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陽を掲げた魔女
陽を掲げた魔女
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「お頭――俺たちは、本当にこの"戦"に勝てるんですかい?」
今、この場に揃っている面々が、そんな凄まじい戦力を秘めているとはまだ知らない、この場の二百名に組したヤクザ者の一人が、その元締めと言った立場であるリュウジにそんな愚痴を溢した。
「へっ!、おめぇ、潜りだな?
"ヨクセのバケモン"――ソウタと言えば、その名を聞いたヤクザ者なら小便をチビり、娼街の女なら"別のモン"をチビるってぇ評判を知らねぇのかぁ?」
リュウジは、不遜な呆れ笑いをして、そんな下卑た戯れ言でその子分筋のヤクザ者に返す。
「茶化さねぇでくだせぇ。
確かに――そんな戯れ言をオウビ中に轟かしてる、あのバケモンが味方なのは心強ぇが……今度ばかりは、頭数ってヤツが違ぇますぜ……」
子分は、ゴクリと息を呑んで、木の隙間から覗ける、はためく南コクエの国旗を睨む。
「私も……彼とは少々、同意見ですね。
しかも、そんな数の違いから言えば、ここは戦力を集約して迎え撃つのが定石――それを、二隊に分けての挟撃に及ぶのは、些か無謀にも思えます」
子分の意見に賛同したのは、ソウタが居る方へと志願して、コチラに組したサスケ。
彼は、元は侍という見地から、自軍が選んだ戦術への疑問を投げ掛ける。
「――若ぇのよ、おめぇもやっぱ、経験不足な?、ソウタの力量ってヤツを測れてねぇとはよ。
恋敵だからって、軽く観てぇって腹か?」
「そっ!、その様な事ではありません――それに、レンの事は、既に諦めてございます」
茶化す返答をするリュウジに、サスケは赤面して生真面目に更に応じた。
「まあ、黙って観てろ――刀聖ってモンのバケモンぶりをな」
リュウジは、担いだ鞘で自分の肩を叩き、楽しげな笑みを浮べて、南黒の軍勢を睨んだ。
「!」
自慢の遠目を活かし、林の中から南コクエ軍の動きを注視していたギンが、ふいに片手を挙げた。
「ソウタ――奴ら、動くぞ」
ギンが、そう呟く様な小さな声音で言うと、大勢が足を踏み鳴らし、大地を揺るがす足音が流洲の関に響いた。
それは丁度、東の空の雲の切れ間に、一筋の陽光が閃いた時分だった。
「よしっ!、ヒカリ――もう、行くぞ?」
「あん!、とっても難しいんだから……もっと優しく、ね?」
(うあぁ~っ!、もう、マトモに聴いてられないよぉ~~~っ!)
ナニかを連想して身悶えしている、赤面したハルの顔を――
「ハル?、どうしたの?、具合でも悪い?」
――と、彼女の隣で待機しているタマが、心配する様な声を呟いた……その時っ!
ソウタは、軽くテンの手綱をしごき、駆足を指示して、ダッと林の中から飛び出したっ!
「恥ずかしき者たちにっ!、正義の鉄槌をぉ~~っ!」
そんな掛け声を挙げながら、ヤクザ者たちが陣取る流洲の関の対岸へと突進する南コクエ兵――その中の一人が何かに気付き、突進しながら、ふと、日が昇り始めた東の空を見上げた。
「……何だ?、アレ」
その一人は、不思議そうにヤクザ者たちとの接敵が迫る中――その『アレ』に目を奪われる。
「おい、おめぇ!、余所見してっと、統括同志さんに怒られっぞ!?」
並んで前進する兵が、そう忠告するが、その一人はガタガタと震えて、その忠告に反応しない。
"統括同志"とは――通常の軍隊に準えれば、小隊長レベルの役割の事を意味する。
「おめぇっ!、聞いてんのかぁっ!?、こりゃあ戦だど?、お日様眺めてる場合かぁっ!?」
忠告した兵が、そう激昂して怒鳴ると――
「――なぁ?、お日様って……馬に乗って、コッチに近付いて来るモンか?」
――その一人は、呆けた様で、逆に問い返した。
「はぁ?!、何を言って……」
忠告した兵が、その一人の肩を掴む流れで、見上げた東の空を見上げると――彼は、その一人とは違い、顔の血色を蒼白へと変える。
「うっ!、うわああああっ!、"お日様が落ちて来るっ!"、逃げろっ!、逃げろぉぉぉぉっ!!!!!」
二人は、恐怖に満ちた表情で、オロオロと急に進路を変えた。
二人が言った"近付いて来る"――"落ちて来る太陽"とは、もちろん太陽そのもののコトではなく――
「――ふうっ!、天変、地異規模のぉ……難しい、界気術なんだよ?、これって。
ソウちゃんも、難しい要求するよねぇ……普段は優しいのに、乱暴だった"アノ時"と一緒だよぉ……」
――ヒカリが、界気を練って創り出し、頭上の中空に掲げた、巨大な火の玉だったっ!
「ヒカリ……馬上で二人っきりだから、聞き流すけど、それ、問題発言だぞ?」
「えへっ♪、二人っきりだから、言ったんだよ♪」
ソウタは、ヒカリの艶っぽい戯れ言に、聡く反応して指摘するが、当のヒカリは、小さく舌をペロっと出して、楽しげに微笑を浮べる。
「なっ、なんだ……界気、なのか?
だが、これは――」
後方で、自軍の突進を眺めていたヨシミツも、その戦場に起きた異変に逸早く気付き、その信じられない光景を愕然として眺める。
「――っ!?、いっ!、いけないっ!、退けぇっ!、退けぇぇぇっ!、いやっ!、散るんだぁぁぁっ!」
本能的に、この後に起こるであろう出来事と光景を察したヨシミツは、四散撤退の下知を下す。
「――ん~っ!、ちょっと!、それじゃあ遅いかなっ!」
南コクエ軍の先鋒の前を、横切る体で現われた馬上から、ヨシミツの下知を受け四散を始めた南コクエ軍の塊へと向けて、ヒカリは、ニヤけた表情でそう忠告しながら、中空に掲げた火の玉をその一団へ向けて放ったっ!
地上に降りた火の玉は、不気味な地鳴りを及ぼしながら、流洲の関の大地を引き摺る様に進み――
「――うっ!、うわあぁぁぁぁっ!」
――悲鳴を挙げて、散り散りに逃げようとしている、南コクエ軍の中央へと至る。
「――よいしょぉっ!」
ヒカリが、軽く界気を練っていた方である、右手の指をパチンと鳴らすと、その指の音を合図に、巨大な火の玉は轟音と共に爆発っ!
それは――空に、大きなキノコ雲を発生させるほどの大爆発であった……
今、この場に揃っている面々が、そんな凄まじい戦力を秘めているとはまだ知らない、この場の二百名に組したヤクザ者の一人が、その元締めと言った立場であるリュウジにそんな愚痴を溢した。
「へっ!、おめぇ、潜りだな?
"ヨクセのバケモン"――ソウタと言えば、その名を聞いたヤクザ者なら小便をチビり、娼街の女なら"別のモン"をチビるってぇ評判を知らねぇのかぁ?」
リュウジは、不遜な呆れ笑いをして、そんな下卑た戯れ言でその子分筋のヤクザ者に返す。
「茶化さねぇでくだせぇ。
確かに――そんな戯れ言をオウビ中に轟かしてる、あのバケモンが味方なのは心強ぇが……今度ばかりは、頭数ってヤツが違ぇますぜ……」
子分は、ゴクリと息を呑んで、木の隙間から覗ける、はためく南コクエの国旗を睨む。
「私も……彼とは少々、同意見ですね。
しかも、そんな数の違いから言えば、ここは戦力を集約して迎え撃つのが定石――それを、二隊に分けての挟撃に及ぶのは、些か無謀にも思えます」
子分の意見に賛同したのは、ソウタが居る方へと志願して、コチラに組したサスケ。
彼は、元は侍という見地から、自軍が選んだ戦術への疑問を投げ掛ける。
「――若ぇのよ、おめぇもやっぱ、経験不足な?、ソウタの力量ってヤツを測れてねぇとはよ。
恋敵だからって、軽く観てぇって腹か?」
「そっ!、その様な事ではありません――それに、レンの事は、既に諦めてございます」
茶化す返答をするリュウジに、サスケは赤面して生真面目に更に応じた。
「まあ、黙って観てろ――刀聖ってモンのバケモンぶりをな」
リュウジは、担いだ鞘で自分の肩を叩き、楽しげな笑みを浮べて、南黒の軍勢を睨んだ。
「!」
自慢の遠目を活かし、林の中から南コクエ軍の動きを注視していたギンが、ふいに片手を挙げた。
「ソウタ――奴ら、動くぞ」
ギンが、そう呟く様な小さな声音で言うと、大勢が足を踏み鳴らし、大地を揺るがす足音が流洲の関に響いた。
それは丁度、東の空の雲の切れ間に、一筋の陽光が閃いた時分だった。
「よしっ!、ヒカリ――もう、行くぞ?」
「あん!、とっても難しいんだから……もっと優しく、ね?」
(うあぁ~っ!、もう、マトモに聴いてられないよぉ~~~っ!)
