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いきなり、最終決戦
魔神、来襲
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「コータさん、これを……」
ミレーヌが公太に向けて差し出したのは、装飾品らしき物の一式だった。
詳細に表すと、青と赤の宝石らしきモノが填め込まれた腕輪がそれぞれ一つずつ……同様に、茶色と緑の石に替わった足輪もそれぞれ一つずつ……
そして、白い石が埋め込まれた冠と、バックル部分に黒い石が付いたベルトの様な物の6種だ。
「これを着けろ……って、事ね?」
「はい、腕輪と足輪には、左右の指定はありませんが……青の腕輪は茶の足輪と、赤の腕輪は緑の足輪と、同じ方に着ける様に注意してください」
公太が、渡された物の意図を察して確認を求めると、ミレーヌは小さく頷いて細かい指示も付けた。
「――で、白い石のが頭で、黒い石のが腹……だろ?、後は……」
公太は形状から図れる残り2つの用途も察し、彼女に目配せをして次の指示を促す。
「あっ!、先に上半身は裸に……黒い石のベルトは、地肌に直接着けてください」
「えっ⁉、まあ、恥ずかしがる様な年でもないが……」
ミレーヌの指示に、公太は一瞬顔をしかめるが、思う様には動かない右手のやり場を上手く工夫しながら、慣れた様で服を脱いだ。
「――急ぐのに悪りぃが、左手の腕輪は手伝ってくれ。
多分、右手の握力じゃ上手く嵌められないはずだからさ」
「はい、もちろんです。」
……
………
――公太の準備を終えるとミレーヌは、装飾品の物と同じ6色の魔石……ただし、装飾品に加工されてはいない、石そのものの状態のモノを地面に並べ始める。
それはよく見ると、公太が身に着けたのと対になる様になのか――地面に描いた五芒星状の頂点に白い石、右上には公太が右手に着けた赤い石、左上には左手と同じ青い石、右下には右足に着けた緑の石、左下には茶の石と続き、最後に黒い石が五芒星の中心に置かれた。
「……なるほど、赤が火を現してて、風を現す緑と交わらせて火を煽り、茶が現す土と、水を現す青を並べて土を押し流す――ってな意味かな?」
「⁉、その通りです……」
構築された魔方陣を眺めて、頷きながらそう呟く公太の姿を見て、ミレーヌは驚いた表情で答えた。
「魔法における基礎知識である、相乗相克の理――異界の方が、石の配置だけで見通すだなんて……コータさん、貴方は一体……」
ミレーヌが少し、奇妙な何かを観る様な目で、公太に問い返すと……
「はっはっはっ!、ただのお節介焼きな異界人ですよ、ミレーヌさん」
――と、どこかで聞いた事がある様なセリフで答え、無いはずの顎髭を摩る素振りを見せた。
「そっ、そうですか……」
対したミレーヌは、返答の意図を掴めずに困りながらそう言う。
(……時代劇の再放送を、毎日だらけて観ていた暇人が、あのセリフを言われちゃあ、反射的にコレで返しちまうっての!)
スベった事を心中で自認した公太は、渋い顔を見せながら……
「――ごめん、ただファンタジー物アニメにありそうな設定を挙げてみただけ……買い被りだよ」
――と、恥ずかしそうに後頭部を掻きながら、バツ悪そうに答えた。
「いえ、そうだとしても、本当に驚きです……私たちが去った後の異界でも、魔法の概念が絵物語となって息づいているというのは、魔法を扱う者として……」
………ガシャッ!、ボワァッ!
ミレーヌが微笑を浮かべながら、公太に何かを言おうとしたその時――森の木が倒される音と、同時にその音が響いた辺りから、猛烈な火炎が迸った!
