って帰るわ」

立ち上がり余ってるおかずを余ってるプラスチックの皿に明日食べれる分だけ盛ってサランラップをして冷蔵庫に入れ、退散する事にした。

「歩きだけど送っていく」

年の瀬の夜道は酔っ払いが徘徊してる事がある。
だから結翔に実家まで送って貰った。
結翔は酔っ払った両親達が面倒臭いからと家の中には入らず帰った。
結翔の実家に重箱を返しに行くと完全にできあがってる両親達がいて、キッチンに入り余ったおかずをお皿に入れてサランラップをして冷蔵庫に入れ、速攻で家に帰り、シャワーを浴びて寝る事にした。
年始年末の休みが明ける4日まで1週間以上続く家飲み宴会……。

ご飯を食べた後、自分の部屋に逃げればいい話だけど、結翔がアメリカから帰ってきた今、『結婚しろ』『孫を抱かせろ』と言われ続ける気がして気が重かった。

部屋に戻ってiPhoneで実家の近くにある賃貸マンションを探した。
オフィス街なのもあり空いてる部屋がなくてげんなりした。

「咲花、仕事手伝ってくれないか?」

次の日の朝、結翔がわたしの部屋のドアをノックする音で目が覚めた。

「ごめん。今、起きた。着替えてから行くから下で待ってて」

寝起きパジャマの姿を結翔に見せる訳にはいけなく、結翔が階段を降りる音が聞こえてから部屋を出て、洗面台で顔を洗い、部屋に戻り着替えてメイクをし、1階のリビングへ向かった。

「仕事を手伝うって何をしたらいい?」

お母さんが持ち帰った昨日のご馳走の残りを朝食に食べながら、わたしの前に座ってコーヒーを飲んでる結翔に聞く。

「カフェと結婚式場の内装デザインをやって貰おうかなと思って」

「やるやる」

実家の自分の部屋に閉じこもってるのが暇だったから結翔から仕事を貰えて嬉しく思う。

でも……、
「事務所は年始年末休みのセキュリティーで入れないから休み中は俺の家で仕事するから」

結翔のマンションで仕事をすると言われ戸惑う。

「……だから、何もしないって」

わたしの両親が期待した目を向ける中、 そんなやりとりをしたわたしと結翔がいた。

実家暮らしだと狭い自分の部屋にいるのは窮屈で、親もなにかと呼ぶから煩わしく、だから結翔のマンションで設計図面を黙々と描いてる方が気楽でいられた。

「このクライアント、白基調で照明を豪華にしてって」

「OK」

白基調のイギリスにあるカトリック教会のような外装。
内装は真ん中に階段があり二階に上がる設計で、日本ではあまり見ない設計に心踊る。
豪華なシャンデリアのカタログを見ながら普段手がけない内装デザインを楽しみながらプランを立てていく。

結翔が建物の設計のみ終わらせて内装デザインを溜め込んでいたおかげで、朝から夜遅くまで結翔のマンションで過ごした。
食事は成城石田で買って食べるからと実家からの宅配を断り、仕事のきりがいい時に買いに行き、時に気分転換でわたしが作ったりして用意した。

「神崎工務店ってインテリアプランナーいないの?」

「いるけどオレのイメージ通りに設計する人がいなくて俺が内装デザインもやってた」

建築設計には大きく分けて、意匠設計、構造設計、設備設計の3つの分かれている。
「意匠設計」は、敷地の条件や周辺の環境に対応しながら建築物の配置を決定して、内外観や間取り構成、さらには造作や装飾をデザインする。
「設備設計」は、快適な室内環境のための空調設備、上下水道を設置する衛生設備、コンセントや照明を配備する電気設備を担当する。
そして、「構造設計」は建物の土台と骨組みを設計することで、積雪や地震などに対する安全性能を満たすものです。簡単に言うと、建築物が壊れないように柱や梁の性能/形状/配置を決定する。

意匠設計を行う設計士のサポートとして内装デザインを行うのがインテリアプランナーで、今わたしがその仕事を意匠設計をしてる結翔から任されてやってる。

「咲花が年明けから神崎工務店にくるから内装デザインは後回しにしてた」

1月末納期の案件が溜まりに溜まっていて、大晦日も紅白歌合戦を観ながら手書きで設計図面を描く。

結翔の部屋に泊まり込むのはさすがに嫌だから朝早くから夜遅くまで仕事をし、帰りは送って貰った。

福岡に戻ってきてから毎日長時間結翔の家で結翔と仕事をしてるわたし。

ふと気になって結翔に聞いてみた。

「……ねぇ、結翔って彼女かセフレいるの?」

結翔がアサビスーパードライ500ml口を飲もうとしてるタイミングでわたしが聞いたから、結翔は飲んでいたビールを噴水みたいに吐きそうになって苦しそうだった。
なんと持ち堪え、結翔はため息をついてから言う。

「アメリカに行ってからは彼女もそういう関係の女はいない。
俺がここ5日間、家に篭って仕事してるのを知ってるだろ」

高校卒業するまであんなに女の子とふしだらな事をやってたのに、今は全くやってない気がする。

結翔と2人きりで仕事をしてる今、わたしを押し倒そうと思えばいつでも押し倒せるのにそんな事はしない結翔。
品川プリンセスホテルに泊まった時なんかわたし酔っ払ってたから襲えたのに世話だけして手は出されなかった。
わたしが相手だからかもしれないけれど、あの盛ってた結翔が人が変わったみたいに性欲が無くなっている事に気づく。

「……結翔、病気?」

「ハッ?なんの?俺、至って健康だけど……」

「……紅白歌合戦終わったから帰る。家まで送って!!」

結翔の盛りは高校時代に終わり、今はもう性欲が無いんだろう……。

わたしはそう思う事にした。
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