Love is over

鳴宮鶉子

文字の大きさ
上 下
6 / 6

Who is my marriage partner?

しおりを挟む
一徹に抱かれてしまい、後ろめたさを感じながら、いつも通り、午後の新幹線で京都へ向かった。

「美羽、いつも洗濯と掃除と作り置きおかずをありがとう。先週作ってくれたマカロニサラダときんぴら、筑前煮、美味しかった」

いつもは留守なのに、こんな日に限って翔琉さんは家の中で仕事をしてる。

部屋の中に入ると私を出迎え、抱きしめ、キスをしてきて、本当なら流されてこのまま抱かれたいけど、胸に手を置き、食物アレルギーで体中に湿疹がでて痒みがあるからできないと嘘をつき、夕ご飯の支度に取りかかる。


一徹が眠りについてから起こさないようベッドから出て、リビングに脱ぎ捨てた服を身に纏い、ホテルから出てタクシーに乗って自宅マンションに戻った私。
帰ってからシャワーを浴びようとバスルームに入ると、鏡に体を見てため息を吐く。
至る所に鬱血痕と噛み痕がある。
SMプレイをされたような、皮膚病に侵されてしまったような、かなり悲惨な事になってる。

容赦無く中出しされ、立ち上がった時にどろっと出てきた遺伝子のエキスが溢れ落ちたのをみて焦った。

一徹は私に対する執着心が強い。

何縁談相手に対し失礼な態度を取り怒らせ破談にし、無理矢理結婚させられた相手とは3ヶ月持たずに離婚されバツ3の最低極まりない女の敵と周りから思われてる一徹。

私以外の女性を受け入れられない。

私が一徹に別れを告げ、海外青年協力隊としてアフリカに経った時も、『俺は美羽と絶対に別れない。待ってるから』と空港まで駆けつけ抱きしめてきた。

どんなにお互いの事を愛しあっていても、彼の両親が夫婦になる事を許してくれないから一緒になれない。
兄さんがオリパスを継ぐとはいえ、経営一族は会社存続のために政略結婚をしないといけない。

一徹とは結婚できない。

正式にプロポーズはされてないけれど、翔琉さんと結婚前提で交際をしていて、私を大切にして愛し可愛がってくれる彼を裏切りたくないから、一徹の元には戻れないと自分に言い聞かせる。

夕ご飯にゴーヤチャンプルを作り、ソーメンを湯がいた。

ノートパソコンに向かって論文作成をしてる翔琉さん。
溜まってる洗濯物を洗って干し、ゴミを一階のゴミ捨て場に捨てにいき、ついでに地下にあるスーパーでカツオのたたきを購入して部屋に戻る。

交際を始めて5ヶ月だけど、年齢が年齢なだけに、所帯地味て甘さがない。

それでも、結婚に関して反対される事なく、翔琉さんとは穏やかな時間を一緒に過ごす事ができるから、居心地はよかった。

「美羽……俺、もう37だからさ、結婚して子供が欲しい。美羽がオリパスを退職したくないなら、俺が、国立感染症予防衛生研究所に転職して東京に行く。美羽と離れて生活するのも耐えられない。美羽、結婚しよう」

日付が変わる時刻になり、そろそろ寝よっかとなって、寝室のダブルベッドに2人で入る。
私を抱きしめて至近距離で見つめられながらプロポーズされた。

優秀な翔琉さんだから厚生労働省の機関にヘッドハンティングされてた。
そして、私がオリパスを辞めて京都にこないから翔琉さんが東京に出てくる事を決めた。

「……ワクチン開発が軌道にのったら私がオリパスを辞めて、京都にくる。もう少しだけ、待ってくれないかな」

流されて一徹に抱かれてしまった
今、オリパス製薬にそのまま勤められない。
オリパス製薬に就職したのは、エポックウイルスの治療薬として使われてたオリビガンの開発に携わりたかったから。
一徹の実家が一族経営してる会社の子会社に就職するのはどうかとは思ったけれど、就職できたから勤めた。

でも、一徹が私にちょっかいを出してそれが彼の母に知られたら私は絶対にクビにされる。

それに私が翔琉さんの奥さんになったとしても、一徹の私への執着は狂気だから、隙を狙って私を求めてくるかもしれない。

「……わかった。美羽、すぐに終わらすから、抱いたらだめ?」

「全身に湿疹が出てるから……いや」

「真っ暗だから見えたい。お願い、下だけでいいから」

ルームウェアのショートパンツの上から敏感な芽を弄られる。
散々、朝方まで一徹に抱かれたのに。感じて愛蜜を垂らす。
秘裂を触られるとクチョクチョと蜜音を鳴らし、ショートパンツとショーツを脱がされ、翔琉さんに舌と唇と指で愛撫されると降参してしまう。

