腐女子にリアルな恋愛なんてできるわけない

鳴宮鶉子

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隠れ腐女子がコンパに参加してみた

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隠れ腐女子を始めて10年。
親にもバレないよう美月と2人で趣味を共有しうつつ抜かしてきたから、私も美月も

恋人いない歴=年齢

リアルの彼氏と恋愛をするより2次元もしくは創作で作り上げたヒーローとヒロインで脳内で恋愛した方が妄想でオーダーメードできるから自分の思う通りな展開になって幸せな気持ちになれる

妄想ばかりしてるから、リアルの男に対する理想が高くなり、恋人を作る事ができなかった。


早朝ジョギングの後、いつものカフェでフレッシュスムージージュースを飲みながら美月と少し休憩をする。

「あそこに極太バ●ブを入れると喜んで尻を振る可愛い系の受け男いないかな!!」

BLが大好きな美月だから、好みのタイプが過激だ。
「リアルにそんな男、いないわぁーー!!」
と突っ込むも、

「眉目秀麗で仕事ができる大企業の御曹司に見染められるよりは現実的だよ!!」
と返ってきた。

大企業の御曹司が平凡な女に一目惚れして溺愛するなんて、ありえない夢物語だ。

「そうそう、愛果、鉄赤会にいた開灘の馳くんの事覚えてる?」

「……うん」

馳くんは広告代理店の博報社の御曹司で、高校時代に美月がおかずにしてた男。
勉強がかなりできる男で、オックスフォード大学に進学た天才だけど、ガリ勉過ぎてひょろっとしていた事から、美月に勝手に全国で1、2位偏差値を誇る私立中高一貫男子校で毎日同級生や先輩、教師から掘られてる受け男だと思われてた。

「あのね、昨日、コンペであいつにばったり会ってさ、それでコンパをお願いしたの。で、今週の金曜日のいつもの飲み会をコンパにしたから!!」

「わかった。……馳くん、懐かしい!!彼、美月の好みのドンピシャ男に成長してた?」

「……あいつ、背が伸びて身体も鍛えてるのか細マッチョになってた。私の恋愛対象外だよ。中高一貫校時代に6年間鉄赤で共に学んだ仲間だからかあいつに飲みに誘われて、断るのもあれだからコンパならいいって承諾した。5対5でする事にしたから、1人ぐらいやおい系のおかずになりそうなエリート社員を拝めたらいいな」

美月のスマホには馳くんの隠し撮り写真がかなりの枚数、保存されてる。
中性的な美しい顔立ちをした馳くんが男らしく成長し、美月はかなりショックを受けたらしい。

私と美月は生活基盤をかえたくなくて、東京大学に進学した。
キャンバス側に1人暮らしをし、大学時代に腐女子活動を謳歌してたのはいうまでもなく、腐活が楽しくてコンパに誘われもスルーしてたから彼氏なんていなくて、28歳になる年になり、親に急かされるのもあり、私も美月も結婚に焦ってる。

「タイプの男、いたらいいな」
「御曹司系を連れてくると思うから、愛果のタイプはいると思うよ。BLの受けでドM男はなかなかいないからなぁ……」

午前7時半のカフェはまだ閑散としてるけど、人目を気にせずに腐女子トークを繰り広げる私達に、バイトの店員さんは冷たい眼差しを向けてた。

待ちに待った金曜日。
博報社の御曹司が引き連れてくるメンツに期待し、いつもよりお洒落をし、下着も新品の可愛いのをつけてコンパに挑む。

美月に会社の女の子を2人連れてくるよう言われ声をかけたら、博報社の御曹司が男側の幹事と知ると参加したい婚活女子が殺到し、あみだくじで連れて行く子を決めた。

倍率10倍のあみだくじ。
仕留めた2人はかなり気合をいれた勝負服とメイクで、最高クラスの結婚相手をゲットするというミッションに命をかけてる感がした。

コンパ会場は会員制の高級BARの個室で、鉄赤会の同窓会ですかっと思ってしまうメンツと頬っぺたが落ちそうなぐらいの美味しい料理に舌鼓を打ち
ながら、美味しいカクテルを楽しむ。

鉄赤会の開灘出身のメンズ5人は、全員独身で御曹司だから、同伴した婚活女子の3人は瞳がハートになってるんじゃないかというぐらい陶酔し、ぐいぐい迫ってた。

一般ピープルの女は相手にする気はないのか、スルーしてる御曹司達。

男らしく成長した馳くんに、私と美月は残念だと嘆く。

中高時代の見知った相手に恋情なんて抱けず、美月と隣り合わせに座り、冷めた目で婚活女子の御曹司へのアプローチを観察し、小説のネタを考えてた。


****

三谷物産は日本最初の総合商社で資源分野を中心に強い収益基盤を有してる。鉄鉱石、原油・ガス、LNGが強いく原油・ガスの生産量は商社トップだ。
私が携わってるのは医薬分野の
医薬品の開発支援事業、製造支援(CMO)事業および製造・販売事業で、医薬品の開発・製造・販売に至るバリューチェーン全体を視野に、医薬品業界に対しソリューションを提供してる。

「おっ、宮浦も明日からオーストラリアに出張か!!」

明日から4泊5日で私はオーストラリアに新薬の輸入に関する特許更新の手続きへ行く。
他にも新薬の化合物をフジ薬品の創薬研究者と吟味し、輸入検討をしないといけなくて延泊の可能性もあり、かなりハードな出張になりそうだ。

総務で航空券と成田空港までのバスのチケットを受け取ってると、同期で花形部署に配属され、機械・インフラ分野で発電事業、電力・ガス・水の供給、鉄道、物流インフラや大型プラント、海洋エネルギー開発に携わり、船舶、航空、鉄道、自動車、鉱山・建設・産業機械など幅広い分野で、販売、金融・リース、輸送・物流、事業投資などを行ってるエリートな藤堂大知に話しかけられた。

我が社1の色男、眉目秀麗でキリッとした意志が強そうな二重瞼に鼻筋が通っている端正すぎる顔立ちに、見惚れてしまう。
180cm以上あると思われる身長に、細マッチョな身体つき。
28歳という若さで大きなプロジェクトの契約を次々と取り、花形部署の係長をしてる。

金曜日は馳くん、月曜日は藤堂係長と目の保養になるイケメンを拝めてTL系腐女子はウハウハだ。
明日からのオーストラリア出張はかなりハードだけど、リアルな極上のイケメンおかずにお目にかかれたから、しばらくは脳内で彼らに励ましてもらいキツイ仕事に耐えようと自分を励ました。


オーストラリアでの4泊5日のハードすぎる仕事を終え、21時発の飛行機に乗り込んだ。
シドニー国際空港から日本までの搭乗時間は約10時間。時差もオーストラリアの方が1時間時間が早いだけだから、時差ボケはしない。

土曜日の午前6時に成田空港に到着し、家に戻ってシャワーを浴びてコスチュームに着替えたらタクシーで美月を迎えに行き、幕張メッセで行われる同人誌即売会へ向かった。

美月はプロ並にイラストを描くのが上手く、大学生になってから年に4回、同人誌即売会でBL漫画を描いて販売していて、私も3年前から美月に表紙絵と挿絵を描いて貰い、同じスペースでTL小説を販売するようになった。

「今回のコスチュームは“乙姫様は告らせたい~ギフデットの恋愛頭脳戦~”なんですね!!素敵です!!」

いつもながら、美月、男キャラが様になってる。
イベントが始まると、男より男らしい美月に腐女子が集まり、撮影会を始めた。

身バレ懸念のためにコスプレしてスペースで売り子をしていてる私と美月。
レイヤーとしても注目されていて、私と美月と写真を撮るために、毎回本を購入する顧客がいる。



「今回も印刷した部数全て売れるかな?」

9時開場でお客さんが詰め寄せたけど、11時現在、同人誌即売会は閑散としていている。

「……どうかな。他のイベントと同時開催だから、こっちには人が流れてこないかもね」

声優さんがイベントでコンサートをしてるのと、隣の会場でeスポーツ大会が行われていて、そのせいか人通りがぽつんぽつんで、オリジナルストーリーの同人誌は見向きもされないから悲しくなる。

でも、イベント目的で集客人数はいつもより多いから終わったお客さんがここにも足を運んでくれるはず。

オーストラリアでの勤務はかなり難航し、事前のメールをかいして契約の約束をしていたのに直前で白紙に戻されそうになり、かなり憔悴した。
藤堂係長がヘルプで入ってくれて、なんとか契約をし、化学化合物などの新規輸入に関しての取引に同行してくれて難を逃れた。

最終の飛行機の便でなんとか早朝に東京に戻ってこれたけど、機内で眠る事ができなくて、スペースでうとうとしてしまった。

「……葉山だよな。おまえ、やっぱりそっちの気があったんだな」

夢の中に入るタイミングで、馳くんの声が聞こえて目が覚める。

「……ボーイズラブが好きなオナベだったのか」

かなり酷い言いぐさだけど、美月は男装癖があり、TLには全く興味を持たないからその気はあると思う。

私はBLもTLもどっちも好物だけど、美月は違う。
お願いしたら、男女が絡むエロイラストを描いてくれるけど、「絶対に男に挿れられるの嫌だ」と男との身体関係に全く興味を示さない。

「ボーイズラブが好きなのは認めるけど、オナベではない。掘られる系のドM男がタイプなの!!」

この場だから許される発言。
開き直った美月ちゃんのこの言葉をスマホの音声録音アプリで録音してた馳くん。

「葉山、電通信辞めて博報社にこい。そして、俺の女になれ。じゃなかったら、これを広告業界の関係機関の知り合いに聞かせて、おまえが変態だという事をばらすから」

美月ちゃんに尻穴に制汗スプレーをぶっさされた恨みがあるのはわかるけど、中高生時代の優しくて大人しい馳くんがドSキャラに変貌していて驚く。

「涼真、女性に対して弱味を握って脅して交際を迫るのはよくない」

美月と馳くんが言い合ってるのを仲裁してくれる救いの手に感謝したのは束の間、その声をかけてくれた相手の顔を見て固まる。

「……あれっ、宮浦!?」

藤堂係長に腐女子を知られてしまった。身バレ対策でコスプレをしても、身近な人にはバレてしまう。

私の目の前には過激で攻めた男女が裸で抱き合ってる表紙絵の同人誌が5冊並んでる。

藤堂係長はそれを見て、絶句していた。




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