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10 side 蓮翔
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年末はレコード大大賞と赤白歌合戦の収録関係で、情報番組の取材等でなにかと忙しかった。
赤白歌合戦については、アーティストが自分でステージを演出しないといけなくて、《君がいた夏》をどう表現したらよいか悩んだ。
大学からの付き合いのバンドメンバーが大晦日に赤白歌合戦に駆けつけてくれる事になり、なんとか歌う事はできる。
ただ、インパクトをつけるにどうしたらよいか。後ろの映像で、PDを流すのと、なるべく顔アップで歌う事で、愛を叫ぶような印象を持つよう、リハーサルのカメラテストでお願いした。
頭がいたいのは、【知念日和】からうんともすんとも連絡がない、[海辺で交わした約束]
リハーサルの時に、中継先から【知念日和】本人が歌うと、28日に発表があり、俺はスタジオで合わせて歌うよう指示を受けた。
赤組の【知念日和】のパフォーマンスで、俺はたんに歌うだけ。
バックスクリーンに映し出される【知念日和】に会える事が楽しみでならない。
凛花がいなくなり、もう帰ってこないなら、凛花以上愛する自信はないけど、【知念日和】と恋をしたいと思ってきた。
彼女の小説が凛花の感性に近く、凛花の代わりになれるのは【知念日和】しかいないと思うから。
生放送で赤白歌合戦が始まった。
前日のリハーサルに参加したアーティストに関しては時間配分等、卒なくこなせるが、中継で出演するアーティストの演出と司会者の会話が長引いたりと、時間調整を入れつつ、生放送が行われた。
21時30分に出演予定で、バックで他のアーティストの演出をみて、自分の出番の時をイメージする。
生放送あるあるで、声を外したり、歌詞を忘れたり。
イヤホンをして、自分の曲を聴きながら、高まる心臓を鎮めて落ち着こうとした。
ステージに立ち、司会の内藤さんに呼ばれ、演奏を開始した。
熱唱している時、凛花の笑顔を思い浮かべた。凛花と沖縄の浜辺を歩いた事。
君の後ろ姿を追いかけ、
振り向いた君にときめく
夕暮れで紅く染まったのか、
それとも恥ずかしくて照れたのか
海に沈む太陽を見て、
君は叫んだ
僕とずっと 一緒にいたいと
この海辺のある街で 共に歩みたい
歌いきると、観客から大歓声が上がった。
司会者の2人からも、
『男の色気がたまらない』
等、有難い言葉を貰った。
凛花には付き合い始めた当初は、カッコつけて大人を演じてたのに、1カ月立たないうちに化けの皮が剥がれ、弟のように扱われ始めた。
凛花が大人びてるからもあるけど、実際に俺は打たれ弱く、甘えん坊で情けない男だ。
[君がいた夏]で力つき、23時半からの[海辺で交わした約束]の出演をやり切れるか不安になる。
バックで耳にイヤホンして、曲を聴き、音外しと歌詞を間違えるのだけは避けたくて、頭の中に歌うイメージを叩き込む。
中継先のリハーサルがバックの小さなモニターに流れ、スタッフが大絶賛をあげていて、【知念日和】のパフォーマンスだとわかり、イヤホン外して駆けつける。
駆けつけるのが遅く、終わってしまっていたが、
『本人、そこらへんのモデルやアイドルよりもきれいだわ。たまげた。演出も流石だ』
と口々に言ってるのを聞き、【知念日和】に負けないよう、大人の色気を漂わせて歌い切らねばと心に決める。
感想を言い合ってた[海辺で交わした約束]の担当者に、どんな感じで演出をするか説明を受ける。
真っ暗なスタジオ
↓
バックモニター 中継 沖縄
海辺の月光の下【知念日和】1番 熱唱
↓
真っ暗なスタジオ
ステージの真ん中
月光をイメージしたスポットライト
【雨月晴太】2番 熱唱
↓
サビ1
アニメーション
↓
バックモニター 中継 沖縄
海辺の月光の下
【知念日和】2番 熱唱
↓
スタジオ
太陽の光をイメージしたスポットライト
【雨月晴太】3番 熱唱
↓
サビ2
アニメーション
↓
サビ3
沖縄から映像
バックモニターを斜め横から見上げるように歌う事を指示された。
【知念日和】がどんな映像を作り上げるかが気になり、歌い切れるか不安になったが、絶対に歌い切ると心に決める。
23時半になり、
真っ暗なスタジオのステージの下、バックモニターを見上げる体勢を取り、パフォーマンスが始まった。
耳からのイヤホンで音を聞く。
沖縄の海辺の波の音とともに[海辺で交わした約束]のメロディが流れ始め、モニターに沖縄のあの島の海辺が映った。
