Destiny Lover〜檸檬の薫りのような恋〜

プロローグ

『大翔、わたし、大翔と出逢えて、本当に、幸せだった。
わたし、大翔に、女の子の幸せを、教えて貰った。
大翔、今まで、愛してくれて、ありがとう。
大翔、あのね、わたしが、この世からいなくなったら、わたしの事は忘れて欲しい。
そして、素敵な人を見つけ出して、その人と、幸せになって欲しい。
大翔、わたし、大翔のことを、心から、愛してた』

医大生だった俺
初めて付き合った彼女が乳癌で亡くなった。
亡くなる直前まで、俺は、彼女の入院している病室で、彼女の手を握っていた。
彼女が息を引き取る瞬間を、俺は看取った。

最愛の人の死。
彼女に、生きて欲しかった。

彼女を救う事はできなかった俺だけれど、彼女と同じ癌になった人の命を救いたくて、癌専門の外科医になった。

俺は、今だに彼女の事を忘れられずにいた。

そんな俺は勤務する病院で、彼女と瓜二つの女性と出会った。