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再会は勤務先で
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午前の外来診療を終え医局に戻り、買ってきたサンドイッチと野菜ジュースのランチを食べながら入院患者の電子カルテに目を通す。
午後の外来診療前に循環器外科病棟から3人循環器内科病棟に移るから、循環器外科医との引き継ぎをしないといけないからのんびりしてられない。
「羽鳥先生、循環器外科から患者の引き受け13時で大丈夫ですか?」
「大丈夫」
循環器外科からの電話を取った看護師に聞かれそう応えたわたしだけど、腕時計の針を見たら12時50分で慌てて受け入れる患者の病室へ向かった。
13時過ぎに患者2人を連れて担当医の内藤先生が来た。
「経過良好だから、宜しく!!」
わたしにカルテを渡し、颯爽と去る内藤篤(ないとう はじめ)先生……。
電子カルテで事前に患者の状態は把握してる。
心筋梗塞で救急で運ばれ緊急オペをした50代男性の佐藤さんと、大動脈弁狭窄症でオペをした40代男性の田中さん。
2人に担当医として挨拶をし、これからの治療についてを伝え、病室を出た。
受け持ってる患者の病室を回診して、
14時からの外来診療の時間になり急いで外来診断室へ向かった。
「羽鳥先生、明日、循環器外科に新しいドクターが来るらしいですよーー!!若くて独身でカッコイイらしいです!!」
わたしが指導医をしてる研修医の綾瀬渚(あやせ なぎさ)ちゃんが午後の診療後に循環器外科の研修医をしてる友達から聞いたと大興奮でわたしに話しかけてきた。
「ふーーん。そうなんだ……」
電子カルテの入力に失念がないか確認をしているわたし。
「羽鳥先生は、社内婚活してないんですか?わたしは親から凄腕ドクターを捕まえるようしつこいぐらい言われてますけど……」
岐阜県で個人病院を開業してる父の跡を継ぐために医者になった渚ちゃん。
仕事を覚えるよりも、内科医と外科医の独身ドクターにお近づきになり交際する事に力を入れてる。
「今日最後の回診に行こうか」
電子カルテの入力を終え、内科病棟に向かう事にした。
「薬物治療を2週間続けてるけど心臓肥大が治らないから、外科手術しましょう……」
30代後半の男性、鈴木さんの胸にエコーをあて、モニターを見てわたしは判断する。
心臓肥大の原因はいくつかあり、心臓弁膜症を患っている場合は、弁形成術や弁置換術といった外科手術で治療しないと良くならない。
事前に鈴木さんに説明をしていたから、外科手術に踏み切る事を納得してくれた。
エコー機械を引いて次々と入院患者の元へ行く。
「……大動脈瘤、破裂の危険性がある大きさだから外科手術に踏み切りましょう。血栓を溶かす薬物治療を続けても効果が出てないので」
40代前半の男性、高本さんも外科手術に治療を委ねる事になり、今日は合計5人を循環器外科に回す事になった。
「明日循環器外科からまた文句言われますね」
わたしの回診をただ後ろで見てた渚ちゃん。
循環器外科は今、オペ患者が多過ぎて手が回ってないらしく、薬物治療で完治できる患者を回すなと言ってくる。
「新しく赴任してくる先生、難関なオペでも短時間で終わらす天才外科医らしいですよ!!循環器外科に気持ちよく患者を回せるようになったらいいですね」
入院患者の回診を終えて帰ろうと、渚ちゃんと更衣室に向かった。
18時までの勤務のはずが、毎日20時過ぎまで仕事をしてる。
『ピッピッピーー、ピッピッピーー』
白衣を脱ぎ大きめのCHANELの黒いバックに入れ渚ちゃんと更衣室を出ようとしたら病院専用の携帯電話が鳴った。
『羽鳥先生、高本さんが急変しました。至急来て下さい』
かなり大きな大動脈瘤だったけど、まだ大丈夫と判断していたわたし……。
看護師に循環器外科に連絡するよう指示し、急いで高本さんの病室へ向かった。
病室につくと、背の高い白衣を着た男性が高本さんの胸に聴診器をあててた。
「大動脈瘤破裂だな。至急オペするから準備して」
聴きなれた声で、その医師が誰かわかった……。
アメリカから帰ってきた 桐島和希
神の手を持つ男と言われてる天才ドクター
手術になると循環器内科医のわたしは出る幕はない。
手術室の外で、高本さんさんの手術が無事に終わる事を祈った。
大動脈瘤破裂で出血して難しい手術なのに58分で終わった。
高本さんの家族が駆けつけてくる前に、高本さんの手術は成功し、高本さんは集中治療室に運ばれた。
「患者の家族への説明は俺がするから。日和は患者に何も説明しないでいいよ。大動脈瘤破裂させた事を患者の家族から罵倒され兼ねないし、俺に任せて」
手術室から出てきた和希がわたしの頭に右手をポンと起き、落ち込んでるわたしを励ましてくれた。
8年ぶりに再会した和希に、わたしは助けられた……。
