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元彼上司と口説いてくる同期
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東京出張から半月後の10月1日。
大輝が関西支部の広告戦略部の部長としてやってきた。
大輝、高校生の時から『爽やか皇子』と言われてクイズ番組で芸能人並みに人気だった。
183cm強、体重63kg前後で細マッチョで、顔は知的な美形系のハンサム。
大輝を見た女性社員がほぼ全員魅了されて見惚れてた。
「倉木さん、任天社へのヒアリングに私も同行します」
任天社が新作のゲーム機を発売してから広告制作に予算をかけるようになり、京都支社の収益の5分の2を現時点で締めてる事から、上得意様なだけに部長の大輝も同行すると言い出した。
「TVよりデジタルメディアに予算をかけ、売り上げを伸ばすためにイベントを企画した方がいい」
任天社のヒアリングは午前中に行われる事からランチで昔によく2人で行ったイタリアンの店や和食の店に行った。
「Eスポーツが流行ってるからそっち方面で提案をかけて、イベント収入を継続的に得るように働きかけよう」
東京本社で戦略プランナーとして2位と圧倒的な差を開けて全国1位も2位と大差をつけて君臨していた大輝。
かなりのやり手で、わたしが思いつかないようなアイデアを出してくる。
大輝がわたしに同行をするようになり、わたしが担当するクライアントの売り上げがうなぎ上りに向上し、それにより広告予算も挙げられた。
「須賀部長のアイデアは素晴らしい。ありがとうございます」
クライアントが大輝に頭を下げてるのを見て複雑な感情を抱いた。
戦略プランナーとしての実力の差を見せつけられた気がした。
「任天社とオモロンとニッポン製薬とワコーンの仕事の営業を須賀部長に持っていかれたから、中小企業向けの仕事しか回ってこないから営業成績がガタ落ち」
いつもクライアントのヒアリングに同行していた永瀬。
大輝が関西支部に赴任してからは営業経験もある大輝が永瀬を営業担当から外した。
元々キャパオーバーでわたしが大手4社の専任になり、永瀬とペアを解消し、営業の仕事も大輝に教わりながら覚えていってる。
今まで担当していたクライアント先に、永瀬とわたしの代わりに戦略プランナーとしてつく2年目の柳美香(やなぎ みか)ちゃんと挨拶回りをしていて、ランチで入った定食屋で永瀬が愚痴をこぼす。
わたしが担当していたエリアは大手4社を外しても営業成績1位になるぐらいのクライアントを持ってる。
戦略プランナー2年目の柳ちゃんはとっても綺麗な子でミス名古屋大学に選ばれたしかも読モをしてた経歴のある子で仕事もわりとできる。
わたしが大手4社専任になるために地元が京都の地主の娘の柳ちゃんを上層部が名古屋支社から異動させた。
「……須賀部長が決めた事だから仕方がないでしょ」
カキフライ定食を頬張りながら永瀬に言う。
挨拶回りは後2日で終わるから永瀬の愚痴も後もう少しの辛抱と思い、聞き流すようにしてる。
「須賀部長、高校生クイズで3年連続優勝とか大学生時代にクイズ王ともてはやされていてあのルックス。とんでもない奴が支社に来たよ。なんかやらかしたから本社から左遷されたんじゃないか。やってられない」
本社の出世コースが支社送りになる事は滅多にない。
元々東京本社で課長職につき、今業績が好調な関西支部に部長として赴任は決しておかしくないと思うけれど、大手4社を営業の担当から外されたのが腹立つのか永瀬は荒れてた。
「金曜日、3人で飲みに行きません?」
上品にレディースセットを口に運んでる柳ちゃんが荒れてる永瀬に提案した。
永瀬とは一緒にはお酒を飲みたくないと思ってしまうわたし。
柳ちゃんと2人で行かせるのが心配だから断れないなと思いつつも、1ヶ月前にやらかしてしまったわたしは正直行きたくなかった。
「……そうだな。パーっと飲むか」
柳ちゃんに『永瀬は狼だからお酒を飲み過ぎて意識を失わないように』と忠告したいけれど、さすがに言えなくて、美しすぎる彼女だから自己防衛するだろうと思いつつ、金曜日の飲み会には参加する事にした。
「結衣、今日飯に行かないか?」
永瀬と柳ちゃんと飲み会をする日に帰り際に大輝にご飯に誘われた。
「先約があるからごめんなさい。永瀬と柳ちゃんと飲みに行く約束をしてるんです」
「須賀部長!!良かったらご一緒しましましょう!!」
わたしが大輝からの誘いを断っていたら隣の席の柳ちゃんが嬉しそうに大輝に声をかけた。
わたしと大輝が大学時代のサークルつながりで昔から付き合いがある事を柳ちゃんに話してた。
わたしは『須賀部長』と役職で読んでいても、クライアント先以外ではわたしの事を『結衣』と呼び捨てする大輝。
会社の人に誤解をされないよう、わたしは必死だった。
オフィスビルの1階で永瀬と待ち合わせをしていて、大輝が参加すると聞き、大輝は顔が引きつらせながら歓迎してた。
大阪の梅田にある21階建のオフィスビルの15階のワンフロアに会社が入っていて、徒歩10分先にあるJR新大阪駅構内にある和食創作料理の居酒屋に入った。
「須賀部長、ビールのおかわりはいかがですかぁー~?」
甘ったるい声でまとわりつく柳ちゃんに大輝は引き気味だった。
お刺身の盛り合わせとイカの姿焼き、手羽先の唐揚げなどのおつまみ系メニューをつまみながら、やらかさないようお酒の飲む量をセーブしようと思っても、大輝と柳ちゃんを見てると腹が立ち、ビールは量が飲めないからサワーと酎ハイをひたすら飲んだ。
「倉木主任、お酒が強いんですねーー!!」
乾杯のビールを飲み干してから、サワーと酎ハイを5杯ぐらい飲んでたわたし。
まだ意識はある。大手企業4社の専任になり、21時に退社して、24時には就寝できてるから眠気はきてない。
「結衣……さすがに飲みすぎだ。それぐらいで辞めとけ」
大輝に睨まれても無視し、タッチパネルで梅酒サワーを注文した。
焼き鳥も追加で注文する。
大輝は柳ちゃんにまとわりつかれてるから柳ちゃんを送り届けると思うし、わたしは永瀬にまたホテルに連れ込まれてやられるのかな。
さすがに梅酒サワーを飲み干し、〆にカルーアミルクを注文しデザートのマンゴープリンを食べながら飲んでいたら意識が朦朧としてきた。
気持ちが悪くなり、お手洗いに駆け込んだ。
吐くほど飲み過ぎた経験は今までにない。
口を濯ぎ、お手洗いから出ると永瀬が女子トイレの前で立って待ってた。
「倉木も人気者の大学のサークルの先輩の須賀部長には恋心抱いてたりするんだ。今までこんなに飲みすぎた事ないよね」
出た途端に壁に押しやられ壁ドンされる。
「……倉木も須賀部長が好きなの?俺、入社式で倉木に一目会った時から倉木に惹かれてた。倉木と組んで仕事をするようになって、真剣に仕事に取り組む姿勢とかを知って倉木を欲しいと思った。倉木、俺の彼女になって」
居酒屋のトイレの前で壁ドンをされ永瀬に告白され困るわたし……。
「……会計済ませたから帰ろう。倉木は俺が送る。永瀬は柳を家まで送れ」
気づいたら、なかなか帰ってこないわたしと永瀬を迎えに、大輝と柳ちゃんが来てた。
「倉木は俺が送ります」
「送り狼になりそうだから任せられない。倉木は部下だが大学時代の可愛い後輩だ。タクシーを2台呼んで貰った。今日はもうお開きにしよう」
大輝がふらつくわたしの手を取り店を出た。
そして、先にわたしと大輝がタクシーに乗り込み、永瀬と柳さんを無視し、大輝は運転手に行き先を指示し、発進させた。
