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俺が守るから
温かい何かに包まれ、ぐっすりと眠ってた。
そういえば、小さい頃、父が出張でいない時に、両親の寝室で、母に抱きしめて貰って、眠ってた。
厳しい父だから、予定変更で深夜に帰宅した際は、容赦なく叩き起こされ、部屋に帰されたけど、母の温もりを感じられたその時間が私にとって、幸せを感じられる唯一の時間だった。
「……離して……下さい」
目覚めたら、白いワイシャツとネクタイが目に入る。
堅い胸板しがみつくように眠っていた私は、意識を失う直前の記憶を思い出す。
「離したら何しでかすかわからないから離さない」
早朝4時に起き、4時半に秘書の迎えで休日出勤だった雅人くん。
ほぼ休みなく働いていて、疲れが溜まってると思う。
「……トイレ行きたいの!!」
「お姫様、お連れします」
横抱きで抱き上げられ、トイレまで連れてかれ、降ろされる。
「あっち行って」
トイレの前で待たれるのは、嫌だ。
父の言いなりになって、雅人くんと結婚させられる現実から逃れたくて、方法を考える。
貯蓄は2500万円超えた。
隙を狙って、この家から抜け出し、また極貧日本一周旅行に出て、各地を転々と渡り歩き、身を隠そう。
貧困OL くららのチャンネル引退し、“放浪アラサー女子のその日暮らし”のYouTuboチャンネルを新たに開設して、その広告収入とLIVE配信の投げ銭で細々と生活をしよう。
「咲良、俺と結婚するの、そんなに嫌?」
「………」
雅人くんに対しては、不満はない。
好きかと言われたらわからないけど、嫌いではない。
共同生活が苦痛ではないから、一生この暮らしを続けてもいいとさえ、思ってしまっていた。
「咲良、俺と結婚したらあーくらいくの御令嬢からオアシスアマミヤの次期社長夫人になる。オアシスアマミヤの執行役員になって、オアシスアマミヤの戦力として働いて貰わないといけない」
「………」
母は形だけの執行役員で、視察を理由にハイクラスのホテルの高級ランチとディナーを浮気相手と食べ歩いて、あーくらいくの仕事は父と招かれたパーティに出席する以外は何もしていなかった。
私が幼稚園に通う前までは、私と兄を愛し育ててくれていたけど、モラハラが酷い父に嫌気をさし、子育てを放棄した。
「あーくらいくとは無関係になる。オアシスアマミヤ側の人間になる。仕事に関しても家族絡みの事も、俺が咲良の代わりに対応して、咲良があーくらいくと一切関わりを持たないようにする。咲良の事を俺が守るから、だからさ、俺を信じて、俺の奥さんになってくれないか?」
幸せな家庭に産まれたかった。
視察で訪れたファミレスや定食屋で、仲睦まじく食事をしているファミリーが羨ましかった。
食事中に好き嫌いで泣いたり、食べるのに飽きて暴れたりしてるのを見て、いいなと思った。
私がそれをやると帰ってから母が父に殴られ、私自身も数日間食事無しの罰を与えられるから。
家庭環境が異常だったから、身包み剥がされ極貧生活を強いられても、幸せに感じた。
大手飲食店グループの御令嬢という身分で、衣食住や教育には恵まれていたかもしれないけど、生きる事が辛かった。
オアシスアマミヤも生活用品・家電メーカーとして飛躍的に業績をあげてる。
私は普通の生活を送りたい。
「……無理。御曹司とは結婚したくない」
雅人くんは父や兄とは違うのはわかる。
だけど、怖い。
「咲良を……手放したくない。東京から離れて、海外で暮らすならどうだ?咲良の父と兄の接触がなければ、俺たち、上手くいく。咲良を全身全霊かけて守って幸せにするから、だから、俺を信じて」
雅人くんとの共同生活は、気づいたら3ヶ月を過ぎていた。
寝起きと食事を共にし、仕事中も常に傍にいる。
雅人くんが隣に居ないと落ち着かなくなり、そわそわしてる私が居て、常に孤独でいたからか、誰かが側にいる温もりに甘えたくて、その葛藤に、混乱する。
「……仕事はリモート会議でなんとかなる。東京を離れた方がいいと思うから、宮城に行こう」
精神状態がかなりおかしい状態になった私に対し、雅人くんは手を差し伸べる。
その日のうちに、新幹線で仙台に向かう。
ランチ用に作ったアフタヌーンティーのサンドイッチやキッシュ、ケーキは雅人くんがタッパーに詰め、新幹線内で少しだけ口にした。
雅人くんは、私の事を大切にしてくれてる。
