36 / 82
第36話 品羽屋 竹蔵 ②
しおりを挟む
【半兵衛side】
来ちゃったよ、左近さま。
十兵衛殿が付いていながら、なにをしようとしているんですか !
番頭が帳面を持って来た。
「これが口入帳です。
怪しいことなんか、チリ一つもありませんよ !」
それはそうだろう。
アレは表の帳面で、裏の帳面は別にあるんだ。
左近さまは十兵衛殿と一緒に帳面を確認している。
「ウチは真っ当な口入屋ですからな。
身元の怪しい人などを紹介なんてしませんよ。
大名家から商人の丁稚まで、皆 真面目に勤めてくれるので、感謝されているのですからね 」
ふん、よくいうわ ! 手数料として、かなり抜いているクセに !
本当は左近さまに教えて差し上げたいのだが、命に関わるから後で、ご報告しようと思ったのに……
「ねえ、ねえ、番頭さん。
本当は、裏帳面くらいあるんでしょう。
悪いようにはしないから、見せてくれないかしら ?
それとも、もうドリルで穴を空けちゃった !?」
どりる ? 時々、左近さまは、我々に理解できないことをおっしゃるが、たぶん深い考えがおありなのだろう。
番頭は悩んでいるようだ。
おそらくは、竹蔵と左近さま達を天秤にかけているのだろう。
十兵衛殿が番頭に耳打ちすると、番頭の顔色が変わり急いで奥から、もう一つの帳面を持って来た。
さては、左近さまの身分を明かして取り引きを持ちかけたのだろう。
武辺者に見える十兵衛殿は、意外と頭が回り機知に富んだ方だ。
「そこまでにしてもらおう !
裏切りましたね、喜朗エ門。 恩を仇で返すとは許せませんね。
私が人を裏切ることはあっても、人が私を裏切ることは許さない !」
「勝手な人ね。 あなたは幕府、天下を背いているのよ !」
珍しく左近さまがお怒りに成っている。
「私が天下を背いても、天下が私を背くことは許しません !」
「何処の曹操孟徳よ、奸雄を気取っているつもりなの !」
「何処の高貴なお方か知りませんが、たった二人で来たのは不味かったですね。
お前たち、捕まえなさい !」
いつの間にか、入り口に回り込んでいた男たち。
当然ながら竹蔵の前にも、先ほどのクスリ漬けの島帰りの男たちが居た。
捕まえにきた男たちの一人に十兵衛が刀で峰打ちをして腕を折ったが、悲鳴どころか痛みも感じていない様子。
アノ男たち、本当に人間なのか !?
「貴方、アノ男の人たちに何をしたのよ !
普通じゃ無いわよ !」
「ふふふ。 冥土の土産に教えるのは、捕らえてからにさせてもらいましょう 」
左近さま達が囲まれてしまった。
いかんな。 いかに十兵衛殿が剣の達人でも左近さまを守りながら戦うには不利すぎる。
左近さまを守る為に命は惜しくは無いが、今持っている武器では心許ない。
ジリジリと囲いを狭めていく男たち。
既に勝ちを確信しているのか、余裕綽々な竹蔵。
こうなったら、左近さまのお叱りを受けるかも知れないが、俺が飛び込んで竹蔵を人質にするしか……
斬 ! 斬 !
閉めきった扉が斬り壊されて、大男が店の中に押し入って来た。
片手には長く太い槍を持っている。
不味い ! かなりの使い手だ。
これでは、俺が人質を取る前に斬り殺されてしまうだろう。
十兵衛殿も万全な状態でも勝てるかどうか ?
竹蔵め、何処まで用意周到なんだ !
── 槍を持った大男の登場により、ますますピンチに成ってしまった左近と十兵衛。
どうする左近 ! ──
来ちゃったよ、左近さま。
十兵衛殿が付いていながら、なにをしようとしているんですか !
番頭が帳面を持って来た。
「これが口入帳です。
怪しいことなんか、チリ一つもありませんよ !」
それはそうだろう。
アレは表の帳面で、裏の帳面は別にあるんだ。
左近さまは十兵衛殿と一緒に帳面を確認している。
「ウチは真っ当な口入屋ですからな。
身元の怪しい人などを紹介なんてしませんよ。
大名家から商人の丁稚まで、皆 真面目に勤めてくれるので、感謝されているのですからね 」
ふん、よくいうわ ! 手数料として、かなり抜いているクセに !
本当は左近さまに教えて差し上げたいのだが、命に関わるから後で、ご報告しようと思ったのに……
「ねえ、ねえ、番頭さん。
本当は、裏帳面くらいあるんでしょう。
悪いようにはしないから、見せてくれないかしら ?