ナニかを連想して身悶えしている、赤面したハルの顔を――
「ハル?、どうしたの?、具合でも悪い?」
――と、彼女の隣で待機しているタマが、心配する様な声を呟いた……その時っ!
ソウタは、軽くテンの手綱をしごき、駆足を指示して、ダッと林の中から飛び出したっ!
「恥ずかしき者たちにっ!、正義の鉄槌をぉ~~っ!」
そんな掛け声を挙げながら、ヤクザ者たちが陣取る流洲の関の対岸へと突進する南コクエ兵――その中の一人が何かに気付き、突進しながら、ふと、日が昇り始めた東の空を見上げた。
「……何だ?、アレ」
その一人は、不思議そうにヤクザ者たちとの接敵が迫る中――その『アレ』に目を奪われる。
「おい、おめぇ!、余所見してっと、統括同志さんに怒られっぞ!?」
並んで前進する兵が、そう忠告するが、その一人はガタガタと震えて、その忠告に反応しない。
"統括同志"とは――通常の軍隊に準えれば、小隊長レベルの役割の事を意味する。
「おめぇっ!、聞いてんのかぁっ!?、こりゃあ戦だど?、お日様眺めてる場合かぁっ!?」
忠告した兵が、そう激昂して怒鳴ると――
「――なぁ?、お日様って……馬に乗って、コッチに近付いて来るモンか?」
――その一人は、呆けた様で、逆に問い返した。
「はぁ?!、何を言って……」
忠告した兵が、その一人の肩を掴む流れで、見上げた東の空を見上げると――彼は、その一人とは違い、顔の血色を蒼白へと変える。
「うっ!、うわああああっ!、"お日様が落ちて来るっ!"、逃げろっ!、逃げろぉぉぉぉっ!!!!!」
二人は、恐怖に満ちた表情で、オロオロと急に進路を変えた。
二人が言った"近付いて来る"――"落ちて来る太陽"とは、もちろん太陽そのもののコトではなく――
「――ふうっ!、天変、地異規模のぉ……難しい、界気術なんだよ?、これって。
ソウちゃんも、難しい要求するよねぇ……普段は優しいのに、乱暴だった"アノ時"と一緒だよぉ……」
――ヒカリが、界気を練って創り出し、頭上の中空に掲げた、巨大な火の玉だったっ!
「ヒカリ……馬上で二人っきりだから、聞き流すけど、それ、問題発言だぞ?」
「えへっ♪、二人っきりだから、言ったんだよ♪」
ソウタは、ヒカリの艶っぽい戯れ言に、聡く反応して指摘するが、当のヒカリは、小さく舌をペロっと出して、楽しげに微笑を浮べる。
「なっ、なんだ……界気、なのか?
だが、これは――」
後方で、自軍の突進を眺めていたヨシミツも、その戦場に起きた異変に逸早く気付き、その信じられない光景を愕然として眺める。
「――っ!?、いっ!、いけないっ!、退けぇっ!、退けぇぇぇっ!、いやっ!、散るんだぁぁぁっ!」
本能的に、この後に起こるであろう出来事と光景を察したヨシミツは、四散撤退の下知を下す。
「――ん~っ!、ちょっと!、それじゃあ遅いかなっ!」
南コクエ軍の先鋒の前を、横切る体で現われた馬上から、ヨシミツの下知を受け四散を始めた南コクエ軍の塊へと向けて、ヒカリは、ニヤけた表情でそう忠告しながら、中空に掲げた火の玉をその一団へ向けて放ったっ!
地上に降りた火の玉は、不気味な地鳴りを及ぼしながら、流洲の関の大地を引き摺る様に進み――
「――うっ!、うわあぁぁぁぁっ!」
――悲鳴を挙げて、散り散りに逃げようとしている、南コクエ軍の中央へと至る。
「――よいしょぉっ!」
ヒカリが、軽く界気を練っていた方である、右手の指をパチンと鳴らすと、その指の音を合図に、巨大な火の玉は轟音と共に爆発っ!
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