婚約破棄されまして・裏

竹本 芳生

文字の大きさ
47 / 756

婚姻式の日 ~王子宮・グレース~

「うむ、皆から反対されずに済んだか。皆はこれからどうするのだ?」

ジークフリートの討伐の件は、これで区切りがついた。
陛下は何か思うところがあるのだろうが、私は後宮に帰りたい。
フェリシア様が待っている筈なのだから。

「パトリクス様、私後宮に戻りとうございます。まだ、気分が……」

パトリシアの青い顔を見ていれば、到底今から何かするなど無理な話だと分かります。

「申し訳ありません。パトリシアと共に居たいので、私はこれで失礼致します。」

パトリクスはパトリシアを抱き寄せ、王子宮後宮に行くと明言した。
陛下はうんうんと頷くと、何処かホッとしたお顔で2人を見つめた。

「パトリシア妃を慰めるのは、夫であるお前の重要な役目だ。あの様な実におぞましい儀式を見たのだ、優しく慰めると良い。」

陛下の言葉に2人は頭を下げ、パトリシアが住まう後宮へと歩き出した。
仲むつまじい後ろ姿に安堵する。

「お義母様、私お義母様にお伺いしたい事がございますの。よろしいかしら?」

キャロラインも青い顔をしているものの、それよりも話したい事があるのだろう。
だが、それは私も一緒だった。

「良いでしょう。お出でなさい。」

キャロラインは私に一礼すると、ウィルフレッドを見つめた。

「フレッド様、少々お義母様とお話してきます。後宮に帰る際には護衛を呼びます故、心配は無用です。今晩はジークフリート殿下も契りの間から出て来られないでしょうし……」

ウィルフレッドに声をかけたが、ジークフリートは出て来ないから大丈夫と言ったのだが……確かにあの様子であれば、そうそう簡単に出て来るとは思えない。

「そうだな……あの様子なら、今晩中は出て来ないかもな。母上、宜しく頼みます。父上、私にお時間は頂けますか?」

ウィルフレッドは何事か考えているのだろう、陛下と話し合いたいと希望を述べた。

「勿論だ、付いて参れ。」

そして私達はそれぞれの居場所へと進む。
私は第2王子妃キャロラインを連れて。
夫は第2王子ウィルフレッドを連れて。
私の後ろを付き従う侍女達の足取りは1歩進むごとに軽やかになっていく。

さぁ、行こう我が後宮へ

そして後宮の区画に入った時、今まで無言だったキャロラインが不意に話し掛けてきた。

「お義母様あの蜜水をご用意なさった方、いらっしゃるのでしょう?紹介して下さいませね。」

やはり何か知っている。
そのために、私との時間を希望したのだろう。
だが、それは私も同じ……何故、儀式が終わっても小部屋に居続けたのか……
感想 3,411

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

私に姉など居ませんが?

山葵
恋愛
「ごめんよ、クリス。僕は君よりお姉さんの方が好きになってしまったんだ。だから婚約を解消して欲しい」 「婚約破棄という事で宜しいですか?では、構いませんよ」 「ありがとう」 私は婚約者スティーブと結婚破棄した。 書類にサインをし、慰謝料も請求した。 「ところでスティーブ様、私には姉はおりませんが、一体誰と婚約をするのですか?」

いや、あんたらアホでしょ

青太郎
恋愛
約束は3年。 3年経ったら離縁する手筈だったのに… 彼らはそれを忘れてしまったのだろうか。 全7話程の短編です。

「身分が違う」って言ったのはそっちでしょ?今さら泣いても遅いです

ほーみ
恋愛
 「お前のような平民と、未来を共にできるわけがない」  その言葉を最後に、彼は私を冷たく突き放した。  ──王都の学園で、私は彼と出会った。  彼の名はレオン・ハイゼル。王国の名門貴族家の嫡男であり、次期宰相候補とまで呼ばれる才子。  貧しい出自ながら奨学生として入学した私・リリアは、最初こそ彼に軽んじられていた。けれど成績で彼を追い抜き、共に課題をこなすうちに、いつしか惹かれ合うようになったのだ。

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

冤罪で退学になったけど、そっちの方が幸せだった

シリアス
恋愛
冤罪で退学になったけど、そっちの方が幸せだった

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

巻き込まれ召喚のモブの私だけが還れなかった件について

みん
恋愛
【モブ】シリーズ①(本編) 異世界を救うために聖女として、3人の女性が召喚された。しかし、召喚された先に4人の女性が顕れた。そう、私はその召喚に巻き込まれたのだ。巻き込まれなので、特に何かを持っていると言う事は無く…と思っていたが、この世界ではレアな魔法使いらしい。でも、日本に還りたいから秘密にしておく。ただただ、目立ちたくないのでひっそりと過ごす事を心掛けていた。 それなのに、周りはおまけのくせにと悪意を向けてくる。それでも、聖女3人のお姉さん達が私を可愛がって守ってくれるお陰でやり過ごす事ができました。 そして、3年後、聖女の仕事が終わり、皆で日本に還れる事に。いざ、魔法陣展開で日本へ!となったところで…!? R4.6.5 なろうでの投稿を始めました。