Love is over

鳴宮鶉子

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Loved one

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コロア感染の流行は止まらない。
感染経路不明の感染者が出てきた事から、感染してる事に気づいていない人がウイルスをばら撒いている気がしてならなかった。 

医療崩壊しかけている都市部はもう感染してない人の方が珍しいのではと思うぐらいバイオバザードしてしまってる。
感染者の2割が重症化する。
医療崩壊するほどの重症患者がいて、親会社の精密機器メーカー最大手のオリパスで不足している人工呼吸器とECMO(人工心肺装置)の増産を始めた。

奇跡的に感染していない私。
飛沫感染しないよう密閉空間、密集場所、密接場面に行かないようにし、外出時は必ずマスクをつけ、そして、接触感染しないよう手洗いとアルコール消毒をし、口や目にウイルスが入らないよう気をつけてる。


****
「新宿駅から人が消えたな。緊急事態宣言出て、リモートワークに切り替えた会社、多いからな」

京都から東京に出てきて、いつまで滞在するか目処が立たずビジネスホテルで暮らしてた柴田先生。
危険地帯の感染症指定医療機関に出入りしてるのもあり、オリパスの社内は立ち入り禁止になり、柴田先生を我が家に招き、リモート対応で病院とやりとりをした。
2LDKの間取りで空き部屋があるから簡易ベッドをレンタルし、柴田先生にそこに寝泊まりして貰い、共同生活を始めた。

「藤宮、器用だな」

週末。ミシンで立体マスクを作ってた。仕事柄、使い捨てのマスクを支給されてるけど、高機能な立体マスクを作ろうと思い立った。

マスクをつけるよう行政が国民に対して指導してる。
でも、マスクがどこにも売ってないのが現状で、他業種の製造工場でも使い捨てマスクを急ピッチで製造していても市場に出回るほどは生産できていない。
それで、小学校の給食マスクのようなマスクを政府がひと世帯に2枚ずつ配布するとニュースでしてた。
感染予防のためだけど、平面ガーゼマスクは効果があるとは思えず、着けるように言われても無いからつけれないという人に対しての処置で、パフォーマンスのように政策で配布したと思えた。

「柴田先生のも作るので、使って下さいね!!」

自分用は淡い色合いの花柄、水玉の模様がついた布。柴田先生のは白と紺。
不織布を中に入れられるような仕様で作成していく。
顔のサイズを測り、型から作って顔にフィットするのを作った。
抗ウイルス効果があるハーブのユーカリ・ラディアタとティートゥリーをら入れた精油スプレーをマスクに染み込ませ完成。

食品と日用品の買い出しはマンションの地下にあるスーパーでしていて、後はAmazonやYahooショッピングを利用し、外出を控えてる。

私も柴田先生もリモートワークで基本的に家で仕事をしてる。
柴田先生は保健所と感染症指定医療機構からの問い合わせがきた時以外は、ずっとノートパソコンを開きらコロア関係の論文を作成してた。

私も感染症指定医療機関から届く患者のデータをまとめ、分析をしないといけないから、早朝から深夜まで週末も柴田先生と同じようにノートパソコンを開いて仕事をしてた。

重症化した患者に投与するコロアウイルスの抗体から作った高度免疫グロブリン製剤の治療薬の臨床試験も始まり、研究センターではワクチン開発のプロジェクトが非臨床試験まで進んでる。

「……感染拡大させないために自宅自粛を呼びかけてたのに、若者の行動を封じ込める事ができなかったな」

感染経路が分かっていなかった感染者のうち3割がキャバクラなど接待を伴う飲食店での感染したとみられてる。
勤務時間短縮や臨時休業をし、それによって時間を持て余した人がナイトクラブやライブハウスに流れ、感染拡大に繋がった。

「コンパ感染……こんな時期にコンパなんかするから」

医療関係者や福祉施設スタッフの人もコンパにいき、それで持病を持ってる勤め先の患者さんに感染させてしまい、大惨事が起きてしまった。

「こんな時期に不謹慎極まりない。高齢者や肺や呼吸器に疾患ある人は感染したら急激に悪化してしまうのに」

私も毎週金曜日の夜にクラブ通いしてたから、若者の気持ちはわかる。

「アメバエージェントの樋山蓮も陽性出て、オリビガン投与で完治ってYahooトピに上がってるな」


検査をしたところ陽性反応がでたことから『一刻の猶予もないので、オルビガンでという話をいただきました。呼吸も弱くなってきたもんですから、いろんな意味で猶予ないということで服用し、そして早期に回復致しました』と感染しても早期ならオルビガンを服用したら完治するというコメントを多数残している。

