89 / 756
討伐の旅 10
大門をくぐり抜け街道に出る。
「目的地はどういった所なんだ?」
場所は聞いていたが、そこがどんな所なのかは知らされてなかった。
右に伸びる街道をのんびりと進む。
シュタインは苦笑いをした後、困った顔で俺を見る。
「そうですな………今は内緒にしておきたいですな。それよりも殿下、そろそろ兵士達があちこちに出ながら進みますぞ!」
シュタインの言葉に慌てて周りを見回すと、背の高い草が一面に生えていた。
前を行く兵士達が走って草むらに分け入って剣を閃かせている。
「この辺りはスライムが多いのですよ。あれらは街道の近くに寄って来るので、駆け寄って倒すんですよ。あれらは倒した後に魔石の欠片を残すので、集めておくんですよ。欠片とは言え、集めれば色々使えますからな!」
朗らかに笑いながら俺に説明してくれるシュタインは良い男だと思った、きっと部下に慕われているのだろう。
ガサガサと草むらから兵士が飛び出して来る、その手には小さな袋が握られていた。
兵士はシュタインの姿を見ると、ニカッと笑い前方へと走って行った。
シュタインもハハハと笑いながら、兵士に手を振り見送っていた……が急に真顔になり前方を見ていた。
「どうした?何かあったのか?」
俺は不安になり、聞いた時だった。
前から馬に乗った兵士が慌てた様子で寄ってきた。
「隊長、前をどこかの貴族の一団がいます!どう致しますか?」
「誰か分かるか?」
「それが……申し訳ありません、私には判断付きませんでした。」
「分かった。殿下、少し前方でどこの貴族か確認して参ります。少々不安に感じるかも知れませんが、このまま隊列の中でお待ち下さい。馬も慣れております、安心して下さい。」
そう言うと馬を走らせ、前方に消えて行った。
ゆっくりと討伐しながら進むのを、馬上でぼんやり見ていた。
兵士達がガサガサと草むらに入っては消えるのに、ジョシュアの所の騎士達はただ隊列を崩すこと無く歩いている。
魔物を討伐しているのは兵士達で騎士達じゃない、何か胸にモヤモヤとこもる何かに嫌な気分になる。
ドカドカと馬が疾走して来る……シュタインが、嬉しそうに帰って来た。
「殿下!ツイてますな!前を行く貴族の一団はシュバルツバルト侯爵様の一団ですぞ!しかも領主隊が固めていた、行きは楽が出来ますぞ!良かったですな!」
これ以上ないほどの笑顔で、朗々と言うシュタインに何がツイているのか?と問いたい。
「ハハハッ訳が分からないって顔ですな!村や町などの集落の近くはスライムみたいな弱い魔物は少ないんですよ、むしろ少し厄介な牙猪やオーク、ゴブリンの集団なんかもですな……そう言った討伐の大変なやつが出るんですが、シュバルツバルト領主隊が粗方討伐していってくれるでしょう。追い越すこと無く付いて行けば、行きは弱い魔物ばかりの討伐で怪我もせずに目的地に行けます。殿下はツイている、怪我人や死者が少なければ殿下の評価が上がりまぞ!」
俺は……俺はエリーゼに助けられるのか……?
「殿下の思う事は何となく分かります、エリーゼ嬢の事でしょう。婚約破棄は私達も残念だと思いました、魔物に対しては私達より遙かに知り対処する……ですが既に済んだ事です。ここは甘えたとしても、兵士達の為と思えば角は立ちません。」
兵士達の為………そうか、俺は自分の事しか考えて無かった。
「分かった、兵士達の為に甘えよう。きっと兵士達も安心するだろう。」
「ありがとうございます、殿下!では、伝令を飛ばして参ります。」
そう言うと、再び馬を走らせ前方に消えた。
「目的地はどういった所なんだ?」
場所は聞いていたが、そこがどんな所なのかは知らされてなかった。
右に伸びる街道をのんびりと進む。
シュタインは苦笑いをした後、困った顔で俺を見る。
「そうですな………今は内緒にしておきたいですな。それよりも殿下、そろそろ兵士達があちこちに出ながら進みますぞ!」
シュタインの言葉に慌てて周りを見回すと、背の高い草が一面に生えていた。
前を行く兵士達が走って草むらに分け入って剣を閃かせている。
「この辺りはスライムが多いのですよ。あれらは街道の近くに寄って来るので、駆け寄って倒すんですよ。あれらは倒した後に魔石の欠片を残すので、集めておくんですよ。欠片とは言え、集めれば色々使えますからな!」
朗らかに笑いながら俺に説明してくれるシュタインは良い男だと思った、きっと部下に慕われているのだろう。
ガサガサと草むらから兵士が飛び出して来る、その手には小さな袋が握られていた。
兵士はシュタインの姿を見ると、ニカッと笑い前方へと走って行った。
シュタインもハハハと笑いながら、兵士に手を振り見送っていた……が急に真顔になり前方を見ていた。
「どうした?何かあったのか?」
俺は不安になり、聞いた時だった。
前から馬に乗った兵士が慌てた様子で寄ってきた。
「隊長、前をどこかの貴族の一団がいます!どう致しますか?」
「誰か分かるか?」
「それが……申し訳ありません、私には判断付きませんでした。」
「分かった。殿下、少し前方でどこの貴族か確認して参ります。少々不安に感じるかも知れませんが、このまま隊列の中でお待ち下さい。馬も慣れております、安心して下さい。」
そう言うと馬を走らせ、前方に消えて行った。
ゆっくりと討伐しながら進むのを、馬上でぼんやり見ていた。
兵士達がガサガサと草むらに入っては消えるのに、ジョシュアの所の騎士達はただ隊列を崩すこと無く歩いている。
魔物を討伐しているのは兵士達で騎士達じゃない、何か胸にモヤモヤとこもる何かに嫌な気分になる。
ドカドカと馬が疾走して来る……シュタインが、嬉しそうに帰って来た。
「殿下!ツイてますな!前を行く貴族の一団はシュバルツバルト侯爵様の一団ですぞ!しかも領主隊が固めていた、行きは楽が出来ますぞ!良かったですな!」
これ以上ないほどの笑顔で、朗々と言うシュタインに何がツイているのか?と問いたい。
「ハハハッ訳が分からないって顔ですな!村や町などの集落の近くはスライムみたいな弱い魔物は少ないんですよ、むしろ少し厄介な牙猪やオーク、ゴブリンの集団なんかもですな……そう言った討伐の大変なやつが出るんですが、シュバルツバルト領主隊が粗方討伐していってくれるでしょう。追い越すこと無く付いて行けば、行きは弱い魔物ばかりの討伐で怪我もせずに目的地に行けます。殿下はツイている、怪我人や死者が少なければ殿下の評価が上がりまぞ!」
俺は……俺はエリーゼに助けられるのか……?
「殿下の思う事は何となく分かります、エリーゼ嬢の事でしょう。婚約破棄は私達も残念だと思いました、魔物に対しては私達より遙かに知り対処する……ですが既に済んだ事です。ここは甘えたとしても、兵士達の為と思えば角は立ちません。」
兵士達の為………そうか、俺は自分の事しか考えて無かった。
「分かった、兵士達の為に甘えよう。きっと兵士達も安心するだろう。」
「ありがとうございます、殿下!では、伝令を飛ばして参ります。」
そう言うと、再び馬を走らせ前方に消えた。
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
私に姉など居ませんが?
山葵
恋愛
「ごめんよ、クリス。僕は君よりお姉さんの方が好きになってしまったんだ。だから婚約を解消して欲しい」
「婚約破棄という事で宜しいですか?では、構いませんよ」
「ありがとう」
私は婚約者スティーブと結婚破棄した。
書類にサインをし、慰謝料も請求した。
「ところでスティーブ様、私には姉はおりませんが、一体誰と婚約をするのですか?」
「身分が違う」って言ったのはそっちでしょ?今さら泣いても遅いです
ほーみ
恋愛
「お前のような平民と、未来を共にできるわけがない」
その言葉を最後に、彼は私を冷たく突き放した。
──王都の学園で、私は彼と出会った。
彼の名はレオン・ハイゼル。王国の名門貴族家の嫡男であり、次期宰相候補とまで呼ばれる才子。
貧しい出自ながら奨学生として入学した私・リリアは、最初こそ彼に軽んじられていた。けれど成績で彼を追い抜き、共に課題をこなすうちに、いつしか惹かれ合うようになったのだ。
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
巻き込まれ召喚のモブの私だけが還れなかった件について
みん
恋愛
【モブ】シリーズ①(本編)
異世界を救うために聖女として、3人の女性が召喚された。しかし、召喚された先に4人の女性が顕れた。そう、私はその召喚に巻き込まれたのだ。巻き込まれなので、特に何かを持っていると言う事は無く…と思っていたが、この世界ではレアな魔法使いらしい。でも、日本に還りたいから秘密にしておく。ただただ、目立ちたくないのでひっそりと過ごす事を心掛けていた。
それなのに、周りはおまけのくせにと悪意を向けてくる。それでも、聖女3人のお姉さん達が私を可愛がって守ってくれるお陰でやり過ごす事ができました。
そして、3年後、聖女の仕事が終わり、皆で日本に還れる事に。いざ、魔法陣展開で日本へ!となったところで…!?
R4.6.5
なろうでの投稿を始めました。