太腿にも鬱血痕と噛み痕がある。
薄明かりでもわかるのではとひやひやしながらも、茂みに顔を埋められ敏感な花芽を甘噛みされ舌で転がされると快楽の波に呑まれ、蜜壺に長い器用な指を2本入れ込まれ、掻き回されると蜜が泡立ち、スポットを指で押され潮を吹かされ2点攻めでイカされた。

一夜限りの男も樋口も……一徹も、秘部の中に雄を割り入れて本能で腰を振る行為はしても、丁寧に愛撫して私を気持ちよくさせてはくれなかった。

下腹部がキュン収縮し、体がビクビクッと激しく震え、達した愉悦に浸ってると私の耳朶を甘噛みし、Tシャツの上から胸を弄られた。

「……美羽、何も聞かないから怒らないから、だから、美羽の全身を愛させて」

首筋にも噛まれた痕がある。
アレルギーでの湿疹ではない事は医師をしてる翔琉さんは一目瞭然でわかってしまう。

優しい翔琉さんは見て見ぬ振りをしてくれようとしてた。
でも、他の男に抱かれてしまった私の体を上書きするように、丁寧に抱く。

「……美羽、子供ができてもすぐには産まれてこない。だから、もう子作りしていい?美羽が俺の奥さんになるという実感が欲しい」

全身を愛され焦らされて、翔琉さんの雄を割り入れて欲しくて堪らない。
首を縦に振ると、すぐに蜜口に固く反り返ってる熱で貫かれ、両腿を持ち上げられ最奥を思いっきり突いてくる。

焦らされすぎてヒクついていた下腹部がはすぐに収縮し絶頂がきて、翔琉さんの雄を締めつける。
私の体勢を変える事で射精感に耐え、私を何度もイカせた後に、翔琉は私を組み敷き、濃厚な舌を絡めるキスをしながら子宮口に優しくキスするように遺伝子のエキスを送り出した。

繋がったまま抱きしめられ、後頭部を撫でながら眠りにつく。

一徹との昨夜の行為よりも数段気持ちがよく、幸福感を感じた。

翔琉さんにプロポーズされ、東京に戻った私はすぐにオリパスに退職届を提出した。
私が翔琉さんと結婚前提で付き合っている事を職場のみんなが知っているから、温かく送り出してくれた。

週明けに、翔琉さんがコロアウイルスの脅威から人類を守る手段として大きな功績を残した事をテレビ報道で知った。

京都に戻ってから翔琉さんは、自動消滅プログラムを組み込ませた新型コロアウイルスを作り出し、発生の発端になった野生動物に感染させ、流行させる事で宿主の体内にあるコロアウイルスを自動的に消滅させ、コロアウイルス自体をこの世から失くすプロジェクトを計画し実行してた。

宿主の候補とされた中国の野生動物、コウモリ、ヘビ、センザンコウに感染させたところ、コロアウイルスを保有してない個体が順調に増えていってる。
このプロジェクトの経過は良好で、コロアウイルスがこの世からなくなる事が願われた。

インフルエンザウイルスに対してもこの方法でウイルス自体を無くそうという声が上がっていて、WHOが各国に募金を募り、計画の準備を進めてる。

翔琉さんの取り組みに、世界中のウイルス学者が注目し称賛した。

****

「京都大学の柴田先生助教授の奥様になるって羨ましい!!」

東京大学のウイルス研究室にオリパス退職の挨拶に出向く。
ワクチン開発も起動に乗ったタイミングだったのもあり、1ヶ月後に退職する事が決まり、仕事の引き継ぎと引っ越し準備で慌しい毎日を過ごしてた。

私の不貞を翔琉さんは赦してはくれてる。だけど、その不貞を行った相手が元彼の一徹だという事を悟ってた。

海外青年協力隊員としてアフリカに経った日、一徹が空港まで見送りにきて私を抱きしめ泣いてる姿を翔琉さんは目にしていて覚えてた。

だから、東京大学ウイルス研究室への退職の挨拶に同行し、私が一徹と接触する事を防いだ。

私は結婚相手に翔琉さんを選んだけど、一徹の事を今も愛してる。
許されない報われない諦めるしかない恋だったから、私は他の男性に嫁ぐ。

私が翔琉さんを連れてお別れの挨拶にきたからか、一徹は顔を出さなかった。

私は願う、一徹にもお似合いの誰かが現れ、幸せを掴む事を。





しおりを挟む

この作品の感想を投稿する


処理中です...