仕事柄多忙で睡眠時間をあまりとれず、ヘビースモーカーで大酒飲みな樋山。健康体だけど、軽症だが感染して症状が出てしまった。

日本における新型コロアウイルス感染症の致死率は2%未満。
ほとんどの方が治癒する感染症で、オルビガンを飲んでも飲まなくても良くなる人もいる。

『オルビガン投与のかいもあり、おかげさまで3日で体調は回復しました。2週間は自宅謹慎します』

多くの著名人がコロア感染で命を落としてる。
それで、感染したら死ぬと思い込んでいる人が多い。
そういう人達を安心させるために、樋山は『オルビガンを服用したら完治する』とパフォーマンスに取られそうなコメントを残した。
オルビガンは早期なら確実に効く。

樋山から、

“オリビガンの効果を宣伝しといたから!!2週間の自宅謹慎暇だ!!藤宮、もう感染して抗体あるだろ?家にこないか!!おまえとヤりたい!!”

というLINEメッセージが届き、

“私、まだ感染してないから抗体持ってない。仕事柄、感染はマズイからいけない。ごめんね”と即、返信した。

私も3ヶ月もご無沙汰で、体の渇きを感じ、疼いてる。

だからといって、クラブに行ったり樋山の誘いにのったりしない。
自制を効かせてる。


「藤宮って、海外青年協力隊から戻ってきてから、ずっと恋人いないっていってたよな」

「……うん。救命救急医しながら薬学部に入り直して勉強していたから、男性と交際する余裕なかった。創薬研究員になってからも、治験コーディネーターをしながら開発の仕事に携わってたから、仕事中心でプライベートな時間もてなかった」

金曜日の夜にその場限りの一夜限りの関係を持つ男性はいたけど、恋人はいない。

ーー2度と恋をしない。
ーー仕事に生きる。

一徹と別れてから、そう自分に言い聞かせてた。

一徹と中学1年の春から13年間付き合っていて、彼が私の隣にいる事が当たり前だった。
だから、1人になれず、ときより男性に甘えたくなり愛されたいと思ってしまう。

でも、不特定多数の男性と一夜限りの関係をもったけど、体の渇きは解消しても、心の渇きは満たされる事はなかった。


「俺も大学病院の救命救急しながら大学で講師をしてて、女性を紹介されても多忙で放ったらかしてたから愛想尽かされて交際まで発展しなかった」

36歳を過ぎ、結婚しないとマズイと柴田先生は思い始めたようだった。
34歳の私は結婚適齢期をとうに過ぎ、痛い売れ残り女になってる。
医療現場に携わっていて多忙故の売れ残りだけど、性格に難ありで結婚できないと思われかねない。

「……なぁ、藤宮、俺と結婚前提で付き合ってくれない?俺、海外青年協力隊で初めて会った時からずっと藤宮の事が好きだった」

海外青年協力隊の任期を終えてから日本に戻ってきてから、柴田先生と1ヶ月1度ぐらい会ってた。
海外青年協力隊の医療チームのメンバーと集まる事もあったけど、2人きりで会って食事をする事が多かった。

柴田先生が私に好意を抱いてたなんて気づいてなかった。

「……私は柴田先生の事を医療関係者の仲間と思ってた。でも、お互い歳も歳だから結婚を考えないといけない。こんな私でよければ、よろしくお願いします」

柴田先生と結婚前提の交際を受ける事にした。

ーー私は、渇いた体を満たしたかった。

交際を受け入れたからと私の体に、柴田先生は触れようとしない。

私から誘う事にした。

救命救急医として勤務し、大学で助教授をしてる柴田先生。
心臓手術や内臓破裂などの外科的手術の執刀腕もピカイチで、感染症対策アドバイザーとしても活躍してる。

ーーモテないわけない。

仕事が多忙なのが理由で女性と長続きしないのは確かだと思う。

結婚前提で交際をするんだから一緒に寝ようと提案したら、大切にしたいからと始めは断られた。

でも、眠りにつくまでお喋りをしたいと上目遣いにお願いしたら、聴き入れてくれた。

エメラルドプリンス号の集団感染から日本DMATの医師として柴田先生は多忙極まりない生活を送ってる。
感染するリスクがある仕事をしてるから、プライベートで人と会ったりしない。