わたしの担当する患者さんの手術は和希が執刀してくれる事になった。
内科医のわたしと外科医の和希が連携して患者に向き合う事で、患者の早期回復に繋がった。
午後の外来診療前に循環器外科病棟から3人循環器内科病棟に移るから、循環器外科医との引き継ぎをしないといけないからのんびりしてられない。
「羽鳥先生、循環器外科から患者の引き受け13時で大丈夫ですか?」
「大丈夫」
循環器外科からの電話を取った看護師に聞かれそう応えたわたしだけど、腕時計の針を見たら12時50分で慌てて受け入れる患者の病室へ向かった。
13時過ぎに患者2人を連れて担当医の内藤先生が来た。
「経過良好だから、宜しく!!」
わたしにカルテを渡し、颯爽と去る内藤篤(ないとう はじめ)先生……。
電子カルテで事前に患者の状態は把握してる。
心筋梗塞で救急で運ばれ緊急オペをした50代男性の佐藤さんと、大動脈弁狭窄症でオペをした40代男性の田中さん。
2人に担当医として挨拶をし、これからの治療についてを伝え、病室を出た。
受け持ってる患者の病室を回診して、
14時からの外来診療の時間になり急いで外来診断室へ向かった。
「羽鳥先生、明日、循環器外科に新しいドクターが来るらしいですよーー!!若くて独身でカッコイイらしいです!!」
わたしが指導医をしてる研修医の綾瀬渚(あやせ なぎさ)ちゃんが午後の診療後に循環器外科の研修医をしてる友達から聞いたと大興奮でわたしに話しかけてきた。
「ふーーん。そうなんだ……」
電子カルテの入力に失念がないか確認をしているわたし。
「羽鳥先生は、社内婚活してないんですか?わたしは親から凄腕ドクターを捕まえるようしつこいぐらい言われてますけど……」
岐阜県で個人病院を開業してる父の跡を継ぐために医者になった渚ちゃん。
仕事を覚えるよりも、内科医と外科医の独身ドクターにお近づきになり交際する事に力を入れてる。
「今日最後の回診に行こうか」
電子カルテの入力を終え、内科病棟に向かう事にした。
「薬物治療を2週間続けてるけど心臓肥大が治らないから、外科手術しましょう……」
30代後半の男性、鈴木さんの胸にエコーをあて、モニターを見てわたしは判断する。
心臓肥大の原因はいくつかあり、心臓弁膜症を患っている場合は、弁形成術や弁置換術といった外科手術で治療しないと良くならない。
事前に鈴木さんに説明をしていたから、外科手術に踏み切る事を納得してくれた。
エコー機械を引いて次々と入院患者の元へ行く。
「……大動脈瘤、破裂の危険性がある大きさだから外科手術に踏み切りましょう。血栓を溶かす薬物治療を続けても効果が出てないので」
40代前半の男性、高本さんも外科手術に治療を委ねる事になり、今日は合計5人を循環器外科に回す事になった。
「明日循環器外科からまた文句言われますね」
わたしの回診をただ後ろで見てた渚ちゃん。
循環器外科は今、オペ患者が多過ぎて手が回ってないらしく、薬物治療で完治できる患者を回すなと言ってくる。
「新しく赴任してくる先生、難関なオペでも短時間で終わらす天才外科医らしいですよ!!循環器外科に気持ちよく患者を回せるようになったらいいですね」
入院患者の回診を終えて帰ろうと、渚ちゃんと更衣室に向かった。
18時までの勤務のはずが、毎日20時過ぎまで仕事をしてる。
『ピッピッピーー、ピッピッピーー』
白衣を脱ぎ大きめのCHANELの黒いバックに入れ渚ちゃんと更衣室を出ようとしたら病院専用の携帯電話が鳴った。
『羽鳥先生、高本さんが急変しました。至急来て下さい』
かなり大きな大動脈瘤だったけど、まだ大丈夫と判断していたわたし……。
看護師に循環器外科に連絡するよう指示し、急いで高本さんの病室へ向かった。
病室につくと、背の高い白衣を着た男性が高本さんの胸に聴診器をあててた。
「大動脈瘤破裂だな。至急オペするから準備して」
聴きなれた声で、その医師が誰かわかった……。
アメリカから帰ってきた 桐島和希
神の手を持つ男と言われてる天才ドクター
手術になると循環器内科医のわたしは出る幕はない。
手術室の外で、高本さんさんの手術が無事に終わる事を祈った。
大動脈瘤破裂で出血して難しい手術なのに58分で終わった。
高本さんの家族が駆けつけてくる前に、高本さんの手術は成功し、高本さんは集中治療室に運ばれた。
「患者の家族への説明は俺がするから。日和は患者に何も説明しないでいいよ。大動脈瘤破裂させた事を患者の家族から罵倒され兼ねないし、俺に任せて」
手術室から出てきた和希がわたしの頭に右手をポンと起き、落ち込んでるわたしを励ましてくれた。
8年ぶりに再会した和希に、わたしは助けられた……。
わたしの担当する患者さんの手術は和希が執刀してくれる事になった。
内科医のわたしと外科医の和希が連携して患者に向き合う事で、患者の早期回復に繋がった。
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