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京都での毎日は、ゆっくりと時間が過ぎ、毎日が過ぎ去っていく。
特にやることも無く、自宅にこもり、パソコンに向かう。
でも、ずっと小説が描けないでいた。
理由は、経験不足。
想像力だけでは描けなくて、でも、顔バレをしてるから、経験をするために就職するのは難しく、途方にくれていた。
ジプシーの夏のアニメ映画はなんとか納得がいく小説になった。
でも、それ以外は描けなかった。
今まで大学に通いながらも、年に5~6冊は出版してきた。
それが、去年は3冊しか出せなかった。
その内の2冊は、たぶん、わたしらしくない駄作…。
そんなわたしなのに、3月の終わりに放映開始された実写映画【君の奏でる世界】で、晴翔と拓海と3人で歌った主題歌がなぜか、週間売り上げ歴代1位を記録し、わたしの歌唱力についてが話題になった。
晴翔と拓海とわたしの3人のコラボだから人気が出たと思う事にする。
小説が描けない小説家のわたし。
自分が情けなかった。
晴翔と拓海が側にいないと、わたしは輝けない。
晴翔と拓海。
特に、晴翔はいつもわたしに気をかけてくれて、気づいたら側にいて、いつも隣にいた。
晴翔の創り出す曲は、わたしの好きなメロディーでできてる。
いつも、曲作りの時にわたしは彼の隣にいた。
そして、出来上がったら1番にわたしに歌って聞かせてくれた。
音楽活動を始めた時、始めは晴翔と拓海はコンビでやってた。
それが、別々に、曲を出し歌うようになったのは、晴翔とわたしが曲作りをしていて、それに不満が出たから。
別々に曲を作って活動しても、晴翔と拓海は親友だから、いつも一緒にいた。
拓海は曲作りはできても歌詞が描けず、いつも私に泣きついてきてた。
私の小説執筆も、晴翔が側にいたから、ストーリーが思いついて描けて他のかもしれない。
私、晴翔に恋心を抱いてた。
でも、お互いのクリエーターのパートナーとしてのこの関係が居心地が良くて、一歩踏み出せなかった。
私が晴翔の前から居なくなり、3ヶ月半後に再会した日。
晴翔はかなりやつれてた。
大学院で学んでいるCGグラフィックの技術が高度で研究が大変だったのもあると思う。
でも、私を必要としていてくれて、私が居ないと耐えられないと言ってた気がする。
私も、晴翔がいないと、小説を執筆したくても、ストーリーが思うように浮かばず言葉にならない。
世間一般はロングGW。
私は毎日休みだから関係ない。
観光で京都を訪れる人が多くなる。
小説家と顔バレしてる身だから、一応ダサ眼鏡で変装して外出する。
書店に行き、有名な作家さんの新刊を大人買いし、私が出した本のコーナーを覗く。
中学生ぐらいの女の子達が、私の書いた小説を手に取り、興奮して話してた。
『初瀬凛音の本、売り切れで手に入らないんだよね。ここにあって良かった』
『初瀬凛音、天才だよね。アーティストの晴翔と拓海と中学からの同級生で3人でクリエーターとして活動してきたって』
『歌唱力もあって、歌い手としてこれからも歌声を聴かせて欲しい』
女の子達の話を盗み聞きをし、照れてしまった。
コラボ曲が大ヒットした影響で、私が今まで出した本の売れ行きが好調で、書店から消えてるとニュースで言っていた。
本当だったんだ…。
女の子達が去った後に、私の書いた小説が置いてあるコーナーを見ると本がほぼ完売状態で、入荷未定と紙に書いてあった。
書店から出て、自宅マンションへと歩く。
私が描いた小説を読んでくれる読者がいる。
そして、1度だけのつもりだったけど、私の歌声をまた聴きたいと言ってくれてる。
それが、私のことを認めてくれてるようで嬉しかった。
マンションに着くと、変装してるつもりの晴翔と拓海がいた。
グラサンとキャップの帽子
iPhoneを見るとLINEがきてた。
GWだから、大学院が休みだから遊びに来てくれたんだろう。
デュックサックを背負ってるから、泊まる気なんだろう。
一応、空き部屋にもう一つパイプベッドと布団を用意していて良かった。
LINEに気づかなかった事を謝り、2人を自宅に通した。
ヒメウズラのひよりは、久しぶりに会う晴翔と拓海に喜んでた。
すぐに手に乗り、甘えてた。
