婚約破棄されまして・裏

竹本 芳生

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なかまがたびだちました

注意!話内では人語表記ですが、本来はニャアニャア言ってます。

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

「行ってしまったにゃ」

「久しぶりに人に付いてく者が出たにゃ」

ここは立ち歩きネコの隠れ里、タマ・トラジ・ノエルの3匹が暮らしていた里である。
星の瞬く夜、月が真上で輝く頃。
少し高い大きな石の上に立つ、この里の長老が空を見上げながら喋る。
先に呟いたのは、長老より少しだけ若いがそれでも長く里に住まう者だった。

「にいにがいって、さみしいにゃ……」

黒い体毛、鼻先と四つ足の先が白いあどけない顔をした立ち歩きネコが呟く。
それは旅立ったノエルの弟ネコだった。
ノエルとその弟は最も若い双子で、仲が良かったのだ。

「うむ、だが人に選ばれた者は特別な存在だ。我等と契約出来る人は限られておる。幾久しく居なかったが、これはめでたい事。寂しくなるが喜ばしい事なのだ。」

石の上の長老は高らかに胸を張って、若い弟ネコに言葉を掛ける。

「わかったにゃ……にいにはとくべつなんにゃ!さすがボクのにいににゃ!」

ノエルの弟ネコは、グッと顔を上げて旅立った兄ネコを思い長老に叫ぶ。

「うむ!この里から3名もの仲間が旅立った!」

長老は嬉しかった、日にちの概念は無いが本当に久しぶりの事だったのだ。

「そうにゃ!我が兄も旅立ったにゃ!」

真っ白な姿の立ち歩きネコが叫ぶ。

「我が弟も旅立ったにゃ!」

縞模様の立ち歩きネコも叫ぶ。
うんうんと頷く長老は高らかに叫ぶ。

「旅立った仲間の為に、祈ろう!この月に!」

長老は両前足を胸の前で合わせ、空を仰ぎ……


なぁぁぁーーーーーーーーーんんん!


長老の叫びを聞き、里の立ち歩きネコ達も両前足を胸の前で合わせ空に向かって鳴く。


なぁぁぁーーーーーーーん………
にゃぁぁぁーーーーーーん………


その夜、幾つもの立ち歩きネコの祈りが里に響いた。
旅立った仲間の無事と幸せを願った祈りが。
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