そして、白いワンピースを着た後ろ姿の女性、あれが【知念日和】。
後ろ姿からズームで近づき、そして、全身が映る感じで横顔が見える。
風でふわふわの長い髪の毛が揺れ、素顔はよくわからない。
しかも、顔を隠すように手で髪を整える姿が色っぽく、思わず生唾飲んでしまう。
【知念日和】が横顔から上を見上げ、満月を見たら、映像は月、そして俺のパート。
パックモニターの月を見上げ、月をイメージしたスポットライトに照らされながら、2番のパートをなんとか熱唱。
【知念日和】の映像に心奪われ心乱れたが、なんとか歌い切る事がらできた。
サビ1はアニメーション[海辺で約束した一生の恋]の中学生の見せ場シーン
そして、バックモニターが沖縄の海辺に変わる。
【知念日和】はすぐそばの灯台の下で体操座りで座って月を眺めてるところを、横からズームで写していく。
海の波しぶきの音とともに顔が一瞬見えた。そしたら、モニターは昼間の海辺に切り替わる。
赤いライトに照らされ、自分のパートと気づき、昼間の海辺の映像を見上げながら、俺は歌う。一瞬見えた【知念日和】が凛花と重なり、心、ここにあらずの状態。
サビ2はまたアニメーション[海辺で約束した一生の恋]大学生の見せ場シーン。
そして、サビ3はまさかのGWに俺が沖縄のこの海辺で撮った映像。
まさかの顔が大アップ。
俺と笑い合う姿。
曲が終わり、中継の海辺に戻った。
月光と気持ちばかりのライトの中、【知念日和】こと凛花が映った。
赤組の司会者が、
『知念日和さん、わたしよりも数段お綺麗でないですか!!キャラクターアニメーション使わずご自身で出られたらよろしかったのに!!』
と大興奮で感想をいう。
生放送なので、時間はあまりとれない。
でも、司会者が口々に発言し、止まらない。
海辺の中継に切り替わる。
『ありがとうございます。すみません、1つ、お伝えしたい事がございますが、よろしいでしょうか?』
凛花がひと呼吸をして、
『突然ですが、今年いっぱいで、アーティストとしての【知念日和】は引退致します。そして、明日からは小説家としての仕事に専念いたします。最後に、キャラクターアニメーションでなくわたくし、知念日和、本人が最後にここで歌う機会を下さったNHAのスタッフの皆様に感謝致します。ありがとうございました』
そこで中継が切れ、スタジオに戻った。
生放送ゆえの時間配分で、次のアーティストの演出へ。
赤白歌合戦については、アーティストが自分でステージを演出しないといけなくて、《君がいた夏》をどう表現したらよいか悩んだ。
大学からの付き合いのバンドメンバーが大晦日に赤白歌合戦に駆けつけてくれる事になり、なんとか歌う事はできる。
ただ、インパクトをつけるにどうしたらよいか。後ろの映像で、PDを流すのと、なるべく顔アップで歌う事で、愛を叫ぶような印象を持つよう、リハーサルのカメラテストでお願いした。
頭がいたいのは、【知念日和】からうんともすんとも連絡がない、[海辺で交わした約束]
リハーサルの時に、中継先から【知念日和】本人が歌うと、28日に発表があり、俺はスタジオで合わせて歌うよう指示を受けた。
赤組の【知念日和】のパフォーマンスで、俺はたんに歌うだけ。
バックスクリーンに映し出される【知念日和】に会える事が楽しみでならない。
凛花がいなくなり、もう帰ってこないなら、凛花以上愛する自信はないけど、【知念日和】と恋をしたいと思ってきた。
彼女の小説が凛花の感性に近く、凛花の代わりになれるのは【知念日和】しかいないと思うから。
生放送で赤白歌合戦が始まった。
前日のリハーサルに参加したアーティストに関しては時間配分等、卒なくこなせるが、中継で出演するアーティストの演出と司会者の会話が長引いたりと、時間調整を入れつつ、生放送が行われた。
21時30分に出演予定で、バックで他のアーティストの演出をみて、自分の出番の時をイメージする。
生放送あるあるで、声を外したり、歌詞を忘れたり。
イヤホンをして、自分の曲を聴きながら、高まる心臓を鎮めて落ち着こうとした。
ステージに立ち、司会の内藤さんに呼ばれ、演奏を開始した。
熱唱している時、凛花の笑顔を思い浮かべた。凛花と沖縄の浜辺を歩いた事。
君の後ろ姿を追いかけ、
振り向いた君にときめく
夕暮れで紅く染まったのか、
それとも恥ずかしくて照れたのか
海に沈む太陽を見て、
君は叫んだ
僕とずっと 一緒にいたいと
この海辺のある街で 共に歩みたい
歌いきると、観客から大歓声が上がった。
司会者の2人からも、
『男の色気がたまらない』
等、有難い言葉を貰った。
