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結婚してもいいのかな
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年末年始休暇初日。
毎年恒例の大学時代の友人達との忘年会に参加するため京都へ向かう。
大学時代に4年間暮らした地だけど、どうしても京都駅側にある京都ルミナリエタワーホテルが目に入ると、誠司が亡くなった忌々しい事故を思い出し、辛くなる。
桂キャンパス側の居酒屋の大部屋を予約して、38人が集まった。
「ーー萌、お久しぶり!!」
住宅メーカーのセキワハウスの名古屋支社でインテリアプランナーをしてる沢口果蓮《さわぐちかれん》ちゃんが座敷に入ったわたしに抱きついてきた。
「果蓮ちゃん、結婚おめでとう!!」
「ありがとう!!隣に座って、いっぱい話したい事ある!!」
3月の終わりに意匠設計士をしてる同じ会社の意匠設計士と結婚する果蓮ちゃん。
御主人の転勤に伴い果蓮ちゃんも東京本社勤務になるとかで、セキワハウスがある新橋付近の住みやすい土地についてなどを聞かれた。
「ねぇ、萌ちゃんは真宮くんと結婚しないの?もう、7年だよねーー」
萌ちゃんとわたしはゼミが同じだったのもあり大学時代に仲良くしていて、だから、わたしと渉の関係をよく知ってる。
「同じとこに就職して、意匠設計士とインテリアプランナーで組んで仕事もしてるんでしょ?
萌ちゃんが有川くんと思い描いてた未来予想図と同じだよね。誠司くんじゃなく真宮くんとだけど、真宮くんが有川くんの代わりになってずっと萌ちゃんを隣で支えてきた。
真宮くん、萌ちゃんの事が大好きだし、ここまで尽くさせてきたんだから、責任とって、結婚しなよ!!」
お酒がかなり入り、果蓮ちゃんが自分が結婚するからとわたしにも結婚するよう絡んできた。
「……そうだ、そうだ!!櫻井、真宮と結婚しろ!!京都ルミナリエタワーホテルの施工を請け負った下請けの建築会社、足場に問題はあるは労働時間や労働者の人数にかなり問題があった。
バイトしてたからわかるだろ?
あの事故でそ最終的にその会社は倒産して、現場で働いてた従業員は施工を依頼した馬島建設参加の下請け会社で引き受けたって話だ。
櫻井さんを庇って有川は死んだかもしれないが、悪いのは無理な労働をさせた下請け建築会社の上層部だ。
それに、有川もそう思ってるはず。有川は櫻井に生涯独身で有川の事だけを思っていて欲しいとは望んでないはずだ。
櫻井に幸せになって欲しいと思ってるはず!!」
ゼミでわたしと渉の指導をしてくれた矢澤奏翔《やざわかなと》先輩が渉を連れて、わたしと果蓮ちゃんの前の席にきた。
誠司が亡くなったのはわたしのせいじゃないと、大学の友人達も誠司の御両親からもずっと言われ続けてる。
でも、ずっと隣にいた一生共にすると思っていた最愛の人を目の前で亡くし、わたしは生き残り、生きてる事さえもが罪のように感じた。
「……とにかく、お前ら付き合ってないといいつつやってる事は恋人同士だったんだから、結婚して子供を作って幸せになれ!!
櫻井、2ヶ月間、真宮に距離を置かれて、真宮の存在が必要不可欠だと身に染みてわかったんじゃないかーー?