それだけは、理解していた。
そういえば、小さい頃、父が出張でいない時に、両親の寝室で、母に抱きしめて貰って、眠ってた。
厳しい父だから、予定変更で深夜に帰宅した際は、容赦なく叩き起こされ、部屋に帰されたけど、母の温もりを感じられたその時間が私にとって、幸せを感じられる唯一の時間だった。
「……離して……下さい」
目覚めたら、白いワイシャツとネクタイが目に入る。
堅い胸板しがみつくように眠っていた私は、意識を失う直前の記憶を思い出す。
「離したら何しでかすかわからないから離さない」
早朝4時に起き、4時半に秘書の迎えで休日出勤だった雅人くん。
ほぼ休みなく働いていて、疲れが溜まってると思う。
「……トイレ行きたいの!!」
「お姫様、お連れします」
横抱きで抱き上げられ、トイレまで連れてかれ、降ろされる。
「あっち行って」
トイレの前で待たれるのは、嫌だ。
父の言いなりになって、雅人くんと結婚させられる現実から逃れたくて、方法を考える。
貯蓄は2500万円超えた。
隙を狙って、この家から抜け出し、また極貧日本一周旅行に出て、各地を転々と渡り歩き、身を隠そう。
貧困OL くららのチャンネル引退し、“放浪アラサー女子のその日暮らし”のYouTuboチャンネルを新たに開設して、その広告収入とLIVE配信の投げ銭で細々と生活をしよう。
「咲良、俺と結婚するの、そんなに嫌?」
「………」
雅人くんに対しては、不満はない。
好きかと言われたらわからないけど、嫌いではない。
共同生活が苦痛ではないから、一生この暮らしを続けてもいいとさえ、思ってしまっていた。
「咲良、俺と結婚したらあーくらいくの御令嬢からオアシスアマミヤの次期社長夫人になる。オアシスアマミヤの執行役員になって、オアシスアマミヤの戦力として働いて貰わないといけない」
「………」
母は形だけの執行役員で、視察を理由にハイクラスのホテルの高級ランチとディナーを浮気相手と食べ歩いて、あーくらいくの仕事は父と招かれたパーティに出席する以外は何もしていなかった。
私が幼稚園に通う前までは、私と兄を愛し育ててくれていたけど、モラハラが酷い父に嫌気をさし、子育てを放棄した。
「あーくらいくとは無関係になる。オアシスアマミヤ側の人間になる。仕事に関しても家族絡みの事も、俺が咲良の代わりに対応して、咲良があーくらいくと一切関わりを持たないようにする。咲良の事を俺が守るから、だからさ、俺を信じて、俺の奥さんになってくれないか?」
幸せな家庭に産まれたかった。
視察で訪れたファミレスや定食屋で、仲睦まじく食事をしているファミリーが羨ましかった。
食事中に好き嫌いで泣いたり、食べるのに飽きて暴れたりしてるのを見て、いいなと思った。
私がそれをやると帰ってから母が父に殴られ、私自身も数日間食事無しの罰を与えられるから。
家庭環境が異常だったから、身包み剥がされ極貧生活を強いられても、幸せに感じた。
大手飲食店グループの御令嬢という身分で、衣食住や教育には恵まれていたかもしれないけど、生きる事が辛かった。
オアシスアマミヤも生活用品・家電メーカーとして飛躍的に業績をあげてる。
私は普通の生活を送りたい。
「……無理。御曹司とは結婚したくない」
雅人くんは父や兄とは違うのはわかる。
だけど、怖い。
「咲良を……手放したくない。東京から離れて、海外で暮らすならどうだ?咲良の父と兄の接触がなければ、俺たち、上手くいく。咲良を全身全霊かけて守って幸せにするから、だから、俺を信じて」
雅人くんとの共同生活は、気づいたら3ヶ月を過ぎていた。
寝起きと食事を共にし、仕事中も常に傍にいる。
雅人くんが隣に居ないと落ち着かなくなり、そわそわしてる私が居て、常に孤独でいたからか、誰かが側にいる温もりに甘えたくて、その葛藤に、混乱する。
「……仕事はリモート会議でなんとかなる。東京を離れた方がいいと思うから、宮城に行こう」
精神状態がかなりおかしい状態になった私に対し、雅人くんは手を差し伸べる。
その日のうちに、新幹線で仙台に向かう。
ランチ用に作ったアフタヌーンティーのサンドイッチやキッシュ、ケーキは雅人くんがタッパーに詰め、新幹線内で少しだけ口にした。
雅人くんは、私の事を大切にしてくれてる。
それだけは、理解していた。
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