凛花には付き合い始めた当初は、カッコつけて大人を演じてたのに、1カ月立たないうちに化けの皮が剥がれ、弟のように扱われ始めた。
凛花が大人びてるからもあるけど、実際に俺は打たれ弱く、甘えん坊で情けない男だ。
[君がいた夏]で力つき、23時半からの[海辺で交わした約束]の出演をやり切れるか不安になる。
バックで耳にイヤホンして、曲を聴き、音外しと歌詞を間違えるのだけは避けたくて、頭の中に歌うイメージを叩き込む。
中継先のリハーサルがバックの小さなモニターに流れ、スタッフが大絶賛をあげていて、【知念日和】のパフォーマンスだとわかり、イヤホン外して駆けつける。
駆けつけるのが遅く、終わってしまっていたが、
『本人、そこらへんのモデルやアイドルよりもきれいだわ。たまげた。演出も流石だ』
と口々に言ってるのを聞き、【知念日和】に負けないよう、大人の色気を漂わせて歌い切らねばと心に決める。
感想を言い合ってた[海辺で交わした約束]の担当者に、どんな感じで演出をするか説明を受ける。
真っ暗なスタジオ
↓
バックモニター 中継 沖縄
海辺の月光の下【知念日和】1番 熱唱
↓
真っ暗なスタジオ
ステージの真ん中
月光をイメージしたスポットライト
【雨月晴太】2番 熱唱
↓
サビ1
アニメーション
↓
バックモニター 中継 沖縄
海辺の月光の下
【知念日和】2番 熱唱
↓
スタジオ
太陽の光をイメージしたスポットライト
【雨月晴太】3番 熱唱
↓
サビ2
アニメーション
↓
サビ3
沖縄から映像
バックモニターを斜め横から見上げるように歌う事を指示された。
【知念日和】がどんな映像を作り上げるかが気になり、歌い切れるか不安になったが、絶対に歌い切ると心に決める。
23時半になり、
真っ暗なスタジオのステージの下、バックモニターを見上げる体勢を取り、パフォーマンスが始まった。
耳からのイヤホンで音を聞く。
沖縄の海辺の波の音とともに[海辺で交わした約束]のメロディが流れ始め、モニターに沖縄のあの島の海辺が映った。
そして、白いワンピースを着た後ろ姿の女性、あれが【知念日和】。
後ろ姿からズームで近づき、そして、全身が映る感じで横顔が見える。
風でふわふわの長い髪の毛が揺れ、素顔はよくわからない。
しかも、顔を隠すように手で髪を整える姿が色っぽく、思わず生唾飲んでしまう。
【知念日和】が横顔から上を見上げ、満月を見たら、映像は月、そして俺のパート。
パックモニターの月を見上げ、月をイメージしたスポットライトに照らされながら、2番のパートをなんとか熱唱。
【知念日和】の映像に心奪われ心乱れたが、なんとか歌い切る事がらできた。
サビ1はアニメーション[海辺で約束した一生の恋]の中学生の見せ場シーン
そして、バックモニターが沖縄の海辺に変わる。
【知念日和】はすぐそばの灯台の下で体操座りで座って月を眺めてるところを、横からズームで写していく。
海の波しぶきの音とともに顔が一瞬見えた。そしたら、モニターは昼間の海辺に切り替わる。
赤いライトに照らされ、自分のパートと気づき、昼間の海辺の映像を見上げながら、俺は歌う。一瞬見えた【知念日和】が凛花と重なり、心、ここにあらずの状態。
サビ2はまたアニメーション[海辺で約束した一生の恋]大学生の見せ場シーン。
そして、サビ3はまさかのGWに俺が沖縄のこの海辺で撮った映像。
まさかの顔が大アップ。
俺と笑い合う姿。
曲が終わり、中継の海辺に戻った。
月光と気持ちばかりのライトの中、【知念日和】こと凛花が映った。
赤組の司会者が、
『知念日和さん、わたしよりも数段お綺麗でないですか!!キャラクターアニメーション使わずご自身で出られたらよろしかったのに!!』
と大興奮で感想をいう。
生放送なので、時間はあまりとれない。
でも、司会者が口々に発言し、止まらない。
海辺の中継に切り替わる。
『ありがとうございます。すみません、1つ、お伝えしたい事がございますが、よろしいでしょうか?』
凛花がひと呼吸をして、
『突然ですが、今年いっぱいで、アーティストとしての【知念日和】は引退致します。そして、明日からは小説家としての仕事に専念いたします。最後に、キャラクターアニメーションでなくわたくし、知念日和、本人が最後にここで歌う機会を下さったNHAのスタッフの皆様に感謝致します。ありがとうございました』
そこで中継が切れ、スタジオに戻った。
生放送ゆえの時間配分で、次のアーティストの演出へ。
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