2人を置いて、マンションの1階にあるスーパーでご飯の材料を買う。
2人に手料理を振る舞い、喜んで食べてくれるのが嬉しかったりした。
今日は美味しそうなカツオのタタキがあったからそれと、肉じゃがにしよう。
後は、季節の野菜のてんぷらと唐揚げを少し出そう。
朝食のサンドイッチの材料も買い、会計をした。
そして、マンションの部屋に戻った。
買い物から帰ってくると、2人はリビングの端に置いてあるデスクトップのパソコンでなにかをしていた。
大学時代に使っていたパソコンで、それには楽曲プログラムを入れていて、曲を作って流ようだった。
2人をそのままにして、わたしは夕ご飯の支度をする。
「凛音、ちょっと来て?」
拓海に呼ばれて、肉じゃがの鍋の火を消して、デスクトップのパソコンのところへ行く。
「夏休みのジプシーのアニメ映画の曲の依頼来てて、主題歌をまたこのトリオでやろうかって思ったんだけど、ダメ?」
拓海が得意技、おねだりをしてきた。
さっきの女の子達の会話を聞いたから、受けたい気もするけど悩む。
「主題歌1曲と挿入歌2曲。俺はデュエットせずガチでソロで3人で勝負したいなって思う。凛音、1人で歌って見ない?」
パソコンをいじってた晴翔が、オルゴールの音を基調にしたきれいなメロディーの曲を流した。
「俺が凛音の声に合うメロディーの曲を作った。これを凛音に歌詞をつけて歌って欲しい」
真剣な眼差しで、晴翔がわたしを見た。
晴翔と作曲の腕も大学院で培った技術もあるのかかなり上がっていた。
大学院での研究と曲作りで寝不足な日が続いてたのか、少しやつれてる晴翔。
「今日と明日で3曲に歌詞作って。明後日はポリポロでレコーディングするから。凛音がソロで歌う気ないなら、トリオで別の曲を出す。一応、その曲も作ってきた」
コラボ曲用の別の曲を晴翔が聞かせてくれた。
さっきの私がソロで歌う用に作った曲のメロディーの方が、かなり良かった。
映画のストーリーにも合う。
「夕ご飯食べ終わったら凛音は3曲に歌詞をつけてね。凛音、ご飯もうできた?久しぶりに凛音が作るご飯を食べれるの楽しみにしてた」
拓海がお腹をさすって言った。
肉じゃがは完成し、カツオも切って皿に盛り付けて冷蔵庫に入れた。
レタスとトマトとアボカドサラダも盛り付けて冷蔵庫の中。
リビングの机の上に、手料理を並べていく。
そして、2人に先に食べて貰って、アスパラとレンコンとキスゴとエビの天ぷらを揚げて、最後に唐揚げを揚げた。
晴翔と拓海は唐揚げが好き。
料理を全て運んで、キッチンをパパッと片付けてわたしも2人と一緒に食べた。
1人での食事より、準備は大変だけど、楽しいくて美味しく感じる。
食事を終え、片付けをして、晴翔と拓海とパソコンでできあがった曲を聴いて、それに言葉をのせていく。
小説は書けないのに、晴翔と拓海が作った曲には、自然と言葉が浮かぶ。
わたしが描いた小説の曲だから、ストーリーに合う言葉が出てくる。
「凛音、もう一曲だけど、どうする?コラボ曲にする?それともソロでやってみる?」
悩んだ。ソロの曲のメロディーがとてもきれいで好きだから。このメロディーをいろんな人に聴いて貰いたい。
「…ソロでいく」
「じゃっ、この曲に歌詞をつけて」
さっき聴かせてくれた素敵なメロディーを晴翔がもう一度聴かせてくれた。
自分が歌うとなると、言葉が出てこない。
晴翔がわたしに、合いの手を入れてくれて、イメージをわかしてくれて、1時間以上かけてなんとか歌詞をつけた。
2人はできあがった歌詞に曲が合うようアレンジを加えるとかで、わたしは先にお風呂に入り、寝かせて貰った。
わたしが歌詞をつけ終えたのが午後11時。
わたしが寝室に入った時には日をまたいでた。
たぶん、午前2時過ぎまでアレンジをしてたと思う。
わたしが起きたら、2人はリビングに倒れこむように眠っていた。
シャワーも浴びずにそのまま、ぶったおれたらしい。
起きてきた2人を順番でシャワーを浴びらせ、ブランチにツナと卵とハムレタスのサンドイッチとコンソメスープを出した。
歌の練習はさすがに普通のマンションでは近所迷惑になるから、iPhoneに曲を入れて、カラオケボックスで練習をした。
5月5日の午前9時の新幹線で東京へ向かう。
