【完結】 にゃん太郎の憂鬱 (2022年2月22日 スーパー猫の日記念物語 )

月影 流詩亜

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にゃん太郎の憂鬱《ゆううつ》 ①

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   誰が名付けたかおっちゃん なんだが
俺の名前は『 にゃん太郎 』

   この地域の縄張りの『ボス猫』だ !

   猫によっては『 にゃん太郎親分』と呼ばれている。

   親分の仕事は、大変なんだぜ  !

   縄張りのパトロールから野良猫同士の喧嘩けんか仲裁ちゅうさい、その他にも『 エサを貰える家』の斡旋 あっせんまで 多岐たきに渡るんだよ。

   なのに若いらは
「 にゃん太郎親分は、気楽で良いなぁ~ 」
なんて、言うんだぜ  !
   まったく、親分の苦労を知って欲しいもんだよな~

   そんな事を考えていたら、半野良猫の『メンマ』が あわててやってきた。
   半野良猫と云うのは、御飯だけ貰って外飼いされている『猫』の事を云うんだぜ、勉強になっただろう。

   ラーメン屋の『 メンマ 』が言うには

「 にゃん太郎親分、大変なんだニャ  !
親からハグレタ子猫が、米屋の屋根から降りれなくて助けを呼んでいるんだニャ !
   親分、頼むから助けて欲しいんだニャ ! 」

   本当は『 メンマ 』が助ければ、早いんだが…………
コイツメンマは、ラーメン屋から貰う『 チャーシューの切り落とし』などを食べているから太り過ぎているんだ。

   知らない人間が見たら絶対に『野良猫』だなんて思わないだろうな !

   普段からきたえている俺が助けなければ成らないから、メンマに案内させた。



   米屋に来てみると………うん、メンマには無理だな。
屋根は屋根でも、半分腐蝕ふしょくした車庫の屋根だった。
   メンマが乗れば、確実に屋根がけるな。

「 ニャア  ニャア  ニャア  ニャア(ママ  ママ  ママ  何処どこにいるのぉ~  怖いよ~ 高いよ~  お腹が減ったよ~ )」

   商店街の人間達も気付き始めたから、俺は直ぐに助けに行った。

   華麗に子猫を咥えて降りてきた俺を人間達が褒め称えている。

「 流石、ボス猫だねぇ~ 」

「 にゃん太郎、偉いぞ ! 」

「 にゃん太郎、カッコいい ! 」

   褒めろ  褒めろ  いつの間にか『にゃん太郎』と云う名前が浸透しんとうしているが、全部 おっちゃんのせいだ !
   俺を見かける たび

「 にゃん太郎、元気か ?」

「 にゃん太郎、最近 店に来ないけど腹は減っていないのか ?」

「 にゃん太郎」「にゃん太郎」「にゃん太郎」「にゃん太郎」

   他の人間も聞いていたせいか、今では すっかり『にゃん太郎』で定着してしまった。

   とりあえず、腹を空かしているようだし おっちゃんの所にでも行くか !

   「『 ウッシー』から母乳を分けて貰うように頼むから
それまで我慢してくれよ、坊っちゃん……嬢ちゃん ? 」

   ママ  ママ  ママ と泣いている子猫を おっちゃんの居る店に連れて行った。


「 ニャオ~ン  ニャオ~ン  ニャオ~ン  ニャオ~ン
( おっちゃん、助けてくれ !  とりあえず子猫に(ウッシーの)ミルクをやってくれ )」

   おっちゃんが、気付いて直ぐに出て来てくれた。

「なんだ  なんだ  にゃん太郎 !
今度は、子猫か ?………ほどほどにしてくれよ~ 」

「 ニャオ~ン  ニャオ~ン  ニャオ~ン  ニャオ~ン
( それより、おっちゃん !  子猫にミルクをやってくれよ)

   ウッシーの奴も気が付いて出て来てくれた。

「 にゃん太郎親分、その子猫は どうしたんだニャ ?」

「 訳は後で話すから、子猫にミルクをやってくれよ !」

「はい はい  にゃん太郎親分には、世話になったから それくらい御安い御用だよ 」

   そう言って、ウッシーが子猫にミルクを与えてくれた。

   腹が減っていたからか、一生懸命にミルクを飲んでいる。


「 おお !  ウッシーも にゃん太郎も偉いぞ ………
この子猫の毛並みは、薄い茶色だなぁ~ ……
よし ! この子猫の名前は『 ココア 』だな ! 」

   おっちゃんにしては、意外とマトモな名前だな………と思っていたら……………



「 ニャア  ニャア  ニャア  ニャア  ニャア  ニャア  ニャア
( もー !  もー  !  もー  !   私が『ウッシー』で、この子猫が『 ココア 』だなんて 差別だわ !」

   抗議している ウッシーに対して、おっちゃんは

「 ハハハハ、  ウッシーも賛成してくれているのかな
俺は名前を付けるのは、得意なんだよ 」


「 ニャア  ニャア  ニャア  ニャア  ニャア  ニャア ! 
( もー !  もー  !  もー  !   どうして、そんなに都合良く解釈出来るのよぉー ! )


   どうやら、ウッシーも大変みたいだなぁ~

   任務を完了した俺は、日向ぼっこをする為に移動するのであった。
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