救世主は元彼 もう一度彼女にしてくれますか?

鳴宮鶉子

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わたしの隣にいて

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内藤部長にビールを注がれ、こういう時は飲むべきか飲まないべきか悩む。

気づいたら3ヶ月ぐらい週末は孤独に過ごしていて、久しぶりに飲むビールは美味しかった。

「愛菜ちゃんはお祖母様の絶世の美女、結花さんにそっくりで、性格もおっとりで癒されキャラに育って良かった。
お母様の真凛さんなんて、いつもブリザードで仕事ができる人だけど女王様存在で……でも、社員全員から慕われて憧れの存在だった」

内藤部長から、わたしの母のトミタ時代の話を聞いた。
祖父もトミタのエンジン開発部長をしていて、エンジン開発に関してカリスマ的な存在だったらしい……。

「愛菜さんはその血を引くから、かなり有能なはず。実際に、まさか平均実燃費48kmをはじき出すなんて!!
東條もこの3週間、会社に引きこもって最善を探してた」

わたしの目の前に座って飲んでた渉は内藤部長にその事をバラされて気まずそうだった。

「平均実燃費48kmは世界1の低燃費だ。この際、2人、くっついて結婚したら?でも、うちの東條は現社長が引退するまではデンタにやれないから」

内藤部長はわたしと渉が元カレ元カノの関係だったとは知らない……。
わたしが渉と復縁したがってるのも……。

「優秀な血筋が途絶えるのは残念だから、うちの東條を結婚相手にしたらどうだ?
こいつ、元カノに未練ありありで仕事ができて見た目もトレンディー俳優並みにいいのに3年ぐらい彼女いない。
浮気はしないよ!!」

渉は182cmの長身で細マッチョで、知的な感じの端正な顔立ちをしてる。
かなりモテるタイプ……。

2時間の飲み放題が終わり、『後はお2人さんで!!』と内藤部長に二次会から弾き出され、困る……。

「……愛菜、近くにお洒落なバーを知ってるからそこに行こっか?」

土橋駅に送り届けられる気がしたけど、渉がバーに誘ってくれて嬉しかった。

久しぶりに2人きりになれる。

時間は21時すぎ……終電までは一緒にいたいと思った。

土橋駅近くのライブバー。
アマチュアバンドの歌を聴きながらカクテルを楽しむ。

「……愛菜、ありがとうな。愛菜が担当してくれたから目標より遥か高い燃費を出せた」

「……わたしの力じゃない。渉の力だよ」

わたしは制御システムのプログラムしかかいてない。

「……愛菜が担当じゃなかったら、初日の40km出た時点でそれで満足して終わってたと思う。
……愛菜のお母さんに愛菜を自動車メーカーのエンジン開発エンジニアに嫁がせたいって言ってるのを聞いて、俺、成果を出すためにがむしゃらに頑張った。
……俺、愛菜の旦那には力不足だとは思うからI度は諦めようと思った。
でも、愛菜の事が好きで他の女性と付き合うなんて考えられなかった。
……愛菜、俺、愛菜に相応しい男になるから、だから、俺と結婚前提で付き合って欲しい」

バーで2人きりでお酒を飲み始めてすぐに、渉に言われた。

「……わたしも渉以外の人とは一生を添い遂げられないと思った。だから、独身貫こうと思った。嬉しい!!」

バーで飲みかけのお酒を一気に飲み干し、渉のマンションへ向かった。

玄関に入るとすぐに貪るように舌を絡めるキスをし、寝室へ行き、繋がる。
あんなにゴムを持ってた渉はもう必要無いと全て処分していて、でも止まらなくて、直に繋がった。

中に注がれてもそれは喜びで、この夜、何度繋がり、わたしの中に何回放出されたかわからない。

ただ、そのたびに幸せを噛み締めた。

「わたしに赤ちゃんできたら、渉、わたしの代わりにデンタにきて仕事してねーー」

「……あぁ、愛菜のお母さん、鬼部長と伝説になる人だったらしいけど、俺、愛菜を奥さんにできるならどんな試練もしばきにも耐える」

深夜4時までお互いの身体を楽しみ、さすがに疲れて、渉に繋がったまま抱きしめられて眠りにつく直前に母の偉大さを知る。

わたしの母は、トミタのエンジン開発エンジニアにとって恐ろしい存在らしい……。

次の朝、渉を家に連れてきた。
大学時代から付き合っていた恋人で、3年間ほど友達関係に戻ったけど寄りを戻し結婚をしたいと伝えるため。

土曜日の11時30分……。
我が家のリビングで60歳前の2人はいちゃついてた。
膝枕からの父のセクハラに平手打ちをする母……。

その現場をわたしと渉に見られ、かなり気まづい空気が流れる。

「お父さん、お母さん、わたし、大学時代時代から7年間付き合ってた彼と結婚したい」

渉の手をひきリビングに入る。

「……東條くんなら愛菜を任せても安心だから結婚は構わないわ」

母がわたしと渉の方を見て優しく微笑んだ。
父も母がそういうから、何も言わなかった。

父と母が気まずそうだったから、部屋に戻り、下着と室内着と普段着と化粧品をスーツケースに詰めて渉と家を出て、渉のマンションに戻る。

そして、寝室のベッドでひたすら繋がった。
昨日、ゴム無しでやらかしたからか、手遅れな気がして、あんなにオカモトの売り上げに貢献していた渉は用意しなかった。

……だから、2ヶ月後に見事にわたしの身体の中に命が育み、渉とわたしは夫婦になった。

ちなみに、渉は修行のためにトミタのエンジン開発エンジニアを続けてる。


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