いったん、晴翔の億ションに行き、ひよりをひよりの別荘に入れた。
今日が金曜日だから日曜日の夕方の便で京都に帰る事にし、明日と明後日の衣類を持ってきた。
ポリポロには14時にレコーディングに行くと話してるらしい。
GWなのに、申し訳ない。
本来は、12月の中頃に話が来て、3月末には仕上げていないといけないのに、このギリギリの時期に出すなんて、大学院生だから仕方がないのか…。
レコーディングは昨日、カラオケボックスで練習したものの、パソコンで作ったメロディーにキーボードとギターの音を入れ、歌を入れるから、NGを出さなくても時間がかかる。
やっつけ仕事で23時に終わらせた。
CDのカバー写真は明日の午前中に撮る事にし、今回も裏に小さく載るぐらいで、映画の主題歌、挿入歌感を出すよう、スタッフに晴翔が話していた。
3曲を提出し、この中で一番良い曲を主題歌にし、後の2曲は挿入歌として使うらしい。
ソロで曲を出してるけど、腐れ縁トリオにグループ名を付けた。
【メトロノーム】
大学時代、わたしも小説家として活動をしていて、2人の曲の作詞をしていたけど、孤立感を感じてた。
でも、同じように、作品を生み出して、多くの人に喜んでもらって楽しんで感動してら貰った。
同じ方向を向いて歩いてた。
晴翔がポリポロのプロデューサーに、
『どの曲が主題歌になるかは、映画が出来上がって公開予告が始まるまでは言わないで欲しい』
と、お願いしていた。
土曜日、14時に晴翔の億ションに帰り、晴翔と拓海は仮眠すると各々ベッドに入った。
わたしは晴翔からカードキーを渡されてたから、地下の高級スーパーに買い出しに行く。
サーモンとホタテとアボカドのカルパッチョとハンバーグ、マカロニサラダを作る事にした。
明日のブランチ用にパンも買う。
いつもはサンドイッチ用のパンを買うけど、今回はロールパンにした。
帰ってから、ご飯の準備に取り掛かる。
18時に2人が起きて来た。
料理をリビングのテーブルに並べて、懐かし話をしながら食事をした。
日曜日はコロッケとエビフライと作り置きしたマカロニサラダを夕食にし、昨日今日と呑んだくれてる2人を放置して、ひよりと京都へ帰った。
特にやることも無く、自宅にこもり、パソコンに向かう。
でも、ずっと小説が描けないでいた。
理由は、経験不足。
想像力だけでは描けなくて、でも、顔バレをしてるから、経験をするために就職するのは難しく、途方にくれていた。
ジプシーの夏のアニメ映画はなんとか納得がいく小説になった。
でも、それ以外は描けなかった。
今まで大学に通いながらも、年に5~6冊は出版してきた。
それが、去年は3冊しか出せなかった。
その内の2冊は、たぶん、わたしらしくない駄作…。
そんなわたしなのに、3月の終わりに放映開始された実写映画【君の奏でる世界】で、晴翔と拓海と3人で歌った主題歌がなぜか、週間売り上げ歴代1位を記録し、わたしの歌唱力についてが話題になった。
晴翔と拓海とわたしの3人のコラボだから人気が出たと思う事にする。
小説が描けない小説家のわたし。
自分が情けなかった。
晴翔と拓海が側にいないと、わたしは輝けない。
晴翔と拓海。
特に、晴翔はいつもわたしに気をかけてくれて、気づいたら側にいて、いつも隣にいた。
晴翔の創り出す曲は、わたしの好きなメロディーでできてる。
いつも、曲作りの時にわたしは彼の隣にいた。
そして、出来上がったら1番にわたしに歌って聞かせてくれた。
音楽活動を始めた時、始めは晴翔と拓海はコンビでやってた。
それが、別々に、曲を出し歌うようになったのは、晴翔とわたしが曲作りをしていて、それに不満が出たから。
別々に曲を作って活動しても、晴翔と拓海は親友だから、いつも一緒にいた。
拓海は曲作りはできても歌詞が描けず、いつも私に泣きついてきてた。
私の小説執筆も、晴翔が側にいたから、ストーリーが思いついて描けて他のかもしれない。
私、晴翔に恋心を抱いてた。
でも、お互いのクリエーターのパートナーとしてのこの関係が居心地が良くて、一歩踏み出せなかった。
私が晴翔の前から居なくなり、3ヶ月半後に再会した日。
晴翔はかなりやつれてた。
大学院で学んでいるCGグラフィックの技術が高度で研究が大変だったのもあると思う。
でも、私を必要としていてくれて、私が居ないと耐えられないと言ってた気がする。
私も、晴翔がいないと、小説を執筆したくても、ストーリーが思うように浮かばず言葉にならない。
世間一般はロングGW。
私は毎日休みだから関係ない。
観光で京都を訪れる人が多くなる。
小説家と顔バレしてる身だから、一応ダサ眼鏡で変装して外出する。
書店に行き、有名な作家さんの新刊を大人買いし、私が出した本のコーナーを覗く。
中学生ぐらいの女の子達が、私の書いた小説を手に取り、興奮して話してた。
『初瀬凛音の本、売り切れで手に入らないんだよね。ここにあって良かった』
『初瀬凛音、天才だよね。アーティストの晴翔と拓海と中学からの同級生で3人でクリエーターとして活動してきたって』
『歌唱力もあって、歌い手としてこれからも歌声を聴かせて欲しい』
女の子達の話を盗み聞きをし、照れてしまった。
コラボ曲が大ヒットした影響で、私が今まで出した本の売れ行きが好調で、書店から消えてるとニュースで言っていた。
本当だったんだ…。
女の子達が去った後に、私の書いた小説が置いてあるコーナーを見ると本がほぼ完売状態で、入荷未定と紙に書いてあった。
書店から出て、自宅マンションへと歩く。
私が描いた小説を読んでくれる読者がいる。
そして、1度だけのつもりだったけど、私の歌声をまた聴きたいと言ってくれてる。
それが、私のことを認めてくれてるようで嬉しかった。
マンションに着くと、変装してるつもりの晴翔と拓海がいた。
グラサンとキャップの帽子
iPhoneを見るとLINEがきてた。
GWだから、大学院が休みだから遊びに来てくれたんだろう。
デュックサックを背負ってるから、泊まる気なんだろう。
一応、空き部屋にもう一つパイプベッドと布団を用意していて良かった。
LINEに気づかなかった事を謝り、2人を自宅に通した。
ヒメウズラのひよりは、久しぶりに会う晴翔と拓海に喜んでた。
すぐに手に乗り、甘えてた。
2人を置いて、マンションの1階にあるスーパーでご飯の材料を買う。
2人に手料理を振る舞い、喜んで食べてくれるのが嬉しかったりした。
今日は美味しそうなカツオのタタキがあったからそれと、肉じゃがにしよう。
後は、季節の野菜のてんぷらと唐揚げを少し出そう。
朝食のサンドイッチの材料も買い、会計をした。
そして、マンションの部屋に戻った。
買い物から帰ってくると、2人はリビングの端に置いてあるデスクトップのパソコンでなにかをしていた。
大学時代に使っていたパソコンで、それには楽曲プログラムを入れていて、曲を作って流ようだった。
2人をそのままにして、わたしは夕ご飯の支度をする。
「凛音、ちょっと来て?」
拓海に呼ばれて、肉じゃがの鍋の火を消して、デスクトップのパソコンのところへ行く。
「夏休みのジプシーのアニメ映画の曲の依頼来てて、主題歌をまたこのトリオでやろうかって思ったんだけど、ダメ?」
拓海が得意技、おねだりをしてきた。
さっきの女の子達の会話を聞いたから、受けたい気もするけど悩む。
「主題歌1曲と挿入歌2曲。俺はデュエットせずガチでソロで3人で勝負したいなって思う。凛音、1人で歌って見ない?」
パソコンをいじってた晴翔が、オルゴールの音を基調にしたきれいなメロディーの曲を流した。
「俺が凛音の声に合うメロディーの曲を作った。これを凛音に歌詞をつけて歌って欲しい」
真剣な眼差しで、晴翔がわたしを見た。
晴翔と作曲の腕も大学院で培った技術もあるのかかなり上がっていた。
大学院での研究と曲作りで寝不足な日が続いてたのか、少しやつれてる晴翔。
「今日と明日で3曲に歌詞作って。明後日はポリポロでレコーディングするから。凛音がソロで歌う気ないなら、トリオで別の曲を出す。一応、その曲も作ってきた」
コラボ曲用の別の曲を晴翔が聞かせてくれた。
さっきの私がソロで歌う用に作った曲のメロディーの方が、かなり良かった。
映画のストーリーにも合う。
「夕ご飯食べ終わったら凛音は3曲に歌詞をつけてね。凛音、ご飯もうできた?久しぶりに凛音が作るご飯を食べれるの楽しみにしてた」
拓海がお腹をさすって言った。
肉じゃがは完成し、カツオも切って皿に盛り付けて冷蔵庫に入れた。
レタスとトマトとアボカドサラダも盛り付けて冷蔵庫の中。