完全にアルコールが身体に回り、わたしは意識を失くしてしまった。
大輝が関西支部の広告戦略部の部長としてやってきた。
大輝、高校生の時から『爽やか皇子』と言われてクイズ番組で芸能人並みに人気だった。
183cm強、体重63kg前後で細マッチョで、顔は知的な美形系のハンサム。
大輝を見た女性社員がほぼ全員魅了されて見惚れてた。
「倉木さん、任天社へのヒアリングに私も同行します」
任天社が新作のゲーム機を発売してから広告制作に予算をかけるようになり、京都支社の収益の5分の2を現時点で締めてる事から、上得意様なだけに部長の大輝も同行すると言い出した。
「TVよりデジタルメディアに予算をかけ、売り上げを伸ばすためにイベントを企画した方がいい」
任天社のヒアリングは午前中に行われる事からランチで昔によく2人で行ったイタリアンの店や和食の店に行った。
「Eスポーツが流行ってるからそっち方面で提案をかけて、イベント収入を継続的に得るように働きかけよう」
東京本社で戦略プランナーとして2位と圧倒的な差を開けて全国1位も2位と大差をつけて君臨していた大輝。
かなりのやり手で、わたしが思いつかないようなアイデアを出してくる。
大輝がわたしに同行をするようになり、わたしが担当するクライアントの売り上げがうなぎ上りに向上し、それにより広告予算も挙げられた。
「須賀部長のアイデアは素晴らしい。ありがとうございます」
クライアントが大輝に頭を下げてるのを見て複雑な感情を抱いた。
戦略プランナーとしての実力の差を見せつけられた気がした。
「任天社とオモロンとニッポン製薬とワコーンの仕事の営業を須賀部長に持っていかれたから、中小企業向けの仕事しか回ってこないから営業成績がガタ落ち」
いつもクライアントのヒアリングに同行していた永瀬。
大輝が関西支部に赴任してからは営業経験もある大輝が永瀬を営業担当から外した。
元々キャパオーバーでわたしが大手4社の専任になり、永瀬とペアを解消し、営業の仕事も大輝に教わりながら覚えていってる。
今まで担当していたクライアント先に、永瀬とわたしの代わりに戦略プランナーとしてつく2年目の柳美香(やなぎ みか)ちゃんと挨拶回りをしていて、ランチで入った定食屋で永瀬が愚痴をこぼす。
わたしが担当していたエリアは大手4社を外しても営業成績1位になるぐらいのクライアントを持ってる。
戦略プランナー2年目の柳ちゃんはとっても綺麗な子でミス名古屋大学に選ばれたしかも読モをしてた経歴のある子で仕事もわりとできる。
わたしが大手4社専任になるために地元が京都の地主の娘の柳ちゃんを上層部が名古屋支社から異動させた。
「……須賀部長が決めた事だから仕方がないでしょ」
カキフライ定食を頬張りながら永瀬に言う。
挨拶回りは後2日で終わるから永瀬の愚痴も後もう少しの辛抱と思い、聞き流すようにしてる。
「須賀部長、高校生クイズで3年連続優勝とか大学生時代にクイズ王ともてはやされていてあのルックス。とんでもない奴が支社に来たよ。なんかやらかしたから本社から左遷されたんじゃないか。やってられない」
本社の出世コースが支社送りになる事は滅多にない。
元々東京本社で課長職につき、今業績が好調な関西支部に部長として赴任は決しておかしくないと思うけれど、大手4社を営業の担当から外されたのが腹立つのか永瀬は荒れてた。
「金曜日、3人で飲みに行きません?」
上品にレディースセットを口に運んでる柳ちゃんが荒れてる永瀬に提案した。
永瀬とは一緒にはお酒を飲みたくないと思ってしまうわたし。
柳ちゃんと2人で行かせるのが心配だから断れないなと思いつつも、1ヶ月前にやらかしてしまったわたしは正直行きたくなかった。
「……そうだな。パーっと飲むか」
柳ちゃんに『永瀬は狼だからお酒を飲み過ぎて意識を失わないように』と忠告したいけれど、さすがに言えなくて、美しすぎる彼女だから自己防衛するだろうと思いつつ、金曜日の飲み会には参加する事にした。
「結衣、今日飯に行かないか?」
永瀬と柳ちゃんと飲み会をする日に帰り際に大輝にご飯に誘われた。
「先約があるからごめんなさい。永瀬と柳ちゃんと飲みに行く約束をしてるんです」
「須賀部長!!良かったらご一緒しましましょう!!」
わたしが大輝からの誘いを断っていたら隣の席の柳ちゃんが嬉しそうに大輝に声をかけた。
わたしと大輝が大学時代のサークルつながりで昔から付き合いがある事を柳ちゃんに話してた。
わたしは『須賀部長』と役職で読んでいても、クライアント先以外ではわたしの事を『結衣』と呼び捨てする大輝。
会社の人に誤解をされないよう、わたしは必死だった。
オフィスビルの1階で永瀬と待ち合わせをしていて、大輝が参加すると聞き、大輝は顔が引きつらせながら歓迎してた。
大阪の梅田にある21階建のオフィスビルの15階のワンフロアに会社が入っていて、徒歩10分先にあるJR新大阪駅構内にある和食創作料理の居酒屋に入った。
「須賀部長、ビールのおかわりはいかがですかぁー~?」
甘ったるい声でまとわりつく柳ちゃんに大輝は引き気味だった。
お刺身の盛り合わせとイカの姿焼き、手羽先の唐揚げなどのおつまみ系メニューをつまみながら、やらかさないようお酒の飲む量をセーブしようと思っても、大輝と柳ちゃんを見てると腹が立ち、ビールは量が飲めないからサワーと酎ハイをひたすら飲んだ。
「倉木主任、お酒が強いんですねーー!!」
乾杯のビールを飲み干してから、サワーと酎ハイを5杯ぐらい飲んでたわたし。
まだ意識はある。大手企業4社の専任になり、21時に退社して、24時には就寝できてるから眠気はきてない。
「結衣……さすがに飲みすぎだ。それぐらいで辞めとけ」
大輝に睨まれても無視し、タッチパネルで梅酒サワーを注文した。
焼き鳥も追加で注文する。
大輝は柳ちゃんにまとわりつかれてるから柳ちゃんを送り届けると思うし、わたしは永瀬にまたホテルに連れ込まれてやられるのかな。
さすがに梅酒サワーを飲み干し、〆にカルーアミルクを注文しデザートのマンゴープリンを食べながら飲んでいたら意識が朦朧としてきた。
気持ちが悪くなり、お手洗いに駆け込んだ。
吐くほど飲み過ぎた経験は今までにない。
口を濯ぎ、お手洗いから出ると永瀬が女子トイレの前で立って待ってた。
「倉木も人気者の大学のサークルの先輩の須賀部長には恋心抱いてたりするんだ。今までこんなに飲みすぎた事ないよね」
出た途端に壁に押しやられ壁ドンされる。
「……倉木も須賀部長が好きなの?俺、入社式で倉木に一目会った時から倉木に惹かれてた。倉木と組んで仕事をするようになって、真剣に仕事に取り組む姿勢とかを知って倉木を欲しいと思った。倉木、俺の彼女になって」
居酒屋のトイレの前で壁ドンをされ永瀬に告白され困るわたし……。
「……会計済ませたから帰ろう。倉木は俺が送る。永瀬は柳を家まで送れ」
気づいたら、なかなか帰ってこないわたしと永瀬を迎えに、大輝と柳ちゃんが来てた。
「倉木は俺が送ります」
「送り狼になりそうだから任せられない。倉木は部下だが大学時代の可愛い後輩だ。タクシーを2台呼んで貰った。今日はもうお開きにしよう」
大輝がふらつくわたしの手を取り店を出た。
そして、先にわたしと大輝がタクシーに乗り込み、永瀬と柳さんを無視し、大輝は運転手に行き先を指示し、発進させた。
完全にアルコールが身体に回り、わたしは意識を失くしてしまった。
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