柴田先生も私と同じで3ヶ月以上ご無沙汰だったようで、ダブルベッドの上で寄り添って、懐かしい話とかをしていたら堪らなくなったのか、私に覆いかぶさり組み敷いた。

「藤宮……美羽、キスしていい?キスしたらそれ以上の事をしちゃうけどーー」

「……私も、翔琉さんとしたい」

柴田先生もとい翔琉さんの首に腕を回し、目を瞑る。
すぐに唇を塞がれ、啄むキスを何度か交わした後に、口内に舌が割り込まれた。
淫らな水音を奏でながら舌を絡め合わせる。

ユニクロのルームウェアのダボっとしたTシャツの中に、翔琉さんの手が入ってきた。
就寝前はブラを外してるから、膨らみを直に掴まれ、弄られ、思わず喘ぎ声をあげてしまう。
ご無沙汰すぎるからか、キスをして胸を触られるだけで感じてしまう。

「……美羽、大切にするから」

Tシャツとショートパンツを脱がされ、ショーツ1枚にされ、翔琉さんもせかしくパジャマを脱ぎ捨てトランクス1枚の姿になった。

高級CLUBで知り合った男性や樋山と体を合わせた時と違って、なんだか恥ずかしくて照れてしまう。

医療現場で共に働いていて、友として翔琉さんと6年間、関係を築いてきた。
友達という関係から恋人という関係になるために体を合わせる。
欲情を発散させるためではなく、愛情を確かめる行為として体を繋げる。

「ーー美羽、恥ずかしい?だよな。久しぶり過ぎて痛みを感じるかもしれないな。痛みを感じないようにするから」

私が失恋の傷からの逃避行で海外青年協力隊に入隊した事を翔琉さんは知ってる。
だから、翔琉さんは私が8年間もの間、誰にも抱かれてないと思ってるようだった。

子宮が期待し愛蜜が溢れ、ショーツを濡らしている淫らな体の私。
失望されるよう気がして、一気に血の気が引いてしまった。


とろとろとした愛蜜でショーツは湿っていて、割れ目を触られるクチュッという音をさせた。

恥ずかしくて、堪らない。

布の上から敏感な芽を触られ、ビクッと全身が震えた。

「……美羽、感じやすいんだ」

ショーツを剥ぎ取られ、太腿を持ち上げられ開脚され、いきなり蜜口に舌を入れられ愛蜜を啜られる。
啜るように愛蜜を飲み干された後にカプッと淫芽を咥えられ、蜜口に人差し指と中指を差し込まれ、敏感なスポットを掻き出すようにグリグリされイカされると同時に潮を吹かされ、体は愉悦で震えた。

「……こんな時期だから、妊娠は避けないといけないから、ここまでで終了。ずっとご無沙汰だったから避妊具持ってない」

残念そう言い放つ翔琉さん。
トランクス越しに猛々しくいきり立ってる硬さと熱を帯びている欲望を目にし、それに手を伸ばす。

トランクスから取り出し、口に含む。
上目遣いで彼を見上げると驚いた表情を浮かべてた。

私だけイカされるのは嫌。
先端を口の中で舌で舐め唾液を垂らし、竿を右手で上下にしごく。

気持ちよさそうな表情を浮かべてた翔琉さんが、いきなり私から離れようとしたからそうさせまいと右手に力を入れ、思いっきり亀頭に吸い付く。

私の口の中に濃厚すぎる遺伝子のエキスを放出され、それを私は飲み干した。

「……ごめん。美羽にこんな事させるつもりなかったのに」

「私がシタかったから、シタだけ。最後まではできないけど、もっとお互いの体を触りあいたい」

「……そうだな。美羽、愛してる」

私を押し倒し、唇を重ね合わせる。
この夜、挿入なしでお互いの体をイカせあった。

愛撫だけでイカされた事はなかった。
挿入でなしで、こんなに丁寧に抱かれた事は今までなかった。

それもあり、私を抱きしめ隣で眠ってる翔琉さんが本気で私の事を愛してくれてると感じた。

翔琉さんとなら、人生のパートナーとして歩んでいけると思った。


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