腐女子にリアルな恋愛なんてできるわけない

鳴宮鶉子

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腐女子ですが何か?

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「愛果、始まるよ!!愛果がハマってる乙ゲーの押し声優のコンサート。ここ、閉めてから行こう!!……そうだ、馳くん、店番しといて!!」

時計の針を見ると12時半過ぎていて、1時からの私がハマってる乙ゲーの押し声優のイベントがある。

美月ちゃんが私の手を引いてスペースから出て、イベント会場へ猛ダッシュをした。

「あの男前の2人が店番したらすぐに完売すると思うし、イベントを楽しもう!!」

私と美月は好みがTLとBLで違う。
店番もあるからイベント参加は別行動していて、一緒に押し声優のトークショーを観に行く事はなかった。

「……いや~ん。あの色っぽいボイス最高だわぁ!!らぶ対象が男ならもっと萌えるんだけどな!!」

同人誌即売会イベントの醍醐味、それは、アニメやゲームアプリの声優さんがゲストでトークショーやコンサートを開く事。
それ観たさに、中学生になってから美月と2人で足を運んでた。

45分のイベントが終わり、気持ちがハイになってる状態でスペースに戻る。

「……あっ、忘れてた。店番を馳くんにお願いしてたんだった」

腐女子が列を成していた。

「どうする?あの子達、イケメンから同人誌を購入したいと思うし、このまま他のスペースを見て回ろうか!!」

面白がってる美月。
美月は新作200部、再版80部刷っていて、私も新作150部、再版50部刷ってたから、2日間で売り切る自信が持てなかった。

「葉山、俺にBL漫画を売らせて嫌がらせか!!」

「イケメンから同人誌を購入したいと思うから、馳くん、ありがとう。助かった」

それが男前2人のおかげで初日の夕方に完売した。
最後の1冊が売れてから、スペースにいる馳くんと藤堂係長の元へ駆けつける。

馳くんが美月のBL漫画を売り、藤堂係長が私のTL小説を売ってた。


「ありがとう、馳くん。増版したのに1日で完売ってやっぱりイケメンが売り子すると違うわ!!」

ぶちぎれてる馳くんに美月が笑顔で近づいていく。

「馳くん、売る商品無くなったし、御礼に夕ご飯奢るよ」

学ラン姿の美月と馳くんは絵になる。
ドSな振る舞いをしても、惚れてる方が負けで美月と食事に行けるのを喜んで尻尾振ってる馳くんを可愛く思う。

「……藤堂係長、すみません。巻き添え食わせてしまって。あの、低俗な本の売り子をさせてしまいすみません」

「ちょっとびっくりはしたけど、涼真に付き合わされただけだから気にするな」

藤堂係長にTL小説の売り子をさせてしまった。
1番知られたくない人に私がTL小説を書いてる事がばれてしまい、現在、絶望感に苛まれてる。

「おいっ、そのコスプレ姿なんとかしろ!!学ランを脱げ!!女らしい格好をしろ!!」

コスプレコスチュームを着て、美月の車で幕張メッセまできた。
馳くんと藤堂係長を後部座席に乗せて、有楽町にある自宅賃貸マンションに戻る。

「馳くん、私の住んでるマンションに押しかけてこないでね。来たらどうなるかわからないよ!!」

馳くんを恋の対象にはしてないけど、身体には興味がある美月。
尻穴に突っ込めそうな物をあれこれ購入してそうで怖い……。

美月が住んでるマンションから私が住んでるマンションまでは徒歩で15分。

マンションの前で下ろして貰い、急いで家の中に入り、レッセパッセのお気に入りの紺地のワンピースを着てメイクを直し、ピンクベージュのトレンチコートを羽織う。
馳くんがザ・リッチ・カールト銀座の最上階にある鉄板焼きレストランを予約入れたから、そこへ急いで向かった。

ミシュラン三つ星に選ばれてる鉄板焼きのお店だけあり、個室でもシュフが目の前で肉や海鮮を焼いてくれる。

馳くんと藤堂係長が奢ってくれるからと、調子にのった美月がA5ランクの黒毛和牛や松坂牛、海鮮伊勢海老と鮑をオーダーした。
最高級食材をシュフが目の前で焼いて出してくれるから美味しくないはずがない。

「スペースの予約は取り消したけど、明日幕張メッセいく?」

「……食べ過ぎたから、無理」

ワインやシャンパンもついつい飲み過ぎてしまい、完全に酔ってしまった。
海外出張明けで寝不足なのもある。
意識が朦朧とする中、明日のコミケに参戦するか美月に聞かれ、体力的に無理だから行くのを辞めようと思ったけど、スマホのSafariで明日のイベントのスケジュールを調べ、悩む。

「やり込んでるアプリゲームの押しのトークショーがあって、限定イベントのQRコードが配布されるって書いてある!!」

「あっ……ハマってる作家先生がスペースで同人誌を直接販売するんだ。それにディアプラスの人気漫画家のトークショーに限定ポスターが先着200名で配布されるって、愛果、明日も出陣だ!!持ち込みないから明日はJRで行こう!!9時に新橋駅のSL広場の乙女と盲導犬の像で待ち合わせね」

年に4回しかないコミケ。疲労困憊でぶっ倒れそうだけど行かない選択肢はない。

デザートのレモンシャーベットとレアチーズケーキを食べ終えてたから、美月と明日のコミケ参戦に備え、帰るために立ち上がる。

「お前ら俺達をこき使っておいてメシを食ったらおひらきって、いい根性してるな!!この後、2手に別れて2次会」

馳くんが立ち上がり、美月の手をひいてレストランから出ていった。
レストランに藤堂係長と取り残されてしまい、支払いの額をみて困ってたら藤堂係長がブラックカードでしてくれて助かった。

「涼真が邪魔に入って悪かったな。あいつ、葉山さんに相当、惚れ込んでるから」

馳くんが美月の事に好意を抱いてる事は知ってる。

「……もしかして馳くん、美月のプライベートを探偵を雇って調べたりしてます?同人誌即売会場に現れたのびっくりしました」

「……探偵を雇ってるかどうかは知らない。俺と涼真、朝イチで行われたフォーツナイトのeスポーツ大会に出場してたんだ。で、試合が終わって帰ろうと同人誌即売会場の前を通った時にあいつが葉山さんを見つけた」

馳くんが同人誌即売会場に現れたのがストーカーは行為によるものでないと知り、ほっとする。

「藤堂さん、フォーツナイトをされてるんですね!!大会、どうでした?」

「優勝したよ。ちなみに涼真は1回戦で敗退。いつもは決勝戦までいけるのにな。先週の金曜日に葉山さんに告白してOK貰えたのに着信拒否されたってあいつかなり凹んでて、今日は不調だった」

世界的に大ヒットしてるフォーツナイトのeスポーツ大会で優勝できるレベルにいる藤堂係長と馳くんは、相当なゲームオタクと思われる。
オックスフォード大学に通ってた2人は留学中にゲーム繋がりで仲良くなったらしい。

「……すごいですね。私もたまにフォーツナイトやりますけど、上のクラスになかなかいけなくて、コスチュームに凝ってしまい課金して遊んじゃってます。マルチプレイでやると、“ヘタクソがー”と怒られて、いつも凹んでます」

「フレンドになって一緒にやろう。俺がアシストするよ」

ザ・リッチ・カールト銀座内にあるBARで藤堂係長と飲み直す。

新入社員研修で藤堂係長と同じチームだったのもあり、社内ですれ違った時に言葉をかわしてた。

フォーツナイトや仕事の話題で話が弾み、BARの閉店時間の午前2時まで話し込んでしまった。





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