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第7話
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私とユリウス様の正式な婚約が決まった日の夜、ユリウス様は父の勧めで我が家で夕食を食べることになった。
「これはユリウス殿下ではありませんか」
「ふふっ、今は義息子と言った方がいいかしら?」
そう言うのは私の兄で侯爵家次期当主のハンス・バートリオンと母のエカチェリーナ・バートリオンだ。
兄のハンスは父親譲りの銀髪に母親譲りの紫眼をしており、母は綺麗な黒髪の長髪に紫眼をしている。
ちなみに私は母親譲りの黒髪長髪に父親譲りの碧眼をしている。
兄上とお母様には父が事の経緯を説明してある。
最初は父同様ルーカス様の行為に憤慨していた二人だったがユリウス様が私の婚約者になった事や、ユリウス様の娘である私への愛を熱心に伝えたところ、すぐにユリウス様に好感を持つようになった。
どうやら父はかなりユリウス様の事を気に入ったらしい。
「よろしくお願いします、義兄様、義母様」
「ははっ、そんなに畏まらなくても大丈夫ですよ殿下」
「えぇそうね、私達と殿下はもはや家族同然だもの」
「それで殿下、単刀直入に聞きますが妹のどこが気に入ったのですか?」
ワインの酔いが回ってきたのかストレートな問いをユリウス様に投げつける。
「ちょっとお兄様、酔いすぎですよ」
「エリザヴェータよ、これはお前の兄として聞かなければならない事なんだ! それでどうなんです殿下?」
「そうね、私も興味があるわぁ」
お母様まで!
「ええっと…、女性としての教養深さ、下々の者達にも優しく振る舞う人間性、そして外見の類まれな美しさ、その他にも様々な要因が僕を惹きつけたのです」
なぜユリウス様がこんなにも積極的に語るなんてと思ったら、よく見ればワインを飲んでるじゃない!
「ちょっと、お兄様ですね? ユリウス様にワインを飲ませたのは!」
「今日はめでたい日なのだ。少しくらい羽目を外したって良いではないか」
「まったく…」
私がため息を吐いてる間もユリウス様と兄上は様々な事を話し合っていた。
こうして騒がしい夜は過ぎていった。
▲▲▲
「エリザヴェータ様、今日は本当にありがとうございました」
夕食会も終わり帰りの馬車を手配したユリウス様は私と少しだけ二人きりになりたいと言った。
「こちらこそ感謝いたします。それで、こうして正式な婚約が決まったのですから私の事はどうぞエリザヴェータとお呼びください。敬語も不要です」
「は…うん、分かったよエリザヴェータ、これからよろしくね」
そう言いユリウス様は馬車の扉を開け中に入ろうとしたのだが…
「!?」
不意に私の唇にキスをしたのである。
突然のキスに眼を白黒させ、どうしていいかわからない私にユリウス様は優しく微笑んだ。
「良い夜を、エリザヴェータ」
そう言い残しユリウス様は去っていった。
「ファーストキス、しちゃった…」
私はしばらくの間呆然とする事しか出来なかった。
▲▲▲
その頃のユリウス。
(い、勢いに任せてキ…キスしてしまった! 明日からどんな顔をすればいいんだ!)
自分の行いに猛烈な恥ずかしさを覚えるユリウスだった。
「これはユリウス殿下ではありませんか」
「ふふっ、今は義息子と言った方がいいかしら?」
そう言うのは私の兄で侯爵家次期当主のハンス・バートリオンと母のエカチェリーナ・バートリオンだ。
兄のハンスは父親譲りの銀髪に母親譲りの紫眼をしており、母は綺麗な黒髪の長髪に紫眼をしている。
ちなみに私は母親譲りの黒髪長髪に父親譲りの碧眼をしている。
兄上とお母様には父が事の経緯を説明してある。
最初は父同様ルーカス様の行為に憤慨していた二人だったがユリウス様が私の婚約者になった事や、ユリウス様の娘である私への愛を熱心に伝えたところ、すぐにユリウス様に好感を持つようになった。
どうやら父はかなりユリウス様の事を気に入ったらしい。
「よろしくお願いします、義兄様、義母様」
「ははっ、そんなに畏まらなくても大丈夫ですよ殿下」
「えぇそうね、私達と殿下はもはや家族同然だもの」
「それで殿下、単刀直入に聞きますが妹のどこが気に入ったのですか?」
ワインの酔いが回ってきたのかストレートな問いをユリウス様に投げつける。
「ちょっとお兄様、酔いすぎですよ」
「エリザヴェータよ、これはお前の兄として聞かなければならない事なんだ! それでどうなんです殿下?」
「そうね、私も興味があるわぁ」
お母様まで!
「ええっと…、女性としての教養深さ、下々の者達にも優しく振る舞う人間性、そして外見の類まれな美しさ、その他にも様々な要因が僕を惹きつけたのです」
なぜユリウス様がこんなにも積極的に語るなんてと思ったら、よく見ればワインを飲んでるじゃない!
「ちょっと、お兄様ですね? ユリウス様にワインを飲ませたのは!」
「今日はめでたい日なのだ。少しくらい羽目を外したって良いではないか」
「まったく…」
私がため息を吐いてる間もユリウス様と兄上は様々な事を話し合っていた。
こうして騒がしい夜は過ぎていった。
▲▲▲
「エリザヴェータ様、今日は本当にありがとうございました」
夕食会も終わり帰りの馬車を手配したユリウス様は私と少しだけ二人きりになりたいと言った。
「こちらこそ感謝いたします。それで、こうして正式な婚約が決まったのですから私の事はどうぞエリザヴェータとお呼びください。敬語も不要です」
「は…うん、分かったよエリザヴェータ、これからよろしくね」
そう言いユリウス様は馬車の扉を開け中に入ろうとしたのだが…
「!?」
不意に私の唇にキスをしたのである。
突然のキスに眼を白黒させ、どうしていいかわからない私にユリウス様は優しく微笑んだ。
「良い夜を、エリザヴェータ」
そう言い残しユリウス様は去っていった。
「ファーストキス、しちゃった…」
私はしばらくの間呆然とする事しか出来なかった。
▲▲▲
その頃のユリウス。
(い、勢いに任せてキ…キスしてしまった! 明日からどんな顔をすればいいんだ!)
自分の行いに猛烈な恥ずかしさを覚えるユリウスだった。
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此れは王太子はしてよい限度を越えてますね。
第2王子を王太子に据えて王太子だったのは男爵家に婿入りですな。