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婚姻式の日 ~王子宮にて~
バタンと浴室の扉が閉まると、4人は立ち上がり視線を交わした。
その顔には表情は無く、冷静な侍女がそこに居るだけだった。
4人は持ち込んだ道具を回収するために動き出した。
次々と寝台へと集められた道具は、マリアンヌ嬢の体を拭いた布と飲みかけのワインボトルの2品とそれ以外に分けられた。
「この2品は置いて行きます。後は蜜水も置いて行き、残りは全て回収し下がります。」
フェリシアは小声で命令を出し暫くすると、浴室の扉がノックされメイド達が入って来た。
「失礼致します。こちらの清掃に参りました。」
1人のメイドが一礼し、一言述べると浴槽のある部屋へと他のメイドを連れて行った。
既に道具の殆どは箱に仕舞われ、寝台の上に一目で高級品と分かる布とワインボトルが置かれていただけだった。
フェリシアは先程話し掛けて来たメイドに近づき、にこやかに話し掛けた。
「先程正妃様のお体を拭きましたら大変お気に召したようで、体拭きを置いていきます。また、ワインも飲みかけですので此方も置いていきますが宜しいでしょうか?」
メイドは頷き、侍女に伝える為に浴室から出て行った。
フェリシアは寝台の元へと戻り、侍女を待つと先程のメイドが侍女を1人連れて戻って来た。
「こちらのお品を置いていって下さるとお聞きしました。体拭きまで置いていって下さるのは大変ありがたいです。正妃様のお持ちのお品だとこれ程の物は無くて……」
フェリシアは然もありなんと微笑むと、侍女もやるせない顔でため息混じりの笑みを浮かべた。
「せっかくですもの、きっと侯爵様もお許しになるわ。気になさらないで。ワインはもし飲まれなくても、最初から置いていく積もりで持って来た物だから……」
侍女は盛大なため息を吐いた。
「やっぱり侯爵様は凄いわ。何で殿下があの正妃様を選んだのか分からないわ……正妃様の輿入れ道具、私の持っている物より酷いんですもの……あれでは、まるで平民と変わらないお品なんですもの。」
侍女は侍女頭が居ない事で愚痴をこぼした。
だが、その愚痴も当然と言えば当然だった。
王宮勤めに来ている者達の殆どが、身元のしっかりした者で特に内勤者は貴族出身の者ばかりだった。
恐らく、この侍女も低位貴族か高位貴族でも2番目以降の生まれなのだろう。
フェリシアと侍女は苦笑いで頷いた。フェリシアは侍女の肩を軽く叩いて慰めた。
「苦労するわね。早く騎士様か誰か捕まえて、お嫁にいかないとね。」
「全くだわ。正妃様付きになったのは運が無いわ。」
フェリシアの言葉に、侍女はやれやれと肩をすくめて答えると布とワインボトルを持ちフェリシアに頭を下げた。
フェリシアも気にしないでと頭を振り、微笑むとエミリ達を見回し頷いた。
荷物を持った侍女と一緒に4人は持ち込んだ道具と共に浴室を後にした。
そして、4人は侍女達に一礼した。
居間に幾つかある扉の1つから、怒鳴り声らしきものが聞こえたが誰1人気にすることは無かった。
「では、私達は王妃様の元に戻ります。お手伝いが出来て、本当に嬉しかったですわ。」
そうフェリシアが告げると、侍女達全員が一礼した。
「こちらこそ、ありがとうございました。」
先程の侍女が述べると、侍女達は頭を上げて4人を見つめた。
フェリシアはニコリと微笑むと「では、失礼致します。」と告げ、3人を引き連れて部屋から出て行った。
部屋の隅にある、地味で簡素な使用人専用の扉から消えて行く4人を侍女達は複雑な面持ちで見送った。
その顔には表情は無く、冷静な侍女がそこに居るだけだった。
4人は持ち込んだ道具を回収するために動き出した。
次々と寝台へと集められた道具は、マリアンヌ嬢の体を拭いた布と飲みかけのワインボトルの2品とそれ以外に分けられた。
「この2品は置いて行きます。後は蜜水も置いて行き、残りは全て回収し下がります。」
フェリシアは小声で命令を出し暫くすると、浴室の扉がノックされメイド達が入って来た。
「失礼致します。こちらの清掃に参りました。」
1人のメイドが一礼し、一言述べると浴槽のある部屋へと他のメイドを連れて行った。
既に道具の殆どは箱に仕舞われ、寝台の上に一目で高級品と分かる布とワインボトルが置かれていただけだった。
フェリシアは先程話し掛けて来たメイドに近づき、にこやかに話し掛けた。
「先程正妃様のお体を拭きましたら大変お気に召したようで、体拭きを置いていきます。また、ワインも飲みかけですので此方も置いていきますが宜しいでしょうか?」
メイドは頷き、侍女に伝える為に浴室から出て行った。
フェリシアは寝台の元へと戻り、侍女を待つと先程のメイドが侍女を1人連れて戻って来た。
「こちらのお品を置いていって下さるとお聞きしました。体拭きまで置いていって下さるのは大変ありがたいです。正妃様のお持ちのお品だとこれ程の物は無くて……」
フェリシアは然もありなんと微笑むと、侍女もやるせない顔でため息混じりの笑みを浮かべた。
「せっかくですもの、きっと侯爵様もお許しになるわ。気になさらないで。ワインはもし飲まれなくても、最初から置いていく積もりで持って来た物だから……」
侍女は盛大なため息を吐いた。
「やっぱり侯爵様は凄いわ。何で殿下があの正妃様を選んだのか分からないわ……正妃様の輿入れ道具、私の持っている物より酷いんですもの……あれでは、まるで平民と変わらないお品なんですもの。」
侍女は侍女頭が居ない事で愚痴をこぼした。
だが、その愚痴も当然と言えば当然だった。
王宮勤めに来ている者達の殆どが、身元のしっかりした者で特に内勤者は貴族出身の者ばかりだった。
恐らく、この侍女も低位貴族か高位貴族でも2番目以降の生まれなのだろう。
フェリシアと侍女は苦笑いで頷いた。フェリシアは侍女の肩を軽く叩いて慰めた。
「苦労するわね。早く騎士様か誰か捕まえて、お嫁にいかないとね。」
「全くだわ。正妃様付きになったのは運が無いわ。」
フェリシアの言葉に、侍女はやれやれと肩をすくめて答えると布とワインボトルを持ちフェリシアに頭を下げた。
フェリシアも気にしないでと頭を振り、微笑むとエミリ達を見回し頷いた。
荷物を持った侍女と一緒に4人は持ち込んだ道具と共に浴室を後にした。
そして、4人は侍女達に一礼した。
居間に幾つかある扉の1つから、怒鳴り声らしきものが聞こえたが誰1人気にすることは無かった。
「では、私達は王妃様の元に戻ります。お手伝いが出来て、本当に嬉しかったですわ。」
そうフェリシアが告げると、侍女達全員が一礼した。
「こちらこそ、ありがとうございました。」
先程の侍女が述べると、侍女達は頭を上げて4人を見つめた。
フェリシアはニコリと微笑むと「では、失礼致します。」と告げ、3人を引き連れて部屋から出て行った。
部屋の隅にある、地味で簡素な使用人専用の扉から消えて行く4人を侍女達は複雑な面持ちで見送った。
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