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アンドロイド主任にアプローチ大作戦

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普段のわたしは【INDIVI】のパンツスーツを仕事着として愛用してた。
165cmの身長にスレンダー過ぎる華奢な身体。
髪だけはストレートの長い黒髪で女性をアピールしていたけれど、たぶんショートカットでメイクをしてなかったら男にしか見えないわたし。

理子ちゃんみたいな、156cmのちょうどいい背で手足とウェストは細いのバストとヒップに肉がついた女性らしい体系になりたかった。

女性らしい体型を持ち合わせて無いわたしだけど、理子ちゃんの魔法で変貌を遂げた。

いつも通りに8時にオフィスに着き、パソコンの電源をつけてメールチェックから仕事を始める。
9時始業だから8時半頃に他の社員が出勤してくるんだけど、エンジニアはほぼ男性社員で、総合職の正社員だとわたし以外の女性社員は後輩が2人いるだけのむさ苦しい部署で、出勤してきた男性社員達がわたしの変貌に驚きたまげていた。

「新田、お前、女だったんだ!!」

かなり酷い言葉を浴びせられた……。

8時45分に眠そうな顔をして出勤してきた真宮主任も、いつもと違うわたしの姿に目を見開いて固まってた。

「さすが我が社で人気ナンバー1のモテ嬢、香坂主任の美センス」

理子ちゃんが今日の服のコーディネートをしてくれたと話したら、理子ちゃんファンの男性社員達が口々に言う。

理子ちゃんはそれほどエンジニア男性社員の中ではアイドル的な存在で、目の保養にされてる。

わたしの隣の席の真宮主任、同期だから知り得る情報だけど、東京の名門の男子中高一貫校の開成学院から東京大学の理科Ⅰを博士課程まででた女性に免疫が無く、女性と深い交際をした事がないらしい。

だからか、わたしの女性らしい姿にかなり戸惑っていた。

「真宮主任、おはようございます」

わたしの隣の席に座ろうとして立ち止まってる真宮主任の方に身体を向け、挨拶をした。

「……おはよう」

顔を赤めて挨拶を返してくれた真宮主任。
わたしの横の席に座っても、ちらちらわたしの方を見てた。
女性らしい格好をするだけでこんなにも男性から注目されると思ってなくて、部署の男性陣がなにかとわたしの事を見ていたのが照れ臭いけれど嬉しかった。


「心菜ちゃんに男性社員が注目してる」

ランチタイムの社員食堂。
理子ちゃんといつものようにランチをとってたら今日はいつも以上に男性社員から見られていて、戸惑った。

「心菜ちゃん、背が高くてすらっとして美人だもん」

いつもは可愛くて女性らしい理子ちゃんの事を見てる男性社員の方が多いと思うけど、わたしの事も見られてると思うと恥ずかしかった。

真宮主任もこの日はわたしが話しかけるたびにキョドッていて、鬼みたいな仕事を押し付けてこなかった。

他の男性社員も優しかった。

帰宅したら理子ちゃんが部屋でごそごそしていて覗いたら、理子ちゃんがインターネットで買って胸がきついからとクローゼットにダンボールに入れて放置していた服を出してた。

「心菜ちゃん、この服あげる」

理子ちゃんから渡された段ボールの中には、理子ちゃんが大好きなアプワイダーリッシェとレッツパッセのワンピースとブラウスが入ってた。

「明日はスカートと靴を見に行こう♪」

理子ちゃんチョイスの服はセンスが良く、着心地がいい。

土曜日に名古屋駅側のミッドランド スクエアと近鉄道パッセをはしごして下着屋さんからブランドの靴屋など、理子ちゃんと回った。
わたしの服などのサイズと似合う系統を見て、スカートを3枚とセットの下着を3セットと靴を一足購入して帰った。

