婚約破棄されまして・裏

竹本 芳生

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婚姻式の日  ~王子宮・王宮にて~

王子宮・第3王子の居室の奥は妃の荷物の搬入で忙しかったが、本来この部屋に入ったであろう令嬢の荷物を想像すれば遙かに少なく又見劣りする物ばかりであった。

婚姻式は大広間にて行われる。
第3王子と妻となる令嬢は共に、国王陛下及び王妃陛下が並ぶ玉座に向かう。
2人は跪き頭を垂れ、婚姻の許可を願う。
国王陛下が受理し許しの挨拶を頂く。
許しを受けた事により、妃は王族の一員になった証に位に準じた冠を王妃陛下より頭に乗せられる。
これで式は終了とし、2人は退室する。
たったこれだけだが、大広間の入り口から玉座までの直線距離はなかなかのもの故、時間が掛かる。
更に新婦が着るドレスは王家から指定が入ったもので、生地は秋からは毛織物の白か白に近い色の物。
フリルやリボン、レース等や色石などは付けて構わない。
デザインは好きにして構わなく、それぞれの家で用意する。
裾は位に準じた長さになり、第3王子妃になる者は3~5メートル引き摺る物を着用する事と決められている。
この度第3王子妃となるマリアンヌ・ドゥルテ男爵令嬢が用意出来た物は、ドゥルテ男爵が金を掛けた物であったが王家に嫁ぐには何とも見劣りするドレスであった。
時間が無い事も一因であったが、やはり掛けられる金額の差というものが大きかった。
彼女からすれば贅沢なドレスであったが、高位貴族からすれば貧相なドレス。
デザインも定番のものに、わずかばかりに流行りの装飾を施した品で生地も少々粗く厚みがある物だった。
更に正装としてマントを羽織るのだが、これは毛皮と毛織物で構成される。
これも白か白に近い色となっているが、裾丈に指定は無いがドレスに合わせるのが普通の為にかなり長い。
高価な物ならば、薄くて暖かい物になるが男爵はそこまで手が回らなかったのだろう。
毛織物は分厚く、毛皮も毛足が長く重い物であった。
それ故に重さはかなりのもので、大した体力も無いマリアンヌ嬢には玉座前にたどり着くまでかなりの時間が必要になった。
遅々として進まぬ歩みに国王陛下も王妃陛下も忍耐力を要した。
又、現在王族である王太子夫妻と第2王子夫妻も同席しているため忍耐力を総動員して待っていた。
最も更に忍耐力を要したのが、近衛騎士団であった。
彼等は騎士団の正装をし、剣を垂直に捧げて立っているのだ。
数歩歩いては、肩で息をして立ち止まる令嬢に全員が内心ため息をついていた。
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