35 / 38
蛇足の章 『誤先生、天国でテレビに出る』
第27話 クイズ! 誤先生の弱点
しおりを挟む『神様TV』の画面が、桶狭間のVTRからスタジオに戻る。
司会の神山 叡智が、重々しく口を開いた。
司会者・神山: 「……驚くべき技術です。天候すら操ったとされる呉学人。しかし、そんな彼にも、『軍師として致命的』とも言える、ある弱点がありました」
スタジオの解答者たちが「えー!」と、わざとらしい声を上げる。
司会者・神山: 「さて、ここでクエスチョンです。その致命的な弱点とは、一体何だったのでしょう?」
大女優・白鳥 麗子: 「まあ、天才には弱点がおありなのね。わたくしと同じですわ」
優雅に髪をかきあげ、白鳥が答える。
白鳥: 「わたくし、美しいものを見ると時を忘れてしまいますの。きっと彼も、信長公のあまりの美しさに見惚れて、作戦を忘れてしまったのね」
芸人・狭間 瞬: 「あなたが信長公好きなだけでしょう、麗子さん! 軍師が作戦忘れたらクビですよ!」
アイドル・日向坂 あかり: 「(自信なさげに)えっと……すごく、『朝が弱い』?」
天国・利家: 「(小声で)……お」
天国・信長: 「(口元を抑え)……ぷっ」
天国・学人: 「(ギクリ)……!」
不思議系・電脳寺 パピコ: 「あ、わかった! GO先生、未来人だから、『Wi-Fiないとキレる』?」
狭間: 「だから時代! なんで未来人前提なんだよ! Wi-Fi飛んでるわけないだろ!」
パピコ: 「えー、でもあの粘土板(タブレット)、絶対ギガ死したら使えないよー」
狭間: 「ギガ死って言うな! 通信制限のことだろ!」
天国・慶次: 「『わいふぁい』? 『ぎがし』? 学よ、お主、また妙な術を使うのか? 気が死ぬとは、穏やかではないな」
天国・学人: 「(必死に)使いません! 断じて! それより慶次殿、その『術』とやらの意味は私にも分かりません!」
スタジオが盛り上がる中、天国では別の解答が深く刺さっていた。
天国・信長: 「(笑いをこらえながら)……学人よ、『朝が弱い』と。現世の小娘にまで見抜かれておるぞ」
天国・利家: 「ぶはっ! こいつは当たっておりますぞ、殿! 学人は昔から寝起きが悪く、この犬千代が清洲の長屋で毎朝叩き起こしておったわ!」
利家が、当時のことを思い出し、腹を揺らす。
天国・利家: 「声をかけても起きん、揺すっても起きん。しまいには、井戸水を汲んできて『火事だ!』と叫んでも起きなんだ!」
天国・学人: 「(顔を赤くして)と、利家! 余計なお世話だ! それは別に軍師として致命的ではないでしょう!」
司会者・神山: 「さあ、皆さん、よろしいでしょうか。正解を発表します。呉学人の致命的な弱点……正解は、こちら!」
(ドラムロール)
司会者・神山: 「正解は、『極度の方向音痴』でした!」
ドーン! という効果音と共に、スタジオが「あー!」という納得(?)と爆笑に包まれる。
狭間: 「それだ! 軍師が方向音痴って! 敵陣のど真ん中で迷子になるやつじゃないですか! 一番ダメでしょ!」
天国・学人: 「…………っ!」
学人は、息を飲んで固まった。
霊体であるはずの背中を、滝のような冷や汗が伝う。
天国の四阿に、一瞬の、完璧な静寂が落ちる。
信長、利家、慶次が、ギギギ、と音が鳴りそうな動きで、ゆっくりと学人の方を振り向いた。
三人の目が、カッと見開かれる。
信長・利家・慶次: 「「「 あーーーーーっ!!! 」」」
三人の声が、雲海に響き渡った。
天国・信長: 「(膝を叩いて大爆笑)それだ! それじゃ! こやつ、清洲城の中でも迷子になっておったわ!」
天国・利家: 「(涙目)なっとりました! 評定の間に向かったはずが、半刻(1時間)経っても来ないから、皆で探したら厩で馬に説教しておった!」
天国・学人: 「(顔面蒼白)あ……あ……」
天国・慶次: 「はっはっは! 『道にさえ迷わねば、お前は完璧なのだがな』と、いつも笑っておったわ! まさかそれが『致命的』とまで言われるとは!」
現世のテレビ番組に、まさかの天界からの「裏付け」が取れてしまった。
天国・学人: 「(頭を抱え)み、皆さん! それは言わない約束! しかも厩の一件は利家が嘘の道を教えたからでしょうが! 『あっちが近道だ』と!」
天国・利家: 「いやあ、お主があまりに自信満々に逆方向へ行くものだから、面白くてつい!」
天国・学人: 「(絶望)犬千代ぉぉぉ!!」
学人の悲痛な叫びが響く中、『神様TV』の神山は、人差し指を立てて話を続ける。
司会者・神山: 「しかし……皆さん。この番組は『オーバー・ヒストリー』。ただの弱点で終わるはずがありません。呉学人は、その『方向音痴』すらも、恐るべき『戦術』に変えていたのです!」
スタジオ・解答者: 「「 ええーーーっ!? 」」
天国・学人: 「…………はっ?」
── つづく ──
0
あなたにおすすめの小説
織田信長IF… 天下統一再び!!
華瑠羅
歴史・時代
日本の歴史上最も有名な『本能寺の変』の当日から物語は足早に流れて行く展開です。
この作品は「もし」という概念で物語が進行していきます。
主人公【織田信長】が死んで、若返って蘇り再び活躍するという作品です。
※この物語はフィクションです。
武田義信は謀略で天下取りを始めるようです ~信玄「今川攻めを命じたはずの義信が、勝手に徳川を攻めてるんだが???」~
田島はる
歴史・時代
桶狭間の戦いで今川義元が戦死すると、武田家は外交方針の転換を余儀なくされた。
今川との婚姻を破棄して駿河侵攻を主張する信玄に、義信は待ったをかけた。
義信「此度の侵攻、それがしにお任せください!」
領地を貰うとすぐさま侵攻を始める義信。しかし、信玄の思惑とは別に義信が攻めたのは徳川領、三河だった。
信玄「ちょっ、なにやってるの!?!?!?」
信玄の意に反して、突如始まった対徳川戦。義信は持ち前の奇策と野蛮さで織田・徳川の討伐に乗り出すのだった。
かくして、武田義信の敵討ちが幕を開けるのだった。
本能寺からの決死の脱出 ~尾張の大うつけ 織田信長 天下を統一す~
bekichi
歴史・時代
戦国時代の日本を背景に、織田信長の若き日の物語を語る。荒れ狂う風が尾張の大地を駆け巡る中、夜空の星々はこれから繰り広げられる壮絶な戦いの予兆のように輝いている。この混沌とした時代において、信長はまだ無名であったが、彼の野望はやがて天下を揺るがすことになる。信長は、父・信秀の治世に疑問を持ちながらも、独自の力を蓄え、異なる理想を追求し、反逆者とみなされることもあれば期待の星と讃えられることもあった。彼の目標は、乱世を統一し平和な時代を創ることにあった。物語は信長の足跡を追い、若き日の友情、父との確執、大名との駆け引きを描く。信長の人生は、斎藤道三、明智光秀、羽柴秀吉、徳川家康、伊達政宗といった時代の英傑たちとの交流とともに、一つの大きな物語を形成する。この物語は、信長の未知なる野望の軌跡を描くものである。
皇国の栄光
ypaaaaaaa
歴史・時代
1929年に起こった世界恐慌。
日本はこの影響で不況に陥るが、大々的な植民地の開発や産業の重工業化によっていち早く不況から抜け出した。この功績を受け犬養毅首相は国民から熱烈に支持されていた。そして彼は社会改革と並行して秘密裏に軍備の拡張を開始していた。
激動の昭和時代。
皇国の行く末は旭日が輝く朝だろうか?
それとも47の星が照らす夜だろうか?
趣味の範囲で書いているので違うところもあると思います。
こんなことがあったらいいな程度で見ていただくと幸いです
土方歳三ら、西南戦争に参戦す
山家
歴史・時代
榎本艦隊北上せず。
それによって、戊辰戦争の流れが変わり、五稜郭の戦いは起こらず、土方歳三は戊辰戦争の戦野を生き延びることになった。
生き延びた土方歳三は、北の大地に屯田兵として赴き、明治初期を生き抜く。
また、五稜郭の戦い等で散った他の多くの男達も、史実と違えた人生を送ることになった。
そして、台湾出兵に土方歳三は赴いた後、西南戦争が勃発する。
土方歳三は屯田兵として、そして幕府歩兵隊の末裔といえる海兵隊の一員として、西南戦争に赴く。
そして、北の大地で再生された誠の旗を掲げる土方歳三の周囲には、かつての新選組の仲間、永倉新八、斎藤一、島田魁らが集い、共に戦おうとしており、他にも男達が集っていた。
(「小説家になろう」に投稿している「新選組、西南戦争へ」の加筆修正版です)
織田信長 -尾州払暁-
藪から犬
歴史・時代
織田信長は、戦国の世における天下統一の先駆者として一般に強くイメージされますが、当然ながら、生まれついてそうであるわけはありません。
守護代・織田大和守家の家来(傍流)である弾正忠家の家督を継承してから、およそ14年間を尾張(現・愛知県西部)の平定に費やしています。そして、そのほとんどが一族間での骨肉の争いであり、一歩踏み外せば死に直結するような、四面楚歌の道のりでした。
織田信長という人間を考えるとき、この彼の青春時代というのは非常に色濃く映ります。
そこで、本作では、天文16年(1547年)~永禄3年(1560年)までの13年間の織田信長の足跡を小説としてじっくりとなぞってみようと思いたった次第です。
毎週の月曜日00:00に次話公開を目指しています。
スローペースの拙稿ではありますが、お付き合いいただければ嬉しいです。
(2022.04.04)
※信長公記を下地としていますが諸出来事の年次比定を含め随所に著者の創作および定説ではない解釈等がありますのでご承知置きください。
※アルファポリスの仕様上、「HOTランキング用ジャンル選択」欄を「男性向け」に設定していますが、区別する意図はとくにありません。
滝川家の人びと
卯花月影
歴史・時代
勝利のために走るのではない。
生きるために走る者は、
傷を負いながらも、歩みを止めない。
戦国という時代の只中で、
彼らは何を失い、
走り続けたのか。
滝川一益と、その郎党。
これは、勝者の物語ではない。
生き延びた者たちの記録である。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる