Love is over

鳴宮鶉子

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Ruthless he

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「コロアもインフルエンザと同じですね。しかも変異していってる」

東京大学の医学部と薬学部を卒業した私。ウイルス学分野で有名な濱口教授にお世話になってた。
濱口教授がウイルスの変異について興味深い論文を発表されたから、話を伺いに懐かしいキャンパスに入った。

研究室で、教授と研究員とコロアウイルスと治療薬について話に花を咲かせる。

オルビガンと抗体検査のキットが認可され、個人病院の医師に検査と治療をお願いできるようになり、感染者に対して早期発見早期治療できるようになり、コロアに対して恐ろしいイメージは無くなった。

コロアウイルスの息苦しさは肺の血管が血栓で詰まることで起こりますし、味覚障害や嗅覚障害も味覚・嗅覚を司る神経の血管が詰まることで起こってる。

オルビガンでウイルスの増殖を抑え、ウイルスにより血管を傷つけられそれにより血栓ができ肺炎を起こしてる患者に対しては抗血栓薬も出す。
そうすれば、肺炎をこじらせ重症化する事はない。
悪化から人工心肺装置をつけて治療する患者数も減った。

治療方法は確立された。

コロアウイルスの流行も治まり、。

感染者に対し国が完治後の生活を保証し、2週間の隔離施設もしくは自宅で外出禁止で生活をさせ、ウイルスを外にばら撒かせないようにした。

そして、日本医師会が医療危機的状況宣言を出してからすぐに政府が緊急事態宣言を出し、4ヶ月間に渡り外出自粛を国民に呼びかけた。
それにより街中に人混みができなくなり、ウイルス保有者が他人にウイルスを移さなくなった。

そして、空疫で外国からきた人に対してコロアウイルスの抗体検査を行った事で、外国から新たなコロアウイルスを持ち込む事を封じる事ができ、日本は普段の日常を取り戻しつつあった。

だけど、コロアウイルスが無くなったわけではなく、かなりマズイ状況にある。

「日本で流行したコロアウイルスの型が最初は2つだと思われてたが、最終的に3つあった。感染力が高く、ウイルスが変異して強いウイルスに変異していってる」

ワクチン開発に関して全ての抗体を入れ込まないといけない事から、開発が難航してた。


「うちの研究室はオリパスに協力してワクチンの開発を行う事になった」

田坂センター長から濱口教授の研究室がオルビガンの改良に協力してくれることになったと伺った。

治験コーディネーターの仕事から開発チームに戻り、これからたびたび濱口教授の研究室に出入りする事になる。

「あっ、藤宮さん。懐かしい人がきたよ」

研究室のドアが開き、入ってきた人物と目が合う。

「東條くん、感染症内科に課を移ってうちの研究に協力して貰ってる。コロアウイルスの重篤患者の治療で成果もあげた」

日本DMATメンバーとして医師としてエメラルドプリンス号の感染者の治療にあたってた一徹。

一徹はオリパスの創業者一族で現社長の息子という立場ある人。
救命救急外科医をしながら、将来的に大学の教授を目指してた。

それなのに、感染リスクが多少なりある感染症内科医に転科していて、コロアウイルスの診療の最前線で携わっていた事に驚く。

彼から、機嫌を害した冷たい眼差しを向けられたじろぐ。

ーー私は彼に完全に嫌われてしまった。


大企業の創業者一族は会社を安泰に維持するために政略結婚をしないといけない。
私も父母ともに開業医をしている家系に産まれ、親戚の中には大学病院で部長を務めている人もいる。
だけど、家柄的に立場は低く、一徹に相応しくなかった。
だから、別れないと両親や親戚が経営している個人病院に対して取引の面で圧力をかけると彼の母から脅され、遊びで付き合う事は許されたけど、彼の縁談が決まる時期がきたら姿をくらませ別れる事を約束させられた。

だから、一徹との別れは仕方がなかった。受け入れるしかなかった。

一徹は大学病院の教授もしくは総合病院の御令嬢と結婚しないといけない。
期限限定の恋だと思い、私は覚悟を決めて彼の隣にいた。

初期研修医を終えたタイミングで一徹の母から別れるよう言われ、その手段として私は一徹に相談なしに海外青年協力に入隊し、アフリカへ行き、物理的に私は彼の前からいなくなった。

一徹に別れを告げた時。
私なりにきちんと終わらせたつもりだった。
身分違いの恋で、別れのリミットがきた。
だから、私の事は早く忘れて相応しい人と幸せになって欲しかった。

