遊び人と忠犬ハチ公〜あんなやつとは別れた方がいい〜

鳴宮鶉子

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コンパ中の彼とバッティング

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親友4人と2時間の飲み放題で甘いサワーとカクテルを飲みながら5千円のオーダーバイキングを楽しむ。

しゃぶしゃぶメインで30品の単品料理と3種類のデザートの食べ放題。

万年ダイエッターな女子だから、野菜メインのしゃぶしゃぶをつつき、レモンサワーを飲む。

3時間のバイキングだけど、お腹が膨れこれ以上食べられないから〆のデザートでストロベリームースとレモンシャーベットを頼み味わう。

そろそろ帰ろうかと部屋から出ると、まさかのまさか、隣は時間制限でちょうど出てきて、慎司と目が合ってしまった。

慎司の腕にしがみつき、わざとなのか胸を押し付けてる可愛い系女子に目がいく。

……こんな事はいいたくないけど、わたしの方が胸は大きいし、スタイルもいい。

「……うわぁ、咲花の方が断然きれいじゃん。あんな女に手を出すなんて、たんにいろんな女を食べたいだけじゃないの」

親友4人が小声でヒソヒソ話してる。
慎司と目が合ったけどすぐに反らして、店出口のレジへ向かう。


「…あれー、咲花じゃん!!」

わたしに気づいた慎司の大学時代の友達2人が声をかけてきた。

慎司の親友だから、わたしが慎司と幼馴染で中学生の頃から付き合っている彼女で同棲しているのを知ってる。

なのに、慎司をコンパに誘う。

外科医で背が高く眉目秀麗だから客引きパンダに使われてる。

「おっ、極上級の美人だらけじゃん!!」

他のメンズ2人がわたし達を見て声をかけてきた。
……コンパに参加した5人の女性陣、1番マシな子が慎司とカップルになっていて、後は頑張っておしゃれしてきました普通より少し上な感じの子達だった。
わたしの親友達は大学時代にファッション雑誌 cancan で読モをしていた時に知り合った極上に美しい子達。

わたし達を見て、コンパに参加してる女の子達は一斉に睨んできた。

「お久しぶりです。須田さん、舛岡さん」

声をかけられた以上無視はできないから、挨拶を返す。

「……極上級の美人だらけだから読モ時代の友人?
これから一緒にBARに行かない?」

コンパに参加していた女性陣の顔が引き攣る。

「ごめんなさい。わたしの友達、全員恋人がいるからお断りします。では、お先に失礼します」

わたしがニコリとすると、コンパに参加していた女性陣はほっと胸を撫で下ろしてた。

さっさとレジへ向かい、会計を済ます。

「………咲花、せっかくのぶちギレるチャンスだったのに!!」

「咲花の彼氏があんな女とワンナイトLOVEするんだよ!!嫌じゃないの!?」

嫌だけど慎司がわたしと目が合った時に嫌そうな表情を浮かべたから、何も言わずに立ち去る事を選択した。

「……咲花、can can読モ歴代人気No.1の咲花があんな最低男に振り回されてるなんて勿体無いよ!!あんな男より極上な男を紹介するから、あんな奴と別れなよ!!」

親友達の恋人はIT企業の社長や政治家、国際弁護士に大企業の御曹司。
いつも3ヶ月から半年で破局して新しい男に入れ替わるけど、極上の男の知り合いが多く、なにかとわたしに合わせようとしてくる。

「……いつも心配かけてごめんね。じゃ、また今度、近いうちにまた女子会しようね!!」

居酒屋ビルから出てタクシーを拾い、赤坂にある、タワーマンションへ向かう。
医者家系のわたしと慎司、わたしは創薬研究者の道を選んだけど兄と両親は医師を務めてる。
慎司の両親は地元名古屋で総合病院を経営してるのもあり、東京で修行中の慎司に快適な生活を送らせるためと大学入学時にタワーマンションの中層階をキャッシュで購入して与えた。
そして、わたしも同じ大学の薬学部に進んだ事から同棲させた。
無理強いはされてないけれど親公認の恋人同士で両親達が仲がいいから許嫁の位置付けにわたしと慎司はいる。

3LDKのマンションに戻り、熱いシャワーを浴びて、いつもは慎司と共に眠るダブルベットの右側に横になる。

慎司は金曜日と時々土曜日の夜は帰って来ない。

たまたまだけど居酒屋 笑民で出くわしてしまったから、明日の昼前に帰ってくる慎司に対してどう接すればよいか悩む。

いつもみたいに、他の女性を抱いて楽しんで帰ってくるのにわたしのご機嫌とりでわたしを押し倒して抱くのか。

それとも、居酒屋 笑民にいた事を咎められるのか……。

読モ時代の親友と飲みに行く事は今朝伝えてた。

偶然、同じ店で飲んでただけ。
慎司のワンナイトLOVEの邪魔はしてない……。

でも、慎司の浮気の現場を目の当たりにしてしまうと、わかっていたとしてもショックだ。

あの女性と今頃、ラブホかアパホテルで身体を合わせてると思うと悲しくなる。

1人で眠る夜……わたしはいつも眠れずにいる。
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