Substitute lover

鳴宮鶉子

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嫌いなアイツ

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「心愛、俺が札幌に行ってる間に東京大学病院の消化器外科に行って内視鏡システムの癌細胞サンプル画像を貰ってきて打ち込むのと、心臓外科と脳神経外科にモニターで出してる医療手術ロボット総司のデータをとってきてくれる?」

「……わかった」

癌細胞画像診断機能と自動ポリープ切除機能がついた内視鏡システムを開発してる。
内視鏡的で消化器外科医がポリープ切除術(ポリペクトミー)や内視鏡的粘膜切除術(EMR)、内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)などを行ってる動画を撮影し、それをAIロボットにさせるために、膨大な癌細胞のデータとオペの術式データをAIシステムに入れないといけない。

東京大学医大に協力して貰い、研究をしてる。
他にも超音波診断装置に画像診断機能を搭載し、癌細胞と炎症反応をあると表示されるものも開発してる。

「俺が留守中は東京大学病院でデータ収集してくれてたらいいから。じゃあ、行ってくる」

北海道大学病院に医療機器をモニターに出す為に営業に向かう翔琉を専務室で見送る。

翔琉は出張で私を同行させない日は、私を古巣の東京大学病院に行かせたがる。
東京大学病院には大学時代の話せる同期が何人かいる。
だから、私を1人ポツリとテルパスに置いていくより東京大学病院に行かせた方が安心らしい。

東京大学医学部で医師免許を取得後、トップしか入局ができない東京大学病院で初期研修医を終えた私。
医療機器の開発アシスタントと営業アシスタントをしてるのがもったいないと、同期や教授からずっと言われてる。

テルパスの創業者一族の娘だからテルパスに勤めないといけないとたいていの人は話せばわかってくれるけど、『医者になる気がないのになんで医学部に入った!!』と喧嘩腰に暴言を吐いてくる奴もいる。

東京大学病院で私はたまに救急医のアルバイトはしてる。
テルパスの開発に協力して貰ってるから、医師が足りない日はヘルプで入ってる。

初期研修医として2年間勤める中で、外科医になりたいなと思った事がある。
実際にテルパスが開発した医療機器を使用してオペするのは不謹慎だけど楽しく、そして私が執刀した死にかけていた患者が回復して退院していくのをみるととても嬉しく感じた。

翔琉の側で、営業と開発のアシスタントを勤める事に不満はなく、テルパスで役に立つ知識を学びたかったから、私は医学部にさせる進んだ。

「相馬、お前、救急医として東京大学病院に戻ってこい!!」

大学からずっと班やチームが同じで、初期研修の時も科を一緒に回ってた腐れ縁過ぎる瀬坂将生に、病院で顔を合わせるたびに壁に追い込まれ脅されるから、私はかなり困ってた。

「相馬さん、久しぶりだね。相馬専務は出張?」

「はい、3日ほど、私が代理で来院します」

東京大学病院に着くとまず、消化器外科部長の内藤部長の所へ挨拶に伺う。
私の指導医をして下さってた先生で、内視鏡システムについて語り始めたら止まらない内藤部長からこんな機能あったらいいな話を伺い、その後、外来と病棟にある内視鏡システム合計21台の録画されてるデータを集めに回る。

「相馬さん、久しぶり。今日は2枚目のお兄さんじゃないんだ!!」

「うん。兄さんは3日間出張で、だから私が代理できた」

「あっ、今日、1日いるよね?お昼、一緒にしよ!!」

同期の中川遥香先生にランチに誘われる。
初期研修が同じ同級生とはそれなりに仲良くしてる。
僻みや妬みで当られたりとかした事もあったけど、傲慢な性格じゃなく動じずに目の先の事をただ熟す私に対し、受け入れてくれるようになった。

中川先生が他の同期にも声をかけてくれたようで、従業員用の食堂に懐かしいメンツが揃う。
外来担当で昼休憩に病棟を回診しないといけないメンバーもきてくれた。
オペ中以外の10人のメンバーが集まってくれた。

「休日と夜間医、ありがとうね。こないだ、私が気づかなかった病原を見つけてくれてありがとう!!」

私がヘルプで入るのは盆正月と祝日以外は月に4~5回しかない。
夜勤勤務でも準夜勤で17時から2時のシフトで、土日は基本的に昼間しか入らない。
専門医ではないけど、基本的にどこの科でもやっていける。
夜間休日だから救急外来になるんだけど、内科から外科、循環器、消化器、脳外、整形、精神科までなんでも熟せる。

「瀬坂は?あいつ、今日は心臓外科だろ?」

夜間休日の救急は対応していても、ドクターカーやドクターヘリの駆けつけ救急はないから専属の救急医はいなくて。
勤務年数が短いと救急医にはなれない。
どこかの医局に籍を置き、専門的な事を学びながら救急に勤務する形になる。

「緊急オペ。でも、あいつ、相馬さんを虐めるから声かけられてない」

私に東京大学病院に医師として戻ってこいとしつこい瀬坂。
私が怯えてるから、中川先生は声をかけないでいてくれた。

「相馬ちゃんが来てるってわかったら、あいつ、絶対にくるだろう。大学の時から相馬ちゃんに一途だから!!」

医学部を首席で入学し卒業した瀬坂。
高身長で足が長く、引き締まった体をしていて、切れ長の目に鼻筋が通った知的なきれいな顔立ちをしてる彼はミスター東大に選ばれたぐらいカッコいい。
だから、かなりモテてた。
でも、特定の彼女は作らず、他校のきれいどころやモデルと体だけの付き合いをしていたとかで最低極まりない男だ。
それなのに、告白されたとかはないけど常に私に対してちょっかいを出してきて、レポートや実験などで身柄を拘束された私はかなり迷惑だった。

体を触られたとかはなく、一緒に勉強していただけだけど、瀬坂の事が好きな女子から嫌がらせを何度かされて嫌な思いをした。
感の働く瀬坂に、公開処刑されてたけど、そういうのが煩わしかった。

「よっ、相馬、1週間ぶりだな」

オペの後でいつもい以上にテンションがまずい、トレーに焼き肉定食をのせた瀬川が私達のところにきた。

そして、私の前に座ってた呼吸器内科の安田香奈先生に目を向け威圧し席を移らせそこに腰を下ろした。

「午後からは心臓外科と脳神経外科にも顔を出すんだろ?」

医療手術ロボット総司はガンやポリープなどを切除する「腹腔鏡手術」に使われていたが、心臓外科分野の僧帽弁形成術、心房中隔欠損症手術、冠動脈バイパス術などや、脳神経外科分野の脳梗塞、脳出血、脳動脈瘤の血管内手術や開頭クリッピング術に使用されるようになった。

小さな穴に内視鏡カメラと3つのロボットアームを挿入し、医師が3Dモニターを通して術野を目で捉えながら、実際に鉗子を動かしている感覚で手術を行う。
そのアームの先端部分にいわば手首のように曲がる関節があって、医師の操作によってお腹の中で先端の向きを比較的自由に変えることができる。

3Dモニターを見ながら手を動かす感覚を掴むのが難しいのもあり、年配の教授や医部長よりも若い瀬坂の方が完璧に使い熟すため、代手として操作をしてる。

お腹に複数の比較的小さい穴を開け、内視鏡と鉗子やピンセット、尖刀等のアームをその穴からお腹などに入れて、カメラとアームを使って手術を行えるから傷口が小さくて身体にやさしく、早期に社会復帰できる。

ロボット手術を熱望する患者は多い。

人の手で行う腹腔鏡手術と同じ方法だが、人の手だと血管など大切な周囲の組織を傷つけずに患部を切ったり縫ったりするのは繊細すぎて難しく、手術の続行が困難だと医師が判断した際は、開腹手術に移行するケースが出てる。

腹腔鏡手術よりリスクが低いため、予約待ちで高額だとしてもロボット手術を選択する患者は多い。

「医療手術ロボット総司に自動でオペする機能つける試みをまだしてるんだ」

「……うん」

「複雑な術式を人工知能がこなせるようになるとは思えない」

私の閃きで開発を進めてる医療手術ロボットにAIシステムを搭載し、患部と術式を指示したら自動オペできるようにする試みを瀬坂はリスクがあると否定してくる。

「今日、俺、ずっと医療手術ロボット総司で執刀するから、それ見て勉強しな!!」

東京大学病院で1番の医療手術ロボット総司を使い熟してるのは瀬坂。

午後から4時間、オぺの中継映像を別室で見せて貰い、オペの履歴映像を持ち帰った。

瀬坂の惚れ惚れするオペ捌きに不本意だけど、見惚れてしまった。

「相馬、2人でメシ行こうぜ」

脳神経外科での予定オペが終わり、東京大学病院にある7台の医療手術ロボット総司のオペ履歴映像をノートパソコンへ入れ、動作に関する聞き取りを終え、病院を出た。
出口でスマホをいじりながら立ってた瀬坂が私を待ち伏せをしていて、私の手をひいて待たせてたタクシーに私を連れ込む。

「明日、オレ、夜勤勤務だから、銀座に飲みに行こう!!」

タクシーに揺られて20分ほどで銀座の街につく。
機密情報が入ったノートパソコンを瀬坂に奪われ、強制的にグランドプリンセスホテル銀座の最上階にある鉄板焼きの店に連れて行かれた。

「……よく生肉食べれるね」

牛に馬、鶏などのいろんな部位の生肉の刺身を口に運ぶ瀬坂に、冷たい眼差しを向ける。
映像でも外科手術で内臓部分と血を長時間見ていたら、肉を食べる気がおきない。

目の前でシュフが豪快に山形牛と宮崎牛を焼き上げる。
そして、真っ赤なワインをグラスに注がれる。
最高級の味なのはわかってても口にする気が起きず、海鮮の鉄板焼きと帆立と甘海老のカルパッチョとシャンパンを注文し、口にする。

「オペの後って無性に生肉が喰いたくなるんだよな」

5人前の生肉の刺身と2人前のA5ランクのサーロインステーキに舌鼓を打ちながら、瀬坂はソムリエがおすすめする赤ワインを口にする。
人肉を切り刻む外科医のこの姿は異様だ。
怒らせたら首の動脈を切られ血を抜かれ一滴残らず飲まれ、肉は切り刻まれて食されるのではと、恐怖心にかられてしまう。骨も出汁を取られスープにするかもしれない。

「……人肉は喰わねぇーよ」

私が妄想していた事が読まれ、溜息をつかれる。

「……別の意味でおまえの事を初めてあった日から喰いたいと思ってるが、嫌われたくないから喰わない」

ソムリエのおすすめワインをボトルで飲み、完全に悪酔い始めた瀬坂。
明日、夜勤勤務だからとハメを外しすぎなのでは思いつつも止めない。

酔い潰れて寝ちゃったらホテルスタッフを呼んで高額なsuite roomに1人で置き去りにしてやると腹の底で思いながら、ちびちび白ワインを飲みながら海鮮料理を口に運ぶ。

「ーー残念だったな。俺は悪酔いするが寝落ちはしないから。suite roomに道連れにしてやる」

ブラックホール並の胃袋に注文した料理を全て入れ、ブラックカードで支払った瀬坂。

瀬坂の手には私のパソコンバックが人質でなく物《もの》質として取られていて、帰りたくても帰れない。

「……兄妹で如何わしい事をしてるんだろ。その兄ももう年齢的にそろそろ結婚しないといけないし、もうお前の相手はしなくなる。結婚してからもお前と体関係持ってたらゴシップでテルパスの評判が下がるな。兄妹でやってるだけでアウトか」

瀬坂に、私と翔琉が血の繋がりがない事を話してない。
社内の一部の人は知っているけど、過去の悲惨な殺人事件についての話を蒸し返す事になるから外部に漏らさないようシークレットな事にされてる。

瀬坂に耳元で脅され、私はsuite roomに連れていかれた。

翔琉以外の男に唇を奪われ、口の中に舌を割り込まれ舌を絡み合わせる。

suite roomに入るなり、瀬坂に壁に追い込まれ、両手を突いて身動きできない拘束された。
そして、淡いピンクシフォンのトップスの下から手を入れられ、右胸の膨らみを掴まれる。
ディープなキスを辞め、トップスを捲し上げ、ブラジャーから乳房を掴みだすと左の頂きに吸い付き、右は先端を指で掴まれこすられた。

「……イヤらしい。勃ってる。……ここもびちょびちょ。兄妹で毎日、やってたんだな」

紺のフレアースカートに右手を入れられ、ショーツの上から割れ目を触られると、はしたない事にクチュクチュ音がし、翔琉以外の人にされてるのに愛蜜が溢れている事を悔しく感じた。

自分がこんな淫乱な体だとはおもってなかった。

クラッチ部分から指を入れられ、敏感な芽を擦られただけで軽くイッてしまい、そんな私を横抱きに抱き上げ、瀬坂はベットルームに連れていく。

キングサイズのベッドの上に下ろすとすぐに私が身に纏ってる衣服を剥ぎ取り、瀬坂も着ているスーツを脱ぎ捨て、私に覆い被さる。

そして、避妊具をつけずに私の秘所に欲情し昂まった雄竿を挿入し腰を打ちつけてきた。

「……狭くて締めつけてくる。最高にいい。これを知ってしまったら、他の女とはできないよな。だから34になっても結婚できないのか」

私の胸の谷間に欲望の白いエッセンスを吐き出し、瀬坂が言った。

「……兄妹では結婚できない。兄貴の事を思うなら抱かれるな。おまえの体、中毒性ある」

ティッシュで私の体に吐き出した欲望を拭き取り、治らない雄竿をまた私の中に入れ、耳裏から首筋、胸元、お腹、腕や太腿に赤い痕をつけていく。

「……お、お願い、やめて……」

「嫌だね。この痕、兄貴には見せれないな。兄貴と体の関係を持つのは辞めろ。体が疼くなら、いつでも俺が相手をしてやる!!」

全身に赤い鬱血痕だけでなく、歯形までつけられた。

そして、プレイボーイなのもありテクニックを駆使して私を抱く。

生肉を喰いまくってただけあり、陽が登る時間まで私の体を貪り抱き、欲情を放出する。

外出しは避妊にはならないんだけどなと思い、アフターピルを処方して貰わないといけないと思いながら気を失った。

朝目覚めると翔琉以外の温もりと匂いに包まれ目覚め、脚の付け根に違和感を感じて見てみると、繋がったままで唖然とする。
強く抱きしめられてる腕から抜けだし、抜くと白い欲望のエッセンスが溢れでてきてかおをしかめる。

シャワーを浴びて洗い流したいけれど、瀬坂が目覚めたら嫌だから急いで服を着て、パソコンバックとハンドバッグを忘れずに持ち、ホテルからでた。

家に戻り、シャワーを浴びてから、新宿駅側にある女医さんが経営してるレディースクリニックへ行き、生理周期を整えるピルとアフターピルを処方して貰う。

女医さんが目を丸くし、警察に相談するよう声をかけるぐらい、私は体の至るところに赤い傷をつけられてる。

マスコミ沙汰にはできないから、自己防衛しかできない。
瀬坂に孕まされ既成事実を作られ結婚させられるなんて有り得ない。

だから、排卵日には絶対に東京大学病院にはいかないと心に決めた。




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