16 / 28
心当たりのない妊娠に戸惑い
しおりを挟む
ママと一輝先生に有馬先生と付き合い始めた事を伝える気はなかった。
だけど、有馬先生に、自宅に頻繁に出入りし、仕事柄密に関わりがあるから、先に伝えた方がいいと言われ、2人で報告しに行った。
「……そっか、付き合うだけでなく、いっそのこと、結婚したらどうだ!!凛太郎くんなら安心して、愛花を任せられる!!」
私の事を娘のように育ててくれた一輝おじさんが、有馬先生の両肩に手を置き、感無量になっていた。
「愛花と凛太郎くんなら、相性いいはずよ!!」
ママは私に抱きつき、涙を流している。
ママはシングルマザー、どういう経緯で38歳で私を出産したか、謎。
医師になり、婚活の難しさを目の当たりにし、一夜限りの男性との一夜の関係でできた命なのかと思った事がある。
ママはきれいで可愛くてスタイルも良く、愛嬌があり、誰からも愛される人。
人より努力し、気遣いができる人だから、誰からも大切にされてる。
シングルマザーになったママと私を育ててくれた一輝おじさん。
ママとは血の繋がらない義兄妹で、私にとって父親代わりだった。
有馬先生は付き合い始めて、人格が変わったぐらいに優しい。
新生児手術に私が慣れたのもあり、罵倒はなくなり、だけど何かあればすぐに指示して対処法してくれる。
「……結婚するまではしない。愛花が俺のパートナーになるならそれでいい」
ママと一輝おじさんから年齢的に急かされるも、結婚に踏み切る事ができないでいる。
実家の私の部屋のベッドで一緒に寝る事もあるけど、子供を作るような行為には至ってない。
ママと一輝おじさんが下の階にいるからもあるけど……。
****
「はっ、なんでっ!!」
生理が3ヶ月こなくて、ストレスからのホルモン異常を疑い、さすがに大学病院で診察を受けるのが嫌だったから、安達クリニックで綾音院長に診て貰った。
「子供を作る行為なんてした事ないし、体外受精で胚移植もしてない。逸話のキリスト教
のマリアでもあるまいし、なんで、妊娠してるの!?」
エコーには人のかたちをした胎児の姿が映ってる。
理解不能で頭の中が混乱する。
「……えっ、有馬くんと付き合ってるのに、そういう行為、1回もなかったの!!」
綾音院長が挙動不審になり、診察室から出ていった。
「……ごめんなさい。愛花ちゃんの卵子と将生の精子を勝手に受精させて、眠り薬で眠らせた愛花ちゃんの子宮に移植した」
診察室に戻ってきた綾音院長が、言いにくそうに私に伝えてきた。
「……堕胎するよね」
「……無理でしょ。13週で人の姿をして生きてるのに!!」
3ヶ月ほど前、将生くんが学会発表で多忙で、その時だけヘルプで大学病院でのIVF外来と安達クリニックの胚培養を1カ月ほど引き受けた。
大学病院での外来はいつも通りに多忙だけど、将生くんが不在という事で安達クリニックの体外受精は閑散としていた。
大学病院での外来診療後、安達クリニックで胚培養してる時に、作業後、寝落ちしていた。
「将生は愛花ちゃんと結婚したいと思っていても、安達クリニックがしでかした過去の過ちを知って、気持ちに蓋をした。他の女性とカタチだけの結婚しかする気がないし、一生独身でいると思う。だから、せめて、孫に会いたいから愛花ちゃんに体外受精で胚移植した。愛花ちゃんも将生の事が好きなんでしょ?」
「そういう問題ではないです。本人の承諾無しに、勝手に凍結卵子と精子で胚盤胞を作って移植する行為が許せないんです!!」
エコーで映し出された将生くんと私の胎児はあくびをし、手足をバタバタさせて、生命力が溢れていた。
学会発表で将生くんは東京出張で不在。
有馬先生とママと一輝おじさんは、いつも通り、母体搬送からの新生児内臓修復手術で多忙。
だけど、事が事なだけに、勤務時間を終えた後に安達クリニックに駆けつけ、話し合いをする事に。
『子供に罪はない。愛花が産みたいと思うなら産んで、一緒に育てよう』
話し合いの内容は放心としていて、詳しくは覚えていない。
ただ、一輝おじさんがブチ切れて安達教授をぶん殴り、歯が吹っ飛んで大出血していたのは映像として残ってる。
安達クリニックの先代からの過ち、私の父が一輝おじさんで、『異母兄妹の関係で産まれた子供だから存在的に倫理に反している』と綾音院長に穢れた子扱いされた事も。
さすがに精神的に病んでしまい、仕事を休んで部屋に引き篭もる。
現実を受け入れる事が辛かった。
だけど、有馬先生に、自宅に頻繁に出入りし、仕事柄密に関わりがあるから、先に伝えた方がいいと言われ、2人で報告しに行った。
「……そっか、付き合うだけでなく、いっそのこと、結婚したらどうだ!!凛太郎くんなら安心して、愛花を任せられる!!」
私の事を娘のように育ててくれた一輝おじさんが、有馬先生の両肩に手を置き、感無量になっていた。
「愛花と凛太郎くんなら、相性いいはずよ!!」
ママは私に抱きつき、涙を流している。
ママはシングルマザー、どういう経緯で38歳で私を出産したか、謎。
医師になり、婚活の難しさを目の当たりにし、一夜限りの男性との一夜の関係でできた命なのかと思った事がある。
ママはきれいで可愛くてスタイルも良く、愛嬌があり、誰からも愛される人。
人より努力し、気遣いができる人だから、誰からも大切にされてる。
シングルマザーになったママと私を育ててくれた一輝おじさん。
ママとは血の繋がらない義兄妹で、私にとって父親代わりだった。
有馬先生は付き合い始めて、人格が変わったぐらいに優しい。
新生児手術に私が慣れたのもあり、罵倒はなくなり、だけど何かあればすぐに指示して対処法してくれる。
「……結婚するまではしない。愛花が俺のパートナーになるならそれでいい」
ママと一輝おじさんから年齢的に急かされるも、結婚に踏み切る事ができないでいる。
実家の私の部屋のベッドで一緒に寝る事もあるけど、子供を作るような行為には至ってない。
ママと一輝おじさんが下の階にいるからもあるけど……。
****
「はっ、なんでっ!!」
生理が3ヶ月こなくて、ストレスからのホルモン異常を疑い、さすがに大学病院で診察を受けるのが嫌だったから、安達クリニックで綾音院長に診て貰った。
「子供を作る行為なんてした事ないし、体外受精で胚移植もしてない。逸話のキリスト教
のマリアでもあるまいし、なんで、妊娠してるの!?」
エコーには人のかたちをした胎児の姿が映ってる。
理解不能で頭の中が混乱する。
「……えっ、有馬くんと付き合ってるのに、そういう行為、1回もなかったの!!」
綾音院長が挙動不審になり、診察室から出ていった。
「……ごめんなさい。愛花ちゃんの卵子と将生の精子を勝手に受精させて、眠り薬で眠らせた愛花ちゃんの子宮に移植した」
診察室に戻ってきた綾音院長が、言いにくそうに私に伝えてきた。
「……堕胎するよね」
「……無理でしょ。13週で人の姿をして生きてるのに!!」
3ヶ月ほど前、将生くんが学会発表で多忙で、その時だけヘルプで大学病院でのIVF外来と安達クリニックの胚培養を1カ月ほど引き受けた。
大学病院での外来はいつも通りに多忙だけど、将生くんが不在という事で安達クリニックの体外受精は閑散としていた。
大学病院での外来診療後、安達クリニックで胚培養してる時に、作業後、寝落ちしていた。
「将生は愛花ちゃんと結婚したいと思っていても、安達クリニックがしでかした過去の過ちを知って、気持ちに蓋をした。他の女性とカタチだけの結婚しかする気がないし、一生独身でいると思う。だから、せめて、孫に会いたいから愛花ちゃんに体外受精で胚移植した。愛花ちゃんも将生の事が好きなんでしょ?」
「そういう問題ではないです。本人の承諾無しに、勝手に凍結卵子と精子で胚盤胞を作って移植する行為が許せないんです!!」
エコーで映し出された将生くんと私の胎児はあくびをし、手足をバタバタさせて、生命力が溢れていた。
学会発表で将生くんは東京出張で不在。
有馬先生とママと一輝おじさんは、いつも通り、母体搬送からの新生児内臓修復手術で多忙。
だけど、事が事なだけに、勤務時間を終えた後に安達クリニックに駆けつけ、話し合いをする事に。
『子供に罪はない。愛花が産みたいと思うなら産んで、一緒に育てよう』
話し合いの内容は放心としていて、詳しくは覚えていない。
ただ、一輝おじさんがブチ切れて安達教授をぶん殴り、歯が吹っ飛んで大出血していたのは映像として残ってる。
安達クリニックの先代からの過ち、私の父が一輝おじさんで、『異母兄妹の関係で産まれた子供だから存在的に倫理に反している』と綾音院長に穢れた子扱いされた事も。
さすがに精神的に病んでしまい、仕事を休んで部屋に引き篭もる。
現実を受け入れる事が辛かった。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
89
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる