perfect girl 〜恋の行方は誰もわからない〜

鳴宮鶉子

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ワーカーホリップな毎日

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「新井さん、本当に、見惚れちゃうぐらい美しいね。
美しい人が手がける部屋の内装とインテリアは、素晴らしいものになるね。
また、頼むよ」

美術館の、リニューアルオープンのための、リフォームを、依頼されたわたし。

クライアントの美術館の館長が、細かい人で、何度も呼び出され、何度も何度もリフォームの設計図に訂正を入れ、やっと、工事に入り、完成した。

イメージした以上に良いできに、嬉しいわたし。

やっと、このセクハラ発言と小さな事で、わたしを呼び出す、このクライアントから、おさらばできる。

わたしが、今、請け負っている仕事は、リフォーム案件が12件と、新規ホテル案件が1件、新規テナント案件が5件。
納期はまちまちだけど、常に、クライアント先に呼び出され、依頼案件のカラースキム、照明、カーテン、置き家具他、様々なインテリアエレメントのトータルコーディネートを形にし、その図面を引くのが、いつも、帰社してからの19時スタートになる。

毎日、帰宅が午前様になるから、オフィスビルから徒歩5分の賃貸マンションに、入社早々に引っ越した。

「新井さん、ドーマオンホテル新宿の案件だけど、ホテルが完成したから、明日、設計士の 成瀬 結弦(なるせ ゆづる)主任と一緒に視察に行って、内装の計画を進めてくれる?」

19時過ぎに帰社すると、インテリア部の部長から声をかけられる。

手帳を開き、明日の予定をチェックする。
ドーマオンホテルの新宿は、オフィスビルの側だから、隙間時間を使っていけばいいと思い、何件かクライアント先に訪問する予定を入れていた。

「時間はもう、お決まりですか」

インテリア部長に確認する。

「いや、成瀬主任に直接聞いてくれる?」

「……わかりました」

部長はわたしに伝えると、早々に、退社した。
内線番号表を出し、成瀬主任がいらっしゃる建築設計部第1課に内線をかけた。

「インテリア部の新井 結愛ですが、成瀬結弦主任いらっしゃいますか?」

「あっ、わたしです。ドーマオンホテル新宿の視察の件ですね。わたしは明日は1日社内で図面を引く予定なので、時間はいつでも大丈夫です。新井さんに任せます」

「ありがとうございます。明日の18時にお願いできますか?」

「わかりました。では、明日、ドーマオンホテル新宿の前に18時で落ち合いましょう。では、失礼します」

成瀬主任は、口調から、真面目な感じのする人っぽかった。

電話を終え、今日、クライアント先で依頼のあった。インテリアエレメントのトータルコーディネートの訂正を図面に描いていく。

今日も深夜2時コースになりそうな気がして溜め息をつく。

クライアントから小さい事で呼び出されるから、仕事が進まない。

わたしを呼び出し、話し相手にし、鼻の下を伸ばして、わたしを観賞するスケベオヤジなクライアントに、迷惑してる。

勘弁してほしい。

次の日、クライアント先を4件周り、急いでドーマオンホテル新宿へ向かう。
待ち合わせ時間に、遅れないよう、クライアントとの対応に関し、話が長くならないように気をつけた。
でも、卑下にはできないから、ずるずると聞き役になり、待ち合わせ場所に到着したのが18時過ぎになってしまった。

「成瀬主任、ごめんなさい。少し、遅れてしまいました」

ドーマオンホテル新宿の前に、背が高い男性が見え、速歩きで駆けつけた。

成瀬主任と、目が合う。 

成瀬主任は、ブランドのスーツを着こなしてる、シルバーフレームの眼鏡をかけた、爽やか系の知的な感じがする、美しい男性だった。

成瀬主任も、わたしを見て、少し、固まっていた。
お互いの容姿に、見惚れたと、思われる。

「行きましょうか」

フロントや大浴場、レストラン、客室、等、ホテル案件は、インテリアエレメントのトータルコーディネートをする箇所がかなり多い。

18時に待ち合わせをし、全て視察を終えたのが21時と、成瀬さんに遅い時間に、長時間、付き合わせた事を、申し訳なく思った。

「帰社してからまだ仕事はありますが、夕食、一緒に行きませんか?」

いつもは、仕事でペアになる設計士に、同じように食事を誘われても、断るわたし。

「はい。どこ店に行きましょうか?」

成瀬主任からの誘いを、受けていた。

成瀬主任と、近くの和食の店に入った。
わたしは、蕎麦とお寿司のセットを注文し、成瀬さんはカツ丼とうどんのセットを注文した。

男性と食事を共にした事がなくて、食べる量の多さと食べ切る速さに、わたしは、驚いた。

わたしがもたもた食べてたわけじゃない。

食事を終え、成瀬主任と、社へ戻った。

帰宅は、ごぜん5時コースだな。
リフォーム案件のインテリアエレメントの図面の訂正と、ドーマオンホテル新宿のインテリアエレメントのトータルコーディネートの案をひたすら図面にしていく。

気がついたら、午前6時で、シャワーと着替えをするために、オフィスビルから出て、家に向かう。

住んでいるマンションにつき、入ろうとしたら、マンションから成瀬さんが出てきた。

「……新井さん、朝帰り?」

成瀬主任に軽蔑の眼差しを向けられ、

「違います。ドーマオンホテル新宿のインテリアエレメントのトータルコーディネートの図案を考えてまとめてたらこんな時間になったんです。
だから、シャワーと着替えと、少しだけ仮眠を取りに戻ってきたんです」

成瀬主任に、必死に、卑猥な意味の朝帰りを否定するわたし。

「新井さんがワーカーホリップなのと、社の男を寄せ付けない高嶺の花なのは噂で知ってるよ。
仕事も頑張るのほどほどにしないと、身体を壊すし、婚期を逃すよ。
俺は、これから出勤だから、じゃっ」

「あっ、行ってらっしゃい……」

会社で、高嶺の花と言われてるのは、知ってる。
会社の男性社員から告白されても、仕事を理由に、お断りしてる。

……婚期を逃す

成瀬主任に言われて、ショックを受けてるわたしがいた。

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