真宮に相談されて、しばらく距離を置けと俺がアドバイスした!!」
芸術的な建築物を設計する矢澤先輩を慕ってた渉。
わたしとの関係について、矢澤先輩に相談していたらしい。
確かに、渉との関係を終わらせてから、渉から同僚として接されるのが辛く寂しかった。
京都で1人で泊まる夜だから誠司を感じたくて、京都ルミナリエタワーホテルのシングルの部屋をとったわたし。
果蓮ちゃんと二次会で京都駅側のバーで飲んでたら、果蓮ちゃんの恋人がきて、仲睦まじい2人を見ながら甘いカクテルを飲んだ。
甘いお酒は好きで、口当たりがよくて美しいカクテルをついついふらふらになるぐらい飲みすぎてしまった。
なんとか気力で自力で京都ルミナリエタワーホテルまで辿り着いた。
ホテルの中に入り、フロントでチェックインをしていたら、渉が入ってきて、フロントで鍵を貰っていて、思わず顔を見合わせてしまう。
京都ルミナリエタワーホテルは古傷が痛むから、宿泊するどころか見えない位置のホテルをいつも予約を入れてた。
「……渉も、ここのホテルにしたんだ」
「………あぁ」
矢澤先輩にしこたま飲まされたのか、目が座ってる。
一緒にエレベーターに乗り込む、13階のボタンを押すとまさかの同じ階、そして、隣の部屋で気まずい。
「……萌、1人で眠れるか?」
部屋に入ろうとした時に渉に言われた。
「……大丈夫。おやすみなさい」
このホテルを建築中に誠司が亡くなった。
誠司が亡くなったホテルに1人で宿泊をする。
新幹線から降りて、遠目でこのホテルを見て、誠司が亡くなった事故が映像として脳裏に浮かび、パニックを起こしそうになったけど、泥酔してるから今は平気だった。
でも、部屋の中に入り、夜景を見ようと全面ガラスの窓を見たら、鉄柱が落ちてきて誠司の上に落ちて、潰され血塗れになった地面を思い出し、パニックを起こしてしまった。
ここに泊まるべきではなかった。
即死で変わり果てた誠司の姿。
わたしを庇って亡くなった誠司の所に逝こうとして、睡眠薬を大量に服用したり、飲食を絶ったりした。
そんなわたしを監視して、『生きろ!!』と言って、わたしをこの世に繋いだのが渉だった。
涙が溢れるように流れ、身体が震える。
寂しくて悲しくて辛くて、誠司の所に逝きたくて、命を投げ出すことを考えてしまうわたし。
ーーー ドン ドン ドン
完全にパニック状態に入ってたら、ドアが叩かれる音がした。
長い時間叩かれ続け、ドアを開けた。
「ーーーやっぱり、パニックを起こしてる」
泣き崩れて放心状態のわたしを渉が抱きしめた。
「ーーー 萌、死ぬな。有川の分も生きて幸せになれ!!そして、志を叶えよう!!」
渉の顔を見たら、渉も泣き崩れてた。
同じ夢を抱き、1年半、一緒に有名な建築物を見に回ったり、タワービルの建築現場で一緒にバイトをした。
世界一高いタワービルを建てたいと、3人でよく話してた。
渉の胸の中で泣き崩れるわたし。
ベッドの上で組み敷かれ、キスされ、哀しさと辛さを忘れるために愛欲に走った。
絡み合う舌と身体を繋ぎ合わせる身体。
ただ、誠司を失った寂しさと辛さを忘れさせる為に渉と身体を合わせる。
誠司ではない男性に抱かれるわたしを、誠司はどう思うだろう……。
行為を終えて目覚めた後に罪悪感を感じてた。
大学進学で東京から京都に2人で出てきてから、両親を説得して、誠司と同棲してた。
ずっと、2人、一緒にいた。
そのかけがえのない大切な人が亡くなり、1人になり、1人で眠る夜が辛く寂しくて、わたしは渉に縋ってしまった。