それとも、もうドリルで穴を空けちゃった !?」
どりる ? 時々、左近さまは、我々に理解できないことをおっしゃるが、たぶん深い考えがおありなのだろう。
番頭は悩んでいるようだ。
おそらくは、竹蔵と左近さま達を天秤にかけているのだろう。
十兵衛殿が番頭に耳打ちすると、番頭の顔色が変わり急いで奥から、もう一つの帳面を持って来た。
さては、左近さまの身分を明かして取り引きを持ちかけたのだろう。
武辺者に見える十兵衛殿は、意外と頭が回り機知に富んだ方だ。
「そこまでにしてもらおう !
裏切りましたね、喜朗エ門。 恩を仇で返すとは許せませんね。
私が人を裏切ることはあっても、人が私を裏切ることは許さない !」
「勝手な人ね。 あなたは幕府、天下を背いているのよ !」
珍しく左近さまがお怒りに成っている。
「私が天下を背いても、天下が私を背くことは許しません !」
「何処の曹操孟徳よ、奸雄を気取っているつもりなの !」
「何処の高貴なお方か知りませんが、たった二人で来たのは不味かったですね。
お前たち、捕まえなさい !」
いつの間にか、入り口に回り込んでいた男たち。
当然ながら竹蔵の前にも、先ほどのクスリ漬けの島帰りの男たちが居た。
捕まえにきた男たちの一人に十兵衛が刀で峰打ちをして腕を折ったが、悲鳴どころか痛みも感じていない様子。
アノ男たち、本当に人間なのか !?
「貴方、アノ男の人たちに何をしたのよ !
普通じゃ無いわよ !」
「ふふふ。 冥土の土産に教えるのは、捕らえてからにさせてもらいましょう 」
左近さま達が囲まれてしまった。
いかんな。 いかに十兵衛殿が剣の達人でも左近さまを守りながら戦うには不利すぎる。
左近さまを守る為に命は惜しくは無いが、今持っている武器では心許ない。
ジリジリと囲いを狭めていく男たち。
既に勝ちを確信しているのか、余裕綽々な竹蔵。
こうなったら、左近さまのお叱りを受けるかも知れないが、俺が飛び込んで竹蔵を人質にするしか……
斬 ! 斬 !
閉めきった扉が斬り壊されて、大男が店の中に押し入って来た。
片手には長く太い槍を持っている。
不味い ! かなりの使い手だ。
これでは、俺が人質を取る前に斬り殺されてしまうだろう。
十兵衛殿も万全な状態でも勝てるかどうか ?
竹蔵め、何処まで用意周到なんだ !
── 槍を持った大男の登場により、ますますピンチに成ってしまった左近と十兵衛。
どうする左近 ! ──
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
かの
ファンタジー
世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。
偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。
スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!
冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~
シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。
木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。
しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。
そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。
【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】
社会の底辺に落ちたオレが、国王に転生した異世界で、経済の知識を活かして富国強兵する、冒険コメディ
のらねこま(駒田 朗)
ファンタジー
リーマンショックで会社が倒産し、コンビニのバイトでなんとか今まで生きながらえてきた俺。いつものように眠りについた俺が目覚めた場所は異世界だった。俺は中世時代の若き国王アルフレッドとして目が覚めたのだ。ここは斜陽国家のアルカナ王国。産業は衰退し、国家財政は火の車。国外では敵対国家による侵略の危機にさらされ、国内では政権転覆を企む貴族から命を狙われる。
目覚めてすぐに俺の目の前に現れたのは、金髪美少女の妹姫キャサリン。天使のような姿に反して、実はとんでもなく騒がしいS属性の妹だった。やがて脳筋女戦士のレイラ、エルフ、すけべなドワーフも登場。そんな連中とバカ騒ぎしつつも、俺は魔法を習得し、内政を立て直し、徐々に無双国家への道を突き進むのだった。
『冒険者をやめて田舎で隠居します 〜気づいたら最強の村になってました〜』
チャチャ
ファンタジー
> 世界には4つの大陸がある。東に魔神族、西に人族、北に獣人とドワーフ、南にエルフと妖精族——種族ごとの国が、それぞれの文化と価値観で生きていた。
その世界で唯一のSSランク冒険者・ジーク。英雄と呼ばれ続けることに疲れた彼は、突如冒険者を引退し、田舎へと姿を消した。
「もう戦いたくない、静かに暮らしたいんだ」
そう願ったはずなのに、彼の周りにはドラゴンやフェンリル、魔神族にエルフ、ドワーフ……あらゆる種族が集まり、最強の村が出来上がっていく!?
のんびりしたいだけの元英雄の周囲が、どんどんカオスになっていく異世界ほのぼの(?)ファンタジー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる