Substitute lover

鳴宮鶉子

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出ていく事を許して

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「……将也と翔太は私の息子。ちゃんと2人の事を考えてる。本郷のマンションで親子で暮したい」

将生と暮していた本郷にあるマンションはそのままにしてた。
2人で暮らしてたのは1年ぐらいだったけど。思い出が詰まっていて、手放す事ができなかった。

時々、家の中の空気を変えに中に入ると、将生と暮らしていた日々の事を思い出し、涙が溢れてくる。

相馬の家での生活は、家事は家政婦さんがしてくれて、息子達のお世話も父と母と翔琉が手伝ってくれる。

病院までの通勤が車で40分かかるのがネックだったけど、仕事に打ち込める事ができて助かってた。

将生と2人で暮らしていたこのマンションで息子達と3人で暮らそうと決めた理由は、息子達と翔琉を引き離したかったから。

息子達の父親は将生。だけど、息子達は一緒に暮らし、相手をしてくれる翔琉の事を父親のように慕うようになった。

オペが長引いて帰宅が遅くなった日。
息子達は翔琉とお風呂に入り、翔琉の部屋にあるベッドの上で寝てたりする。
翔琉は血の繋がりのある翔太だけでなく将也の事も分け隔てなく可愛がってくれてる。
週末も朝イチでオペした患者の回診をするために病院に行かないといけなくて、その時に急変した患者さんや救急搬送された患者さんがいたらオペに入らないといけなくて、息子達に寂しい思いをさせてる。

そんな私の代わりに、翔琉が息子達を遊びに連れ出してくれてた。

ーー助かってはいる。

でも、翔琉が息子達のお世話をして懐かれてるのをみてると、将生に対する背信行為に感じ、複雑な気持ちになった。

それに翔琉は今も私の事を女としてみてる。
女の部分を出さないに気をつけるけれど、翔琉は私の事を時より欲情で熱をもった瞳で見つめてくる。
気づかないふりをしてるけど、それが私は嫌だった。

私以外の女性に、翔琉は雄として機能しないと愛美さんが言ってた。
それは、確かだと思う。

翔琉が吉原セレナと関係を持てたのは、私とセレナがはとこの関係だから血の繋がりがあるから体のパーツが似てたから。
体の線や髪の質は同じで、それだけでなくセレナは私の顔をキツくしたような顔立ちをしてた。
だから、翔琉はセレナを抱く事ができたんだと思う。

翔琉がセレナと結婚前提で付き合って破談にしなければ、私は彼女から腹いせで命を狙われる事はなかった。
将生が殺される事もなかった。

翔琉のせいではないけど、そう思ってしまう自分がいた。

翔琉の事を血の繋がりはないけど、私は兄として思うようにしてる。
かつては愛していた人だけど、セレナと関係を持っていた翔琉に対して、私は憎しみの感情を抱いてしまいそうになるから。

ーーだから、私は翔琉と距離をとって接さないといけない。


相馬の両親は本郷のマンションに引っ越す事を許してくれた。
専業主婦をしてる母は何かあれば車で駆けつけるといってた。
離れて暮らすのは寂しいとは言ってたけど、私の想いを尊重してくれた。

だけど、1週間前に相馬の家を出ていく事を翔琉に伝えたら、反対された。

本郷のマンションに引っ越したら、通勤時間が短くなる。
予定オペの執刀医として勤務してるから、規模的に残業はない。
平日は夜7時には家に帰って、息子達とご飯を食べてお風呂に入って寝かしつけてる。
週末も朝イチで回診へ行き、早く帰るようにしてるのに、いつも私が帰ったら翔琉が息子達を連れて出かけてる。
だから、溜まってるカルテの整理をしに病院に戻ってた。

それに、テルパスの医療機器の開発の仕事を翔琉から任されてるから、家でそれをやらないといけなくて、息子達の相手をする時間がなかった。

翔琉に家を出る事を反対されても、従うつもりはない。

だから、何を言われても聞きながせばいい。

「……ここから出ていく事、許さないから」

一方的に母親失格だと罵られていたら、翔琉が近づいてきて、私をベッドに押し倒し、噛み付くようなキスをしてきた。
息子達が眠るベッドの隣にあるベッドの上で、私はダボダボなトレーナーとインターを脱がされた。
ブラジャーを寝る前につけてないから露わになった胸を張って翔琉に両手で掴まれ、弄られ、吸われた。

「ーーやっ、……辞めて!!」

「……静かにしないと双子が目を覚ますよ」

左手で両手を捕まれ、頭上で押さえつけられる。
右手でレギンスとショーツを脱がされ、将生が亡くなってから誰にも触らせてないとこにいきなり指を差し入れられた。
潤ってるわけなく、乾いてるそこを無理やり広げられ、感じるはずの芽を親指の腹で擦られる。

感じるわけない。
脳裏でセレナが翔琉によがって喘いでる声が流れた。

愛蜜は溢れないけど、涙は溢れてくる。

そんなのはお構いなしで、翔琉は潤ってない蜜口に昂まった雄竿を割り入れ、私の腰を掴み、乱暴に腰を振る。

何度も潤ってない蜜壺を貫かれ、痛みと哀しみに私は声を殺して泣いた。

「……心愛、愛してる。お願いだ、俺の側にいてくれ。俺と双子を育てよう。俺を父親にしてくれ!!」

翔琉はそう言いながら、明け方まで私を抱き続けた。






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