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助っ人
武者震い
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場面は変わって――ここは、アキトたちが脱出して来た、ヤハンの街。
普段ならば、オウレン大の学生たちが発する、若さが滲む活気が街全体を包み込んでいる様相なのだが、今のヤハンは、鎧兜に身を包んだ侍たちが、険しい顔で闊歩している、殺伐とした雰囲気に包まれていた。
「――東砦に、刀聖たちが?」
闊歩している侍たちと同じく、険しい表情でそんな報告を受けているのは、浅黄色の法被に白銀の肩当てという、その形だけで、士団の隊長格だと解る――八番隊長、ヤヒコである。
「はい、三番隊の気配を伺わせるために先行させた、斥候からの渡りどおりですと――オウクを出奔した皇様を連れた刀聖の姿を、東砦へと続く街道を北上するのを見かけたとの事……」
報告している八番隊員は、ガタガタと震えながら、目線も虚ろなモノへと変じ――
「――そっ!、それで調べを進めますと、さっ!、三番隊と連れなって北方砦へと向かい、六番隊と合流するらしいとの情報も得ております……」
――恐怖しているのが丸解りな態度で、軍議にために拡げられている地図が記す、北方砦の場所を見やった。
「へぇ――好都合じゃねぇか。
煩わしいミスズやヒロシが、一箇所に揃ってくれただけじゃなく、刀聖もまとめて片付ける事が出来そうでよ。
それを――何、ビビりながら教えてんだよ?」
ヤヒコは、報告しに来た部下の膝を鞘で叩き、からかう体で不敵に笑う
「たっ、隊長――正気ですか?
あっ、あの……占報で観た、別次元の様な圧倒的な強さ――南コクの兵などは、まるで紙切れでも裂く様に惨殺されていたのですよ?」
八番隊員は相変らず、上下の歯が噛み合わないほどに恐れながら、上役の真意を問い返した。
ソウタは、サトコを東砦へと連れて行く道中――実に堂々と、寧ろわざとらしい程に人通りの多い街道を歩み、多くの民に顔を知られているサトコを、派手な毛色であるテンの馬上に乗せ、自分は例の鬼面を被り、その引き馬を買って出て、さながら大名行列の体で道中を進んでいた。
その意図とは――こうして、目撃した斥候たちに、あえて自分の動向を解り易くする事で、あの占報で自分を恐れている兵がいる事を見越した、威圧と士気減退を狙った一策なのである。
「バーカ、そうやってビビらせるのが、刀聖の狙いなんだよ――ったく、狙いどおりに惑わされやがって」
ヤヒコは、面倒そうに後頭部を掻き、もう一度、部下の膝を鞘で軽く叩いた。
この男――武功に逸る、思慮の浅い若者という印象だったはずだが、自分の隊へと戻れば、やはりそこは隊長格。
見違えた洞察力を見せて、ソウタの一策を看破して見せていた。
「南コクの兵は、マトモな侍が居ねぇってハナシ――あれぐらいの芸当は、俺だってやれねぇコトはねぇ。
同じ数の士団員だったら、ああは行かねぇよ」
ヤヒコは、これまた良い洞察を見せ、脅える部下を言い含め様とする。
「でっ!、でも!、本陣での手合わせでは、隊長を一撃で――」
しかし、部下は脅えたまま、ある意味ではタブーとも言える事柄に触れてしまった……
「!」
「――ぐはぁっ!?」
ヤヒコに振るわれている鞘の標的は、膝からみぞおちへと瞬時に移り、部下のソコを捉えて、強烈な一撃を見舞った。
「てめぇっ!!!、もう一度言ってみろ!、その首――身体から離して欲しいんならなっ!」
ヤヒコは激昂し、今の勢いで鞘から抜けた真剣をギラつかせながら、悶絶している部下を恫喝する。
「――あれはっ!、俺とアイツの実力差じゃねぇっ!
アイツのふざけた態度に、惑わされて油断しただけだぁっ!
仮に――本当にアイツが俺より強いとしても、今度合うのは一対一とは限らねぇ戦場、そうなりゃ、隊長の俺には直衛が付くんだから、まとめて掛かれば瞬殺だぜ、あんな野郎は……へっ!、へへへっ!」
ヤヒコは興奮気味に、ニヤニヤしながら刀を持つ手を震わせる。
「アイツと一緒だったのは、皇様だけか?、大神官――シオリ様は一緒じゃねぇのか?」
少しだけ気が晴れたのか、ヤヒコはソウタと行動を共にしていると見て良い、自分の想い人の動向に興味を移した。
「はっ、はい……鬼面の、刀聖が――同伴、していたのはぁ、皇、様のみですぅ……」
強烈な一撃を喰らってしまった部下は、悶絶しながらも報告を続ける。
「――そこは、私が補足しよう……ヤヒコ殿よ」
――と、甲冑に身を包んだ大柄の男が、ヤヒコたちのやり取りに口を挟む者が現われた。
「タカヨシさん――ヤハンの連中との話し合い、終わったんスか?」
ヤヒコは立ち上がり、先輩に対する体の礼節をして、その大柄の男を出迎える。
この大柄の男は、北コクエ第三軍――対外作戦を任された将である、タカヨシという男。
年の頃は三十七――先のコクエ内戦、いや――"勝てば官軍"という言い方をすれば、北コクエならば『解放戦争』、南コクエならば『革命闘争』での武功を挙げ、今の立場に収まった武人である。
つまり、タカヨシは歳や軍歴の豊富さでは、ヤヒコを悠に凌ぐ存在――先程の部下への振る舞いなどは、出来ない相手でもある。
一応、今回の遠征の将は、八番隊三千名の長、ヤヒコであるのだが――それを援護する形で参陣している、このタカヨシ率いる、北コクエ三軍五千名を足した、事実上の"連合軍"八千名の実質的な将は、このタカヨシなのであると言えた。
「――大学からの支援物資と、兵たちの休息場所の提供、並びに、学組からの義兵受け入れ――どれも、折衝は上手く行ったよ」
タカヨシはまず、ヤヒコに問われた政治色が強い交渉の結果を、礼節を返しながら伝えた。
「すいません――ホントは一応、将を任じられてる俺も、一緒に行くべきだったんスが……」
「いや、良い――これは、キミたち士団というより、我らオウレン大の卒業生が、国の中核を成している、北コクエへの情に因る支援だからね、私が赴くべき案件だよ」
詫びる体のヤヒコに、タカヨシは彼の肩を叩いて無用の意思を示す。
自ら述べた様に、タカヨシはオウレン大の卒業生。
在学当時は、学組風紀方の長として、ヤハンの自警を担っていた立場であり、その縁で大学や学組とは入魂の仲であると言える。
この連合軍の街への入場と、街道通過の是非に関しての優遇――そして、物資の提供や街の施設使用の許し等の全てが、タカヨシのコネクション故だと思って良い。
「ところで――話を戻すが、大神官シオリも別働として東砦に入ったとの渡りが、行商人を兼ねた暗衆から入って来ている。
刀聖らと行動を共にしていると思っていた方が良い」
タカヨシは、ヤヒコに促されながら、椅子におもむろに座り――
「我らの"維新"を良しとはしない――六番隊を成敗するためにヤハンまで来たが、思わぬ大きな魚が喰い付いた様だな」
――と、したり顔で笑みを見せながら言った。
「チッ!、あの野郎――シオリ様を誑かして、好き勝手にしやがって!」
ヤヒコは苛立ちを見せ、苦々しく歯を軋らせる。
同時にヤヒコは、文脈の流れで――ソウタに弄ばれている、あられもない姿のシオリの姿を想像して頬を赤らめた。
「それにしても――大神官シオリや皇様に加え、例の行列にも居たという、『スズの再来』とまで言われている、占報に写っていた無手を使う猫族の美少女――あの刀聖は、やたらと美女と縁がある様だな」
タカヨシは、ふうっと溜め息を吐くと、同時に苦笑いも覗かせ、卓に置かれていた茶碗を掴む。
「ヤヒコ殿や士団の皆は、鬼面を介さぬ顔を知っているそうだが――余程の美形というコトかな?、有りがちな御伽草子の如くかね?」
――そんな皮肉めいた言い方で、実態を知るヤヒコに真の刀聖象を尋ねた。
「ふんっ――その御伽草子が、如何に創り話なのかが解る、どこにでもいるヤツでしたよ!」
ヤヒコは憤慨気味に、タカヨシの尋ねにそう答えた。
「――とは言っても、あの占報での立ち回りを観た限りだけでは、相当な手練れと思って間違いない。
これから討伐に向かう六番隊に、三番隊とその刀聖までもが合流するとなれば――この戦力では、少々心許無いかとも思えるな」
冷静に戦力比を分析したタカヨシは、卓の上に置いた駒を動かし、顎に手を当てて熟考を始める。
「タカヨシさん――戦力なら充分っスよ。
内地で警邏しかしてねぇ三番隊や六番隊と、山賊や盗賊と常に遣り合ってる八番隊とじゃ、近々の実戦経験の数が違います。
それに、タカヨシさんたち北コク三軍が加われば、アイツらを取っちめるなんて楽勝っスよ!」
ヤヒコはそうやって自信満々に、装着している胸当をドンと叩く。
「ふむ――頼もしいね。
だが、それに刀聖も加わるのだぞ?」
タカヨシは、ヤヒコの主張の盲点を突こうとするが、それを言い切る前にヤヒコは彼の顔の前にビッと人差し指を立て――
「――刀聖は俺が……いや、"俺たちが"相手をします!
アンタたちが教えてくれた、あの"集団戦法"ってのを使えば――刀聖がどれだけ強くても、俺たち士団員が集団で掛かれば、やれねぇはずがねぇ!」
――と、ニヤニヤと笑いながら、フルフルとその人差し指を震わせながら持論を展開した。
「むぅ……一理は、あるな。
神の化身の様に扱われている刀聖と、ツクモ最強と言われて久しい天警士団が、戦場にてまみえるのは歴史上初――それに、刀聖と言えども、それは所詮、"ただ一人のみ"の戦力とも言えるね。
士団員が、徒党を組んで挑めば――あながち、討ち取るのは不可能ではないか……」
「ああ、三番隊や六番隊か……刀聖に連なっているであろう、占報に写ってた他の手練れさえ、アンタらが抑えてくれれば、ヤツを孤立させて、鬼面を剥いだヤツの平凡な御首を見せてやるぜ♪」
腕を組みながら、同調の意思を示したタカヨシに向けて、ヤヒコはほくそ笑み、先程よりも自信に満ちた表情を見せた。
(俺は――あのムカツク刀聖をぶっ殺して、あの嘘臭ぇ伝承を終わらせた、英雄として歴史に名を残す!!!!
そんで、刀聖を討ち取った威光を使って、一応は捕ってしまうシオリ様の放免をさせて……俺の、俺のモノにするんだぁっ!)
ヤヒコは――そんな策謀を心中で吐露し、また興奮気味に両手を震わせながら、地図に記された北方砦の位置を見やった。
普段ならば、オウレン大の学生たちが発する、若さが滲む活気が街全体を包み込んでいる様相なのだが、今のヤハンは、鎧兜に身を包んだ侍たちが、険しい顔で闊歩している、殺伐とした雰囲気に包まれていた。
「――東砦に、刀聖たちが?」
闊歩している侍たちと同じく、険しい表情でそんな報告を受けているのは、浅黄色の法被に白銀の肩当てという、その形だけで、士団の隊長格だと解る――八番隊長、ヤヒコである。
「はい、三番隊の気配を伺わせるために先行させた、斥候からの渡りどおりですと――オウクを出奔した皇様を連れた刀聖の姿を、東砦へと続く街道を北上するのを見かけたとの事……」
報告している八番隊員は、ガタガタと震えながら、目線も虚ろなモノへと変じ――
「――そっ!、それで調べを進めますと、さっ!、三番隊と連れなって北方砦へと向かい、六番隊と合流するらしいとの情報も得ております……」
――恐怖しているのが丸解りな態度で、軍議にために拡げられている地図が記す、北方砦の場所を見やった。
「へぇ――好都合じゃねぇか。
煩わしいミスズやヒロシが、一箇所に揃ってくれただけじゃなく、刀聖もまとめて片付ける事が出来そうでよ。
それを――何、ビビりながら教えてんだよ?」
ヤヒコは、報告しに来た部下の膝を鞘で叩き、からかう体で不敵に笑う
「たっ、隊長――正気ですか?
あっ、あの……占報で観た、別次元の様な圧倒的な強さ――南コクの兵などは、まるで紙切れでも裂く様に惨殺されていたのですよ?」
八番隊員は相変らず、上下の歯が噛み合わないほどに恐れながら、上役の真意を問い返した。
ソウタは、サトコを東砦へと連れて行く道中――実に堂々と、寧ろわざとらしい程に人通りの多い街道を歩み、多くの民に顔を知られているサトコを、派手な毛色であるテンの馬上に乗せ、自分は例の鬼面を被り、その引き馬を買って出て、さながら大名行列の体で道中を進んでいた。
その意図とは――こうして、目撃した斥候たちに、あえて自分の動向を解り易くする事で、あの占報で自分を恐れている兵がいる事を見越した、威圧と士気減退を狙った一策なのである。
「バーカ、そうやってビビらせるのが、刀聖の狙いなんだよ――ったく、狙いどおりに惑わされやがって」
ヤヒコは、面倒そうに後頭部を掻き、もう一度、部下の膝を鞘で軽く叩いた。
この男――武功に逸る、思慮の浅い若者という印象だったはずだが、自分の隊へと戻れば、やはりそこは隊長格。
見違えた洞察力を見せて、ソウタの一策を看破して見せていた。
「南コクの兵は、マトモな侍が居ねぇってハナシ――あれぐらいの芸当は、俺だってやれねぇコトはねぇ。
同じ数の士団員だったら、ああは行かねぇよ」
ヤヒコは、これまた良い洞察を見せ、脅える部下を言い含め様とする。
「でっ!、でも!、本陣での手合わせでは、隊長を一撃で――」
しかし、部下は脅えたまま、ある意味ではタブーとも言える事柄に触れてしまった……
「!」
「――ぐはぁっ!?」
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「てめぇっ!!!、もう一度言ってみろ!、その首――身体から離して欲しいんならなっ!」
ヤヒコは激昂し、今の勢いで鞘から抜けた真剣をギラつかせながら、悶絶している部下を恫喝する。
「――あれはっ!、俺とアイツの実力差じゃねぇっ!
アイツのふざけた態度に、惑わされて油断しただけだぁっ!
仮に――本当にアイツが俺より強いとしても、今度合うのは一対一とは限らねぇ戦場、そうなりゃ、隊長の俺には直衛が付くんだから、まとめて掛かれば瞬殺だぜ、あんな野郎は……へっ!、へへへっ!」
ヤヒコは興奮気味に、ニヤニヤしながら刀を持つ手を震わせる。
「アイツと一緒だったのは、皇様だけか?、大神官――シオリ様は一緒じゃねぇのか?」
少しだけ気が晴れたのか、ヤヒコはソウタと行動を共にしていると見て良い、自分の想い人の動向に興味を移した。
「はっ、はい……鬼面の、刀聖が――同伴、していたのはぁ、皇、様のみですぅ……」
強烈な一撃を喰らってしまった部下は、悶絶しながらも報告を続ける。
「――そこは、私が補足しよう……ヤヒコ殿よ」
――と、甲冑に身を包んだ大柄の男が、ヤヒコたちのやり取りに口を挟む者が現われた。
「タカヨシさん――ヤハンの連中との話し合い、終わったんスか?」
ヤヒコは立ち上がり、先輩に対する体の礼節をして、その大柄の男を出迎える。
この大柄の男は、北コクエ第三軍――対外作戦を任された将である、タカヨシという男。
年の頃は三十七――先のコクエ内戦、いや――"勝てば官軍"という言い方をすれば、北コクエならば『解放戦争』、南コクエならば『革命闘争』での武功を挙げ、今の立場に収まった武人である。
つまり、タカヨシは歳や軍歴の豊富さでは、ヤヒコを悠に凌ぐ存在――先程の部下への振る舞いなどは、出来ない相手でもある。
一応、今回の遠征の将は、八番隊三千名の長、ヤヒコであるのだが――それを援護する形で参陣している、このタカヨシ率いる、北コクエ三軍五千名を足した、事実上の"連合軍"八千名の実質的な将は、このタカヨシなのであると言えた。
「――大学からの支援物資と、兵たちの休息場所の提供、並びに、学組からの義兵受け入れ――どれも、折衝は上手く行ったよ」
タカヨシはまず、ヤヒコに問われた政治色が強い交渉の結果を、礼節を返しながら伝えた。
「すいません――ホントは一応、将を任じられてる俺も、一緒に行くべきだったんスが……」
「いや、良い――これは、キミたち士団というより、我らオウレン大の卒業生が、国の中核を成している、北コクエへの情に因る支援だからね、私が赴くべき案件だよ」
詫びる体のヤヒコに、タカヨシは彼の肩を叩いて無用の意思を示す。
自ら述べた様に、タカヨシはオウレン大の卒業生。
在学当時は、学組風紀方の長として、ヤハンの自警を担っていた立場であり、その縁で大学や学組とは入魂の仲であると言える。
この連合軍の街への入場と、街道通過の是非に関しての優遇――そして、物資の提供や街の施設使用の許し等の全てが、タカヨシのコネクション故だと思って良い。
「ところで――話を戻すが、大神官シオリも別働として東砦に入ったとの渡りが、行商人を兼ねた暗衆から入って来ている。
刀聖らと行動を共にしていると思っていた方が良い」
タカヨシは、ヤヒコに促されながら、椅子におもむろに座り――
「我らの"維新"を良しとはしない――六番隊を成敗するためにヤハンまで来たが、思わぬ大きな魚が喰い付いた様だな」
――と、したり顔で笑みを見せながら言った。
「チッ!、あの野郎――シオリ様を誑かして、好き勝手にしやがって!」
ヤヒコは苛立ちを見せ、苦々しく歯を軋らせる。
同時にヤヒコは、文脈の流れで――ソウタに弄ばれている、あられもない姿のシオリの姿を想像して頬を赤らめた。
「それにしても――大神官シオリや皇様に加え、例の行列にも居たという、『スズの再来』とまで言われている、占報に写っていた無手を使う猫族の美少女――あの刀聖は、やたらと美女と縁がある様だな」
タカヨシは、ふうっと溜め息を吐くと、同時に苦笑いも覗かせ、卓に置かれていた茶碗を掴む。
「ヤヒコ殿や士団の皆は、鬼面を介さぬ顔を知っているそうだが――余程の美形というコトかな?、有りがちな御伽草子の如くかね?」
――そんな皮肉めいた言い方で、実態を知るヤヒコに真の刀聖象を尋ねた。
「ふんっ――その御伽草子が、如何に創り話なのかが解る、どこにでもいるヤツでしたよ!」
ヤヒコは憤慨気味に、タカヨシの尋ねにそう答えた。
「――とは言っても、あの占報での立ち回りを観た限りだけでは、相当な手練れと思って間違いない。
これから討伐に向かう六番隊に、三番隊とその刀聖までもが合流するとなれば――この戦力では、少々心許無いかとも思えるな」
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ヤヒコはそうやって自信満々に、装着している胸当をドンと叩く。
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だが、それに刀聖も加わるのだぞ?」
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――と、ニヤニヤと笑いながら、フルフルとその人差し指を震わせながら持論を展開した。
「むぅ……一理は、あるな。
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士団員が、徒党を組んで挑めば――あながち、討ち取るのは不可能ではないか……」
「ああ、三番隊や六番隊か……刀聖に連なっているであろう、占報に写ってた他の手練れさえ、アンタらが抑えてくれれば、ヤツを孤立させて、鬼面を剥いだヤツの平凡な御首を見せてやるぜ♪」
腕を組みながら、同調の意思を示したタカヨシに向けて、ヤヒコはほくそ笑み、先程よりも自信に満ちた表情を見せた。
(俺は――あのムカツク刀聖をぶっ殺して、あの嘘臭ぇ伝承を終わらせた、英雄として歴史に名を残す!!!!
そんで、刀聖を討ち取った威光を使って、一応は捕ってしまうシオリ様の放免をさせて……俺の、俺のモノにするんだぁっ!)
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これは王女の身分を失った最強天才魔女ローゼが、復讐の誓いを胸に仲間たちとの絆を育みながら、王国の闇や自らの運命に立ち向かう物語。友情、復讐、恋愛、魔法、剣戟、謀略が織りなす、ダークファンタジー英雄譚が、今、幕を開ける。
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