わたしは、1人では生きていけない。
情熱的な愛撫でわたしを感じさせ、一気に入ってきて、わたしのナカを貫き、一体化する。
渉の鍛えられたたくましい腕をつかんで、体を弓なりにのけ反らせる。
誠司に対する背信行為だけど、辞められなかった。
避妊具など持ち合わせてなく、愛欲のままに身体を繋ぎ合わせ、これで子供ができたら誠司の生まれ変わりかもしれないと、酔って理性が働かないわたしと渉は避妊をしなかった。
何度も襲ってくる快楽にはあらがえず、髪を振り乱し、わたしは悶えてた。
毎年恒例の大学時代の友人達との忘年会に参加するため京都へ向かう。
大学時代に4年間暮らした地だけど、どうしても京都駅側にある京都ルミナリエタワーホテルが目に入ると、誠司が亡くなった忌々しい事故を思い出し、辛くなる。
桂キャンパス側の居酒屋の大部屋を予約して、38人が集まった。
「ーー萌、お久しぶり!!」
住宅メーカーのセキワハウスの名古屋支社でインテリアプランナーをしてる沢口果蓮《さわぐちかれん》ちゃんが座敷に入ったわたしに抱きついてきた。
「果蓮ちゃん、結婚おめでとう!!」
「ありがとう!!隣に座って、いっぱい話したい事ある!!」
3月の終わりに意匠設計士をしてる同じ会社の意匠設計士と結婚する果蓮ちゃん。
御主人の転勤に伴い果蓮ちゃんも東京本社勤務になるとかで、セキワハウスがある新橋付近の住みやすい土地についてなどを聞かれた。
「ねぇ、萌ちゃんは真宮くんと結婚しないの?もう、7年だよねーー」
萌ちゃんとわたしはゼミが同じだったのもあり大学時代に仲良くしていて、だから、わたしと渉の関係をよく知ってる。
「同じとこに就職して、意匠設計士とインテリアプランナーで組んで仕事もしてるんでしょ?
萌ちゃんが有川くんと思い描いてた未来予想図と同じだよね。誠司くんじゃなく真宮くんとだけど、真宮くんが有川くんの代わりになってずっと萌ちゃんを隣で支えてきた。
真宮くん、萌ちゃんの事が大好きだし、ここまで尽くさせてきたんだから、責任とって、結婚しなよ!!」
お酒がかなり入り、果蓮ちゃんが自分が結婚するからとわたしにも結婚するよう絡んできた。
「……そうだ、そうだ!!櫻井、真宮と結婚しろ!!京都ルミナリエタワーホテルの施工を請け負った下請けの建築会社、足場に問題はあるは労働時間や労働者の人数にかなり問題があった。
バイトしてたからわかるだろ?
あの事故でそ最終的にその会社は倒産して、現場で働いてた従業員は施工を依頼した馬島建設参加の下請け会社で引き受けたって話だ。
櫻井さんを庇って有川は死んだかもしれないが、悪いのは無理な労働をさせた下請け建築会社の上層部だ。
それに、有川もそう思ってるはず。有川は櫻井に生涯独身で有川の事だけを思っていて欲しいとは望んでないはずだ。
櫻井に幸せになって欲しいと思ってるはず!!」
ゼミでわたしと渉の指導をしてくれた矢澤奏翔《やざわかなと》先輩が渉を連れて、わたしと果蓮ちゃんの前の席にきた。
誠司が亡くなったのはわたしのせいじゃないと、大学の友人達も誠司の御両親からもずっと言われ続けてる。
でも、ずっと隣にいた一生共にすると思っていた最愛の人を目の前で亡くし、わたしは生き残り、生きてる事さえもが罪のように感じた。
「……とにかく、お前ら付き合ってないといいつつやってる事は恋人同士だったんだから、結婚して子供を作って幸せになれ!!
櫻井、2ヶ月間、真宮に距離を置かれて、真宮の存在が必要不可欠だと身に染みてわかったんじゃないかーー?
真宮に相談されて、しばらく距離を置けと俺がアドバイスした!!」
芸術的な建築物を設計する矢澤先輩を慕ってた渉。
わたしとの関係について、矢澤先輩に相談していたらしい。
確かに、渉との関係を終わらせてから、渉から同僚として接されるのが辛く寂しかった。
京都で1人で泊まる夜だから誠司を感じたくて、京都ルミナリエタワーホテルのシングルの部屋をとったわたし。
果蓮ちゃんと二次会で京都駅側のバーで飲んでたら、果蓮ちゃんの恋人がきて、仲睦まじい2人を見ながら甘いカクテルを飲んだ。
甘いお酒は好きで、口当たりがよくて美しいカクテルをついついふらふらになるぐらい飲みすぎてしまった。
なんとか気力で自力で京都ルミナリエタワーホテルまで辿り着いた。
ホテルの中に入り、フロントでチェックインをしていたら、渉が入ってきて、フロントで鍵を貰っていて、思わず顔を見合わせてしまう。
京都ルミナリエタワーホテルは古傷が痛むから、宿泊するどころか見えない位置のホテルをいつも予約を入れてた。
「……渉も、ここのホテルにしたんだ」
「………あぁ」
矢澤先輩にしこたま飲まされたのか、目が座ってる。
一緒にエレベーターに乗り込む、13階のボタンを押すとまさかの同じ階、そして、隣の部屋で気まずい。
「……萌、1人で眠れるか?」
部屋に入ろうとした時に渉に言われた。
「……大丈夫。おやすみなさい」
このホテルを建築中に誠司が亡くなった。
誠司が亡くなったホテルに1人で宿泊をする。
新幹線から降りて、遠目でこのホテルを見て、誠司が亡くなった事故が映像として脳裏に浮かび、パニックを起こしそうになったけど、泥酔してるから今は平気だった。
でも、部屋の中に入り、夜景を見ようと全面ガラスの窓を見たら、鉄柱が落ちてきて誠司の上に落ちて、潰され血塗れになった地面を思い出し、パニックを起こしてしまった。
ここに泊まるべきではなかった。
即死で変わり果てた誠司の姿。
わたしを庇って亡くなった誠司の所に逝こうとして、睡眠薬を大量に服用したり、飲食を絶ったりした。
そんなわたしを監視して、『生きろ!!』と言って、わたしをこの世に繋いだのが渉だった。
涙が溢れるように流れ、身体が震える。
寂しくて悲しくて辛くて、誠司の所に逝きたくて、命を投げ出すことを考えてしまうわたし。
ーーー ドン ドン ドン
完全にパニック状態に入ってたら、ドアが叩かれる音がした。
長い時間叩かれ続け、ドアを開けた。
「ーーーやっぱり、パニックを起こしてる」
泣き崩れて放心状態のわたしを渉が抱きしめた。
「ーーー 萌、死ぬな。有川の分も生きて幸せになれ!!そして、志を叶えよう!!」
渉の顔を見たら、渉も泣き崩れてた。
同じ夢を抱き、1年半、一緒に有名な建築物を見に回ったり、タワービルの建築現場で一緒にバイトをした。
世界一高いタワービルを建てたいと、3人でよく話してた。
渉の胸の中で泣き崩れるわたし。
ベッドの上で組み敷かれ、キスされ、哀しさと辛さを忘れるために愛欲に走った。
絡み合う舌と身体を繋ぎ合わせる身体。
ただ、誠司を失った寂しさと辛さを忘れさせる為に渉と身体を合わせる。
誠司ではない男性に抱かれるわたしを、誠司はどう思うだろう……。
行為を終えて目覚めた後に罪悪感を感じてた。
大学進学で東京から京都に2人で出てきてから、両親を説得して、誠司と同棲してた。
ずっと、2人、一緒にいた。
そのかけがえのない大切な人が亡くなり、1人になり、1人で眠る夜が辛く寂しくて、わたしは渉に縋ってしまった。
わたしは、1人では生きていけない。
情熱的な愛撫でわたしを感じさせ、一気に入ってきて、わたしのナカを貫き、一体化する。
渉の鍛えられたたくましい腕をつかんで、体を弓なりにのけ反らせる。
誠司に対する背信行為だけど、辞められなかった。
避妊具など持ち合わせてなく、愛欲のままに身体を繋ぎ合わせ、これで子供ができたら誠司の生まれ変わりかもしれないと、酔って理性が働かないわたしと渉は避妊をしなかった。
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