名古屋駅まで出てきたから、名古屋名物の味噌カツと手羽先の名店に入って早い夕食をとる事にした。

「あれ、香坂じゃん、変わらないな、お前」

理子ちゃんの知り合いらしい男性が理子ちゃんに声をかけてきて、声のする方を振り向くと声をかけた男性の隣に真宮主任がいた。

「益田くん、お久しぶり。益田くんは老けたね。仕事では絡み合るから電話とメールはしてるけど会うのは4年振りだよね!!」

「……老けたって、30歳だからな」

理子ちゃんと4人掛けの席に向き合って座っていたわたし。
益田くんという男性が理子ちゃんの隣に座ったから、真宮主任もわたしの隣に座った。

「久しぶりだから飲み会しない。あっ、隣のこいつ知ってる?デンタのシフトバイワイヤアクチュエーターの開発で主任してる」

「紹介されなくても良く知ってるから。隣の心菜ちゃんの同期だけど上司だから。益田くんだけなら断るところだけど真宮主任がいるから飲み会しよっか」

理子ちゃんがわたしの方を見て微笑む。
わたしが頷くと理子ちゃんはお酒のメニューを開いた。

真宮主任と仕事の延長みたいな話がメインだけど、話をしながらお酒を飲みながらご飯が食べれて楽しかった。

アンドロイドみたいな真宮主任だけど、プライベートでは口下手で無口っけど普通に会話を楽しみ笑ってた。

その姿が見れて、嬉しかった。

理子ちゃんが呑んだくれてしまい、タクシーで帰る事にしたわたし達。
益田くんはトミタに勤めてるから土橋駅付近に住んでいるからJRで帰ったけれど、わたしと理子ちゃん、真宮主任は刈谷駅付近だから一緒にタクシーに乗って帰る事にした。

「香坂、アルコールに弱いんだな」

タクシーまではなんとか歩いて乗ったけど、すぐに眠ってしまった理子ちゃん。

 「寝ちゃったよ。どうやって連れてあがろう……」

気持ち良さそうに眠ってる理子ちゃん。たぶん、叩いても揺すっても起きない……。

「俺が抱きかかえて連れて行く」

真宮主任がため息をついてそう言ってくれたけど、真宮主任が理子ちゃんをお姫様抱っこする所を見たくなくて、わたしはある人の所にLINE通話をかけた。

「橘課長すみません。あのですね、理子ちゃんがちょっと酔ってしまってタクシーの中で寝ちゃったんですよ。申し訳ないですが、わたしの力では連れて上がれないので下まで迎えに来て下さいませんか?」

『わかった。下に降りとく』

理子ちゃんには申し訳ないけど、2杯目で飲むのを止めたのに調子に乗って5杯飲んだのが悪い。
理子ちゃんは橘課長の事を拒絶してる言動をしていても、心の底では橘課長の事が好きだという事はわかってる。
だから、『何かあったら頼って』と言ってくれる橘課長に酔い潰れた理子ちゃんをお姫様抱っこして家まで連れて上がって貰うことにした。

マンションの前に着き、橘課長の前でタクシーをとめてもらう。
気前のいいから橘課長がタクシー代を払ってくれて、理子ちゃんを後部座席からお姫様抱っこして連れ出し、わたしも降り、助手席に座ってた真宮主任も一緒に降りた。
一緒に降りた真宮主任を『コーヒーでも』と誘い、一緒にマンションの中に入りエレベーターに乗った。

「心菜ちゃん、理子、どんだけ飲んだ?」

「酎ハイとサワーを合計5杯です」

「はっ、こりゃ罰ゲームだな。理子を俺の家に連れて行っていい?」

「……手は出さないで下さいよ」

理子ちゃんには申し訳ないけれど、真宮主任と2人きりになりたくて、理子ちゃんを橘課長に委ねた。

橘課長が12階のボタンを押した。
 5階に付いてドアが開き、

「真宮主任、一緒に来て下さい」

わたしは真宮主任の手を引いて、わたしと理子ちゃんがルームシェアしてる部屋に真宮主任を連れて行った。

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