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親子の絆
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「将生くん、安達クリニックを継ぐために、ここに戻ってくるらしい」
遺伝子編集された体外受精卵を赤ちゃんにするという臨床試験はアメリカの議会では通ってなく、それに関する研究費はブロックされている。
たぶん、裏取引でやらかしてるとは思うけど、潮時を感じ、日本に戻ってくる事にしたらしい。
「綾音さんが体調不良らしい。もう82歳だからな……」
75歳のママと83歳の一輝おじさんはまだ現役で大学病院で医師を続けている。
さすがに院長と副院長は降りるも、戦力として救急の最前線で働いている。
「涼真は86歳になってもタフだから胚の培養だけやってるみたいだけど、さすがに理事長と院長が老夫婦過ぎると、成績良くても患者の数は減る」
ママと一輝おじさんと涼真理事長もゲノム編集改変はしてないけど、優秀な胚盤胞から産まれたから、若作り。
普通の人との違いを目の当たりにする。
「将生くんに客員教授としてこないかと学長が声をかけたが断られたようで、俺に説得するよう頼んできたんだが、愛花は嫌だよな」
将生くんとは希愛を孕ったという事実を知った以降、1度電話で話しただけで、一切関わりを持っていない。
「……将生くんは優秀な遺伝子学者。安達クリニックの医師だけでなく、大学で研究を続けて欲しい。希愛が目標にしてる研究者でもあるから」
「……わかった」
立場的に助教だけど勤務医として、私は産婦人科で周産期遺伝外来とIVF外来を受け持ってる。
客員教授だから、将生くんは大学病院の外来には出てこないと思う。
「ママ、安達教授と話してみたい!!」
「…………」
将生くんが京都大学の客員教授になった事をヤフトピもしくは新聞の記事で知った希愛に、ねだられる。
「……ママみたいな外来担当医員は客員教授に気楽にお話しできないな」
「じゃ、パパは!!」
凛太郎さんは立場的には大学病院の院長。
外科手術で多忙だから院長業務は、一輝おじさんとママがサポートしてる。
「……今夜、将生をウチに招くけど。元々、俺の大学時代の親友で、愛花の幼馴染。アメリカで大出世した権威ある学者かもしれないが、立場は関係ないだろっ」
土曜日の午後。
希愛の習い事の帰り。
凛花の病室で希愛と話していたら、仕事を早上がりした凛太郎さんが入ってきた。
「き、……聞いてないけど」
「料理は適当にUberで頼んだ」
救急搬送の要請で凛太郎さんがいつ呼び出されるかわからないから、急いで自宅に戻る。
事前にママと一輝おじさんは知らされていたのか、テーブルを用意し、ジュースやお茶、皿などの食器類を準備してくれてた。
「は、……初めまして、希愛ちゃん。安達将生です」
8年ぶりに顔を合わせる将生くん。
仕立てのいいスーツを着て、貫禄がある。
「本物の安達将生教授だ!!ヤフトピと新聞の記事で研究内容を知り、それからずっと、尊敬しています!!私も、胚盤胞のゲノム編集改変技術で遺伝子疾患で苦しむ人がいない世の中にしたいと思ってます!!」
将生くんは希愛が胚盤胞ゲノム編集改変に興味を持っている事を知り、驚いている。
「将来、私、安達教授と胚盤胞ゲノム編集改変の研究がしたいです!!」
目をキラキラさせ、熱意を伝える希愛に、将生くんは目尻が下がり、涙目になる。
「……一緒に研究しよう。希愛ちゃん」
「安達教授、よろしくお願いします!!」
父娘の再会だけど、師弟関係の始まりで、希愛は将生くんに懐き、こっそり大学の研究室に顔を出したりして交流を始めた。
遺伝子編集された体外受精卵を赤ちゃんにするという臨床試験はアメリカの議会では通ってなく、それに関する研究費はブロックされている。
たぶん、裏取引でやらかしてるとは思うけど、潮時を感じ、日本に戻ってくる事にしたらしい。
「綾音さんが体調不良らしい。もう82歳だからな……」
75歳のママと83歳の一輝おじさんはまだ現役で大学病院で医師を続けている。
さすがに院長と副院長は降りるも、戦力として救急の最前線で働いている。
「涼真は86歳になってもタフだから胚の培養だけやってるみたいだけど、さすがに理事長と院長が老夫婦過ぎると、成績良くても患者の数は減る」
ママと一輝おじさんと涼真理事長もゲノム編集改変はしてないけど、優秀な胚盤胞から産まれたから、若作り。
普通の人との違いを目の当たりにする。
「将生くんに客員教授としてこないかと学長が声をかけたが断られたようで、俺に説得するよう頼んできたんだが、愛花は嫌だよな」
将生くんとは希愛を孕ったという事実を知った以降、1度電話で話しただけで、一切関わりを持っていない。
「……将生くんは優秀な遺伝子学者。安達クリニックの医師だけでなく、大学で研究を続けて欲しい。希愛が目標にしてる研究者でもあるから」
「……わかった」
立場的に助教だけど勤務医として、私は産婦人科で周産期遺伝外来とIVF外来を受け持ってる。
客員教授だから、将生くんは大学病院の外来には出てこないと思う。
「ママ、安達教授と話してみたい!!」
「…………」
将生くんが京都大学の客員教授になった事をヤフトピもしくは新聞の記事で知った希愛に、ねだられる。
「……ママみたいな外来担当医員は客員教授に気楽にお話しできないな」
「じゃ、パパは!!」
凛太郎さんは立場的には大学病院の院長。
外科手術で多忙だから院長業務は、一輝おじさんとママがサポートしてる。
「……今夜、将生をウチに招くけど。元々、俺の大学時代の親友で、愛花の幼馴染。アメリカで大出世した権威ある学者かもしれないが、立場は関係ないだろっ」
土曜日の午後。
希愛の習い事の帰り。
凛花の病室で希愛と話していたら、仕事を早上がりした凛太郎さんが入ってきた。
「き、……聞いてないけど」
「料理は適当にUberで頼んだ」
救急搬送の要請で凛太郎さんがいつ呼び出されるかわからないから、急いで自宅に戻る。
事前にママと一輝おじさんは知らされていたのか、テーブルを用意し、ジュースやお茶、皿などの食器類を準備してくれてた。
「は、……初めまして、希愛ちゃん。安達将生です」
8年ぶりに顔を合わせる将生くん。
仕立てのいいスーツを着て、貫禄がある。
「本物の安達将生教授だ!!ヤフトピと新聞の記事で研究内容を知り、それからずっと、尊敬しています!!私も、胚盤胞のゲノム編集改変技術で遺伝子疾患で苦しむ人がいない世の中にしたいと思ってます!!」
将生くんは希愛が胚盤胞ゲノム編集改変に興味を持っている事を知り、驚いている。
「将来、私、安達教授と胚盤胞ゲノム編集改変の研究がしたいです!!」
目をキラキラさせ、熱意を伝える希愛に、将生くんは目尻が下がり、涙目になる。
「……一緒に研究しよう。希愛ちゃん」
「安達教授、よろしくお願いします!!」
父娘の再会だけど、師弟関係の始まりで、希愛は将生くんに懐き、こっそり大学の研究室に顔を出したりして交流を始めた。
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