210 / 227
第208話 プリン。3
しおりを挟む
「私来た意味あります……?」
「わからん」
あかっちに言われて都合のいい女こと、七海ちゃんを緊急召喚した。事情を説明して気を遣ってくれたのか電話して10分後ぐらいに来てくれた。
しかし、相変わらず客は全く来る気配がない。
これで客誰一人来なかったらマジで爆笑だからな。こんなガラッガラの店に3人体制ってマジで何すんの。こうなったらもう3人で楽しくポーカーでもするか??チップの代わりにこのプリンを使ってな!ははは……!笑えねえ。
今更グチグチ言っても仕方がないため、店内清掃などをして時間をつぶしていると、見かけない女子大生のグループが店内に入ってきて俺に声をかけてきた。……なんだ?逆ナンか?
「どうしました?」
「あのープリンを買いに来たんですけど在庫ってまだ残ってます?」
「……え?」
◇
俺が今まで働いてきた中で、こんな光景を見たことはあっただろうか。
最初に来た女子大生をきっかけに普段見かけないような客達が次々とプリンを買い求めに来た。いつの間にか人は瞬く間に増え、店内では客が納まりきらない状況に。
殆どの客が何故かプリン目当てだったため、あかっちのアイデアでプリンのみ屋外の販売に変更。あまりの人の多さに列を俺が整理する事態にまで発展した。
……なんだ。うちの店に何が起こってるんだ。何故急にプリンブーム来てんだ。おい。
気が付けば数時間で300個あったプリンの在庫は全て無くなってしまい、列に並んでいたお客さん達は残念そうに帰っていった。
◇
「いやぁー疲れたな」
「そうっすね」
プリン客の波もだいぶ落ち着いた所で、事情を聴くためにも事務所であかっちと喋ることにした。あかっちもだいぶ疲れているのか、殆ど喋らずにフルーツオレを黙々と飲んでいる。
「一体どんな手を使ったんだ???」
「ああ。説明してなかったっすね」
そう言い、あかっちは携帯の画面を見せてくれた。何やらSNSのサイトが表示されている。
「……これがどうしたんだ?」
「やってることはシンプルで俺のアカウントでここで買ったプリンクソうめーって投稿しただけっすよ」
「……は???そんなので人来るわけねえじゃねえか」
「ネット用のアカウントはフォロワー数50万人ぐらいいるんで、こんなのでも多少は人を呼べるんすよ」
なんかこいつさらっと凄いこと言ってないか。
「……ま、まあ宣伝してくれたのはわかったけど、そんなのでうちの店に列なんかできるか??都会ならまだわかるけどよ」
「そうなんすよね。勿論それだけじゃ集まりきらないと思ってたんで、大学の知り合い何十人かに1日限定で人気のプリン即売会が行われるっていう情報を広めてもらったんすよね」
「コミュ力お化けかお前」
「後は結構簡単で人が多い所に人は集まるってもんで、列ができたらこっちのもんすよ。皆面白がってそんなに美味しいプリンなんだー買っちゃおうーとかなるわけっすよ」
「理屈はわかった気がするが……よく上手くいったな」
「俺だから上手くいったんすよ」
「……なんじゃそりゃ。まあでも今日は本当ありがとうな。助かったぜ」
「今回みたいなのはマジで勘弁してほしいっすけどね」
「……ん?今日の売上が物凄く良かったらプリン400個明日納品するからな?」
「……はぁ。こういう人気ってのは一時だけなんすよ……」
こうしてプリン300個はあかっちのおかげで無事完売し、翌日納品されたプリン400個のうち半分以上を俺が買い取る羽目になった。
「わからん」
あかっちに言われて都合のいい女こと、七海ちゃんを緊急召喚した。事情を説明して気を遣ってくれたのか電話して10分後ぐらいに来てくれた。
しかし、相変わらず客は全く来る気配がない。
これで客誰一人来なかったらマジで爆笑だからな。こんなガラッガラの店に3人体制ってマジで何すんの。こうなったらもう3人で楽しくポーカーでもするか??チップの代わりにこのプリンを使ってな!ははは……!笑えねえ。
今更グチグチ言っても仕方がないため、店内清掃などをして時間をつぶしていると、見かけない女子大生のグループが店内に入ってきて俺に声をかけてきた。……なんだ?逆ナンか?
「どうしました?」
「あのープリンを買いに来たんですけど在庫ってまだ残ってます?」
「……え?」
◇
俺が今まで働いてきた中で、こんな光景を見たことはあっただろうか。
最初に来た女子大生をきっかけに普段見かけないような客達が次々とプリンを買い求めに来た。いつの間にか人は瞬く間に増え、店内では客が納まりきらない状況に。
殆どの客が何故かプリン目当てだったため、あかっちのアイデアでプリンのみ屋外の販売に変更。あまりの人の多さに列を俺が整理する事態にまで発展した。
……なんだ。うちの店に何が起こってるんだ。何故急にプリンブーム来てんだ。おい。
気が付けば数時間で300個あったプリンの在庫は全て無くなってしまい、列に並んでいたお客さん達は残念そうに帰っていった。
◇
「いやぁー疲れたな」
「そうっすね」
プリン客の波もだいぶ落ち着いた所で、事情を聴くためにも事務所であかっちと喋ることにした。あかっちもだいぶ疲れているのか、殆ど喋らずにフルーツオレを黙々と飲んでいる。
「一体どんな手を使ったんだ???」
「ああ。説明してなかったっすね」
そう言い、あかっちは携帯の画面を見せてくれた。何やらSNSのサイトが表示されている。
「……これがどうしたんだ?」
「やってることはシンプルで俺のアカウントでここで買ったプリンクソうめーって投稿しただけっすよ」
「……は???そんなので人来るわけねえじゃねえか」
「ネット用のアカウントはフォロワー数50万人ぐらいいるんで、こんなのでも多少は人を呼べるんすよ」
なんかこいつさらっと凄いこと言ってないか。
「……ま、まあ宣伝してくれたのはわかったけど、そんなのでうちの店に列なんかできるか??都会ならまだわかるけどよ」
「そうなんすよね。勿論それだけじゃ集まりきらないと思ってたんで、大学の知り合い何十人かに1日限定で人気のプリン即売会が行われるっていう情報を広めてもらったんすよね」
「コミュ力お化けかお前」
「後は結構簡単で人が多い所に人は集まるってもんで、列ができたらこっちのもんすよ。皆面白がってそんなに美味しいプリンなんだー買っちゃおうーとかなるわけっすよ」
「理屈はわかった気がするが……よく上手くいったな」
「俺だから上手くいったんすよ」
「……なんじゃそりゃ。まあでも今日は本当ありがとうな。助かったぜ」
「今回みたいなのはマジで勘弁してほしいっすけどね」
「……ん?今日の売上が物凄く良かったらプリン400個明日納品するからな?」
「……はぁ。こういう人気ってのは一時だけなんすよ……」
こうしてプリン300個はあかっちのおかげで無事完売し、翌日納品されたプリン400個のうち半分以上を俺が買い取る羽目になった。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
212
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる