貴方の子を産み育ててますが、ホッといて下さい

昼顔 side 麗奈

クリスマスイブの計画が崩れ、苛立ちを拭えない。
パーティー自体は楽しかった。
100万円投資した価値はある。
ママ向けのワインが合うブッフェメニューを用意したせいか、子供達はスイーツしか食べる物がなく、真面目なママが多いのかアルコール飲料と料理はあまりに余って、退屈して暴れる子供の顔色を伺い途中退席する親子が多数いて、ちょっと残念だった。


「大虎、理翔を殺す計画、立ててるよね！！」

『……幼稚園冬休み入ったから無理だろう』

役に立たない。
知能指数が低く手が焼く可愛くない翔真。
産むんじゃなかったと後悔する。
28日までは預かり保育で18時まで幼稚園に押し付けられるが、その後が悲惨だ。

夫は仕事を理由に部屋にこもってでてこない。

シッターさんを雇ったが、翔真をコントロールできるとは思えない。
社会見学と言って家から追い出そうと思ってる。

「23歳で女が枯れるって悲惨。鬱憤晴らしにいこう……」

親に泣き倒しで入った短大を妊娠と結婚を理由に辞め、アメリカに逃げた私。

もったいない事をしたかも。

大学生活。
同級生のインスタやXを見ると、サークルにコンパ、色欲に呑まれた生活を送ってる。

羨ましくてならない。

日本に帰国してからは、シッターさんに翔真を託して、既婚者誤魔化し合コンに参加してカッコいい同世代の男の子と一夜限りの関係を持っている。

朝帰りしても、夫は私を咎めない。
愛されてない。

「夫、海外出張で月末まで帰ってこないから。シッターのふりしてたら大丈夫だから」

ストレスからか性的欲求が治らず、大虎を家の中に招き入れ、夜な夜な私の性欲の発散に付き合わせる。

「……麗奈、夫と離婚して俺と結婚しない？その方が幸せに暮らせると思うぞ」

愛されない生活より愛される生活の方が幸せ。
裕福な生活を送れなくても、そう思える。

「タワマンは無理だけど都内の2LDKマンションを購入するぐらいの蓄えはある。翔真と3人で暮らさないか？」

上流階級の暮らしに憧れて、翔輝と策略婚した。

だけど、幸せではない。

「無理。私は上級階級の生活を送りたいの！！」

父が企業した会社が高3の冬に倒産した。
同じ時期に両親が亡くなった彩音は親身に寄り添ってくれる年上の彼氏がいて、負債額がなく失う物がなかった。

羨ましかった。

「今、…‥手を引いた方がいい気がする。翔真の未来も考えると、これ以上は手を汚したくない」

輪姦事件は恥なのもあり表沙汰にならない。
両親が事故死した彩音は被害届を出さず、泣き寝入りしていた。

「お願いだから、理翔を東京湾の海に沈めて……」

私は幸せな家庭に飢えていた。