Substitute lover

鳴宮鶉子

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いけない遊びが終わる時

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全身についた鬱血痕と歯形はどれぐらいで消えるのかな。
お風呂で体を洗ってる時に、鏡に写る痛々しい自分の姿に溜息をつく。

食物アレルギーで湿疹がでたと首にスカーフを巻いて仕事をしてる。
ストレスで顔にもぷつぷつ湿疹がでて|るから誤魔化せてる。

「……心愛、いったい何を食べたんだ!!全身に痒みがでるって、1人にして出張に行けないな」

長袖の胸元が開いてないシャツにチノパンを着て過ごしてる私。
5月の終わりで蒸し暑いのに、肌を出す事ができないのがつらい。

それに、2週間も翔琉と体関係を持つ事ができなくて、体も疼いてる。

地肌を気持ち悪いからみせたくないと涙を流せば、翔琉は優しいから無理矢理服を脱がせたりはしない。
翔琉の雄の欲望を口と手を使って発散させるも、自分はこっそり、夜中に1人で慰めてる。

首元と乳房とお尻の丸みにつけられた歯形は一生残る気さえしてきた。

6月の半ばの祖父の誕生日。
西新宿にあるスターハリアット東京の最上階の大ホールで祝いのパーティーが行われる。

3週間が経ち、鬱血痕は綺麗に消えた。

「……ドレス、どうしよう」

右の首筋の歯形は残念な事にくっきり残ってる。
首筋まで生地があるヴァレンティノのワンピースを購入した。
傷がわからないよう普段は絶対に着ない紅色を着る。

こういうパーティーでは翔琉と一緒にいない。
翔琉の周りにはお見合いをきっかけにできた大病院や医療関係の会社の上得意先の御令嬢や御子息がいる。

「……よっ、相馬。兄貴、あいかわずモテてるな」

黒のタキシードをカッコよく着こなした瀬坂があろう事かパーティーに呼ばれていて、ワイングラスを手にして私の所にきた。

そして、歯形を指でそっと触る。

「まだ、残ってるんだな。肉を喰いちぎるぐらい思いっきり噛み付いたからな。あの鬱血痕と歯形をみたら、興醒めしてヤル気が失せるだろう。兄貴と関係終わったか!?」

「………」

こいつの思惑通りに、翔琉とは最後まではしてない。
私が一方的に口と手で奉仕してるだけ。

「……睨むなよ。兄貴、お見合い100回しても全て友達止まりなんだろ。そろそろ、相手がいなくなるだろ。妹の方から去ってやれよ」

耳元でそんな事を囁いた瀬坂に、8センチのヒールで思いっきり、上等なエナメルの革靴を踏んづけてやった。

顔を歪め痛みに耐える瀬坂を横目に彼から離れようとしたら、左手を掴まれ抱きしめられて唇を奪われる。

油断してしまった。
多くの客人の前で醜態を晒してしまった。

「ーー心愛、ハシタナイ!!」

父が私の元へ駆けつけてきた。
母も口を塞いでおろおろしてる。
そして、私の事をあまり良く思ってない親戚達が顔を意地悪そうな表情を浮かべ、ヒソヒソと耳打ちで話してる。

瀬坂のやつ、ワインを飲みすぎて頭の中がおかしくなっのか舌を割り入れてきて絡めるキスを続けてくる。

「ーー…っ、イテ!!心愛、何するんだ!!」

「お爺さまの米寿の祝いの席でなんて事をしでかすんですか!!」

「心愛が機嫌が悪いからだろっ。俺は心愛一筋だから、しっかりわからせたはずなんだけどな」

思いっきり舌を噛んでキスを辞めさせたら、今度はとんでもない事を言い出した。

「……周りが誤解するような事を言わないで!!」

肩で息をしながら瀬坂を睨みつけて言い放つと、日本医師会長の高嶋雅人氏が祖父を連れて近づいてきた。

「将生、相馬会長の大切なお孫さんに失礼な事をするな!!」

瀬坂が日本医師会長で大阪循環器センター院長の孫だという事に驚きつつ、人前で怒られてるやつに腹の底でざまあみろと思った。

「じいちゃん。コイツが俺の嫁。専攻医卒業したし、家庭持っても文句ないだろっ!!」

「将生、テルパスの御令嬢と恋仲だったのか。しかも、心愛さんがお相手とはめでたい!!相馬会長、心愛さんを私の孫のお嫁さんに貰っても構わないから!?」

「……高嶋医師会長、心愛でよければどうぞ」

複雑そうな表情を浮かべてる祖父。
着飾った親戚の女の子達がショックを受けているのをみると、祖父は血の繋がりがある孫娘を瀬坂に嫁がせようと考えていたらしい。

「心愛、すぐに籍を入れようか。そうすれば、俺がお前に一途だというのが信用できるだろ。そうだ、今日から一緒に暮らそう。相馬会長、お許し頂けますか?」

瀬坂が祖父にとんでもない提案をした。
このままではまずいと焦り、翔琉の方を見つめる。
翔琉も完全に誤解し、私から目を背けた。

「連れ帰っていい。好きにすればいい。だが、心愛はテルパスの優秀な開発エンジニアだ。だから、テルパスを辞める事は許さない」

祖父と瀬坂の話し合いで、私は瀬坂に嫁ぐ事が決まり、テルパスの雇用を週3の短時間勤務にし、東大病院で医師として復帰する事が決まった。

「相馬会長、心愛の事は僕が大切に幸せにします。ありがとうございます。あっ、米寿、おめでとうございます」

お客様からお祝いの言葉と拍手を貰い、まだ祝いの式典は始まったばかりなのにホールから連れ出され、ホテルから出てタクシーに乗せられた。

本郷にある最近できたタワーマンションを分譲してた瀬坂。

「心愛、明日、婚姻届出すからお前も名字が瀬坂になるんだから今から俺の事を将生と呼べよ」

タクシーから降りると嬉しそうに私の手を引き中に入るとエレベーターに乗り込んだ将生。

中層階の21階、3LDKの部屋に住んでいて、まだ引っ越して間もないのか、家の中に入ると物があまりなかった。

「……紅色のドレス、似合ってる」

部屋の中に入ると背中にあるファスナーを下げられ、ドレスがストっと落ちると、胸の膨らみを両方掴まれ抱き寄せられた。

「……脱がせたくて堪らなかった」

右手で下顎を掴まれ、背後を向かされると、唇を塞がれ口の中に舌を割り入れられ絡められる。

「首筋と胸に俺の噛み跡がくっきり残ってて、色っぽい」

嬉しそうに歯形を舌でぺろっと舐めると、私の手をひいてリビングまでいき、ソファーに押し倒し、下着と剥ぎ取られた。

「……3週間ご無沙汰だったから余裕ないな。心愛、明日は休日救急でシフト入ってたよな。俺もシフト同じ。これからずっと死ぬまで一緒だから、日付け変わるまで楽しんで、今日は早目に眠ろう」

そして、私の臀部に跨った体勢のまま、黒い蝶ネクタイを外し、せかしくタキシードを脱ぎ捨てた。

「……ここを触ったら溢れ出る。甘いな。すぐに感じる」

3週間もの間、誰にも触らせず、自分で慰めてたのもあり、久しぶりの他人から与えられる快楽に、体がすぐに反応してしまう。

「……時間ないから、1回抜かせて」

蜜口に舌を入れられ愛蜜を啜られながら陰核を指で摘まれ弄られ、イッてしまった。
身体を弓なりに反らし身体を震わせてると腰を掴まれ、秘所を熱をもった剛直で貫かれた。
そして、最奥に当たるよう、脚を開かれ、深くまで腰を打ち付けられる。

「……また、イッた。俺の、そんなにいい?締めつけて離さないんだけど、俺もこのままイカせて」

あろう事か、亀頭が子宮口にキスように当たってる。
その体勢で欲望を放出するから、子宮がキュンとして膣壁が収縮し、遺伝子の胞子が私の胎内に入っていった。

2度中出しされ、抜くとどろっと出てきたのをみて、生理前だから妊娠する事はないと思うも、将生の遺伝子の胞子だから生命力が強く、胎内に生き残って排卵を待ち伏せしそうな気がした。

医学的には絶対にあり得ない事だけど、私はそう思ってしまった。

次の日の朝、また繋がったまま抱きしめられて眠っていて、左薬にはいつのまにか用意されてたダイヤのついた婚約指輪とお揃いの結婚指輪がはめられてた。

東大病院に一緒に入った将生が、嬉しそうに、私との結婚報告をした。
休みなのに私の側にいて、心臓発作と脳梗塞で担ぎ込まれた重症患者を華麗な手捌きで緊急オペし命を救った。

仕事上がりに新宿区役所の派出所に私の戸籍謄本を取りにいき、その後、本郷区役所に2人で婚姻届を提出しにいく。

私は流されるように、将生の戸籍上の妻になってしまった。

翔琉に買い与えられた服を私に身につけさせたくないと、渋谷で将生好みの衣服と下着、靴にアクセサリーとメイク用品1式を買い揃えられ、帰路に着く。

そして、マンションの部屋に着くなりに、夜ご飯を食べず朝まで抱き潰された。


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