リビングの机の上に、手料理を並べていく。
そして、2人に先に食べて貰って、アスパラとレンコンとキスゴとエビの天ぷらを揚げて、最後に唐揚げを揚げた。
晴翔と拓海は唐揚げが好き。
料理を全て運んで、キッチンをパパッと片付けてわたしも2人と一緒に食べた。
1人での食事より、準備は大変だけど、楽しいくて美味しく感じる。
食事を終え、片付けをして、晴翔と拓海とパソコンでできあがった曲を聴いて、それに言葉をのせていく。
小説は書けないのに、晴翔と拓海が作った曲には、自然と言葉が浮かぶ。
わたしが描いた小説の曲だから、ストーリーに合う言葉が出てくる。
「凛音、もう一曲だけど、どうする?コラボ曲にする?それともソロでやってみる?」
悩んだ。ソロの曲のメロディーがとてもきれいで好きだから。このメロディーをいろんな人に聴いて貰いたい。
「…ソロでいく」
「じゃっ、この曲に歌詞をつけて」
さっき聴かせてくれた素敵なメロディーを晴翔がもう一度聴かせてくれた。
自分が歌うとなると、言葉が出てこない。
晴翔がわたしに、合いの手を入れてくれて、イメージをわかしてくれて、1時間以上かけてなんとか歌詞をつけた。
2人はできあがった歌詞に曲が合うようアレンジを加えるとかで、わたしは先にお風呂に入り、寝かせて貰った。
わたしが歌詞をつけ終えたのが午後11時。
わたしが寝室に入った時には日をまたいでた。
たぶん、午前2時過ぎまでアレンジをしてたと思う。
わたしが起きたら、2人はリビングに倒れこむように眠っていた。
シャワーも浴びずにそのまま、ぶったおれたらしい。
起きてきた2人を順番でシャワーを浴びらせ、ブランチにツナと卵とハムレタスのサンドイッチとコンソメスープを出した。
歌の練習はさすがに普通のマンションでは近所迷惑になるから、iPhoneに曲を入れて、カラオケボックスで練習をした。
5月5日の午前9時の新幹線で東京へ向かう。
いったん、晴翔の億ションに行き、ひよりをひよりの別荘に入れた。
今日が金曜日だから日曜日の夕方の便で京都に帰る事にし、明日と明後日の衣類を持ってきた。
ポリポロには14時にレコーディングに行くと話してるらしい。
GWなのに、申し訳ない。
本来は、12月の中頃に話が来て、3月末には仕上げていないといけないのに、このギリギリの時期に出すなんて、大学院生だから仕方がないのか…。
レコーディングは昨日、カラオケボックスで練習したものの、パソコンで作ったメロディーにキーボードとギターの音を入れ、歌を入れるから、NGを出さなくても時間がかかる。
やっつけ仕事で23時に終わらせた。
CDのカバー写真は明日の午前中に撮る事にし、今回も裏に小さく載るぐらいで、映画の主題歌、挿入歌感を出すよう、スタッフに晴翔が話していた。
3曲を提出し、この中で一番良い曲を主題歌にし、後の2曲は挿入歌として使うらしい。
ソロで曲を出してるけど、腐れ縁トリオにグループ名を付けた。
【メトロノーム】
大学時代、わたしも小説家として活動をしていて、2人の曲の作詞をしていたけど、孤立感を感じてた。
でも、同じように、作品を生み出して、多くの人に喜んでもらって楽しんで感動してら貰った。
同じ方向を向いて歩いてた。
晴翔がポリポロのプロデューサーに、
『どの曲が主題歌になるかは、映画が出来上がって公開予告が始まるまでは言わないで欲しい』
と、お願いしていた。
土曜日、14時に晴翔の億ションに帰り、晴翔と拓海は仮眠すると各々ベッドに入った。
わたしは晴翔からカードキーを渡されてたから、地下の高級スーパーに買い出しに行く。
サーモンとホタテとアボカドのカルパッチョとハンバーグ、マカロニサラダを作る事にした。
明日のブランチ用にパンも買う。
いつもはサンドイッチ用のパンを買うけど、今回はロールパンにした。
帰ってから、ご飯の準備に取り掛かる。
18時に2人が起きて来た。
料理をリビングのテーブルに並べて、懐かし話をしながら食事をした。
日曜日はコロッケとエビフライと作り置きしたマカロニサラダを夕食にし、昨日今日と呑んだくれてる2人を放置して、ひよりと京都へ帰った。
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