「⁉」
「……ぐうっ!!!」
二人が驚いて振り向いた方に、転げる様で現れたのは――ガッチリとした体躯をした、堅固に写る重鎧を纏い、右手には小ぶりの戦斧、左手に大きな盾を提げた戦士だった。
「ジャンセン殿!」
「⁉、ミレーヌ様ぁっ!、ヤツが来ますぞぉっ!」
ジャンセンと呼ばれた戦士がそう呼ばわった瞬間、彼に対して追い打ちを仕掛ける体で、先ほどと同じ猛烈な火炎が……二つ、地面を迸るっ!、
一筋の火炎は、公太たちが陣取っている魔方陣の側を掠め、後方の大木にぶつかってその幹を炎上させ……
「――ぐっ!!!、ぐぉぉぉぉっ!」
――もう一筋は、動きが鈍いジャンセンの身を捉えるが、彼は大きな盾を火炎へ向けて突き出し、火の粉を散らして直撃を避けた。
「ミッ、ミレーヌちゃん……」
公太は、目の前で展開された壮絶な光景に呆気を取られ、不安気な眼差しをミレーヌに向けるが――当の彼女は、まったく余裕が無い様で渋い顔を見せるのが、精一杯だった。
『ふっふっふっ……異界から無事戻ったか?、エルフィの小娘よ』
火炎が放たれた方向から、くぐもった不気味な声色で、その言葉は聞こえた。
同時に、土を踏みしめ、地面に落ちた小枝を圧し折る音が混じった足音が近づいて来る…
『――わざわざ異界に赴き、我を封ずる依り代を連れて来ようとは……なかなか現世の者どもは、悪足掻きのための悪知恵が働く様だのぉ』
声の主が嘲笑う様にそう言うと、ミレーヌは表情を蒼褪めさせ、ジャンセンは歯軋りをして声がする方向を睨んだ。
(こっ、この声がこの世界の魔王……いや、魔神の声なのか?)
公太もゴクリと生唾を飲み、魔神と思しき者との邂逅に備える。
バキッ!、グシャッ!
更に地面を踏みしめ、公太たちの前に現れたのは――ドス黒い魔力の波動を身体中に纏い、それが天をも突き破らんと立ち上り、周囲にもそれを迸らせている……
「……へ?」
――"少女"と呼んでも過言ではない、妙齢の娘だった。
ミレーヌが公太に向けて差し出したのは、装飾品らしき物の一式だった。
詳細に表すと、青と赤の宝石らしきモノが填め込まれた腕輪がそれぞれ一つずつ……同様に、茶色と緑の石に替わった足輪もそれぞれ一つずつ……
そして、白い石が埋め込まれた冠と、バックル部分に黒い石が付いたベルトの様な物の6種だ。
「これを着けろ……って、事ね?」
「はい、腕輪と足輪には、左右の指定はありませんが……青の腕輪は茶の足輪と、赤の腕輪は緑の足輪と、同じ方に着ける様に注意してください」
公太が、渡された物の意図を察して確認を求めると、ミレーヌは小さく頷いて細かい指示も付けた。
「――で、白い石のが頭で、黒い石のが腹……だろ?、後は……」
公太は形状から図れる残り2つの用途も察し、彼女に目配せをして次の指示を促す。
「あっ!、先に上半身は裸に……黒い石のベルトは、地肌に直接着けてください」
「えっ⁉、まあ、恥ずかしがる様な年でもないが……」
ミレーヌの指示に、公太は一瞬顔をしかめるが、思う様には動かない右手のやり場を上手く工夫しながら、慣れた様で服を脱いだ。
「――急ぐのに悪りぃが、左手の腕輪は手伝ってくれ。
多分、右手の握力じゃ上手く嵌められないはずだからさ」
「はい、もちろんです。」
……
………
――公太の準備を終えるとミレーヌは、装飾品の物と同じ6色の魔石……ただし、装飾品に加工されてはいない、石そのものの状態のモノを地面に並べ始める。
それはよく見ると、公太が身に着けたのと対になる様になのか――地面に描いた五芒星状の頂点に白い石、右上には公太が右手に着けた赤い石、左上には左手と同じ青い石、右下には右足に着けた緑の石、左下には茶の石と続き、最後に黒い石が五芒星の中心に置かれた。
「……なるほど、赤が火を現してて、風を現す緑と交わらせて火を煽り、茶が現す土と、水を現す青を並べて土を押し流す――ってな意味かな?」
「⁉、その通りです……」
構築された魔方陣を眺めて、頷きながらそう呟く公太の姿を見て、ミレーヌは驚いた表情で答えた。
「魔法における基礎知識である、相乗相克の理――異界の方が、石の配置だけで見通すだなんて……コータさん、貴方は一体……」
ミレーヌが少し、奇妙な何かを観る様な目で、公太に問い返すと……
「はっはっはっ!、ただのお節介焼きな異界人ですよ、ミレーヌさん」
――と、どこかで聞いた事がある様なセリフで答え、無いはずの顎髭を摩る素振りを見せた。
「そっ、そうですか……」
対したミレーヌは、返答の意図を掴めずに困りながらそう言う。
(……時代劇の再放送を、毎日だらけて観ていた暇人が、あのセリフを言われちゃあ、反射的にコレで返しちまうっての!)
