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新生児手術の限界
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「……22週無事に超えたね」
妊活を始めて2年。
5度の化学流産を経て、やっと赤ちゃんが胎内に留まり、育ってくれた。
「希愛、お姉さんになるの?」
「そうだよ」
「希愛がお世話するね」
3歳になった希愛は、自分に妹ができる事を、
とても喜んでいる。
染色体異常といえば13、18、21のトリソミーが多いが、胎内にいる娘は14モロソミーと16トリソミーモザイクがある。
化学流産の原因の染色体異常のある子が、奇跡的に22週まで胎内で育った。
「胎児手術に踏み切るか……悩む」
重度な心臓疾患がある胎内にいる娘に対して母胎内でオペを行うか、夫婦で話し合っている。
左心室の機能障害を防ぎ、左右の心室を使う血液の循環を成り立たせることが目的。
、妊婦さんのお腹から胎児の左心室まで針を刺してガイドワイヤーを通し、それに沿ってバルーンの付いたカテーテルを大動脈弁まで進めてバルーンを膨らませ、狭くなっている大動脈弁を広げる胎児大動脈弁形成術。
同時に先天性横隔膜ヘルニアに対する胎児鏡下気管閉塞術 、胎児尿路閉塞症に対するシャント術 を行なった方が、障害が軽度ですむ。
「……さすがに、無理だ」
胎児手術は最先端医療技術で症例が少ない。
臨床試験を兼ね、去年から凛太郎さんが胎児手術を行なっていて、全て成功し、赤ちゃんは無事に誕生してる。
「これより、24週425g胎児に対する胎児大動脈弁形成術ならびに、胎児鏡下気管閉塞術 、胎児尿路・羊水腔シャント術を行います」
最善の選択で、胎児手術を行う事に。
執刀医は凛太郎さんで助手に一輝おじさんとママがつく。
カテーテルで治療可能な手術のみを行う。
手先の器用な凛太郎さんだから、安心して任せられる。
全身麻酔で意識が無くなり、全てを委ねた。
「……オペは無事に終わった。36週までは胎内にいられるはず」
染色体異常による遺伝子に問題があるから、外科手術での治療は根本治療にはならない。
応急処置で成長段階に合わせて、再度手術を行わないといけない。
36週0日に次女、凛花を予定帝王切開にて出産する。
1586gと身体は小さかったけれど、36週まで胎内で育てられたのもあり、開腹による新生児手術を行う必要はなかった。
****
3年後。
「……凛花ちゃん、また入院なの?」
身体が大きくなるにつれ、遺伝子に問題があるから新たな疾患が出現したり、自宅より小児病棟で過ごす事が多かった。
「凛花ちゃんだけ……ママとパパとずっといられて、ずるい」
小学生になる希愛は、院内保育園を卒業し、近くの小学生に進学する。
京大病院から自分だけ出る事が仲間外れみたいに感じ、いじけている。
妊活を始めて2年。
5度の化学流産を経て、やっと赤ちゃんが胎内に留まり、育ってくれた。
「希愛、お姉さんになるの?」
「そうだよ」
「希愛がお世話するね」
3歳になった希愛は、自分に妹ができる事を、
とても喜んでいる。
染色体異常といえば13、18、21のトリソミーが多いが、胎内にいる娘は14モロソミーと16トリソミーモザイクがある。
化学流産の原因の染色体異常のある子が、奇跡的に22週まで胎内で育った。
「胎児手術に踏み切るか……悩む」
重度な心臓疾患がある胎内にいる娘に対して母胎内でオペを行うか、夫婦で話し合っている。
左心室の機能障害を防ぎ、左右の心室を使う血液の循環を成り立たせることが目的。
、妊婦さんのお腹から胎児の左心室まで針を刺してガイドワイヤーを通し、それに沿ってバルーンの付いたカテーテルを大動脈弁まで進めてバルーンを膨らませ、狭くなっている大動脈弁を広げる胎児大動脈弁形成術。
同時に先天性横隔膜ヘルニアに対する胎児鏡下気管閉塞術 、胎児尿路閉塞症に対するシャント術 を行なった方が、障害が軽度ですむ。
「……さすがに、無理だ」
胎児手術は最先端医療技術で症例が少ない。
臨床試験を兼ね、去年から凛太郎さんが胎児手術を行なっていて、全て成功し、赤ちゃんは無事に誕生してる。
「これより、24週425g胎児に対する胎児大動脈弁形成術ならびに、胎児鏡下気管閉塞術 、胎児尿路・羊水腔シャント術を行います」
最善の選択で、胎児手術を行う事に。
執刀医は凛太郎さんで助手に一輝おじさんとママがつく。
カテーテルで治療可能な手術のみを行う。
手先の器用な凛太郎さんだから、安心して任せられる。
全身麻酔で意識が無くなり、全てを委ねた。
「……オペは無事に終わった。36週までは胎内にいられるはず」
染色体異常による遺伝子に問題があるから、外科手術での治療は根本治療にはならない。
応急処置で成長段階に合わせて、再度手術を行わないといけない。
36週0日に次女、凛花を予定帝王切開にて出産する。
1586gと身体は小さかったけれど、36週まで胎内で育てられたのもあり、開腹による新生児手術を行う必要はなかった。
****
3年後。
「……凛花ちゃん、また入院なの?」
身体が大きくなるにつれ、遺伝子に問題があるから新たな疾患が出現したり、自宅より小児病棟で過ごす事が多かった。
「凛花ちゃんだけ……ママとパパとずっといられて、ずるい」
小学生になる希愛は、院内保育園を卒業し、近くの小学生に進学する。
京大病院から自分だけ出る事が仲間外れみたいに感じ、いじけている。
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