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ワンナイトらぶ未遂

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ふわふわしてるけど沈む身体しっかりと包み込むこの質感はは最高レベルのフランス製のマットレス。
家のニトリンオリジナルのマットレスとは全然違う。

目を覚ますと私は、黒を基調にしたモダンな雰囲気のたぶん格式の高いホテルのデラックスルームの寝室のダブルベットに1人でぽつんと寝かされてた。

起き上がろうとしたら腰にズキンと激痛が走り、立ち上がって歩くのがつらい。

昨日、お酒を飲みすぎたからもトイレに行きたくなって、なんとか歩いていき、座るも……。
「……痛い」
バスローブだけ羽織ってるから下がスースーし、下腹部を冷やしてしまったからか、出血をしていて焦る。
生理は1週間前に終わったから、不正出血してるようだった。
想像妊娠でなく想像処女喪失かなっと苦笑いしてしまう。

昨日、酔いすぎて歩くのも喋るのもままならず、『仕方がないな』と大翔が私の希望を叶えてくれてタクシーでハリウッドホテル銀座に連れていってくれた。
そして、デラックスタイプの部屋をとってくれて、一緒に客室に入るも、ベッドに私を寝かすと部屋から出て行こうとした。
なんとか起き上がり、ふらふらな身体で大翔の後姿にしがみつき、『行かないで!!』と泣きじゃくり、私は意識を飛ばしたのを覚えてる。

明け方に目覚ました時、人肌に抱きしめられていて、それが気持ちが良くて、私はぎゅっとしがみついて深い眠りについた。
記憶では何も身に纏わずに裸で抱き合って眠ってたはずなのに、バスローブを身に纏っていて、頭の中は???で混乱する。

夜中の記憶はたぶん、夢の中での出来事だったのだろう……。


仕事で絡みがある関係だから真面目な大翔は私に手を出すはずがない。

拓磨さんに私に手を出すなと牽制もされてる。

中学校に入学してから6年半付き合っていたけど、私と大翔は身体が合わなくて、大翔は私と別れるためにマサチューセッツ工科大学に留学したのだから、私を抱こうとするはずがない。

週明け、何もなかったように、お互い仕事に打ち込む。

私だけが泊まったデラックスルームの宿泊料は大翔が支払ってくれてた。
返したいけど、返すタイミングが見つからず、派遣期間が終わる日に封筒にお金を入れて、大翔に感謝の気持ちに何かプレゼントを購入して一緒に渡す事にした。

馬島建設での派遣期間は残り3ヶ月。
セクハラ狸部長から『馬島建設に戻って来い』と言われ、拓磨さんからも『俺の嫁になって福岡に来い』と壁ドンされた。

BARには行ってない。
大翔は拓磨さんと行ってるみたいで、凛花ちゃんから“拓磨さんが釣れた”と証拠の画像が添付されたLINEメッセージが2度届いた。

なんとか4ヶ月で設計図書を仕上げ、盆休みが挟む中で施工に向けて協力会社への依頼と建材の発注をし、9月の終わりに馬島建設への派遣期間を終えた。



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