27 / 756
婚姻式の日 ~後宮にて~
しおりを挟む
今回は特別にちっとも嬉しく無い副音声が入ります。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
暫く王妃付きの侍女達から持て成されていたフェリシアだが、紅茶が冷める頃に軽いノックの音と共に自分の侍女2人の姿が現れた。
「2人ともお疲れさま。」
フェリシアの気さくな挨拶に侍女2人は疲れた顔で一礼した。
フェリシアは思いの外、疲れ切った態の2人に話を聞かなければならない。
「フェリシア様、少々話を聞いて下さいますか?」
「勿論よ。」
フェリシアは快く頷き、自分の前に座るよう手で指し示した。
「離宮の花園(男爵令嬢)の事なんですけど。」
離宮に出向いていた侍女シンシアが切り出す。
立場から言えば、シンシアの方が上であるため妥当といえる。
「花園(男爵令嬢)の事ね。私も気になっていたの。小さい(爵位が低い)ながらも立派(王族の婚約者)に咲いてる(なってる)もの。」
フェリシアはかつてのファミリーでの言い回しで話していく。
「はい。花園(男爵令嬢)の花(価値)は姿(見た目)ばかりで香り等(付加価値等)感じる事が無く、残念至極でございました。」
「まぁ!いくら可愛らしい花(男爵令嬢)でも香り等(付加価値等)が無いと飾る(人前にだす)のも考えてしまうわね。そう思わなくて?」
フェリシアはニコニコと笑顔を振りまきながら、王妃付きの侍女達に聞いてみる。
香りも無い花を飾る事は、王宮ではあり得ない事ゆえ侍女達は口々に肯定していく。
「やはり香り(付加価値)も無いと種(子供)も欲しいとは思わないし、飾る(人前に出す)にも目に付かない所かいっそ飾らない(人前に出さない)事にするか迷うわよねぇ。」
シンシアは主であるフェリシアの事を良く理解している。
「フェリシア様、私でしたら花(男爵令嬢)は飾らず(人前に出さず)におきます。香り(付加価値)が無ければ枯れ朽ちても(病になっても)気が付きません(誰も気にしません)。」
「そうね、花(男爵令嬢)の盛り(若さ)が過ぎたら(無くなれば)枯れ朽ちる前に(病になる前に)引き抜いて(息の根を止めて)しまいましょう。」
「そうですね。」
フェリシアとシンシアは、茶飲み話のような気軽さで会話を続けていた。
「花(男爵令嬢)は早々に手折って(処分して)しまいましょう。種(子供)も要らないでしょう。」
フェリシアは1ヶ月前に決めていた事をシンシアに告げた。
シンシアはゆっくりとまばたきをした。
それは頷くかわりに行われる合図であった。
「フェリシア様、離宮の花を勝手に手折るなど許されませんよ。」
シンシアのまばたきを見ていたエミリは軽くフェリシアを諭すような物言いをし、ソニアを見ればソニアはエミリに分かるようにゆっくりとまばたきをした。
フェリシアをはじめ侍女3人は、男爵令嬢に手を下す為に動き出す。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
暫く王妃付きの侍女達から持て成されていたフェリシアだが、紅茶が冷める頃に軽いノックの音と共に自分の侍女2人の姿が現れた。
「2人ともお疲れさま。」
フェリシアの気さくな挨拶に侍女2人は疲れた顔で一礼した。
フェリシアは思いの外、疲れ切った態の2人に話を聞かなければならない。
「フェリシア様、少々話を聞いて下さいますか?」
「勿論よ。」
フェリシアは快く頷き、自分の前に座るよう手で指し示した。
「離宮の花園(男爵令嬢)の事なんですけど。」
離宮に出向いていた侍女シンシアが切り出す。
立場から言えば、シンシアの方が上であるため妥当といえる。
「花園(男爵令嬢)の事ね。私も気になっていたの。小さい(爵位が低い)ながらも立派(王族の婚約者)に咲いてる(なってる)もの。」
フェリシアはかつてのファミリーでの言い回しで話していく。
「はい。花園(男爵令嬢)の花(価値)は姿(見た目)ばかりで香り等(付加価値等)感じる事が無く、残念至極でございました。」
「まぁ!いくら可愛らしい花(男爵令嬢)でも香り等(付加価値等)が無いと飾る(人前にだす)のも考えてしまうわね。そう思わなくて?」
フェリシアはニコニコと笑顔を振りまきながら、王妃付きの侍女達に聞いてみる。
香りも無い花を飾る事は、王宮ではあり得ない事ゆえ侍女達は口々に肯定していく。
「やはり香り(付加価値)も無いと種(子供)も欲しいとは思わないし、飾る(人前に出す)にも目に付かない所かいっそ飾らない(人前に出さない)事にするか迷うわよねぇ。」
シンシアは主であるフェリシアの事を良く理解している。
「フェリシア様、私でしたら花(男爵令嬢)は飾らず(人前に出さず)におきます。香り(付加価値)が無ければ枯れ朽ちても(病になっても)気が付きません(誰も気にしません)。」
「そうね、花(男爵令嬢)の盛り(若さ)が過ぎたら(無くなれば)枯れ朽ちる前に(病になる前に)引き抜いて(息の根を止めて)しまいましょう。」
「そうですね。」
