遊び人と忠犬ハチ公〜あんなやつとは別れた方がいい〜

Prologue

「…－－咲花、あいつとは別れた方がいい！!」

「同棲してるのに週末の金曜日にコンパ行って朝帰りとかありえなくない！？わたし、そんな男は無理だわ！！」

「他の女抱いてきて何食わぬ顔して帰ってきて、家事に食事の世話からの溜まった時の処理に使われるなんて、都合よすぎる！！」

「同棲解消して、自由になりな！！」

金曜日の夜、かなりボロクソに言われてる恋人の速水慎司《はやみ しんじ》が飲み会というコンパに参加してるからと親友達に女子会に誘われ、新宿駅隣の居酒屋ビル7階にある 居酒屋 笑民にやってきた。

「あんたの彼氏、隣でコンパしてるのわかってるんだよねー！？」

「ーー絶対に鼻の下伸ばして、今日の相手を吟味してるわ！！」

たまたま隣のテーブルに慎司がいるのを親友の加藤舞子《かとうまいこ》ちゃんが見ちゃって、浜崎玲奈《はまさきれいな》ちゃん、若山悠紀《わかやまゆき》ちゃん、吉岡佳奈《よしおかかな》ちゃんが、わたしを不憫に思い心配して別れる事を勧めてくる。

「……浮気をしてもちゃんと帰ってきてくれるし、本命がわたしだって言ってくれるから、慎司の事が好きだから別れられないよ」

「「「「都合がいい女にされてるだけだとなんでわからないの！！」」」」

わたし、宮坂咲花《みやさかさきか》は彼氏に都合の良い女にされて愛の巣で忠犬ハチ公のように待ってる可哀想な女らしい……。

それでも、わたしは慎司に愛されてる事がわかるからそれだけで幸せ。

いつかは浮気を辞めて、わたしと結婚して子供を作って良い夫、良いパパになると信じてる。

『絶対に浮気ばかりして子育てを奥さんに任せっきりのダメ夫にしかならない！！』

親友一同からそう言われ続けてるけど、わたしは慎司は本来は誠実な思いやりのある男だと知ってるから、だから、今は好きに泳がせてる。

………遊び人な男との未来は、やはり絶望しかないですか！？