仕事で女医をしてる大学の同級生と会った時に、一徹の近況を聞いてた。

後期研修医時代、循環器、消化器、脳神経で内科的外科的な診療を学び、一徹は、有能な救命救急医としての地位を得た。
それが後期研修を終えてから、仕事は卒なくこなしているけど、プライベートが荒れだした。
実家からあてがわれた縁談相手に対しかなり卑劣な行為をし、そして、夫婦関係無しで結婚をし、3度離婚をした。

一徹が私との別れを受け入れていないと知り、彼ときちんと別れなかった事に対して後悔してる。

そして、月日が経ち、私は完全に一徹に嫌われ憎しみの感情も持たれてしまった。


コロアウイルスもインフルエンザウイルスと同じで変異型が多く発生すると予測されてる。
感染していく事でどんどん進化し、ときには別種の動物から発生したウイルスと結合しより強い病原性を持つ新しいウイルスになる。

感染者が増えれば増えるほど、ウイルスが増殖を繰り返せば変異は起きる。

ワクチンを作っても遺伝子変異で無効になる可能性がある事から、遺伝子の変異に応じて開発をしていかないといけない。

短期間に数千もの変異が確認されていて、ワクチンがターゲットとしている部位に変異が起きた場合、ワクチンの効果が減弱化してしまう事から、創薬研究員はウイルス研究機関と病院と連携してワクチン開発を進めないといけない。

今流行している型のワクチンを摂取する事である程度は重症度を低下させることができる事から、国が医薬品メーカーにワクチンの開発製造を指示し、抗体を持ってない国民全員に対して摂取をさせた。
それもあり、ナイトクラブやライブハウスなどにまた人が集まるようになる。


****

『藤宮、銀座のグランドプリンセスホテルのBARに出てこい!!』

「無理!!何度もいうけど、私、結婚前提で付き合ってる恋人がいるの。だから、BARに通うの辞めた」

『はっ、でも、そいつと遠距離で付き合ってて相手が多忙だから会えてないんだろ!!』

翔琉さんは京都大学病院で救命救急医を務めながら、助教授として大学でウイルス感染、ウイルス制御、などの講義を3コマ受けもってる。
大阪にある日本最大手の真田製薬とワクチンの研究をしてる。

『オルバスを退職して真田製薬にこないか?それか、美羽なら京都大学の小児科もしくは呼吸器か循環器の内科医として務まる。この際だから後期研修医と京都大学にこないか?』

毎週末に会いに行っても多忙すぎる翔琉さんは、病院もしくは大学にいる。
マンションで1人、掃除や洗濯などの家事をして日持ちするおかずを作り置きしてから会う事なく、東京に戻る事もある。


樋口から金曜日の夜に時々電話がかかってきて、誘われる。
だけど、翔琉さんと付き合うようになってからは1度も誘いにのってない。
飲むだけと言われても、中高一貫校時代の友人とはいっても体の関係を持った相手と2人きりで会うわけにはいかない。

『今日は東條もいる。仕事絡みで関係あるんだろ?飲もうや!!』

空疫でコロアウイルス感染で引っかかった患者の診療をしている一徹と、仕事でどうしても絡まないといけない。
海外から持ち込まれるコロアウイルスは変異したものが多い。
患者から採取したウイルスと抗体を研究サンプルとして受け取りにいかないといけなくて、一徹とその都度顔を合わせないといけなくてかなり気まずい思いをしてた。

Love is forever
Jast be friend

14年間付き合っていた人だから、恋人関係には戻れないけど、友達とこれから関係を築いていきたい。

「……わかった。30分後にいく」

一徹と話をつけるために、私はグランドプリンセスホテル銀座内にあるBARに向かう事にした。


「藤宮、遅い。30分以上かかってるんだけど!!」

新宿から銀座までタクシーで約20分。
フォーマルなワンピースを着替えてメイクをして駆けつけるも45分かかってしまった。

今までの自粛生活の反動なのかBARは賑わっていて、あまりの人の多さに、一徹と樋口はVIP ルームで飲んでた。

「藤宮、老けた!?」

8ヶ月ぶりに会った樋口から失礼な事を言われる。
いつもの事だから慣れてる。

後、半年で35歳になる。
アルビガンの治験とコロアウイルスのワクチン開発で多忙な日々を過ごしているから老けても仕方がない。

「結婚前提で付き合ってる恋人が多忙過ぎて、ご無沙汰過ぎて、女としての価値が急速に劣化してるな」

夜景を楽しめるVIPルーム。
ガラス張りの窓の前にカウンターがあり、酔っ払い樋口の隣に座りたくなく、私は一徹の隣に腰をかけた。

カウンターの上に高級ブランデー リシャールの空になった、ボトルが置いてある。
一徹は患者が急変した時に呼び出されるかもしれないなら、お酒は飲めない。
樋口が1人で飲み、かなり悪酔いしてた。

「樋口、もう飲むの辞めたら。体に悪いよ。もう、35歳なんだから」

「男は35歳からだ!!ボトル1本ぐらい空けても平気だ!!」

「急性アルコール中毒起こしてもしらないから」

案内してくれたバーテンダーさんがオーダーしたマルガリータを持って来てくれて、その時に樋口がウィスキー響のボトルをオーダーしたからさり気なくチェイターでミネラルスパーキングウォーターを注文した。

樋口と一徹は中高一貫校時代、親友でライバルの関係だった。
それもあり、たまに会って飲んでたらしい。

樋口があろう事か一徹に私が金曜日の夜にBARで知り合った男と一夜限りの関係を持ってた事をバラしてた。
しかも樋口とも関係を持ってた事も知られていた。

自分が撒いた種だから仕方がない。
軽蔑されても仕方がない。

言い訳にしかならないけれど、一徹と別れて自暴自棄になった故の行動だった。

「……だから、飲み過ぎだっていったのに」

忠告をきかず、響を半分ロックで飲んだ樋口。
案の定、カウンターに伏せるような体勢で眠りについた。
いつもは下心ありでBARにきてるからかブランデーかウィスキーを1、2杯しか飲まないのに、今日は飲んだくれたい気分だったのかボトル2本飲み干そうとするから酔い潰れてしまった。

バーデンダーにベルマンを呼んでもらい、樋口が事前に予約を入れてる部屋に運んで貰う。

すぐに立ち去りたくて堪らないけど、ベルマンが樋口を背負っていつもの部屋とは違うスイートルームへ向かうのを一徹と着いていく。

ツーベッドルーム・スイートをとっていて、手前にあるベッドルームに樋口を寝かせて貰った。

急性アルコール中毒では無さそうだから、1人で寝かせていても問題は無さそう。

「東條先生、酔い潰れてるだけだから、帰りましょう」

2人きりが気まずくて、帰る事を提案するも一徹はリビングルームで立ち留まって動かない。

「私、先に帰ります」

一徹を残して部屋から出ようとしたら、いきなり手を掴まれ壁に体を押しつけられ、壁に両手をつかれ体を拘束されてしまった。

「……東條先生、ふざけないで下さい」

「……美羽、お前、俺と別れてから柴田先生と婚約するまでは誰とでもやってたんだろっ」

顎クイをされ、強引に唇を奪われ肉厚な舌が口内に入ってくる。
逃げれないよう後頭部に手をやり、無理矢理舌を絡め合わされキツく吸われ、息ができなくて苦しい。

背中にあるワファスナーを下げられ、ワンピースがストっと落ちる。
季節は7月の初めで蒸し暑く、キャミソールを着てなくて、ブラジャーのフロントホックを外され剥ぎ取られると両乳房を掴まれ、揉みしだかれる。
頂を舌でねっとり舐められ転がされ、時より甘噛みされ吸われ、感じでしまい甘ったるい声が漏れてしまう。

「……卑猥に立ってる。最低だな、柴田先生という婚約者がいるのに、元彼にやられて感じて。誰にでも股を開く女だもんな。14年ぶりに、俺ので喘げよ!!」

スラックスとボクサーパンツを下ろすといきり立つ熱い雄が目の前に現れ、ショーツを下され左脚を持ち上げられ、秘部を貫かれた。

口内と胸だけ弄られたのに、愛蜜が溢れ出ていて、一徹の熱を飲み込むと腰を打ちつけられるたびに淫な蜜音を奏でる。

「……もっと奥までお前を犯したい」

貫かれたまま体を反転されると腰を掴まれ、後体位で最奥を激しく貫かれ、体を弓形に反らし絶頂で体を震わせた。
それと同時に一徹の雄が子宮口にセットされ遺伝子を注ぐ。
一徹の精を一滴残らず子宮が吸い上げるようとしてるのか膣壁が収斂する。

「……美羽、お願いだ。俺は美羽しか愛せない。だから、俺の元に戻ってきてくれ」

脱力してる私を一徹が繋がったまま背後から抱きしめた。
哀愁漂う表情に突き放す事ができず、私はそのまま抱き上げられ、空いてるベッドに連れていかれ、朝日が登る時間まで抱かれた。



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