スベった事を心中で自認した公太は、渋い顔を見せながら……
「――ごめん、ただファンタジー物アニメにありそうな設定を挙げてみただけ……買い被りだよ」
――と、恥ずかしそうに後頭部を掻きながら、バツ悪そうに答えた。
「いえ、そうだとしても、本当に驚きです……私たちが去った後の異界でも、魔法の概念が絵物語となって息づいているというのは、魔法を扱う者として……」
………ガシャッ!、ボワァッ!
ミレーヌが微笑を浮かべながら、公太に何かを言おうとしたその時――森の木が倒される音と、同時にその音が響いた辺りから、猛烈な火炎が迸った!
「⁉」
「……ぐうっ!!!」
二人が驚いて振り向いた方に、転げる様で現れたのは――ガッチリとした体躯をした、堅固に写る重鎧を纏い、右手には小ぶりの戦斧、左手に大きな盾を提げた戦士だった。
「ジャンセン殿!」
「⁉、ミレーヌ様ぁっ!、ヤツが来ますぞぉっ!」
ジャンセンと呼ばれた戦士がそう呼ばわった瞬間、彼に対して追い打ちを仕掛ける体で、先ほどと同じ猛烈な火炎が……二つ、地面を迸るっ!、
一筋の火炎は、公太たちが陣取っている魔方陣の側を掠め、後方の大木にぶつかってその幹を炎上させ……
「――ぐっ!!!、ぐぉぉぉぉっ!」
――もう一筋は、動きが鈍いジャンセンの身を捉えるが、彼は大きな盾を火炎へ向けて突き出し、火の粉を散らして直撃を避けた。
「ミッ、ミレーヌちゃん……」
公太は、目の前で展開された壮絶な光景に呆気を取られ、不安気な眼差しをミレーヌに向けるが――当の彼女は、まったく余裕が無い様で渋い顔を見せるのが、精一杯だった。
『ふっふっふっ……異界から無事戻ったか?、エルフィの小娘よ』
火炎が放たれた方向から、くぐもった不気味な声色で、その言葉は聞こえた。
同時に、土を踏みしめ、地面に落ちた小枝を圧し折る音が混じった足音が近づいて来る…
『――わざわざ異界に赴き、我を封ずる依り代を連れて来ようとは……なかなか現世の者どもは、悪足掻きのための悪知恵が働く様だのぉ』
声の主が嘲笑う様にそう言うと、ミレーヌは表情を蒼褪めさせ、ジャンセンは歯軋りをして声がする方向を睨んだ。
(こっ、この声がこの世界の魔王……いや、魔神の声なのか?)
公太もゴクリと生唾を飲み、魔神と思しき者との邂逅に備える。
バキッ!、グシャッ!
更に地面を踏みしめ、公太たちの前に現れたのは――ドス黒い魔力の波動を身体中に纏い、それが天をも突き破らんと立ち上り、周囲にもそれを迸らせている……
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