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産むか、産まないか
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ママと一輝おじさんも、将生くんの祖父母の計画的過ちで産まれた。
大病院の令嬢からの依頼で、私の祖父は胚移植での妊娠なのにデキ婚に仕立てられた一輝おじさんができた。
そして、ママは、将生くんの祖父が主犯のとんでもない実験でできた凍結胚盤胞を子供が欲しかった祖母が移植してできた。
とんでもない実験内容にドン引きする。
シャーレに入れた私の祖母の卵子に、将生くんの祖父と私の祖父、体外受精の分野で名高い久保名誉教授の精子を入れて媒精し、受精させたらしい。
将生くんの祖父母は引退後、海外へ行き、それから疎遠。
元々、関わりを持ってなく、なんでだろうと思っていたら、こんなとんでもない事をしでかしていた。
それだけでなく、優秀な孫が欲しかった祖父母は、遺伝子検査で21トリソミーモザイク型と判明した将生くんを無理矢理堕胎させようと綾音院長を診察台に縛りつけたりしたらしい。
それを助けたのがママと一輝おじさんだった。
壮絶な出生の経緯に、頭がついていかない。
ママと一輝おじさんも異母兄妹なのに、自然妊娠で私を宿し、産んだ。
狂ってる。
『愛花、……俺のお袋がとんでもない事をしでかした。謝ってすむ問題ではないが、ゴメン』
将生くんからの着信。
出るか出ないか悩んだけど、出た。
『……子供、どうすんだ?』
「……堕ろせるわけないでしょ」
『有馬と育てるのか?有馬、納得してるのか?』
「……一緒に育てるって言ってくれてるけど、悩んでる」
有馬先生とお付き合いを始めて、半年が経つ。
嫌いではない、でも、好きとは違う。
尊敬はしてる。
端正な顔立ちに天才的な外科医。
難関な新生児オペ、それだけでなく救命救急センターに搬送された危篤状態の心筋梗塞、脳梗塞、内臓損傷の患者の命も救う神の手を持っている。
オペの時は鬼畜な言動をしてくる事もあるけど、普段は超絶的に優しい。
常に私の側にいて、甘えさせてくれる。
有馬先生と結婚したら、私を大切にしてくれると思うし、おかしなしがらみから全力で守ってくれる気がする。
だけど、好きかどうかわからない状態で、彼に迷惑をかけられない。
有馬先生まで、おかしくなってしまうかもしれない……?
『……そっか、有馬と結婚しないなら、子育てを手伝わせて欲しいと言いたいが、嫌だよな。俺とも、もう関わりたくないよな』
「…………」
将生くんの事が好きという気持ちはなくなっていない。
だけど、安達クリニックとは関わりたくないという気持ちが強い。
『愛花の事、ずっと好きだった。大切な人だった。愛花、……すまない』
将生くんは、泣いていた。
安達ファミリーの先代から続く悪業。
犠牲からまた、新たな犠牲を生む。
倫理観が狂ってしまう。
もはや、呪いだ。
大病院の令嬢からの依頼で、私の祖父は胚移植での妊娠なのにデキ婚に仕立てられた一輝おじさんができた。
そして、ママは、将生くんの祖父が主犯のとんでもない実験でできた凍結胚盤胞を子供が欲しかった祖母が移植してできた。
とんでもない実験内容にドン引きする。
シャーレに入れた私の祖母の卵子に、将生くんの祖父と私の祖父、体外受精の分野で名高い久保名誉教授の精子を入れて媒精し、受精させたらしい。
将生くんの祖父母は引退後、海外へ行き、それから疎遠。
元々、関わりを持ってなく、なんでだろうと思っていたら、こんなとんでもない事をしでかしていた。
それだけでなく、優秀な孫が欲しかった祖父母は、遺伝子検査で21トリソミーモザイク型と判明した将生くんを無理矢理堕胎させようと綾音院長を診察台に縛りつけたりしたらしい。
それを助けたのがママと一輝おじさんだった。
壮絶な出生の経緯に、頭がついていかない。
ママと一輝おじさんも異母兄妹なのに、自然妊娠で私を宿し、産んだ。
狂ってる。
『愛花、……俺のお袋がとんでもない事をしでかした。謝ってすむ問題ではないが、ゴメン』
将生くんからの着信。
出るか出ないか悩んだけど、出た。
『……子供、どうすんだ?』
「……堕ろせるわけないでしょ」
『有馬と育てるのか?有馬、納得してるのか?』
「……一緒に育てるって言ってくれてるけど、悩んでる」
有馬先生とお付き合いを始めて、半年が経つ。
嫌いではない、でも、好きとは違う。
尊敬はしてる。
端正な顔立ちに天才的な外科医。
難関な新生児オペ、それだけでなく救命救急センターに搬送された危篤状態の心筋梗塞、脳梗塞、内臓損傷の患者の命も救う神の手を持っている。
オペの時は鬼畜な言動をしてくる事もあるけど、普段は超絶的に優しい。
常に私の側にいて、甘えさせてくれる。
有馬先生と結婚したら、私を大切にしてくれると思うし、おかしなしがらみから全力で守ってくれる気がする。
だけど、好きかどうかわからない状態で、彼に迷惑をかけられない。
有馬先生まで、おかしくなってしまうかもしれない……?
『……そっか、有馬と結婚しないなら、子育てを手伝わせて欲しいと言いたいが、嫌だよな。俺とも、もう関わりたくないよな』
「…………」
将生くんの事が好きという気持ちはなくなっていない。
だけど、安達クリニックとは関わりたくないという気持ちが強い。
『愛花の事、ずっと好きだった。大切な人だった。愛花、……すまない』
将生くんは、泣いていた。
安達ファミリーの先代から続く悪業。
犠牲からまた、新たな犠牲を生む。
倫理観が狂ってしまう。
もはや、呪いだ。
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