フェリシアとシンシアは、茶飲み話のような気軽さで会話を続けていた。
「花(男爵令嬢)は早々に手折って(処分して)しまいましょう。種(子供)も要らないでしょう。」
フェリシアは1ヶ月前に決めていた事をシンシアに告げた。
シンシアはゆっくりとまばたきをした。
それは頷くかわりに行われる合図であった。
「フェリシア様、離宮の花を勝手に手折るなど許されませんよ。」
シンシアのまばたきを見ていたエミリは軽くフェリシアを諭すような物言いをし、ソニアを見ればソニアはエミリに分かるようにゆっくりとまばたきをした。
フェリシアをはじめ侍女3人は、男爵令嬢に手を下す為に動き出す。
173
あなたにおすすめの小説
完結 王族の醜聞がメシウマ過ぎる件
音爽(ネソウ)
恋愛
王太子は言う。
『お前みたいなつまらない女など要らない、だが優秀さはかってやろう。第二妃として存分に働けよ』
『ごめんなさぁい、貴女は私の代わりに公儀をやってねぇ。だってそれしか取り柄がないんだしぃ』
公務のほとんどを丸投げにする宣言をして、正妃になるはずのアンドレイナ・サンドリーニを蹴落とし正妃の座に就いたベネッタ・ルニッチは高笑いした。王太子は彼女を第二妃として迎えると宣言したのである。
もちろん、そんな事は罷りならないと王は反対したのだが、その言葉を退けて彼女は同意をしてしまう。
屈辱的なことを敢えて受け入れたアンドレイナの真意とは……
*表紙絵自作
見るに堪えない顔の存在しない王女として、家族に疎まれ続けていたのに私の幸せを願ってくれる人のおかげで、私は安心して笑顔になれます
珠宮さくら
恋愛
ローザンネ国の島国で生まれたアンネリース・ランメルス。彼女には、双子の片割れがいた。何もかも与えてもらえている片割れと何も与えられることのないアンネリース。
そんなアンネリースを育ててくれた乳母とその娘のおかげでローザンネ国で生きることができた。そうでなければ、彼女はとっくに死んでいた。
そんな時に別の国の王太子の婚約者として留学することになったのだが、その条件は仮面を付けた者だった。
ローザンネ国で仮面を付けた者は、見るに堪えない顔をしている証だが、他所の国では真逆に捉えられていた。
〖完結〗旦那様には出て行っていただきます。どうか平民の愛人とお幸せに·····
藍川みいな
恋愛
「セリアさん、単刀直入に言いますね。ルーカス様と別れてください。」
……これは一体、どういう事でしょう?
いきなり現れたルーカスの愛人に、別れて欲しいと言われたセリア。
ルーカスはセリアと結婚し、スペクター侯爵家に婿入りしたが、セリアとの結婚前から愛人がいて、その愛人と侯爵家を乗っ取るつもりだと愛人は話した……
設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。
全6話で完結になります。
~春の国~片足の不自由な王妃様
クラゲ散歩
恋愛
春の暖かい陽気の中。色鮮やかな花が咲き乱れ。蝶が二人を祝福してるように。
春の国の王太子ジーク=スノーフレーク=スプリング(22)と侯爵令嬢ローズマリー=ローバー(18)が、丘の上にある小さな教会で愛を誓い。女神の祝福を受け夫婦になった。
街中を馬車で移動中。二人はずっと笑顔だった。
それを見た者は、相思相愛だと思っただろう。
しかし〜ここまでくるまでに、王太子が裏で動いていたのを知っているのはごくわずか。
花嫁は〜その笑顔の下でなにを思っているのだろうか??
(完結)私より妹を優先する夫
青空一夏
恋愛
私はキャロル・トゥー。トゥー伯爵との間に3歳の娘がいる。私達は愛し合っていたし、子煩悩の夫とはずっと幸せが続く、そう思っていた。
ところが、夫の妹が離婚して同じく3歳の息子を連れて出戻ってきてから夫は変わってしまった。
ショートショートですが、途中タグの追加や変更がある場合があります。
私が死んで満足ですか?
マチバリ
恋愛
王太子に婚約破棄を告げられた伯爵令嬢ロロナが死んだ。
ある者は面倒な婚約破棄の手続きをせずに済んだと安堵し、ある者はずっと欲しかった物が手に入ると喜んだ。
全てが上手くおさまると思っていた彼らだったが、ロロナの死が与えた影響はあまりに大きかった。
書籍化にともない本編を引き下げいたしました
俺が悪役令嬢になって汚名を返上するまで (旧タイトル・男版 乙女ゲーの悪役令嬢になったよくある話)
南野海風
ファンタジー
気がついたら、俺は乙女ゲーの悪役令嬢になってました。
こいつは悪役令嬢らしく皆に嫌われ、周囲に味方はほぼいません。
完全没落まで一年という短い期間しか残っていません。
この無理ゲーの攻略方法を、誰か教えてください。
ライトオタクを自認する高校生男子・弓原陽が辿る、悪役令嬢としての一年間。
彼は令嬢の身体を得て、この世界で何を考え、何を為すのか……彼の乙女ゲーム攻略が始まる。
※書籍化に伴いダイジェスト化しております。ご了承ください。(旧タイトル・男版 乙女ゲーの悪役令嬢になったよくある話)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる